【銀行】顧客本位の運営をしてないことを問題視されたら外貨建預金、ファンドラップの売上が増えた件

金融庁が金融機関が顧客本位の業務運営をしていないことを問題視

昨年から、客観的に評価できるようにするための成果指標(比較可能な共通KPI)を公表を求めたことで金融機関各社がその結果を発表しました。

昨年の発表内容はこの記事を御覧ください。

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銀行にカモられない

それにより今後は銀行が顧客本位の営業を行うようになったと言えば全然そうなっていないという・・・。

投資信託の販売は減りましたが、悪名高い外貨建預金ファンドラップの販売が増えてしまっているのです。

顧客本位ってなんだっけ?って状態なんですよね。

今回はこの件について見ていきましょう。

なお、2019年9月時点の資料はこちらを御覧ください。

銀行の体質は変わらず。顧客本位、なにそれ?おいしいの状態

今回は、金融庁が先日発表した「投資信託等の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果について 」に基づき銀行の体質は全然変わってないぜって話しを見ていきましょう。


投資信託販売金額、預かり金額

投資信託販売金額
投資信託販売金額、預かり金額

出典:金融庁「投資信託等の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果について」より

まずは各種金融機関の投資信託の販売金額(左)と投資信託預かり金額(右)の推移です。

投資信託販売金額、投資信託預り金とも主要銀行、地域銀行、大手証券等、とも大幅に減少しています。

一方、ネット系証券では、販売額は減少しているものの、預り残高は、着実に増加しています。

このサイトでも下記記事にも書いたように資産運用は基本的にネット証券を使うのをおすすめしていますが、それら認識を持つ方が増えてきたのかもしれません。

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ファンドラップの販売額、預かり残高

ファンドラップ預かり金額
ファンドラップ販売額、預かり残高

出典:金融庁「投資信託等の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果について」より

次はファンドラップです。

ファンドラップとは簡単に言えば証券会社や銀行に資産運用を丸投げ(一任)する方法です。

そのため、かなり高めの手数料が発生してしまうのです。

また、過去の成績も商品によりますが、平均してよくありません。

つまり、ぜんぜんおすすめできない商品なんですよ。

ただし、金融機関からすれば手数料がたくさんもらえますから儲かる商品です。

そのため顧客本位で考えなければ積極的に売ってくる商品なわけ・・・

ファンドラップについて詳しくはこちらの記事を御覧ください。

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ファンドラップはダメ絶対

そのファンドラップは2017年度から2018年度にかけて特に地域銀行で大幅に販売金額を増やしています。

また合わせて預かり残高も増加。

つまり、これを見るだけで金融機関はまだまだ顧客本位ではないだろ・・・って言える状態です。

投資信託の販売手数料

次は投資信託の販売手数料です。

ネット証券では販売手数料がゼロ(無料)のノーロードの投資信託が中心ですね。

それに対して・・・銀行では以下の手数料が発生しています。

これ平均ですから驚きですね・・・

銀行の投資信託販売手数料
銀行の投資信託販売手数料

出典:金融庁「投資信託等の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果について」より

主要銀行等で 1.83%、地域銀行で 1.97%。 販売額上位5銘柄の平均販売手数料率は、それぞれ 1.78%、2.05%となっています。

以前と比較して低くはなっていますが、ネット証券では無料が当たり前の販売手数料が平均 1.83%、地域銀行で 1.97%とはどれだけ地雷商品を販売しているのかっていうのがわかる数字になります。

つまり、始めからそれだけの手数料がマイナスから始まる投資なんですよ。

ネット証券なら無料ものが多いのに・・・

外貨建て一時払い保険の販売額、残高

外貨建て保険の残高
外貨建て保険の販売額、残高

出典:金融庁「投資信託等の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果について」より

次は外貨建て一時払い保険の販売額と残高です。

外貨建て保険は金融庁がかなり問題視している商品の一つです。

為替手数料がかなり高い上にわかりにくくしてあります。

さらに元本割れのリスクもあることからどうなんだってレベルの商品なんですよ。

外貨建預金について詳しくはこちらの記事を御覧ください。

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外貨建て保険辞めておけ

そのあまりおすすめできない外貨建て預金の販売が大幅に増えているのです。

また、それに伴い残高も大幅に増えていますね。

これは手数料の高い投資信託がKPI公表により売りにくくなったのでこちらにシフトしたのではないでしょうかね・・・

実際、今回の資料にも元本割れ等のリスク説明を受けていなかったとい う苦情が(特に高齢者から)が多数発生しているとの記述があります。

また、国民生活センターなどへの苦情が多いことから問題視されています。

それでは外貨建て一時払い保険にはどのくらいのリスクがあるのでしょう。

今回の資料にその辺りのデータも記載されていました。

外貨建て保険の運用損益別顧客比率

外貨建て保険満期まで持った場合
外貨建て保険を満期まで持った場合

出典:金融庁「投資信託等の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果について」より

まずは2018年度に満期が到来した外貨建定額保険の顧客別の成績をみてみましょう。

満期まで外貨建て保険を保有していた場合は8割が運用益を計上しています。

中途解約だと8割が元本割れ

外貨建て保険中途解約
外貨建て保険を中途で解約した場合

出典:金融庁「投資信託等の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果について」より

しかし、2018年度に中途解約した人の損益は、定額で半分、変額で8割が元本割れとなっています。

為替リスクの影響に加え、解約に伴うコストが損益を押し下げていることが推測されます。

解約時の手数料がかなり高いですよ。

例えばある商品だと1年未満の解約だと10%とられます。

そこから徐々に解約控除費用は減っていき10年を超えてようやく解約控除がなくなるのです。

10年は手数料なしに解約もできないのです・・・

共通KPIを公開後は投資信託が減り、一時払い保険の販売が急増

販売金額推移
主要銀行、地域銀行のリスク性金融商品の月次販売金額推移

出典:金融庁「投資信託等の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果について」より

また上記のようなデータもあります。

主要銀行、地域銀行のリスク性金融商品の月次販売金額推移です。

これで一目瞭然なのは投資信託の販売が減り、一時払い保険の売上が大幅に増えていることです。

おそらく、共通KPIが公表されたことで手数料が高い投資信託が販売しにくくなり、損益や手数料がわかりにくい一時払い保険にシフトしたのが見て取れます。

まとめ

今回は「【銀行】金融庁が顧客本位の業務運営を推奨したら外貨建預金、ファンドラップの売上が増えた件」と題して金融庁が発表した「投資信託等の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果について」についてみてきました。

これを読むと銀行はまだまだ顧客本位の営業をしているとは思えませんね。

ファンドラップも外貨建て預金もかなり手数料が高く消費者からして儲けるのがなかなか難しい商品だからです。

対して銀行側からすると手数料が高いので儲かるという・・・

金融庁も「結論として、一昨事務年度同様、成果が窺われる事例とあまり成果が見られない事例が 混在しており、顧客本位の取組みが道半ばにある状況が続いている。」としていますね。。。

ただ、銀行も営利目的ですから儲かる商品を売るのは当然です。

自分たちで金融リテラシーを高めて損をしないようにするしかないでしょうね。

資産運用するならおすすめは商品を勧めてくるわけでもなく、手数料が安い優良な商品をたくさん扱っているネット証券ですよ。

元資料はこちらから御覧ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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