新型コロナウィルス感染症の影響により経済にかなり大きなダメージが与えられています。
多くの行動が制限されたり自粛していますから当然ですね。
これは世界的な話でIMF(国際通貨基金)が発表した世界経済成長率はマイナス3%と世界大恐慌以来の数字となっています。
ちなみにリーマンショック時でもマイナス0.1%だったわけですからどれだけすごいかわかるでしょう。
そうなると怖いのが企業の倒産です。
かなり多くの企業が倒産する可能性があります。
特に直接影響を受けるのが銀行の倒産です。
銀行は貸している企業が倒産すれば当然損失を被りますから景気の影響を受けやすいんですよ。
ただでさえマイナス金利の影響であまり経営状況の良くないところが多かったのに・・・
そこに今回の新型コロナウィルス感染症の影響がどうなるのか怖いですね・・・
そこで今回は銀行などの金融機関が倒産したときに重要となる「ペイオフ制度」について復習しておきましょう。
ペイオフ制度が登場したころは大きな話題となりましたのでみなさん知っていましたが、景気が良い時期では銀行の倒産を意識しないですから忘れている人も多いと思います。
ペイオフ制度とは
ペイオフは直訳すると「払い戻し」などの意味で、ペイオフ制度とは簡単に言えば「銀行が破綻したときにでも1000万円+利息までは戻ってくる制度」です。
逆に言えばそれ以上預けている場合には金融機関が破綻したときに戻ってこない可能性があるということです。
ここしばらく景気がよかったこともあり、金融機関の破綻の話はほとんど聞きませんでした。
そのため、ペイオフの存在を忘れて多くの金額を同じ銀行にあずけている人も見えると思いますがこれは大変怖い話なんですよ。
特にマイナス金利の影響で地方銀行を中心に経営状況が良くないところが多くあります。
ペイオフ対象外の金融機関も
ペイオフの対象となるのは預金保険機構の「預金保険制度」加盟金融機関にあずけていた場合です。
それ以外の金融機関については対象となりません。
日本国内に本店がある銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会、商工組合中央金庫は基本的に「預金保険制度」加盟金融機関です。
対して、金融機関の海外支店、外国銀行の在日支店、政府系金融機関は、預金保険の対象外となりますのでお気をつけください。
つまり、これらに預けているお金はペイオフの対象とならず破綻されてしまうと返って来ない可能性があるってことですね。
以下の金融機関の場合はペイオフの対象ではありませんが他の制度で守られています。
- 農林中央金庫、農業協同組合、漁業協同組合等は「農水産業協同組合貯金保険制度」
- 保険会社は「保険契約者保護機構」
- 証券会社は「投資者保護基金」
ちなみによく質問されますが、ジャパンネット銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行などのネット系銀行も当然対象となっています。
ペイオフは1金融機関毎に合算
たまにやっている人がいますが支店を分けても意味はありません。
ペイオフの計算は1金融期間毎に名寄、合算して行われるのです。
例えばA銀行のX支店、Y支店、Z支店にそれぞれ1,000万円ずつ預けていてもペイオフの対象となり保護されるのは1,000万円+利息分だけです。
しかし、A銀行、B銀行、C銀行にそれぞれ1000万円ならそれぞれペイオフの対象となり合計3,000万円+利息が保護されます。
この辺りは知っているか知っていないかで大きな差が出てきますね。
なお、預金者1人あたりの上限が1,000万円+利息です。ですから家族で分けるのは意味があります。(贈与税等にはご注意ください)
預金の種類に注意
金融機関が破綻した際に、預金の種類によって保護の範囲は異なってきます。
この辺りも予め知っておきましょう。
一般の預金等
利息のつく普通預金・定期預金・定期積金・元本補てん契約のある金銭信託・金融債(保護預り専用商品に限る)などの一般預金はペイオフの対象となりますので1000万円+利息(破綻日までの利息)が保護されます。
なお、それを超える部分については破綻した金融機関の財産状況に応じて支払われます。
ただし、通常破綻した企業の財産状況はかなり厳しいですからほとんど返ってこないと思ったほうが良いでしょう。
私も前職で何度か取引先の倒産を経験していますが、子供のお小遣い程度しか返ってきた経験がないですね。
つまり、経営状況がヤバそうな銀行に1000万円+利息以上預けるのはかなりリスキーなんですよ。
ちなみに下記のとおり住信SBIネット銀行の「ハイブリッド預金口座」など証券会社と連携した預金もペイオフ対象です。
SBI ハイブリッド預金は元本保証があり預金保険制度の対象です。
出所:住信SBIネット銀行「SBI ハイブリッド預金は預金保険制度の対象ですか?」より
決済用預金
あまり知られていませんが、全額保護される預金もあります。
対象となるのは以下の三つの要件を満たしている決済用預金です。
- 決済サービスを提供できる
- 預金者が払い戻しをいつでも請求できる
- 利息がつかない
当座預金や利息のつかない普通預金(決済用普通預金や無利息型普通預金)などがそれにあたります。
ペイオフ対象外の預金
逆にペイオフの対象とならず保護の対象外の預金もあります。
破綻した金融機関の財産状況に応じて支払われるだけになります。
外貨預金、譲渡性預金、金融債(募集債及び保護預り契約が終了したもの)などです。
特に外貨預金などは利用している方も多いと思いますが、ペイオフ対象外であることは知っておきたいところですね。
金融機関の破綻にどう備えるべきか、ペイオフ対策を考える
それでは金融機関の破綻にどう備えるべきなのでしょう?
考えられるペイオフ対策を考えて見ましょう。
決済用預金を利用する
まずは全額保護される決済用預金に変更してしまう方法が考えられます。
ネット銀行などではそれなりの金利がつくケースもありますが、それ以外では低金利の現在では雀の涙ほどしかつきません。
それならその金利を捨ててしまって決済用預金にしてしまうのも手です。
当座預金は事業等をやっていない場合は開設をするのは難しいと思います。
しかし、決済用普通預金や無利息型普通預金は事業をやっていない個人でも多くの金融機関で開設が可能です。
気になる方はご利用の金融機関にお問い合わせください。
金融機関を分ける
もう一つがペイオフの上限である1000万円+利息(破綻日までの利息)までしか一つの金融機関を利用しないという方法です。
多くの預金を持っている方はかなり面倒にはなりますが、リスクヘッジとしては有効ですね。
利用する金融機関を見極める
また、金融機関ごとにかなり状況が異なります。
ですから業績や財務状況が悪くない金融機関を選択するようにすれば当然ながら破綻のリスクは回避しやすいです。
特に破綻可能性を考える上では貸借対照表とキャッシュフロー計算書を確認するのがおすすめです。
また、たとえ破綻しかけても政府が影響が大きすぎることから援助してくれそうなメガバンクやゆうちょ銀行などを利用するのも手かもしれませんね。
金融商品にしておく
また、預金ではなく金融商品にしておくのも手でしょう。
株や投資信託抵抗がある方は国債など安全性が高い金融商品もありますからね。
小泉進次郎さんの奥様滝川クリステルさんが大量の国債を購入していたことも一時期話題となっていましたね。
まとめ
今回は「銀行など金融機関が破綻する可能性がある今だからこそ知っておきたいペイオフ制度」と題してペイオフについてみてきました。
せっかく貯めた預金が金融機関が破綻したことで返ってこないとなったら悲惨です。
ぜひペイオフのルールをしっかり熟知して金融機関の破綻が来ても大丈夫な状況にしておきたいところですね。
ちなみにiDeCoを利用している先が倒産した場合には以下のような扱いとなります。合わせて理解しておきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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