先日、「確定拠出年金(iDeCo)の利回り平均はどれくらいなのか、どれくらい儲かるのかを調べてみた」という記事を書きましたが、今回は続編としてつみたてNISA(積立NISA)バージョンを見ていきたいと思います。
つみたてNISAは確定拠出年金(iDeCo)と違い金融庁が厳しく対象となる投資信託を選別しています。
その効果は果たして出ているのでしょうか?といってもつみたてNISAはまだ始まったばかりの制度ではあるんですけどね。
なお、つみたてNISAの統計資料についてはこちらの記事を御覧ください。
先日、2月13日は「NISA(ニーサ)の日」でした。213でニーサなんですね(笑)そこでつみたてNISAの口座数が100万口座を突破したことが発表されました。iDeCoも12月時点で110万口座を突破していますので合わせてのべ200[…]
つみたてNISAの利回りはどれくらい?実際どれだけ儲かるのか?
つみたてNISA(積立NISA)は自分で運用する投資信託などの商品を選択できます。
ですからどの投資信託を選択したかによって運用成績はぜんぜん変わってくるのです。
また、つみたてNISAはまだ始まって1年とちょっとの制度で具体的な利回りの統計も出ていません。
そこで今回は各カテゴリーの利回り、実際1年リターンを元につみたてNISAの利回りを考えていきます。
つみたてNISA対象投資信託の概要
まず、実際のリターンを見る前提として取扱商品の概要を見ていきます。つみたてNISAで買える投資信託は今日(2019/3/25)現在でインデックス型142本、アクティブ型17本です。
さらに細分化するとこんな感じです。同じ指標をベンチマークとした商品がかなりたくさんあるのがわかりますね。
国内型
TOPIX 12本
日経平均株価 15本
JPX400 5本
TOPIXは東証一部に上場している全銘柄の合計時価総額を対象、日経平均は日本を代表する255社、JPX400は400社となります。
全世界株式型
MSCI ACWI Index 6本
FTSE Global All Cap Index 2本
この2つの指標は対象となる国や銘柄が異なっています。FTSE Global All Cap IndeXの方が対象とする国も構成銘柄も多くなっていますね。
先進国株式型
MSCI World Index 15本
FTSE Developed All Cap IndexS 1本
こちらも韓国が含まれるか否かなど微妙に指標が異なります。
アメリカ株式型
S&P500 4本
CRSP U.S. Total Market Index 1本
S&P500はアメリカを代表する500社の指標。CRSP U.S. Total Market Indexは中小企業も含んでの指標となります。このあたりは好みですね。ダウはつみたてNISA対象商品にはなっていないんです。
新興国株式型
MSCI Emerging Markets Index 10本
FTSE Emerging Index 1本
FTSE RAFI Emerging Index 1本
新興国は指標により例えば韓国が含まれるか否かなどが異なります。
バランス型
国内2指数 1本
国内3指数 2本
海外2指数 4本
海外3指数 2本
海外4指数 17本
海外5指数 2本
海外6指数 13本
海外7指数 2本
海外8資産 26本
特に8資産がかなり多くなっていますね。ただし、それぞれの組み合わせが微妙に異なっていますね。
アクティブ型
国内株式型 6本
国内株式及び公社債 1本
海外株式 3本
海外株式及び公社債 5本
海外株式及びREIT 1本
海外株式及び公社債及びREIT 1本
アクティブ型はそれぞれの商品ごとにかなり特徴があります。
実際のリターン
まずは、つみたてNISA対象投資信託の実際のリターンを見てみましょう。それぞれのカテゴリーで一番信託報酬の低いもので比べてみたいと思います。※信託報酬が一番低いものが一番リターンが高いとは限りませんが同じ条件にするためにそうしています。(2019年2月28日時点)
国内型
国内型には3つのカテゴリーがありますがどれも6ヶ月、1年で大きなマイナスとなっています。昨年は相場全体が厳しかったですからね・・・
TOPIX
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
2.59% | -6.45% | -7.19% |
日経平均株価
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
3.02% | -5.56% | -1.22% |
JPX400
<購入・換金手数料なし>ニッセイJPX日経400インデックスファンド
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
2.47% | -6.00% | -6.76% |
全世界株式型
全世界株式型も6ヶ月は二つともマイナスですね。世界的に株式市場が厳しかったことがわかります。1年だとプラス化していますね。
MSCI ACWI Index
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
5.72% | -2.84% | – |
FTSE Global All Cap Index
SBI・全世界株式インデックス・ファンド
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
5.31% | -3.30% | 1.37% |
先進国株式型
こちらも全世界型と同じような感じになっています。6ヶ月リターンだと二つの指標ともマイナス。1年リターンだとプラスになっています。昨年だけみればMSCI World Indexの方が成績が良かったようです。
MSCI World Index
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
5.98% | -3.32% | 4.02% |
FTSE Developed All Cap IndexS
SBI・先進国株式インデックス・ファンド
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
5.45% | -3.86% | 2.14% |
アメリカ株式型
こちらも同じような傾向ですね。6ヶ月だとマイナス。1年だとプラスになっています。
S&P500
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
6.16% | -3.19% | – |
CRSP U.S. Total Market Index
楽天・全米株式インデックス・ファンド
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
6.50% | -3.5% | 7.20 |
新興国株式型
新興国株式は1年で見ると3つの指標ともマイナス。6ヶ月以降はプラスとなっています。面白いことに同じ新興国株でもベンチマークとする指標によりかなりリターンの差が出ていますね。
MSCI Emerging Markets Index
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
4.05% | 0.82% | -7.62 |
FTSE Emerging Index
SBI・新興国株式インデックス・ファンド
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
2.98% | 2.57% | -6.57 |
FTSE RAFI Emerging Index
iFree 新興国株式インデックス
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
3.05% | 4.78% | -5.10 |
バランス型
バランス型はそれぞれどのカテゴリーを組み合わせるのかによってかなり違いますので参考程度に御覧ください。8資産などすべての期間でプラスになっているものもあります。これはこの期間にJREITが調子が良かったためそれが組み込まれているバランス型が調子良くなっているのです。
国内2資産
日本株式・Jリートバランスファンド
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
1.73% | 0.97% | 6.21 |
国内3資産
ニッセイ・インデックスパッケージ(国内・株式/リート/債券)
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
0.56% | 1.24% | 1.51 |
国内外2資産
楽天・インデックス・バランス・ファンド(均等型)
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
2.81% | -1.14% | – |
国内外3資産
eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
4.16% | -2.94% | – |
国内外4資産
<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスF 4資産均等型
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
3.00% | -0.15% | 3.34 |
国内外5資産
ニッセイ・インデックスパッケージ(内外・株式/リート)
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
2.53% | 1.76% | 0.07 |
国内外6資産
<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスF6資産均等型
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
2.17% | 0.37% | 5.13 |
国内外7資産
野村インデックスファンド・内外7資産バランス・為替ヘッジ型
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
1.39% | 0.65% | 3.60 |
国内外8資産
eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
2.58% | 1.57% | 2.69 |
アクティブ型
アクティブ型はそれぞれ特徴がありますので目立つ商品を見てみましょう。
ひふみプラス
投資信託全体をみても人気のひふみプラスは6ヶ月と1年の大幅なマイナスが目立ちますね。
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
4.79% | -10.96% | -11.25 |
コモンズ30ファンド
こちらも人気のコモンズも同様に苦しんでいます。
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
1.03% | -10.00% | -10.28 |
フィデリティ・欧州株・ファンド
つみたてNISA取扱商品で一番信託報酬が高いのがこれです。成績は割とよいのです。
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
6.99% | -5.96% | 4.20 |
のむラップ・ファンド
ファンドラップとして唯一つみたてNISAに採用されているのがこれです。こちらも意外?に成績は良いですね。
1ヶ月 | 6ヶ月 | 1年 |
3.72% | -2.44% | 2.93 |
各カテゴリー別20年間の平均利回り
それではつみたてNISAで購入できる代表的な各カテゴリー別に見るとどれくらいの利回りが目指せるのでしょうか?
今回はmy INDEX様のデータから代表的な指標で20年リターンで比較してみましょう。
今後同じ利回りとなるのかはわかりませんが参考にはなるでしょう。今回みた主要カテゴリーはすべてプラスとなっています。
TOPIXの平均利回り
まずは東証一部に上場している全銘柄の合計時価総額を対象とした株式指数であるTOPIXです。
こちらの20年間の平均利回りは年率3.5%でした。
日経平均株価の平均利回り
次に東京証券取引所第一部に上場する2130銘柄(12月26日現在)のうち255社を日本経済新聞社が独自の基準でピックアップしてそれを元に15秒ごとに平均を出した株式指標の日経平均です。
こちらの20年間の平均利回りは年率2%でした。
S&P500の平均利回り
次はアメリカを代表する500社の平均であるS&P500です。
こちらの20年間の平均利回りは年率6.1%でした。
先進国株の平均利回り
次に日本以外の先進国を対象としたMSCI コクサイ(KOKUSAI)インデックスです。
こちらのの20年間の平均利回りは年率5.7%でした。
新興国株の平均利回り
次に新興国を対象としたMSCI エマージング・マーケット・インデックスです。
こちらのの20年間の平均利回りは年率9.4%でした。
今後の予想
JPモルガンが予想した今後10〜15年の各カテゴリー毎の長期予想は下記の通りです。
意外?にアメリカ株の評価が低く日本株や新興国株の評価が高いんですよね。詳しくは下記記事を御覧ください。
2018年の相場は波乱な感じに終わりました。iDeCoやつみたてNISAをやっている方の大半はマイナスとなった2018年だったと思います。今後つみたて投資をするのに不安を感じてしまった方もいるかもしれませんね。それでは今後長い目で見[…]
まとめ
今回は「つみたてNISAの利回り平均はどれくらいなのか、どれくらい儲かるのかを調べてみた」と題してつみたてNISA対象商品のリターンやつみたてNISAで投資ができるカテゴリーの20年リターンをみてきました。
面白いのがどのカテゴリーみても20年でみればプラスなんですよね。つまり期待値はプラスと考えてよいでしょう。
今回各商品のリターンをみるとマイナスも目立ちましたが、20年で見るとプラス。つまりつみたてNISAのような積み立て投資は長い目で見てあげることが必要であることもわかりますね。
老後資金を貯めるのにつみたてNISAは個人型確定拠出年金(iDeCo)と双璧でお得ですからこの機会に始めてみてはいかがですか
つみたてNISAに加入するならSBI証券が有力
つみたてNISAは個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)ほど証券会社の差はありません。
選ぶ際のポイントは取扱商品と注文の仕方です。その点を加味するとSBI証券が有力となります。
SBI証券
SBI証券はクレジットカードでの購入等は今の所できませんが、商品ラインナップや注文の仕方などは一番優れていますので楽天カードを使っていない、使わない方には筆頭候補となるでしょう
SBI証券はなにより注文の自由度がかなり高いのがいいですね。
資料請求等はこちらから
SBI証券は商品ラインナップや注文の仕方などが優れています。
また、三井住友カードとの連携で投資信託購入でのポイントが貯まるのも嬉しい。
ネット証券開設するなら持っておきたい口座の筆頭でしょう。
IPO投資の利回りはこちらを御覧ください。
先日から、iDeCoの利回り、つみたてNISAの利回りと見てきました。今回はそのシリーズとしてIPO(新規公開株式)の利回りについて考えてみたいと思います。IPO投資はそもそも買えるか買えないかは抽選であるため運の要素が強く[…]
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