IT系を中心にフリーミアム(基本無料で提供し、その他で課金するビジネスモデル)が浸透していますが、証券業界もその流れが来ようとしています。
各社が手数料の撤廃を発表しだしているのです。
これらニュースは利用者にとっては喜ばしいことのような感じもありますが、そうでもない部分も・・・・
今回はこの件を考えてみたいと思います。
auカブコム証券のベストプライス宣言
まずはauカブコム証券です。
聞いたこと証券会社だぞ??って思われた方もおおいでしょう。
仕方ないかもしれませんんね。2019年12月1日に爆誕したばかりの証券会社なのです。
元々は三菱UFJフィナンシャルグループのカブドットコム証券
元SMAP稲垣君のテレビCMの記憶がある方も見えるでしょう。
「かぶの事ならかぶどっとむ〜略〜かぶかぶかぶどっとこむしょうけん♪」
って頭に残るフレーズのCMソングも印象深かったです。
ネット証券業界で言えばSBI証券、楽天証券、松井証券に次いで4位の会社です。
今までカブドットコム証券は東証一部に上場しておりましたので株主還元重視の姿勢で運営してきました。
しかし、今回の名称変更も含めて非上場化したことにより、今後は「顧客還元重視」に大きく舵を切っていくとのこと。
つまり、利用者にとっては嬉しい話なのです。
正直、今までのカブドットコム証券はネット証券上位3社のSBI証券や楽天証券、松井証券や5位のマネックス証券などと比較しても値下げ競争にも追随しませんし、なんかピンとこない中途半端な存在であったことはたしかです。
しかし、顧客還元重視にシフトしたことでその辺りが大きく変わってくる可能性が大です。
auカブコム証券爆誕に伴い3つのベストプライス宣言を行いましたのでご紹介しましょう。
「to be continued」とありますので今後さらに拡大していく可能性が高いですね。
他がどれだけ対抗してくるのかにも注目です。
FXの6通貨ペアのスプレッドを業界最低水準に
スプレッドを以下の業界水準まで引き下げました。
ユーロ/円04銭
英ポンド/0.7銭
豪ドル/0.4銭
ユーロ/米ドル0.2pips
英ポンド/米ドル0.7pips
信用取引の手数料を撤廃
これは驚きました。
信用取引の手数料を撤廃し、完全無料としたのです。
信用取引の手数料は証券会社にとってもかなりの主力部分だったと思われるためです。
ちなみに信用と力の手数料を完全無料とするのはネット証券会社で初です。他が追随するのか見ものですね。
なお、無料となるのは2019年12月16日(月)約定分からとなります。
プチ株積立の買付手数料を無料に
単元未満株の取引であるプチ株積立(プレミアム積立プチ株)の買付手数料も無料となります。
プチ株とは毎月、好きな銘柄を指定した日に指定した金額で買い付けていくものです。
SBIネオモバイル証券やOne Tap BUY(ワンタップバイ)の目玉となっている単元未満株の購入ができるサービスと同様の仕組みです。
現状では約定代金は0.5%(税抜)で最低手数料は48円だったのが改定後には無料となります。
なお、無料となるのはこちらも2019年12月16日(月)約定分からとなります。
松井証券の投資信託購入時手数料完全無料化
次は松井証券です。
ネット証券の老舗ですね。
ここも今まであまり価格競争などには積極的ではなかったのですが、本気を出してきました。
2019年12月9日(月)約定分(予定)より、投資信託の購入時手数料を完全無料化するのです。
ちなみに今までもブルベア型を除くロード型投資信託の購入時手数料は「松井証券ポイント」として還元していました。
2019年12月9日(月)約定分以降はブルベア型含む松井証券取扱の全ての投資信託(ETF、ETN、REIT除く)の販売手数料を無料となります。
これはネット証券大手5社で初となります。(5大証券以外だとLINE証券も取り扱い種類がすごく少ないですが一応無料です)
また、松井証券は2021年5月6日からは、25歳以下の方限定ですが、株式取引手数料(現物・信用とも)無料とすることも発表していますね。
詳しくは松井証券の公式ページを御覧ください。
楽天証券が松井証券に対抗
早速、上記の楽天証券が松井証券の投資信託購入時手数料無料に対抗してきました。
2019年12月16日(月)約定分(予定)より、投資信託の購入時手数料を完全無料化となります。
対応が早すぎてびっくりレベルですね。
マネックス証券が2社に対抗
auカブコム証券の信用取引手数料無料と松井証券の投資信託購入時手数料無料にマネックス証券が対抗しています。
信用取引手数料実質0円
ETF、ETN、REIT(インフラ投資法人含む)を対象に信用取引の売買手数料(税込)相当額を全額キャッシュバック
2019年12月9日(月)約定分からとなっています。
株式取引はいまのところ対象とはしていないようですね。
投資信託の購入時申込手数料を実質ノーロード化
ブル・ベアファンドを含む、マネックス証券で購入可能なすべての投資信託の購入時申込手数料(税込)相当額を全額キャッシュバックいたします。
松井証券と違い、完全な無料というわけでなく、全額キャッシュバックという方法を取ります。
2020年1月6日(月)(約定日ベース)となっています。
詳しくはマネックス証券の公式ページを御覧ください。
SBI証券は3年計画で手数料完全無料化をめざすと発表
ネット証券最大手のSBI証券も手数料無料を目指して動き出しています。
2019年10月30日の決算発表で3カ年で現物取引・信用取引の手数料無料化する計画を発表したんですよ。
という段階を踏んで実施される予定となっています。
ただし、今回auカブコム証券が信用取引の手数料無料化を発表しましたので少し流れが変わってくる可能性はありますね。
※日経新聞によるとSBI証券もauカブコムに対抗してきましたね。
同社が取り扱う全ての投資信託の販売手数料を無料にすると発表した。16日から実施する。信用取引の一部と夜間の私設取引システム(PTS)取引の手数料についても16日から全額キャッシュバックし、実質無料とする。来春をメドに完全な無料化を目指す。
出所:日経新聞 12/4
すでに2021/4/20~からは20歳〜25歳の国内株手数料が実質0円とするプログラムを始めています。
詳しくはSBI証券の公式ページを御覧ください。
すでに株式手数料無料のSTREAM
実はあまり知名度はありませんが、すでに株式の現物取引も信用取引も完全無料のSTREAM(ストリーム)という証券会社がすでに日本でも登場しているのです。
また、アメリカではロビンフッドという成功モデルがすでにあり、証券大手のチャールズ・シュワブも10月1日から手数料を無料していますね。
この流れはある意味世界的ですし、今後も続く可能性が大です。
詳しくはストリームの公式ページを御覧ください。
手数料を無料にしてどうやって儲けるのか?
なぜ無料?どこで儲けているの??って疑問に思う方もみえるでしょう。
証券会社も商売ですからね。
どこかに儲ける仕組みあるはずなんです。
STREAMの場合
まずはすでに株式取引完全無料を実現しているSTREAMの場合をみてみましょう、
STREAMはダークプールを利用した取引「SMART取引」を採用しています。
ダークプール取引とは、東京証券取引所のような取引所を通さず、証券会社が提供するサービスで、証券会社内のシステムで投資家の売買注文を付け合わせて取引を行う方法です。
ダークプールでは取引所よりも有利な価格で取引が成立する場合があり、その際に有利となった差額の半分を手数料としているのです。
例えば東京証券取引所で約定した場合には60,000円の取引があったとします。
それがダークプールだと59,976円で約定したとすれば差額が24円でます。
そのうち12円がSTREAMの手数料となるのです。
また、信用取引の場合には金利が掛かりますからそれもSTREAMの収益となります。
お金のとり方が大きく変化していると考えれればよいのかもしれません。
ロビンフッドの場合
STREAMと同じくアメリカで株式の取引手数料無料で提供しているロビンフッドは以下のような方法で利益を上げています。
賛否両論がありそうな話なんですよ。
未使用資産の金利
一つは会員が口座に預けている資金のうち利用されていない部分の金利で儲けています。
え??って思う方も見えるかもしれませんが、銀行も似たようなものですからそこまで変な話ではありません
有料サービスの提供
もう一つが有料サービスの提供です。有料会員になると詳細レポートが読めたり、リアルタイム売買のモニタリングができたりします。
フリーミアムの考え方として当然なやり方でしょう。
HFT業者への顧客取引販売
かなり賛否両論がありそうなのがこれです。
先日、日本でもちょっと問題になったHFT業者の問題。
そういった業者に顧客取引を販売しているというのです。
これは法律上問題があるわけではありません。
しかし、倫理的にどうなんだ??と話題となっています。
HFT業者の問題について詳しくはこちらの記事をご覧ください
SBI証券の場合
SBI証券は今回の発表された3カ年で現物取引・信用取引の手数料無料化する計画で以下のような方針を打ち立てています。
SBI証券ではこの流れネオ証券化と呼び以下のような施策を実施していく方針です。
すでにトップの利用者を誇るイデコで新規顧客獲得、つみたてNISA、NISAで新規顧客の獲得、SBIネオモバイル証券で若年層ユーザー獲得。この辺りは裾野を広げるための方策なのでしょう。
それによりすでに圧倒的な基盤を有するリテールビジネスのポジションニングを更に向上させ、以下の項目で手数料無料が可能となる事業基盤をつくるようです。
金融法人部を通じ、顧客金融機関へのブローカレッジビジネスを拡大
○FXおよび暗号資産取引事業拡大による収益力強化
○手数料無料化に伴う取引高・流動性の飛躍的増加によるPTS取引の更なる拡大
○ダークプール取引によるマッチング向上
○信用取引建玉残高増加に伴う金利収入の増加や機関投資家向けレンディング事業の拡充など収益力の向上
○AIの活用やRPA化の推進等によるコスト削減を推進
難しい言葉が並んでいますが、簡単にいえばビジネスモデルを変えるってことですね。
従来の手数料ありきのものからそれ以外で稼いでいこうぜってことなのです。
ネット証券トップのSBI証券が無料化に踏み切ればネット証券業界2位の楽天証券や3位の松井証券なんかも追随せざる得ないでしょう。
また、野村證券や大和証券なども含めた大きな流れ担ってくる可能性すらあります。
投資信託の場合
投資信託の場合には、購入時の手数料は掛からなくても信託報酬があります。
信託報酬は保有している期間ずっと発生しますから長期保有の場合でも儲けになるのです。
たくさん長く保有してもらえばそれだけ証券会社にも運営会社にもプラスなんですよね。
まとめ
今回は「株式取引の手数料無料時代に突入か?証券各社が手数料撤廃を続々発表中」と題して各社が続々発表している手数料撤廃の話をみてきました。
auカブコム証券や松井証券の手数料撤廃に他社がどういった感じで対抗していのかも見ものですね。
また、3年計画ではありますが、ネット証券トップのSBI証券が手数料無料の方向に舵を切っていますから、今後は証券業界全体を絡めた大きな流れとなっていくことは確実でしょう。
「お金に生きる」では各社の動きを見極めつつご紹介していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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