実質利上げで住宅ローンが上がる?変動から固定に切り替えたほうがよいのか?等を解説

日銀が金融政策決定会合で大規模緩和を修正する方針を発表して大きな話題となっています。

為替や株価もその影響で大きく動きましたよね。

そこで注目されるのが住宅ローン。

ツイッターなどでもその話題が大きくでていました。

今回は実質利上げで住宅ローンはどうなるのかを解説していきたいと思います。

日銀の発表した実質利上げの内容

まずは今回の話の前提となる日銀の発表した実質利上げの内容をからみてみましょう。

長期金利の変動幅の拡大

今回発表された実質利上げと言われている内容は以下のとおり。

長期金利の変動許容幅を「上下0.25%程度」だったのを「上下0.5%程度」に拡大

したというものです。

黒田総裁は利上げではないといっていますが、長期金利は上限近く(0.25%)で推移していましたので実質の利上げですね・・・

国債を無限買い入れして抑えていた

今回の話はちょっとわかりにくいのですが、長期金利は日銀の裁量で決まらず市場の売り買いできまるということを知っておくと理解しやすいかもしれません。

ですから日銀は長期金利をコントロールするために指定の0.25%を上回りそうになると国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」を実施していました。

現在、世界的な利上げラッシュで多くの国の国債の金利があがっています。

例えば昨年の10月の国債の金利は0.049%でした。

それが2022年10月では0.248%と0.199%も上がっています。

前述したように0.25%が上限で無限に買い入れしてましたのそのギリギリまで行っていたのです。

それが今回の上限引き上げで今後は0.5%まで上昇を認めることになりますので国債の利回りにも影響を与えることになります。




実質利上げで住宅ローンはどうなる?

それでは今回の実質利上げで住宅ローンはどうなるのでしょう?

結論から言えば今回直接影響を受けるのはこれからの借りる方の固定金利です。

すでに固定金利で借りている方や変動金利の方は今回の措置で影響を受けるわけじゃないんですよ。

変動金利と固定金利では決まり方がぜんぜん違う事によるためです。

ですから判断が難しくなってきたのですが・・・

固定金利の決まり方

まず固定金利は「新発の10年国債の利回り」が基準となっています。

つまりこれから発売する国債の金利ですね。

前述したように国債の利回りは今まで0.25%以内になるように国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」で抑えていました。

しかし、今回それを0.5%まで緩和したのですでに新発10年物国債の流通利回りが上限の0.5%に迫る0.46%まで一時上がっています。

そうなれば固定金利の利回りも上がってしまう可能性が高いと思われます。

単純に考えれば10年固定金利は0.2〜0.25%程度は上がるでしょうね・・・

フラット35の場合

ちなみに住宅ローンの固定金利でメジャーなものとして政府系金融機関の独立行政法人住宅金融支援機構が300以上の金融機関と提携して扱うフラット35があります。

フラット35の金利は住宅金融支援機構がフラット35利用者のローン債券を証券化した「機構債(RMBS・住宅ローン債券担保証券)」の金利、住宅金融支援機構とフラット35を販売する金融機関の利益分の金利を上乗せて決定されています。

機構債の金利は前述の新発10年もの国債利回りと機構債(RMBS)のローンチスプレッドで決定されます。

こちらも「新発の10年国債の利回り」の影響があるんですね。

ですからフラット35も当然今回の実質利上げの影響を受けることになるでしょう。

ただし、フラット35の場合は政府系金融機関が元締めですから政策的にそこまであげないという選択もありそうですが・・・

ちなみにフラット35の金利も2022年に入ってからかなり上がっているんですよ。

フラット35金利推移

出典:独立行政法人住宅金融支援機構【フラット35】借入金利の推移

ちょっとわかりにくい資料ですが、同じフラット35でも金融機関により金利は異なるので上の紺色の点は金利の最高値、下のピンクの点は金利最低値を示しています。

最高値も最低値も上がっているのがわかりますね。

最高値は令和3年8月の時点では2.05%だったのが、令和4年12月では3%となっています。

1年ちょっとで0.95%も上がっているのです。

最低値は令和3年8月の時点では1.28%だったのが、令和4年12月の時点では1.65%ですので伸びは0.37%程度に抑えられています。

これが今回の実質利上げでどうなるか・・・




変動金利の決まり方

一方、変動金利は「短期プライムレート」で決定されます。(一部ネット銀行では短期プライムレート非連動で自社算定だったり、JAなど長期プライムレートに連動する金融機関もあり)

ちなみに短期とは1年以内、プライムは「最優遇」を示します。

つまり、金融機関が1年以内の短期貸付をする際の最優遇金利ってことですね。

なお、この「短期プライムレート」は日銀の政策金利に連動する形となっています。

こちらは今回変更なしとしました。

つまり、変動金利の方は今回の実質利上げの影響は直接受けることはありません

変動金利がどうなるのかは今後の日銀の政策でどうなるかが決まるということです。

今回の実質利上げは大規模金融緩和政策の変更をスタートしたと考えることもできますので、変動金利も近く上がるのでは?という話が出ているのです。

このあたりは専門家でも意見が分かれるところですけどね。

すぐに住宅ローン返済が増えるわけではないが

なお、変動金利には5年ルール、125%ルールというものがあります。

ですから金利が変わったからといって急激に住宅ローン返済が増えるわけではありません。

しかし、これって怖い仕組みなんですよね・・・

変動金利で借りているなら知っておく必要がある制度ですね。

詳しくはこちらの記事を御覧ください。




金利が上がったら固定金利に変更は???

ちなみにハウスメーカーは契約時の返済金額が少なく見えることから変動金利を勧めるケースが多いです。

しかし、金利の変動を心配する方によく言われるセールストークが

はじめは変動金利で
金利が上がってきたら
固定金利に乗り換えればいいじゃない
というもの。
これを言う営業マンにあたったら、そこのハウスメーカーはやめたほうが良いかもしれません。
エレベーターが落ちたら
墜落する前にジャンプすれば良い
っていう話と同じレベルです。
知識がないか、売ることしか考えていません
一般的に変動金利が上る前に固定金利が上がり始めます
今もその状況ですね。。。
ですから変動が上がった状況っていうタイミングなら、すでに固定金利はあがっているケースがほとんどなのですよ。
金利が上がってからでは遅いってことです。
今後、変動金利があがると予想するならいまから固定金利に乗り換えるというのはありな作戦ではありますが、手数料がかかりますのでそのあたりも勘案して検討しましょう。
なお、金利の動向を予想をするのは専門家でも困難です。
それを断定的に言う人は個人的には信じないほうがよいかもしれません。
ですからそういうタイプのハウスメーカー(営業マン)はお断りしましたね。

金利によっては繰り上げ返済も

ちなみにもう一つある営業トーク
はじめは変動金利で
金利が上がってきたら
繰り上げ返済しちゃえば良いじゃない
これはありです。
イメージとしては変動金利はリスクを個人が取る。金融機関のリスクは低いのでその分安い。
固定金利はリスクを金融期間が取る。個人のリスクは低い。その分高いという感じなんですよ。
ですから変動金利で借りるならそのリスクが爆発しても対処できるように、資金を確保するなど準備はしておく必要はあると思いますね。
今後は返せるギリギリまで変動金利で借りてしまうというのはかなり危険な行為になってきそうです。




まとめ

今回は「実質利上げで住宅ローンが上がる?変動から固定に切り替えたほうがよいのか?等を解説」と題して住宅ローンの金利について見てきました。

住宅ローンの金利の変動がよいのか、固定がよいのかは意見がわかれるところです。

どちらを選ぶかで最終的な支払い金額がいくらになるのかも大きく違いますしね。

まずはどういう仕組みなのかをしっかり理解した上でご自身で判断できるようにしましょう。

ちなみに住宅ローンも値引き交渉できますよ。少しでも有利に借りたい方はこちらの記事を御覧ください。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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