あれ??住民税が昨年より増えている・・・原因はこれだ(2021年版)

そろそろ住民税決定通知書が配布される時期です。

すでに住民税決定通知書をみて疑問を感じた方も見えるかもしれません。

実は2021年に支払う住民税がルールが変わった影響で少し上がっている方がいるんですよ。

今回は住民税が昨年より増えている原因について見ていきます。

2021年(令和3年)支払いの住民税から控除が変わっている

実は2021年(令和3年)支払いの住民税から控除が一部変わっているんですよ。

ちょっとややこしいですが、住民税の控除自体は2020年から変わっています。

しかし、住民税の支払い(徴収)は時期が少しずれているんです。

具体的には前年の所得に対してかかる住民税を12等分したものを6月〜翌年5月に天引きする仕組みとなっています。(特別徴収の場合)

自営業者など普通徴収の方も2020年分の住民税は6月以降に納付書が来て支払う形です。

つまり、2020年の住民税の控除変更の影響を受けるのは2021年6月〜というわけです。

ちなみに所得税は控除変更の影響はすでにでています。詳しくはこちらの記事を御覧ください。

それではどのように住民税計算時の控除が変更になっているのか詳しく見ていきましょう。

給与所得控除の変更

まずは給与所得控除が変更になっています。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。

給与等の収入金額変更前の給与所得控除(〜2019年分)変更後の給与所得控除(2020年〜)
162.5万円以下65万円55万円
162.5万円超180万円以下収入金額×40%収入金額×40%-10万円
180万円超360万円以下収入金額×30%+18万円収入金額×30%+8万円
360万円超660万円以下収入金額×20%+54万円収入金額×20%+44万円
660万円超850万円以下収入金額×10%+120万円収入金額×10%+110万円
850万円超1,000万円以下収入金額×10%+120万円195万(上限)
1,000万円超220万円195万(上限)

出典:国税庁

基本的に控除額が10万円引き下げられているのがわかると思います。

また、控除額の上限が220万円だったのが195万円となりました。

特に850万超の給与等の収入金額がある人の住民税に大きな影響がある変更ですね。

公的年金等控除の変更

公的年金についても同じく控除額が10万円引き下げられています。

また、公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円超2,000万円以下である場合の控除額は更に10万円、2,000万円を超える場合の控除額は更に20万円引下げとなっています。

さらに控除上限額が設定されています。

こちらも所得が多い人に負担が大きくなる形ですね。

変更後の公的年金等控除は以下のとおりです。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。

65歳未満

公的年金等の収入金額公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額
1,000万円以下1,000万円超2,000万円以下2,000万円超
130万円以下60万円50万円40万円
130万円超410万円以下収入金額×25%+27.5万円収入金額×25%+17.5万円収入金額×25%+7.5万円
410万円超770万円以下収入金額×15%+68.5万円収入金額×15%+58.5万円収入金額×15%+48.5万円
770万円超1,000万円以下収入金額×5%+145.5万円収入金額×5%+135.5万円収入金額×5%+125.5万円
1,000万円超195.5万円(上限)185.5万円(上限)175.5万円(上限)

65歳以上

公的年金等の収入金額公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額
1,000万円以下1,000万円超2,000万円以下2,000万円超
330万円以下110万円100万円90万円
330万円超410万円以下収入金額×25%+27.5万円収入金額×25%+17.5万円収入金額×25%+7.5万円
410万円超770万円以下収入金額×15%+68.5万円収入金額×15%+58.5万円収入金額×15%+48.5万円
770万円超1,000万円以下収入金額×5%+145.5万円収入金額×5%+135.5万円収入金額×5%+125.5万円
1,000万円超195.5万円(上限)185.5万円(上限)175.5万円(上限)

基礎控除の変更

給与所得控除や公的年金控除は10万円引き下げられていますが、逆に控除があがったものがあります。

それが基礎控除です。

基礎控除は以下のように変更となっています。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。

合計所得金額変更前の基礎控除額(〜2019年分)変更後の基礎控除額(2020年分〜)
2,400万円以下33万円43万円
2,400万円超2,450万円以下33万円29万円
2,450万円超2,500万円以下33万円15万円
2,500万円超33万円適用無し

合計所得金額が2,400万円以下の場合は基礎控除が10万円増えます。

給与所得控除や公的年金控除は10万円引き下げられていましたから、合わせれば控除額は同じなんですよ。

ただし、2,400万円超の方から段階的に基礎控除は減らされ2,500万円超では基礎控除はなくなります。

つまり、こちらもある程度所得のある方は住民税が増える形ですね。

所得金額調整控除の新設

前述のようにある程度の所得のある方は所得税や住民税は控除が減る形となりますから増税となります。

しかし、一定の条件を満たした方は増税とならなうように「所得金額調整控除」なるものが新設されています。

簡単に言えば子供や障害者を扶養している方の負担は減らそうってことですね。

 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除

その年の給与等の収入金額が 850 万円を超える居住者で、次に掲げる者の総所得金額を計算する場合には、給与等の収入金額から 850 万円を控除した金額の 10%に相当する金額が、給与所得の金額から控除されることとなります。

イ 本人が特別障害者に該当する者
ロ 年齢 23 歳未満の扶養親族を有する者
ハ 特別障害者である同一生計配偶者を有する者
ニ 特別障害者である扶養親族を有する者

(給与等の収入金額(1,000万円を限度)-850万円)×10%

が控除されるってことですね。

給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除

その年の給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等に係る雑所得の金額がある居住者で、給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等に係る雑所得の金額の合計額が 10 万円を超える者の総所得金額を計算する場合には、給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等に係る雑所得の金額の合計額から 10 万円を控除した残額が、給与所得の金額から控除されることとなります。

給与所得(10万円を限度)+年金所得(10万円を限度)-10万円

が控除されるってことですね。

ひとり親控除の新設

また、ひとり親の控除が変わりました。

もともと女性用の「寡婦控除」、男性用の「寡夫控除」という制度がありました。

それぞれ条件やルールが違ったのですが、男女平等という考えが広がったこともあり、ひとり親控除として統一することになったのです。

具体的には以下のとおりです。

婚姻歴や性別にかかわらず、条件を満たす該単身者について「ひとり親控除」(控除額30万円)が適用されます。※所得税は35万円控除

詳しくはこちらの記事を御覧ください。


まとめ

今回は「あれ??住民税が昨年より増えている・・・原因はこれだ(2021年版)」と題して2021年支払分の住民税の控除が変わっているという話をみてきました。

特に所得が多い方には大きな影響がある変更ですからあらかじめ知っておきたいところですね。

住民税のお得な支払い方は下記記事を御覧ください。

なお、住民税は個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)で節税が可能です。

また、住民税が増えればふるさと納税ができる枠が増えることになります。
こういったお得な制度を使って増税を乗り越えて行きたいところですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

「シェア」、「いいね」、「フォロー」してくれるとうれしいです

あれ?? 住民税が 昨年より 増えている・・・
最新情報をチェックしよう!