日本ではここ数年インフレターゲットとしてインフレ率2%の目標を掲げてきました。
それでもなかなか物価は上っていませんでした。
しかし、昨今の世界的な金融緩和の影響もあり、日本でも物価の上昇を感じられるようになってきましたね。
実質値上げ(容量を減らす)なども含めればインフレ率2%をすでに超えているというデータでもでていました。
インフレは今後の生活を考える上でかなり重要な話なんですよ。
自分が持っている資産の価値が大きく変わってしまう部分もあるのです。
今回はインフレに強い資産と弱い資産からインフレ時代の資産形成を考えてみましょう。
インフレとはなにか
まずは今回の話の前提となる「インフレ」ってなにかについてみていきましょう。
インフレとはインフレーション(inflation)の略です。
モノやサービスの価格が持続的に上昇する状態のことを表します。
日本語では通貨膨張と訳します。
この直訳が1番わかりやすいかもしれませんね。
元々の語源はマネーサプライの上昇、つまり出回る通貨の量が増加していることを意味します。
お金が出回る量が増え通貨膨張状態になるってことです。
つまり、簡単に言えば「モノの価値があがり、現金の価値が下がっていく」ってことです。
今まで100円で買えていたものが102円になれば2%分インフレしているってことですね。
ジンバブエの例
最近のインフレでインパクトが強かった例がジンバブエです。
大量の札束で買い物するシーンをみたことある人も多いと思います。
ジンバブエは政策で白人農家が国外に追い出されたことを発端にして極度のモノ不足に陥ります。
それにより2億3000万%の超ハイパーインフレとなりました。
今まで1ジンバブエドルで買えていた物が2億3000万ジンバブエドルもっていかないと買えないってことです。
もし収入がいままでと同じならばなにも買えなくなってしまいますね。
また、今までもっていた預金や現金の価値にも大きな影響があります。
例えば預金と現金で100万ジンバブエドルもっていたとしても、このインフレ状態ですと買えるものがほぼなくなってしまいます。
つまり、ほぼ無価値の預金・現金ということになってしまうのです。
インフレターゲットとは
インフレターゲットとはインフレ率に対して政府などが一定の目標を定めて、それになるように金融政策を行うことをいいます。
現在日本では年2%のインフレ率がインフレターゲットとなっています。
つまり、この政策が上手く行けば年に2%ずつ物価があがるということです。
100円あれば買えていたものが102円、102円あれは買えていたものが104.04円とだんだんあがっていくってことです。
実際に日本ではいろいろなモノの価格があがっているのを実感されているのではないでしょうか?
デフレとは
インフレの対義語にデフレ(デフレーション)というものがあります。
日本は長らくこのデフレ状態で景気が悪かったのです。
デフレとはそのままインフレの逆のことでモノやサービスの価格が持続的に下落する状態のことを表します。
インフレの逆で「現金の価値が上がり、モノの価値が下がっていく」ことになります。
長らくその状態でしたので感覚は変わらず日本人の大半が資産を現金預金で保有してしまっているとも言われていますね。
スタグフレーションとは
インフレを知る上でもう一つ覚えておきたいのが「スタグフレーション」です。
スタグフレーションとは景気が後退していく中で起こるインフレのことです。
景気後退しているのにインフレすれば賃金は上がらず物の値段が上がりますから人々の生活が厳しくなってしまうのです。
今のインフレは「スタグフレーション」の懸念もでているんですよ。
ちなみに過去のスタグフレーションで有名なのは1970年代のオイルショック後ですね。
インフレに強い資産
前述のように日本では長らくデフレ状態でした。
そのため、資産形成もデフレ時代のものが主流となっています。
インフレ時代の資産形成はデフレのころと大きく考えを改める必要があるんですよ。
まずはインフレに強い資産からみていきましょう。
物価が上がればそれに合わせてそれ以上にあがってくれる資産です。
インフレに強いものとして代表的なものは以下です。
株式、投資信託
株式は全般的にインフレに強いと言われます。
中でも特にインフレに強いと言われるのが内需関連の企業の株です
例えば電力、不動産、保険などです。
世界的に展開している企業も一つの国の影響は少なくて済むことや、インフレになると円安になる傾向が強いことを考えるとおすすめですね。
また、日本に済んでいるからと言って日本株にこだわる必要はありません。
投資信託なども利用して世界に分散投資をするのが個人的にはおすすめ。
つみたてNISAやiDeCoなどの仕組みも基本的に投資信託を買いますのでインフレには強い傾向となります。
ただし、「スタグフレーション」となれば株的には悪い状況となりそうです。
アメリカなど他国も急激なインフレ傾向が顕著ですしね。
不動産
もう一つインフレ対策に有効だと言われている代表的な資産が不動産です。
不動産とは土地とか家とかマンションとかですね。
特に土地の価格はインフレ時に上がりやすいと言われているんですよ。
ただし、現状の日本は人口減が始まっており、不動産の需要は落ちていく傾向にあると予想されます。
つまり、インフレ対策としては有効だけど、日本では将来性が期待できない資産であるのです。
もちろん駅チカの土地など需要が落ちにくいものは今後も値上がりするでしょうが、そうでもない場所は・・・・
人口が増えている国の不動産はインフレ対策としてかなり有効だとは思いますけどね。
不動産投資はちょっと敷居が高いって方はREITなんかもおすすめです。
金
金はちょっと変わった商品です。
これは金そのものに一定の価値があるものであるため、インフレにもデフレにも強い性質があります。
分散投資の1つの選択肢としてはありでしょうね。
物価連動債
物価連動債は物価上昇率(インフレ率)に応じて、元本が調整される債券です。
中でも人気があるのが「物価連動国債」です。
リスクをあまり取らずにインフレ対策をすることができるのです。
金利が上っている最中は債券は買いにくい傾向にありますけどね。
コモディティ(商品)
次はコモディティです。
商品先物取引という言葉は聞いたこと有ると思います。
それです。
例えば原油やとうもろこしなど商品を買うのです。
インフレになればそれらの価値は相対的にあがりますのでインフレ対策としては有効です。
ただし、コモディティは値動きがかなり荒いので初心者にはあまりおすすめしません。
国民年金・厚生年金
日本の年金制度である、国民年金・厚生年金はある程度インフレ対応される仕組みとなっています。
ただし、日本の年金制度は少子高齢化が急激に進んでいる制度上、構造上の問題がありますのでインフレ対応の部分以上に目減りしてしまう可能性もありますのでそこまで期待したい方が良いかもしれませんね。
インフレに弱い資産
次にインフレに弱い資産についてみていきましょう。
日本ではデフレ時代が長かったことでこのような資産を保有している方が多くなっていますね。
現金
インフレに最も弱いと言われるのが現金です。
物価が高くなっても現金が増えるわけではありませんからね。
例えばこのまま年2%の物価を上昇がしばらく続いたとしたら今現在100万円の現金はどうなると思いますか?
現在の100万円は10年後82万円の価値、30年後には55万円の価値しかなくなっています。
つまり、100万あれば今まで買えたものが、55万円分しか買えなくなるってことです。
ワイドショーなどで「投資はしないほうが良い、節約して貯めろ」という自称経済評論家もいますが、これもリスクが大きいですよ。
株などはリスクがあってイヤだって言われる方も多いですが、インフレ時代に現金で持っておくことにもかなりのリスクがあるのです。
預金・貯金
預金や貯金も基本的にはインフレに弱い資産です。
物価上昇と同等以上の利率が得られなければ実質的に目減りしていくことと同じなんですよ。
特に気をつけたいのが期間の長い定期預金です。
インフレになれば預金の利率も基本的には上昇します。(アメリカが利上げを繰り返すのも急激なインフレを防ぎたい事が大きい)
しかし、期間の長い契約となっている定期預金は利率がその期間そのままに据え置かれます。
つまり、インフレに対応できないってことなのです。
前述の現金と同じで実質的価値は目減りしていきます。
保険
保険も基本的にインフレに弱いです。
特に確定給付型なんて顕著です。
確定給付型とは契約した時点等にもらえる金額が確定している商品です。
学資保険や年金保険の多くはこの仕組ですね。
もし、インフレになってもそれは変わらないため実質価値が目減りした状態で将来もらえることになります。
例えば60歳から月10万円ずつもらえるように年金保険を積み立ててきたとしましょう。
先程の例で2%の物価を上昇がしばらく続いたとしたら30年後の価値は55%です。
もらえるのはたしかに月10万円ですが、現在の価値で言えば55,000円もらえると同じ状況となってしまうんですよ。
金額だけ見れば増えているかもしれませんが、実際買えるものは減っているという・・・
つまり、インフレに弱い資産というわけです。
国民年金基金や付加年金
確定給付型の保険と似た仕組みの国民年金基金や付加年金もインフレ対応できません。
予めもらえる金額が固定となっています。
インフレになることを予想してこれから新しく加入を考えるならば確定給付型の年金保険や国民年金基金は辞めておいた方が無難でしょうね。
将来の老後対策ならインフレ対応しやすい前述のiDeCoをおすすめします。
付加年金はインフレ対応がない部分を考えてもお得だと思いますけどね。
まとめ
今回は「インフレに強い資産と弱い資産。金融商品や年金などインフレ時代の資産形成を考えてみた」と題してインフレ時代に資産形成について考えてみました。
今後はインフレ懸念も持ちながらご自身の資産ポートフォリオを見直して行く必要があるでしょうね。
日本人の多くは資産の大半が現金・預金・保険というデータもあります。
しかし、それはインフレ対応できない現金や預金、保険にだけ投資している状況とある意味同じなんですよ。
ぜひインフレも考えて資産を見直しましょう。
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