新型コロナウイルスの感染拡大を受けた支援策として公明党案が衆議院選挙で公約にしてた内容を丸呑みして18歳以下に一律10万円の給付金を支給する案でまとまりそうとのこと。
政府・与党は4日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた支援策として、18歳以下の子どもや若者に現金10万円を一律支給する方針を固めた。所得制限は設けない。
出典:読売新聞 【独自】18歳以下に10万円支給へ…政府・与党、所得制限設けず より
しかし、個人的にはこれはかなり愚策で効果も見込めませんし、結局あとから税金として徴収されることが目に見えておりやめてほしいな・・・っと考えています。
今回は18歳以下に一律10万円の給付金を辞めたほうがよい理由を解説していきます。
追記:18歳以下に一律10万円の現金給付を現金5万円、クーポン5万円に変更という話、所得制限を設ける話、住民税非課税世帯にも10万円を支給するという話が出ていますね。
住民税非課税世帯を対象にするのも愚策なんですよね・・・
特別定額給付金は失敗だった
まず、今回の給付金を考える前提として昨年実施された全国民に10万円ずつ給付した特別定額給付金があります。
特別定額給付金の効果はどうだったのかを考える必要があるのです。
特別定額給付金の目的はなんだったのか?
まずは、そもそもの特別定額給付金の目的を見ておきましょう。
「新型インフルエンザ等対策特別措置法の緊急事態宣言の下、生活の維持に必要な場合を除き、外出を自粛し、人と人との接触を最大限削減する必要がある。医療現場をはじめとして全国各地のあらゆる現場で取り組んでおられる方々への敬意と感謝の気持ちを持ち、人々が連帯して一致団結し、見えざる敵との闘いという国難を克服しなければならない」と示され、このため、感染拡大防止に留意しつつ、簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計への支援を行う。
出典:総務省「特別定額給付金」より
かなりわかりにくい目的ですね。
もともと特別定額給付金は新型コロナで厳しい環境に陥った人を支援する制度として設計されました。
当初は住民税非課税世帯を対象に1世帯あたり30万円を支給するという制度設計。
しかし、これはかなり酷い愚策なんですよ。(当初案の制度設計に関わったのが現総理の岸田さんだから今回も不安あり)
私も下記のような反対記事も書いています。
そのため、理屈つけがあまりうまくいかなかったようです。
他の国と違い日本にはそもそも経済的な厳しい環境に陥った人を支援する制度は失業保険や生活保護、生活福祉資金制度、学生支援緊急給付金などたくさん他にありますしね。
つまり、「特別定額給付金」はそもそもの目的自体が曖昧だったんですよ。
無理やり理由をつければ新型コロナではほとんどの方がなにかしらの経済被害を受けるからその緊急支援ということですが・・・
これで消費が動けばよいという経済対策的な意味が大きかったとは思います。
最近日本維新が公約に掲げて話題になっているベーシックインカムの実験的な意味としては良かったのかもしれませんけどね。
特別定額給付金の多くは貯金(預金)に回ってしまった
それでは実施された特別定額給付金は効果あったのでしょうか?
効果も疑問符しかありません。
特別定額給付金の多くはそのまま使われていないというデータがあるんですよ。
具体的には日銀が定期的に発表している資金循環統計(速報)によると、資金余剰が過去最大になったという・・・
家計に手元資金がたまっている。日銀が18日発表した資金循環統計(速報)によると、家計の貯蓄の余裕を示す「資金余剰」の金額は18.3兆円と過去最大だった。新型コロナウイルスの感染拡大による消費活動の低迷や政府の給付金が影響した。
出典:日経新聞 2020年9月18日
また、三菱総合研究所のアンケート結果でも58.1%の方が貯蓄に回したと回答、第一生命経済研究所の調査では「日常生活に必要なものに使う」が53.7%とほとんど経済が回せてないという結果に。
つまり、せっかく給付したのにあまり使われていないということになってしまったのです。
税金をただお金を掛けて配ってほとんど意味のないという。。。
これなら減税をしてくれた方がよほど意味があったでしょう・・・・
目的も曖昧で使われない給付金だった
つまり、特別定額給付金はそもそもなんのために実施するのかの目的も曖昧でしたし、実際の給付した後の消費行動も促せてはいないのです。
特別定額給付金は失敗だったといってもよいでしょう。
もちろん中には特別定額給付金で助かった人もいるとは思いますが全体としては多くなかったのです。
18歳以下に一律10万円の給付金はどうなのか?
それでは今回政府が検討している「18歳以下に一律10万円の給付金」はどうなのでしょうか?
これも微妙としか言いようがないレベルの愚策なんですよ。
18歳以下を対象にする根拠が不明確
まずそもそもお金を配る目的や根拠が明確ではないんですよ。
公明党が衆議院選挙対策で耳障りのよい政策を考えただけとしか思えないのです。
ちなみに公明党では今回の給付を「未来応援給付」という名前を付けて以下のような理由付けをしています。
新型コロナウイルスの影響が長期化する中、食費や通信費などが増加している。特に大きな影響を受けている子育て世帯には、経済的支援が必要だ。未来を担う全ての子どもたちを社会全体で応援していく強いメッセージを出す観点から所得制限は付けず、一律給付が望ましい。実際に就学しているかは問わない。
出典:公明党 公約より
根拠として公明党では「食費や通信費などが増加している。特に大きな影響を受けている子育て世帯には、経済的支援が必要」を挙げています。
しかし、子育て世帯が特に多く影響を受けているという数字的根拠はなにも示されていません。
調べて見ましたがそのようなデータはありませんでした。
公明党も示してはいないようです。
また、その根拠となっている新型コロナの影響が長期化する中で食費や通信費の増加はデータとしてでているのでしょうか?
こちらも調べてみましたが特にそのような傾向は見受けられませんでしたね・・・
それよりも深刻な問題はいくらでもあるはずです。
つまり、公明党の主張がそもそも選挙目的としか思えない無理矢理感が満載な理由付けなんですよ。
子育て世帯の方が平均所得が高いという現実
出典:2019年 国民生活基礎調査 より
また今回対象となる子育て世帯の方がそれ以外の家庭よりも平均所得が高いという現状は知っておく必要があります。
上記は2019年(最新版)の国民生活基礎調査です。
(※今回の対象である子育て世帯と児童のいる世帯は完全にイコールではないので注意が必要)
2019年の調査なので新型コロナの影響を受ける前の話ですが、児童のいる世帯の総所得平均は745.9万円
全世帯でみると552.3万円となっています。
つまり、児童のいる世帯の総所得平均は全世帯の平均よりも200万円近く高いのです。
働き盛りの世帯が多いというのもあるでしょうけどね。
ちなみに母子世帯は総所得306万円とかなり厳しくなっています。
こちらを対象にするって話ならわからないでもないですが、他もいろいろな支援策があります。
預金にまわってしまう予感しかしない愚策
つまり、子育て世帯が特に多く影響を受けているという根拠は示されていませんし、実は児童のいる世帯の総所得平均の方がかなり高いという状況なんですよ。
現在の話のまま進んでしまえば失敗に終わってしまったと言われる特別定額給付と同じように預金にまわってしまうだけの予感しかしません。
当然お金をばらまけばそれはいつか国民に返ってきてしまいます。
ちなみに東北大震災に掛かったお金は復興特別所得税として徴収。
具体的には2013年から2037年まで24年間所得税に2.1%の復興特別所得税が掛けられています。
金額は所得税の金額に比例しますので人それぞれですが、24年間分ですからかなりの金額です。
これと同様に今回掛かったお金も後に新型コロナウィルス特別所得税で回収されると思われます。
つまり、あまり効果のない給付をすればするほど税金が後に高くなってしまうのです。
おそらく多くの方はもらったお金以上に税金を支払うことになるでしょう。
時間価値を考えてもかなり微妙・・・
ですから目的や根拠がいまいち明確でなく、効果も見込めるのか怪しい「18歳以下に一律10万円の給付金」には反対なのです。
まとめ
今回は「18歳以下に一律10万円の給付金は愚策である理由。効果の見込めない税金ばら撒きはやめろ」と題して18歳以下に一律10万円の給付金について考えてみました。
給付金をやるなら効果は見込みにくいですが全国民に配るのか、本当に困っている方に配るか2択だとおもうのですけどね。
今回のような根拠のない線引は分断を生むだけの愚策でしかありません・・・本当に実行するなら子育て世帯が困っているという根拠をしっかり示してほしいものです。
実施後の効果も検証してほしいところ。
国民もこのような小手先の耳障りが良いだけの政策に騙されないようにすることが必要でしょうね。
もう一つの給付金のマイナポイントについてはこちらの記事をご覧ください。
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