年金だけで生活できる世帯は全国にどれくらいあるのか?

老後に2000万円足りないというレポートが金融庁から出されて話題になりましたね。

それにより老後生活に不安を持っている方も多いでしょう。

金融庁からでたレポートは政府が参議院選挙が間近に迫っていたこともあり、なかったことにしてしまいましたが・・。

しかし、実際にもらえる年金額生活水準によっては生活費が年金だけでは足りない方も多くみえると思われます。

それでは年金だけで実際生活できる世帯は全国にどれくらいあるのかご存知ですか?

かなり少ないんですよ。

今回は老後に生活費必要なお金を年金だけまかなえる世帯が全国にどれくらいあるのかをみてみましょう。

平均的な高齢者世帯が老後に必要なお金

それではまず、平均的な高齢者世帯が老後にいくら必要なのかをみてみましょう。

前述の金融庁が発表した資料「高齢化社会における資産形成・管理報告書(案」を元にみていきましょう。

資料によると平均的な高齢夫婦の家計は以下のようになっています。

高齢夫婦の家計
高齢夫婦無職世帯の家計

出所:金融庁の金融審議会「高齢化社会における資産形成・管理報告書(案」より

収入は多くが年金で社会保険給付で191,880円。もらえる厚生年金や国民年金のことですね。

その他収入を合わせて209,198円となっています

支出は下記を合計して263,718円となっています。

食費64,444円
住居13,656円
水道光熱費19,267円
家具・家事用品9,405円
被服及び履物6,497円
保険・医療15,512円
交通・通信27,576円
教育15円
教養・娯楽25,077円
その他の消費支出54,028円
非消費支出28,240円

収入の209,198円と支出の263,718円を差し引きすると54,529円となり、毎月5万5千円程度の赤字となっているのです。

つまり、逆に言えば支出の263,718円以上年金をもらっていれば年金だけで生活が可能というわけです。
それではどのくらいの方が支出の263,718円以上の年金をもらっているのでしょう?

実際もらえている年金の金額

厚生年金のもらえる金額は納めた期間、報酬によって変わってきます。

それでは具体的にいくらもらえているのでしょう?

令和元年度末現在はそれぞれいくらの厚生年金がもらえているのかのデータは以下のとおりです。

厚生年金受給金額階層別

出典:厚生労働省 厚生年金保険・国民年金事業の概況より

平均は月額144,268円です。

最も多いのが月額9万円〜10万円の方ですね。

112万人みえます。

夫婦とも厚生年金の受給対象で平均ならば男性の平均年金額164,770円と女性の平均年金額103,159円で合計267,929円となり、老後生活に必要な支出の263,718円を超えますね。

ただし、そういうケースはあまり多くはないようです。

例:専業主婦の奥さんと二人

例えば専業主婦の奥さんと二人暮らしのパターンで考えてみましょう。

奥さんが専業主婦の場合は第三号被保険者ですから国民年金の金額しかもらえません。

国民年金の平均受給金額は月額55,496円(令和元年度末現在)です。

つまり、夫婦ふたりの年金だけで生活するためには必要な生活費である263,718円から55,496円をひいた208,222円以上旦那さんの厚生年金が必要であるってこと。

実際にそれを達成できているのは上記の表に当てはめると184万人ということになります。(21万円〜で算出)

全体の年金受給者のうち11%程度は標準的な生活ならば年金だけで生活できるってことになりますね。

共働きなら奥さんの厚生年金分が上乗せされますので実際はもう少し多いかと思われます。

現役時代高所得だった方は支出も多い傾向

なお、今回算定に使ったのは金融庁の試算した老後に必要な支出金額です。

しかし、現役時代高所得だった方はラチェット効果もありますのでもう少し多くなってしまうんですよ。

ラチェット効果とは経済学用語の一つで、別名「歯止め効果」といいます。

景気の後退期などに所得が減っても、消費性向が上昇することで、個人消費および景気全体が一方向に傾くことに歯止めが掛かる。

という意味の言葉です。

ちなみにラチェットとは一方向にしか回らない歯車(歯止め)のことですね。

ちょっとわかりにくいですが、家計に置き換えれば一度生活水準を上げてしまうと歯止めがあるためなかなかもとには戻らないということを指します。

よく野球選手などが引退後に生活水準が維持できずに破産するなんて話を聞きますがそれもこのラチェット効果の影響が大きいんですよ。

そのため、年金が多い現役時代高所得だった方も生活水準を上げて支出が多くなっているので、年金だけで悠々自適な生活というのはなかなか厳しいと思われます。


足りない分は自分で補う必要

つまり、多くの方は年金だけではどうしても生活がままならないというのが現状なのです。

ですからそれまでにお金をためておくとか準備が必要なんですよ。

資産寿命100歳では少ないかも

ちなみに前述の金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ(第23回)で発表された「高齢化社会における資産形成・管理報告書(案)」は簡単に言えば人生100年時代で資産寿命をどう伸ばすのか?をテーマにまとめられた資料です。

しかし、今後寿命が急激に伸びていくという話もあります。

投資が必須の時代か

それでは老後生活を少しでもお金の心配をせず暮らすためにはどうすればよいのでしょう?

これは投資が最も有力な方法でしょう。

資産形成及び老後資金ついてはFIRE(ファイア)「Financial Independence, Retire Early」の考え方が参考になるかもしれません。

FIREとは経済的に独立した早期リタイアのことで投資などでお金や労働に縛られず自分のやりたいことを生きていくというライフスタイルを指します。

この目安が無理ないレベルでの対策となりそうです。

まず、FIREを始めるときの資産の目安が「年間支出の25倍」というものです。

例えば年間200万円で生活できる人だとすると25倍ですから5,000万円の資産を用意しておきたいよってことですね。

また、「4%ルール」というものもあります。

生活費が投資元本の4%以内なら資産を減らさず生活できるという考え方です。

例えば5,000万円が元本なら4%で200万円です。

年間200万円以内で生活すれば元本を減らしませんから生活が可能ということです。

極端なことを言えば投資のリターン(配当を含む)だけで生活するようにして元本を減らさなければ何年寿命が増えても生活は可能です。

iDeCoとつみたてNISAは最低限やっておきたい

そうはいってもいきなりFIRE的な生活ができる資産まで増やすことは難しいです。

まずはiDeCo(個人型確定拠出年金)とつみたてNISAは最低限やっておきたいところ。

前述した金融庁の金融審議会の出した老後生活2000万円足りない問題の資料でもこの2つを推奨していましたね。

ちなみにわたしもこの2つが老後資金の形成には非常に有効だと考えて両方とも満額拠出していますね。

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)とは

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)は簡単に言えば自分の老後生活のために老後資金を自分で作るための制度です。

具体的にはこんな感じの流れになっています。

60歳までの間に自分で決めた金額を積み立てをする

その積み立てたお金で投資信託や定期預金、保険などの商品を選択して運用

60歳以降にその運用した資産を受け取ることができる。

国民年金や厚生年金と合わせた年金制度の上乗せ部分を自分で運用できる制度として考えると良いでしょう。

最大のメリットは掛けた金額が全額所得控除の対象となり、掛ければ掛けるだけ所得税と住民税の節税効果があるところです。(種別により掛けられる上限があり)

自分の老後資金を貯めているのですが、節税までできるんですよ。

また、運用で利益がでてもその部分について非課税となります。

受け取るときに税金が掛かりますが、退職所得控除は公的年金控除が使えますので受け取るときも優遇されているのです。

つまり、税金面でかなり優遇された制度ってことですね。

個人型確定拠出年金(iDeCo)について詳しくは下記の記事を御覧ください。

この記事をみれば「iDeCo(個人型確定拠出年金)制度」から「つみたてNISAとの違い」、「おすすめ金融機関」、「おすすめ商品」、「いくら積み立てればよいのか」などを網羅的に確認することができますよ。

つみたてNISAとは

つみたてNISAは簡単に言えば少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。

金融庁が選別した投資信託を年間40万円まで最大20年間非課税で運用できるのです。

通常、投資信託や株を売買して利益がでれば税金が20.315%(所得税15.315%+住民税5% 所得税に復興特別税を含む)発生します。

例えば10万円儲けても20,315円税金で持っていかれる計算となります。

それがNISAやつみたてNISA内での売買の場合で利益がでても税金が掛からないのです。

これはかなり大きいですよね。

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に似た部分もありますが、大きく違うのは途中で解約が可能という点でしょう。

また、もう一つ大きな特徴として投資できる対象となる商品を金融庁が選別してくれている点があります。

金融機関等は顧客の利益よりも自社の利益を優先する傾向があり、地雷と呼ばれる悪徳商品を売りつける事案が多数発生していました。

それを防ぐ意味もあり、金融庁が厳しい条件の元に長期、積立、分散投資に適した商品を選んでくれているのです。

かなり初心者にもやさしい投資制度なんですね。

つみたてNISAについて詳しくは下記の記事を御覧ください。

この記事を見れば「つみたてNISAとはなにか「おすすめの金融機関」「おすすめのアセットアロケーション」「おすすめ商品」「イデコとの違い」「NISAとの違い」などつみたてNISAについて網羅的に確認することができますよ。

節約して元本を形成しよう

iDeCo(個人型確定拠出年金)とつみたてNISAは上限が決まっています。

iDeCoは月額上限がその人の属性によって異なりますが、月額12,000〜68,000円。

つみたてNISAは年間40万円が上限となります。

税制面で優遇されていることもあり、それほど大きくないんですよ。

ですからこれだけをやっても老後生活に必要な資産形成には足りないかもしれません。

そのため、他の投資も必要となってきます。

すでにある程度の投資資金を持っている方はそのお金で投資をすればよいのでしょうが、そうでない方は節約して投資のための元本を貯めていく必要はあるでしょう。

多くの人が無駄な出費をしています。

例えば月に10,000円のスマホ料金を支払っている人が3000円くらいのプランに変更すればそれだけで年間84,000円浮きます。

仮に50年それがつづけば4,200,000円違ってきます。

まずはそういった無駄な部分を節約して元本を形成していきましょう。

まとめ

今回は「年金だけで生活できる世帯は全国にどれくらいあるのか?」と題して年金の受給額を見てきました。

老後生活を年金だけで生活できる世帯は全国でみてもそれほど多くないことがわかっていただけたと思います。

年金の財政は今後の少子高齢化を考えればさらに厳しくなることが考えられます。

そうは言ってもそれは自分たちではどうしようもないところです。

ですから今のうちに投資や節約などできることやっておきたいところですね。

まだ投資等をやったことない方はまずはじめの一歩を踏み出してみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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