オリックス・JTが株主優待制度廃止発表。なぜ、株主優待は廃止、改悪、条件変更が続くのか

最近、株主優待の廃止の話が続々出ています。

特にオリックスやJTは株主優待で人気のあった銘柄ですので衝撃を受けてらっしゃる方も多いようです。

今回は株主優待の廃止について見ていきましょう。

なお、こちらの記事の動画版はこちらからご覧いただけます。

株主優待廃止、改悪状況

まずは直近では発表された株主優待の廃止や改悪状況を見ていきましょう。

オリックスの株主優待制度の廃止

まずはオリックスです。

今までオリックスグループ各社で利用できる「株主カード」とカタログギフト方式の「ふるさと優待」が株主優待として提供されていました。

特に株主カードは端株保有の人にも提供していたので負担は大きかったんでしょうね。

それが廃止されます。

具体的には以下の通り。

2024年3月31日時点の当社株主名簿に記載のある株主さまへのお届けをもちまして「株主カード」による株主優待を廃止させていただきます。

2024年3月31日時点の当社株主名簿に記載のある株主さまへのお届けをもちまして「ふる さと優待」による株主優待を廃止させていただきます

出典:オリックス株式会社 株主優待制度の廃止に関するお知らせ より

「株主カード」も「ふるさと優待」も廃止されます。

ただし、すぐに廃止されるわけではありません。

2024年3月31日時点の保有の方はまでは提供されるんですね。

株主優待目的で所有している方も多かったでしょうから、株価に影響を与えないように期間をとっているのだと思われます。

JTの株主優待廃止

次はJT(日本たばこ産業)です。

こちらも保有株式数に応じてカタログギフト方式の「優待商品」が提供されていました。

それが廃止されます。

具体的には以下の通り。

2022 年 12 月 31 日現在の当社株主名簿に記載又は記録された 100 株(1 単元)以上 を 1 年以上継続保有する株主様を対象に、2023年の株主優待商品の発送をもって、株主優待制度を廃止させていただきます

出典:日本たばこ産業 株主優待制度の廃止に関するお知らせ  より

こちらは2023年の株主優待商品の発送までとなります。

条件付与や改悪も多い

他にも直近発表されただけでも東京特殊電線、GーFATCORY、カワタ、テクノクオーツ、サコス、イフジ産業、マルハニチロなど株主優待を廃止を発表する企業が後を立ちません。

また、株主優待を廃止まではしていませが、GMOグループのように継続保有が条件となったり、吉野家のように優待の内容を改悪している会社も多いですね。

それだけ株主優待を取り巻く環境は厳しくなっているとも言えます。



なぜ株主優待が廃止、条件付与、改悪されているのか?

それではなぜ株主優待が廃止や条件付与や改悪されているのでしょう。

これは様々な理由が考えられます。

東証一部と東証プライムの条件の違い

まず東証が市場改革としたことが挙げられます。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください

東証一部東証プライム
株主数2,200人以上800人以上

今までの東証一部は株主数が2,200人以上いる必要がありました。

しかし、東証プライムでは緩和され800人以上で大丈夫になったのです。

ですからこの点では無理に個人投資家を集める必要性が少なくなったのです。

こちらも株主優待を改悪する一つの要因になっているでしょう。

海外投資家、機関投資家を意識している

もう一つが海外投資家を意識しているという部分です。

JTが株主優待を廃止する理由として以下の点を挙げています。

公平な利益還元のあり方という観点から慎重 に検討を重ねました結果、配当等による利益還元に集約することとし、株主優待制度を廃止することといたしました。

出典:日本たばこ産業 株主優待制度の廃止に関するお知らせ  より

公平な利益還元のあり方なんですよ。

どういうことか・・・

実は株主優待は日本国内に限られ、海外には発送していないそうです、

つまり、同じ株主でありながら、国内の投資家と海外の投資家では扱いが異なっていたのです。。。

そうなればなかなか海外の投資家を集めにくくなります。

それを配当一本にすることで世界的に投資家を集めやすくするというのもあるのでしょう。

もともとアメリカなどでは株主優待なんて制度もありませんしね。

私も中国株を保有していたときに同じように海外投資家だからと優待(みたいなもの)を受けられなくって悔しい思いをしたことありましたね笑

また、国内の機関投資家などには株主優待は送られますが、利用することはできませんので換金していたり、寄付していたりするそうです。

これも効率悪い話ですよね。。。

配当ならば再投資なりにすぐに使えますが・・・

ちなみに日本の年金を運用しているGPIFは以下のような取り扱いとしているそう。

株主優待は資産管理機関が管理し、割引券等は換金のうえ、運用収益の一部となります(2020年度の実績は約2.0億円)。また、食品・家庭用品等は日本赤十字社や東京都社会福祉協議会及び神奈川県共同募金会等を通じて福祉施設などに寄付され、社会に役立てられています。
出典:GPIF ツイッター
割引券は換金。食品などは寄付ということです。

株主優待目当ての個人株主が増え過ぎた

また、もう一つ理由が考えられます。

配当目当ての個人の株主が増えすぎたことです。

月曜から夜ふかしで有名な株主優待で生活のほとんどを賄う桐谷さんの登場もあり、株主優待目当ての個人株主が増えたと言われます。

桐谷さんのように長期保有してくれればなんら問題はありませんが、つなぎ売りを利用した株主優待の取得だけを目的とした短期売買の方も多いんですよ。

株主優待を提供している会社は長期保有の株主を増やしたいという目的のところが多いのに、その目的を果たせないのです。

つまり、まったく自社に貢献してくれない人たちに株主優待だけを送るという状況

継続保有が条件になるところが増えているのもそれが原因ですね。

話は違いますが、楽天証券がポイントを改悪したのも一部ユーザーのモラルがないことが大きな原因のようです。

三木谷社長も以下のように語っています。

三木谷社長は、「(楽天証券のポイント還元は)少し寛容すぎるところがあった。お客様の中には我々の利益に貢献してくださらない方もいる。そこで顧客ごとに分析を始めた。ポイントのコストが多くかかっており、そこを変える。簡単に言うと通年で70〜80億円の話になる」と説明

出典:Yahoo!ニュース  三木谷社長が語る 楽天ポイント「改悪」の背景

つまり、ポイントだけ取ろうとするお客がかなり多かったということなのでしょう。

株主優待も企業からしたら同じことで改悪されても仕方ない状況であったと言えるかもしれません。
一部ユーザーがやりすぎたという部分も大きそうです。
証券会社からしたら優待取りされても手数料で儲かるのもあるんでしょうが、証券会社が優待取りを勧めていたりしてるのもどうかと思います



まとめ

今回は「オリックス・JTが株主優待制度廃止発表。なぜ、株主優待は廃止、改悪、条件変更が続くのか」と題して株主優待の件についてみてきました。

株主優待については今後も同様な話が続きそうですね。

配当も含めて目先のお得ではなく、企業の本質的なところをみて投資を検討するのをおすすめします。

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