最近、X(元twitter)で大きな話題となっているのが医療や介護の保険料の算定に、株式配当などの金融所得を反映する仕組みの徹底に向けた議論を始めたというニュースです。
中にはかなり使いやすくなった新しいNISAは政府がたくさん社会保険を取るための罠だったのでは?とまで言い出す人がいる状況です。
これ実は7〜8年以上前から議論はされていてマイナンバーの目的はそれなのでは?と噂されてた話ですが、再び盛り上がってきた感じですね。
今回はこの件を詳しく見ていきましょう。
金融所得も社会保険料の計算に含める案の概要
まずは今回のソースを確認してみましょう
自民党は、所得に応じて徴収される医療や介護の保険料の算定に、株式配当などの金融所得を反映する仕組みの徹底に向けた議論を始めた。25日、プロジェクトチームの初会合を開いた。現在は確定申告をした人のみ保険料に反映され、不公平との指摘があった。見直しによって未申告だった人の保険料が増える可能性がある。算定の事務を担う自治体の負担が増えるなど課題も多く、2028年度までに可否の検討を進める。 高齢化によって膨らむ医療や介護の費用を賄うため、金融所得を踏まえて保険料負担を増やし、社会保障制度の持続性を高める狙い。政府が23年末に決定した社会保障の改革工程表にも検討方針が明記された。
出典:共同通信 金融所得で保険料増を検討 医療介護、不公平見直し
ちょっとわかりにくい部分もありますので整理して解説していきましょう。
現在の社会保険の算定方法
まず、現在の仕組みからみておきましょう。
サラリーマン:4月〜6月の給料等
現在は給料をもらっている会社員の方などはその給料ベースで社会保険(厚生年金、健康保険、介護保険)の金額が決まってきます。
具体的には3か月間(4~6月)の報酬総額を届け出して、その平均の報酬月額をだしてそれを元に決まる仕組みです。
出所:日本年金機構「定時決定」
報酬総額には給料はもちろん、残業代、休日出勤手当て、家族手当や住居手当などの各種手当て食事代等の現物給与などが含んだものとなります。
詳しくはこちらの記事をください。
自営業者等
自営業者などの国民健康保険は確定申告などに基づいて年間の所得などから市役所が算定する形となっています。
こちらも今回問題となる配当金や金融所得は特定口座源泉徴収ありなどで確定申告時に申告がなければ含まれていませんね。
導入の目的は不公平の解消?
今回、このような案が生まれているのは高齢者がたくさんお金をもっていることや制度ハックした人がかなり多くいることだと思われます。
具体的にはたくさんの金融資産をもち、配当をもらっていても社会保険が少ないケースです。
例えば1億円の金融資産を3%配当がでる株で保有していれば毎年300万円の配当金がもらえます。
所得税等で2割は持っていかれますが、手取りは240万円くらいです。
しかし、この方、FIREや引退済で働いていなければ社会保険はほとんどかかりません。
さらに住民税が非課税となれば様々な給付やメリットが受けられるのです。
毎年のようにある低所得者への給付の線引はほとんどが住民税非課税世帯なんですよ。
しかし、これは特定口座などで配当金を大量にもらっていても該当してしまう可能性がある制度上の問題が・・・
給料で300万円もらっている方と比べるとかなり不公平ですよね。
実際、多くの金融資産をもっているのは高齢者です。
その高齢者は働いていいない方が多く税金や社会保険をそれほど取れません。
そこでこのような案が生まれてきたのでしょう。
なお、年収400万円未満の世帯に限っても、4世帯に1世帯が2000万円以上の⾦融資産を保有している。
ちなみにある程度の所得がある方でもマイクロ法人を作って給料(役員報酬)は最低限にすることでこれと似た状況を作ることが可能だったりします。
このやり方をする人が増えているのも地味に影響してそうですね。
ちなみに新NISAの投資上限は一人1,800万円なので全部配当株でもしれているんですよ。。。
ですから新NISAをターゲットとした施策とは考えにくいです。
おそらく知っている方だけが得をしていた「配当金の住民税申告不要制度」のように制度上の不備をなくして、公平にするのが目的だと思われます。
最近はXやYouTubeで制度の穴があるとハック情報がすぐに流れて使う人が増えてしまうんですよ。
金融資産等を考慮に入れた負担を求める仕組み
それでは今回出ている案を詳しく見ていきましょう。
率など詳細はでていませんが、現在の状況について以下のようなイメージ図が財務省からでています。
つまり、この状況を変えようとしているってことですね。
出典:財務省 こども・高齢化 2024年4月16日
今まで特定口座等で処理をしたら反映されなかった「上場株式の配当」や「預貯金の利子」なども保険料算定に加えてはどうだ?という話かと思われます。
ただし、仕組みとしてはかなり市町村や税務署などの事務負担が多くなると思われ、マイナンバーを中心にデジタル化を早急に進めないと厳しそうな予感しかありません。
なお、今回の話は今の時点では国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険の話となっているようです。
会社員の方の厚生年金や健康保険に反映するには現在のような4月〜6月の給料等で会社が計算する仕組みでは反映は難しいでしょうから、大きく制度を変える必要もありそうです。
ですからなかなかそこまでは踏み込まない気がしますが・・・
NISAは対象外にすべきと明記
なお、勘違いしている方も多いですが、今回の資料にはNISAについては対象外とすべきという文言も入っているんですよ。
NISAなどの非課税所得(NISA口座で管理される金融資産は1,800万円(簿価残高)まで非課税)は、保険料においても賦課対象としないことを前提とする必要がある
出典:財務省 こども・高齢化 2024年4月16日
ですからNISAの拡充はこれが目的なのか??というのはかなり的はずれな指摘ということになります。
あくまでプロジェクトチームの初会合をしたばかりですから、今後の話し合いでどうなるのかはわかりませんが。。。
まとめ
今回は「新NISAは政府の罠だった??配当等の金融所得を考慮した社会保険負担を求める改正へ」と題して社会保険の算定に配当が含まれるようになるかもという話をみてきました。
個人的には高齢者の負担を増やそうとするとこの制度変更はある程度は仕方ないかな・・・って思います。
投資をしている側からすると痛い話ではありますけどね。
FIREをしようとしている方にとってはかなり大きな痛手となるかもしれませんが・・・
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最後まで読んでいただきありがとうございました。