金融広報中央委員会の知るぽるとが2007年から毎年実施している「家計の金融行動に関する世論調査」の2022年(令和4年)バージョンが発表されています。
特に目立ったものとしては最近増え続けていた日本人の金融資産保有額の平均額が272万減少していることですね。
今回はそんな「家計の金融行動に関する世論調査」の2022年(令和4年)バージョンの中から金融資産に関する内容を詳しく見ていきましょう。
金融資産の状況
それでは「家計の金融行動に関する世論調査」の2022年(令和4年)バージョンを元に日本人の金融資産保有額をみていきましょう。
新型コロナウィルス渦ではありましたが2021年には過去最高を更新していたのですが、ちょっと様相が変わってきました。
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
2022年の金融資産の保有額(平均)は272万円減少
まずは平均額から見てみましょう。
2022年の金融資産の保有額(中央値)は50万円減少
次に中央値を見てみましょう。
なお、平均値、中央値の違いってなんだけ?って方はこちらの記事を御覧ください。
金融資産の減少理由
それでは金融資産の減少理由はどんなものなでしょうか?
アンケートによると以下のようになっています。
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
最も多いのは「定期的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから」です。
つまり、相場の下落というよりもお金を工面するために取り崩したという理由が大きかったようです。
ちなみに2022年は日経平均が前年から2697円21銭マイナス(9.36%減)となったり、アメリカのNYダウ平均も前年から3,191マイナス(8.8%減)と厳しい環境でしたのでそれを理由としている方も前年と比べて多くなっていますね。
金融資産の内訳(平均)
なお、金融資産の内訳は以下のとおりです。
- 預貯金:562万円
- 金銭信託:15万円
- 生命保険:154万円
- 損害保険:19万円
- 個人年金保険:78万円
- 債券:46万円
- 株式:261万円
- 投資信託:111万円
- 財形貯蓄:29万円
- その他:16万円
合計:1,291万円
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
株や投資信託も以前と比べて増えていますが、まだまだ日本人の金融資産の大半は預貯金ですね。
今回は全体的に減っていますね。前年より増えたカテゴリーは財形貯蓄だけです。
特に減少が目立つのは生命保険、損害保険です。
これは最近ずっと続いている傾向となっています。
ちなみに2021年のデータはこちらの記事を御覧ください。
年齢でも大きな差
また、世帯主の年齢別でも大きな差が出ていますね。
平均値(万円) | 中央値(万円) | |
20歳代 | 214 | 44 |
30歳代 | 526 | 200 |
40歳代 | 825 | 250 |
50歳代 | 1,253 | 350 |
60歳代 | 1,819 | 700 |
70歳代 | 1,905 | 800 |
出典:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査]を元にお金に生きるで作成
かなり世帯主の年齢で差がでていますね。
完全に年齢がいけばいくほど金融資産が増えている計算です。
金融資産は蓄積ですから当然といえば当然ですが・・・
就業先産業で大きな差
かなり顕著な結果がでているのが世帯主の就業先の産業別のデータです。
平均値(万円) | 中央値(万円) | |
農林漁鉱業 | 870 | 120 |
建設業 | 828 | 250 |
製造業 | 1,230 | 400 |
運輸業、郵便業 | 684 | 125 |
卸売業、小売業 | 1,121 | 300 |
宿泊業、飲食サービス業 | 599 | 100 |
医療、福祉 | 623 | 200 |
公務、教育、電気水道業 | 1,574 | 649 |
その他サービス業 | 1,256 | 339 |
出典:金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]を元にお金に生きるで作成
かなり産業別で差が開いていますね。
ここ数年ずっと同じ傾向ですが、「公務、教育、電気水道業」の方の平均値、中央値が高く、宿泊業、飲食サービス業の方が低くなっています。
公務員強しですね。
宿泊業、飲食サービス業の方が少ないのはコロナの影響も大きかったのかもしれません。
金融資産を保有していない割合は23.1%
金融資産の保有の有無は以下の通り
- 保有している:76.9%
- 保有していない:23.1%
予想以上に多くの方が金融資産を保有していません。
あくまでアンケートではありますが・・・
なお、20歳代では35.7%の方が保有していないという結果となっています。
つみたてNISA、iDeCoなどの保有額
NISAなどの税制優遇のある制度を利用している方の平均保有金額も出ていますのでご紹介しましょう。(保有している人だけの集計)
- 一般NISA 226円
- ジュニアNISA 125万円
- つみたてNISA 64万円
- iDeCo(個人型確定拠出年金) 178万円
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」2022年
ちなみに2021年のデータはこちらです。
- 一般NISA 242万円
- ジュニアNISA 81万円
- つみたてNISA 74万円
- iDeCo(個人型確定拠出年金) 369万円
出典:金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」2021年
ジュニアNISA以外は大きく落ちています。
これは平均の金額なので新規に始めた方が多く平均を押し下げたのかもしれませんね。
まとめ
今回は「2022年日本人の金融資産保有額の平均額は272万減。株式相場の下落がダイレクトに反映」と題して2022年金融資産保有額を見てきました。
株などがあがっていたこともあり、2022年の金融資産保有額は2021年からかなり落ちています。
ただし、平均値と中央値の差も大きくなっていたり、産業で大きな差があったりと2極化がより加速している感も大きいです。
まずは自分の金融資産と比較してみてくださいね。
今後は岸田さんが掲げる資産所得倍増プランでどこまで増えるか注目ですね。
なお、元の統計資料はこちらからご覧いただけます。
>>金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
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