給料の遅延や取引先からの支払い遅延は倒産の危険信号?

給料の遅延や取引先からの支払い遅延は倒産の危険信号?そんな時、知っておくべき全知識

新型コロナウィルス感染症の影響により経済にかなり大きなダメージが与えられています。

株は反発していますが、企業の業績は予想以上に悪くなっているんです。

多くの消費者の行動が制限されたり営業の自粛が余儀なくされましたから当然ですね。

そうなると怖いのが企業の倒産です。

先日も衣料品大手のレナウンの経営破たんが発表されましたね。

今後もかなり多くの企業が倒産する可能性があります。

ただし、上場していない多くの企業は決算書を開示していませんし、どのくらい厳しいかはわかりにくいものです。

ちなみに本来は株式会社なら貸借対照表を開示する義務あるのですが実行していない会社も多いですし、開示していても粉飾決算が多いですよね・・・

そんなときに、倒産の大きなシグナルとなるのが給料の遅延料金等の支払い遅延です。

多くの場合、倒産するよりも前にこれらシグナルが発動します。

これらはかなりやばい危険信号なんですよ。

実は私も先日、取引先から支払い遅延の連絡をいただいたので今回の記事にしました(笑)

今後この手の話が増えてくると思いますので、ぜひその前に給料遅延や支払い遅延に関する知識をしっかり持っておきたいところですね。

給料遅延や取引先からの支払遅延はどうして起こるのかを考えよう

それではなぜ給料の遅延や支払い遅延が起こるのでしょう。

これは簡単に言えば企業の資金繰りが厳しくなっているためです。

払うお金がなければ払えませんからね・・・

そんな支払い遅延が起こる流れやメカニズムはぜひ知っておきたいところです。

支払い先に優先順位をつけられる

企業の資金繰りが厳しくなると限られた資金の中でどこに支払うのかを検討されます。

私もボロ株企業の経理責任者やってましたのでこのあたりの修羅場は何度も経験しています(笑)

業種にもよりますが、最も優先度が高くなるのが主要取引先(仕入先)ですね。

仕入れられなくなれば商売が終わってしまいますから・・・

次に従業員の給料となります。

会社の考え方によって異なってきますが、一般的な支払優先度は以下のとおりです。

1.重要な取引先(仕入先)

2.従業員の給料

3.そうでもない取引先(仕入先)

4.諸経費(この中でも優先度がつけられる)

5.税金・社会保険

6.銀行借入れ

税金や社会保険がそんなに下なの??って思った方も多いかもしれません。

実は税金や社会保険は交渉すると分割や延納に応じてくれることが多いんですよ。

新型コロナウィルス関連では納税猶予制度の特例も用意されています。

支払いが遅延する状態を想像してみよう

次に上記の支払い優先度を意識して支払いが遅延する状態を想像していきましょう。

例えば以下のような資金繰りの状況だったとします。

・月末に支払わなければならない金額が1億円
・現在の残高が5,000万円
・月末までの入金予定が3,000万円

この場合にまず考えるのが現在の現金残高である5,000万円でどこに支払うのかということです。

前述したように多くの場合には重要な仕入先がまず優先されます。

次に従業員給料ですね。

次に月末までに入金予定分で支払先を検討します。(確実に支払えるのかは取引先次第)

そしてどうしても足りない2,000万円が支払遅延状態となります。

給料が遅延するのはどういう状況?

つまり、給料が遅延するという状況は従業員の給料分が確実に払える5,000万円に入っておらず、さらに月末までに入金される3,000万円でも足りない状況ということです。

一般的に給料はかなり優先度が高い支払いのはずなのにその状態ということはかなり会社の資金繰りがやばいことが容易に想像できますね。

給料が朝一で入っていない場合も危険信号

一般的に給料の支払いは給料振込という方法で行われます。

これは銀行に事前にデータを送って振込をする方法です。

ですから当然、朝一で給料が振り込みされているはずなのです。

入金タイミングは銀行により異なる。)

しかし、朝一で振り込まれていないケースがあります。

これはなぜなのでしょう?

簡単に言えば給料振込で処理されていないためです。

給料振込を利用するためには事前にその支払金額を銀行の口座へ入れておく必要があります。

それができないなら給料振込は実施できないんですよ。

先程の例なら現在の現金残高である5,000万円の中に給料分が入っていれば給料振込みで処理できます。

しかし、月末までの入金予定3,000万円で給料を支払おうとする場合には給料振込での処理ができません。

つまり、通常の振込処理と同様に行うのです。

となれば朝イチには入金されなくなるのです。

給料が今まで朝イチに入っていたのにそうじゃなくなったときはちょっと要注意であるってことですね。

また、通帳の摘要欄でもそのあたりは判別できます。詳しくはこちらの記事を御覧ください。

取引先からの支払いが遅延するのはどういう状況?

次に取引先からの遅延の場合はどうでしょう?

この場合は取引内容によって大きく異なってきます。

メインの仕入先のはずは入金が遅くなるならばかなりそこの会社の資金繰りがやばいことが予想されます。

逆にそこまで重要でない仕入先である場合や諸経費の支払いのようなときは始めから優先度が高くないですから後回しにされているということになります。

資金繰りが厳しいということに変わりはありませんが、緊急度がどこまで高いかはこれだけではわかりにくいところになります。

逆に言えばその取引先からそこまで重要な取引先と思われていないってことがそこからわかりますね・・・・


給料遅延や取引先からの支払遅延の言い訳は信じるな

給料遅延や取引先からの支払遅延の際に本当の理由(資金繰りが厳しいから)を言うケースは少ないです。

資金繰りが厳しいということがバレてしまうと給料遅延なら従業員の離職に繋がりますし、取引先の場合は取引の中止が宣告される可能性がありますからね。

私がボロ株企業の経理責任者やっていたときもいろいろな言い訳してましたね・・・自分たちが処理をミスったことに何度かしていましたのでひどい事務処理能力の経理だな・・・って思われていたと思います(笑)

遅延のよくある言い訳

よくある言い訳は以下のとおりです。

中には本当のこともありえますので一概には言えませんけどね。

・システムの不具合
・銀行の処理ミス
・経理の処理ミス
・取引先の入金ミス

特によく使われやすいのが上の3つですね。

まったくないとは言い切れませんが滅多に起こるものではないんですよ。

ちなみに私が先日、取引先から言われた支払遅延の理由は「システムの不具合」でした(笑)


給料遅延で知っておきたい知識

それでは給料の遅延が起こったときにぜひ知っておきたい知識をご紹介します。

給料の法律

まず、大前提として知っておきたいのが給料に関する法律です。

給料については労働基準法でいくつかルールが決まっています。

通貨払いの原則

通貨払いの原則」で以下のように規定されています。

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(労働基準法24条1項)

ただし、例外があり、労働者の同意を得た場合に労働者が指定する銀行等への振込も許可されているのです。

多くの企業は振込で処理しているのは例外なんですよ。

賃金の一定期日払いの原則

また、「賃金の一定期日払いの原則」では以下のように規定されています。

賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。(労働基準法24条2項)

つまり、決まった日に支給するのは法律で決まった話で、会社都合だけで給料の遅延するということはそれに違反している状況ってことですね。

給料日の午前10時ころまでに払い出しを可能にする

また、法律ではありませんが、「給料日の午前10時ころまでに払い出しを可能にする」というのが労働基準監督署から指導がされています。

ですから朝イチで入金されていないのもこれが守られていない微妙な状況なんですよ。

倒産しても先取特権あり

次に知っておきたいのが倒産したときの給料の扱いです。

前述のように給料遅延が発生するのはかなり資金繰りが厳しい状態です。

ですから倒産ということも考えておく必要が出てきます。

ただし、倒産した場合でも給料や退職金などの労働債権は抵当・税金・社会保険に次いで優先的に確保される「先取特権」があります。

ですから他の支払いよりも優先されるのです。

ただし、倒産する状況というのはそもそもお金がありません。

いくら法律で優先されると言ってもないものは摂れませんからね。

本当に取れるかどうかは微妙はところではありますが・・・

証拠を残しておく

また、そういったときのために証拠を残しておきましょう。

まず重要なのが就業規則や労働契約の書類などです。

特に退職金や賞与などがこれら書類があるかどうかで大きく変わってきます。

ぜひ残しておきましょう。

また、タイムカードなどの証拠も残しておくと残業手当などの請求もしやすくなります。

未払賃金立替払制度

もう一つ知っておきたいのが企業が倒産などにより賃金が支払われていない状況の場合には未払賃金を立て替えてくれる制度があります。

未払賃金立替払制度」です。

上記の通り、労働債権は「先取特権」がありますが、そうはいってもない袖は触れません。

ですからなかなか確保できないケースもあります。

そのようなときはこの制度を利用するのがおすすめです。

これを利用することで未払い賃金の8割が立て替えられます。

未払賃金立替払制度は全国の労働基準監督署及び独立行政法人労働者健康安全機構で制度を実施しています。

まずは下記の条件に合致する方は最寄りの労働基準監督署にご相談ください。

なお、未払賃金立替払制度の利用の条件は以下の通り。

(1)使用者が、
[1]1年以上事業活動を行っていたこと、

[2]倒産したこと
大きく分けて次の2つの場合があります。

イ 法律上の倒産
([1]破産、[2]特別清算、[3]民事再生、[4]会社更生の場合)
この場合は、破産管財人等に倒産の事実等を証明してもらう必要があります。
必要な用紙は労働基準監督署に備え付けてあります。

ロ 事実上の倒産
(中小企業について、事業活動が停止し、再開する見込みがなく、賃金支払能力がない場合)
この場合は、労働基準監督署長の認定が必要ですので、労働基準監督署に認定の申請を行って下さい。

(2)労働者が、倒産について裁判所への申立て等(法律上の倒産の場合)又は労働基準監督署への認定申請(事実上の倒産の場合)が行われた日の6か月前の日から2年の間に退職した者であること

出所:厚生労働省 未払賃金立替払制度の概要と実績 より



取引先からの支払い遅延で知っておきたい知識

次に取引先からの支払い遅延で知っておきたい知識を見ていきましょう。

下請代金支払遅延等防止法

取引先の場合には給料のように優遇されていません。

倒産されてしまうと回収できなくなってしまう可能性がかなり高くなります

ですからその前に対処しておく必要があります。

その際に役立つのが下請代金支払遅延等防止法です。

条件を満たせば下請代金支払遅延等防止法が適用されますので違反があるようならご相談ください。

全国に「下請かけこみ寺」が設置されています。

たくさんのルールがありますが、特に知っておきたいのが以下の点ですね。

・下請代金の支払期日について、給付を受領した日(役務の提供を受けた日)から60日以内で、かつ出来る限り短い期間内に定める義務。
・支払期日までに支払わなかった場合は、給付を受領した日(役務の提供を受けた日)の60日後から、支払を行った日までの日数に、年率14.6%を乗じた金額を「遅延利息」として支払う義務

遅延されたらすぐに請求

また、もう一つのポイントは遅延が発生したらすぐに未入金の請求を行うことです。

つまり、約束の日にお金が入っていなかったら即座に電話するってことです。

これは本当に重要なポイントです。

資金繰りに窮している企業が何を考えるかを想像すればわかるでしょう。

前述したようにどこに支払うのかを考えるのです。

その際に未入金の場合にすぐに連絡来るところは面倒ですから優先度が上がるんですね。

資金繰りが悪くなってきても企業はすぐに倒産するということはありません。

徐々に悪くなっていくのです。

ですから資金繰りが悪くなってきた兆候が見えた未入金の時点でできるだけ優先度を上げておくことが重要なのです。

ちょっとしたことですが、大きな違いとなりますので実行してください。

ヤバそうな取引先とは付き合わない

結局お金が入らなければタダ働きしたことと一緒です。

材料費などが掛かる仕事ならばその分で大きなマイナスです。

ですから遅延を起こすような取引先とは付き合わないのが一番でしょう。

取引先からの支払い遅延は給料と違って資金繰りがそこまで悪化していないケースでも起こりえます。

ただし、前述したようにその取引先は自分のところの優先度を高く考えていないことは確かです。

ですからその点からも何かあれば真っ先に支払いが後回しにされると考えるのがよいでしょう。

そのような取引先と本当に取引して良いのかをしっかり考えてください。


給料遅延・支払い遅延まとめ

今回は「給料の遅延や取引先からの支払い遅延は倒産の危険信号?そんな時、知っておくべき全知識」と題して給料の遅延や取引先からの支払い遅延について見てきました。

まとめると以下のとおりです。

●給料遅延は資金繰りがかなり末期の症状で危険

●取引先の支払い遅延は末期とは限らない

●遅延の言い訳は信じるな

●関連する知識を得て自己防衛しておこう

新型コロナウィルスの関係で想像以上に企業の資金繰りが厳しくなっているという話が聞こえて来ます。

そうなったときに少しでも巻き添えをくらわぬように自己防衛しておきたいところですね。

また、銀行の倒産にも備えて起きたいところです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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