先日、一部メディアで衝撃的な報道がありました。
銀行でiDeCo(個人型確定拠出年金)の開設をしようとしたら「iDeCoを始めるには特定口座の開設が必要」という案内をされて「つみたてNISA」も一緒に開設させられたというのです。
参考:「ゆうちょ銀行と郵便局にNISA口座を勝手に作られた」 40代女性怒りの告白 マネーポストWEB
当然ながらiDeCoと特定口座はまったく別物ですから、イデコを始めるのに特定口座は必要ありません。
また、そもそもつみたてNISAと特定口座もまた別の話です。
つまり、適当なでまかせを言ってつみたてNISAの口座を作らされたという話なんです。
恐らくですが、「つみたてNISA」の開設数にノルマがあり、その達成のために嘘をついたのでしょう。
完全にかんぽ生命の不適切契約と同じ流れですね。
しかも、これらはゆうちょ銀行やかんぽ生命だけの話ではありません・・・
こういうリスクも考えると資産運用、特にイデコやつみたてNISAのような老後資金を考えた長期投資はネット証券やネット銀行一択にしたほうが良い。って話しを今回は見ていきましょう。
※補足:ただし、つみたてNISA口座を作ってもなにも買わなければ費用は掛かりませんし、リスクは0です。また、つみたてNISA自体はとてもよい制度なんですよ
つみたてNISAについて詳しくはこちらを御覧ください。
つみたてNISAは個人型確定拠出年金(iDeCo)と並んで老後資金を作るための制度として金融庁が推奨しています。話題となった老後資金が年金だけでは2000万円足りないという資料でも対策として紹介されていましたね確かにつみたて[…]
対面販売である銀行や証券会社とネット証券の大きな違い
資産運用をする際などに相談がしたいがために対面販売をしている銀行や証券会社を選ぶ方は非常に多いです。
今回iDeCoを始めるためにつみたてNISA口座を作らされた方も恐らく同じでしょう。
相談がしたかったんですね。
また、もしかしたら郵便局という安心感があったのかもしれません。
しかし、それらが逆に仇となりハメられてしまったという状況なのです。
それでは対面販売の銀行や証券会社とネット証券の違いについて見ていきましょう。
相談はできるが・・・ノルマのためのセールスが多い
対面販売の銀行や証券会社とネット証券やネット銀行の大きな違いは人による販売が行われるか否かです。
人による販売ですから相談も可能ですし、知識がない方にとっては大きなメリットになる場合もあるでしょう。
しかし、多くの場合にはそうならないケースが多いのです。
下記記事にも書きましたが、そもそも銀行や証券会社は基本的には営利目的なんです。
つまり、自社(自行)が儲かることが目的なんです。
先日、日経新聞に年金だけでは2000万円足りないという報道があってから証券会社や銀行に行って投資を始める人が増えたとの記事が掲載されていました。ある意味、投資をやる人が増えることは金融庁の思惑どうりと言えばそうなのですが、ちょっと心[…]
また、今回のケースのように銀行や証券会社はノルマも多いですよ・・・
中には販売商品に歩合(成果給)がかなり付いている給料体系のところもあります。
そうなれば顧客のことは二の次でノルマ達成や自分や自社の儲けに走ってしまうことになるのです。
別に顧客に損をさせようとは思ってないでしょうが、自社が儲かる商品や歩合がたくさんついた商品は手数料が高い消費者からすると損な商品が多く不利になっているのです。
つまり、対面販売であるがために逆に適切な商品が買えないという自体に陥ってしまう可能性が高いんですよ。
実は金融庁もこのあたりは問題と捉えています。顧客本位の業務運営を行うことが重要であると考えており、昨年から顧客本位の業務運営を客観的に評価できるようにするための成果指標(KPI)を公表しています。
このデータを比較すると勧められて購入する対面販売と自分で選んで購入するネット販売では大きな差がでているのがわかるのです。
金融庁の発表したデータ
下記は実金融庁が投資信託を販売する主要行等9行、地域銀行20行対して比較可能な共通KPIと考えられる3つの指標の発表データです。
かなりひどい成績なのがわかります。
中には顧客の7割近くがマイナスという銀行まであります。
昨今の株高を考えれば地雷商品ばかりを売っていたとしか言いようがありませんね。
先日、金融庁が投資信託を販売する銀行・証券会社に対して比較可能な共通KPIと考えられる3つの指標を公表することを発表しました。3つの指標は以下の通り。・ 運用損益別顧客比率・ 投資信託預り残高上位20銘柄のコスト・リターン[…]
また、同じ時期のネット証券のデータはこちらでかなり差がついているのがわかるでしょう。
先日ネット証券大手4社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、カブドットコム証券)が統計情報(共通KPI)を発表しました。これが大変興味深いものでしたので詳しく見ていきたいと思います。ちなみに同様の統計情報(共通KPI)は金融庁が銀[…]
もちろん投資初心者が多い銀行利用者とネット証券を単純に比較することはできませんけどね。
それでもプラスの割合がかなり異なりかなり大きな差となっています。
手数料が違う
上記のような対面販売だけの問題ではなく実際に手数料もかなり違います。
例えばiDeCo(個人型確定拠出年金)の運営管理機関手数料です。
大手ネット証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)は軒並み金融機関の取り分(運営管理機関手数料)は無料となっています。
しかし、多くの銀行は毎月数百円かかります。
例えばゆうちょ銀行の場合は月額255円です。
1回あたりは、そこまで大きな金額ではありません。
しかし、老後60歳まで掛けることを考えると「塵も積もれば山となる」のです。
20歳からイデコを始めた場合の手数料の差
20歳の方が60歳までiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入した場合を考えてみましょう。
ゆうちょ銀行に払う運営管理機関手数料だけで無料のネット証券と比較して122,400円の差となるのです。
かなり大きいですよね。
ゆうちょ銀行:122,400円
これはゆうちょ銀行だけの問題ではなく、都市銀行や地方銀行の中にはもっともっと手数料が高いところがあります。
取り扱い商品がぜんぜん違う
また、取扱商品が大きく違います。
特に対面販売の銀行はかなり限られた商品しか取り扱っていません。
対してネット証券はかなり多くの商品を扱っています。
つまり、選択の幅が広いんですね。
しかも、ネット証券は取り扱い商品が多いだけあって優良は商品もたくさんラインナップされています。
例えば投資信託です。
対面販売の銀行はそもそも販売手数料が高い商品や信託報酬が高い投資信託を多く扱っています。
つまり、そもそも地雷ばかりの中から商品を選ばないといけないのです。
対してネット証券はたくさんの商品がありますから情報さえしっかり選別できれば優良な投資信託を購入することができます。
イデコの取扱商品比較
例えばイデコの取り扱い商品でネット証券最大手のSBI証券(セレクトプラン)とゆうちょ銀行(プランA)で比較して見ましょう。
商品数
商品数は以下のとおりです。
ゆうちょ銀行(プランA):31本
イデコの場合、取り扱い商品数に上限が35本と設定されていますので、そんなに多くは違いがありません。
カテゴリー別手数料
商品数は大きな差がありませんが、取扱商品の手数料が大きな違いがあります。
代表的な各カテゴリー最安値の商品の信託報酬率で比較してみましょう。
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX):年0.1512%以内(税込)
ゆうちょ銀行(プランA)
TOPIXインデックスファンド:年0.27216%(税込)
0.12096%もの差があります。
これは運用している金額について毎年掛かっていく費用ですから積立した金額が増えれば増えるほど大きな差となります。
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス :年0.107892%以内(税込)
ゆうちょ銀行(プランA)
DC外国株式インデックスファンドL:年0.2700%(税込)
こちらも0.162108%もの差があります。かなり大きな差ですね・・・
eMAXIS Slim 国内債券インデックス:年0.1296%以内(税込)
ゆうちょ銀行(プランA)
日本債券インデックスファンド(個人型年金向け):年0.2700%(税込)
こちらも0.1404%もの差があります。倍以上ですね・・・
eMAXIS Slim 先進国債券インデックス :年0.1512%以内(税込)
ゆうちょ銀行(プランA)
海外債券インデックスファンド(個人年金向け):年0.30456%(税込)
こちらも0.15336%もの差があります。
代表する4つのカテゴリーで比較してみましたが、どのカテゴリーも倍以上ゆうちょ銀行(プランA)の方が手数料が高くなっています。
これがずっと続くわけですからかなり大きな差となってきます。
これはなにもゆうちょ銀行だけがひどいという話ではありません。むしろゆうちょ銀行は銀行の中ではiDeCo(個人型確定拠出年金)をがんばっている方です。
都市銀行や地方銀行の中にはもっともっと醜いラインナップところもありますね・・・
つみたてNISAの取扱商品比較
つみたてNISAもかなり大きな違いがあります。ネット証券最大手のSBI証券とゆうちょ銀行で比較して見ましょう。
商品数
商品数は以下のとおりです。
ゆうちょ銀行 :8本
話にならないくらい商品数が違いますね。
たくさんあっても選ぶのは数本なので適切な商品があれば問題ありませんが・・・
カテゴリー別手数料
次に取り扱い商品の手数料です。
そもそもつみたてNISAの取り扱い対象は金融庁が選別していますからそれほど大きな差ができないはずなのですが・・・
代表的な各カテゴリー最安値の商品の信託報酬率で比較してみましょう。
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX):年0.1512%以内(税込)
ゆうちょ銀行
つみたて日本株式(TOPIX):年0.1944%(税込)
0.0432%の差があります。
イデコほどは大きくありませんがそれなりに差がありますね。
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス :年0.107892%以内(税込)
ゆうちょ銀行
つみたて先進国株式:年0.216%(税込)
こちらも0.108108%もの差があります。かなり大きな差ですね・・・
面白いのが、上記の両者とも最安値は「三菱UFJ国際投信」の商品なのです。
ですからゆうちょ銀行も扱おうと思えばeMAXIS Slimを扱えると思うのですが、手数料が低く取り分が少ないためあえて扱っていないんでしょうね・・・
ちなみに今の投資信託業界はeMAXIS Slimシリーズが手数料面で圧倒的に強いです。ここさえ扱ってもらえればゆうちょ銀行でつみたてNISAを始めてもぜんぜんOKなんですけどね。
先日、だいぶ前に申し込んでおいたSBI証券のiDeCoのセレクトプランへの変更が終わり、IDが届きました。そこでiDeCoの購入商品を選択していたのですが、その際にあらためて感じたのが「eMAXIS Slimシリーズ(イーマクシスス[…]
利便性の違い
また、利便性にもネット証券と対面販売の銀行には大きな違いがあります。
例えばつみたてNISAです。
SBI証券は積立頻度も「毎日・毎週・毎月」の中から選べたり、スマホで簡単に損益や残高状況が確認できる機能があります。また、自分に合ったポートフォリオや具体的な商品まで提案してくれる機能まであります。
ゆうちょ銀行は毎月でしか選択できません。また、スマホで確認することもできません。
つまり、利便性の面で大きな差があるのがわかると思います。
これはつみたてNISAだけの問題ではなく通常の投資信託を購入する際でも同じです。
まとめ
今回は「銀行でiDeCoを始めようとしたらつみたてNISA口座も作らさせた事件発生。やっぱり資産運用はネット証券一択」と題して資産運用するならネット証券一択でしょって話でした。
特に長期的な投資をするiDeCoやつみたてNISAでは大きな差が生じることになりますからネット証券にしておくのが無難ですね。
変な商品をセールスされることもありませんしね。
ただし、ネット証券の場合には自分で商品を選択する必要があります。
ある程度、お金についての勉強をして金融リテラシーをつけることも大事となってきますね。
先日、金融広報中央委員会よりかなり面白い調査が発表されました。「金融リテラシー調査 2019年」です。これは2019年3月1日(金)~3月20日(水)に全国の18~79歳の個人(日本全体の人口構成とほぼ同一の )25,000[…]
また、銀行の販売商品の最新データがでました。
投資信託は減りましたが、今度は悪名高い外貨建預金、ファンドラップの販売が増えてしまっていますね。
顧客の儲けなんて考えていないのがよく分かるデータです。
この点からも資産運用するならネット証券一択でしょう。
金融庁が金融機関が顧客本位の業務運営をしていないことを問題視。昨年から、客観的に評価できるようにするための成果指標(比較可能な共通KPI)を公表を求めたことで金融機関各社がその結果を発表しました。昨年の発表内容はこの記事を御[…]
つみたてNISAに加入するならこのSBI証券が有力
つみたてNISAは個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)ほど証券会社の差はありません。
選ぶ際のポイントは取扱商品と注文の仕方です。その点を加味するとSBI証券が有力となります。
SBI証券はクレジットカードでの購入等は今の所できませんが、商品ラインナップや注文の仕方などは一番優れていますので楽天カードを使っていない、使わない方には筆頭候補となるでしょう
SBI証券はなにより注文の自由度がかなり高いのがいいですね。
資料請求等はこちらから
SBI証券は商品ラインナップや注文の仕方などが優れています。
また、三井住友カードとの連携で投資信託購入でのポイントが貯まるのも嬉しい。
ネット証券開設するなら持っておきたい口座の筆頭でしょう。
なお、イデコの初心者向け商品ははこちらの記事を参考にしてくださいね。
年金だけでは老後資金が2,000万円足りないという問題が取り上げられてから証券会社や銀行に行って投資を始める人が増えたそうです。しかし、証券会社や銀行にいけば自社が儲かる地雷的な商品を売りつけられるなんてことも・・・[sit[…]
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの5社から選ぼう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。
しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。
簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券、大和証券、楽天証券の5択の中から決めます。
(※私が加入しているのはSBI証券です)
この5つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
SBI証券は運営管理手数料が無条件で0円ですし、なにより運用商品が豊富で選択の幅が広いです。現状最強のラインナップを誇ることになります。
また、他の証券会社に先んじて確定拠出年金の取扱をはじめてますから安心感が強いですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
マネックス証券はeMAXIS Slimを多く取り扱っており、信託報酬がほとんど最安値水準でスキがありません。また、iDeCoでいち早くiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスの取り扱いをはじめたところも大きなポイントになりますね。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
2020年10月18日から取り扱い商品が大幅拡充されました。
人気となっているeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドなども採用され最強ラインナップといっても過言ではない充実ぶりですね。
大和証券
大和証券 iDeCoは大手証券会社でありながら、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)にもかなり力を入れています。
他のネット証券と違い店舗が全国各地にたくさんあります。そこに魅力を感じる方にはおすすめできますね。
また、取扱商品もダイワつみたてインデックスシリーズなど信託報酬が安めの商品を取り揃えています。
運営管理機関手数料が無条件で無料ですし、商品も充実したことで選択肢となりえる金融機関になりましたね。中国株、ロシア株、ブラジル株のファンドへ投資できるなど特徴的な商品があるのが他との差別化要因かな。あとはiFreeシリーズ、とくに米国株さえ入れば十分に他と競争できると思いますので期待したいところです。
楽天証券
楽天証券は楽天・全世界株式インデックス・ファンドや楽天・全米株式インデックス・ファンドといった自社の人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。
この2つのファンドは人気ですね。
楽天証券は楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド、楽天・S&P500インデックス・ファンド、楽天・全世界株式インデックス・ファンド、楽天・全米株式インデックス・ファンドといった楽天ブランドの人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。今後は楽天SPUの対象になったりしたらかなり面白い存在ですね。
総合して考えるとこの5つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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