国民民主党が103万円の壁について主張していることもあり、様々な壁について議論される様になってきました。
その中で個人的に注目しているのが130万円の壁で大きな意味を持つ「第3号被保険者」の問題です。
ようやく様々な団体が撤廃を提言するようになってきたんですよ。
今回は第3号被保険者について解説していきましょう。
なお、年収の壁の話はこちらの記事でまとめておりますので、合わせて御覧ください。
第3号被保険者の撤廃についての提言
まずは様々な団体から出されている第三号被保険者についての提言を見ていきましょう。
経済同友会
まずは経済同友会です。
かなり具体的に提言してくれています。
第3号被保険者制度の廃止 (改革のねらい)
⚫ 女性の就労意欲やキャリア形成を阻害し、男女間の賃金格差を生む大きな要因にも なっている第3号被保険者制度を廃止することで、多くの女性が潜在能力を発揮 し、労働供給制約を解消する。第3号被保険者が将来のリスクに備え、自らの豊かな老後を迎えられるための資産形成を支援する。
⚫ 第3号被保険者が本来負担すべき保険料のあり方を見直すことで、公平性・中立性 の高い制度とする。なお、第3号被保険者には子育て・介護等により離職する方な ど、様々な理由があることを踏まえ、廃止の際にはきめ細やかな配慮をする。
⚫ 家族形態・ライフスタイルや働き方の選択の多様化を踏まえ、所得の捉え方や手当 のあり方を世帯単位から個人単位へと見直しを図る。出展:経済同友会 現役世代の働く意欲を高め、将来の安心に備える年金制度の構築
簡単に言えば不公平だから段階的な廃止を提言しているってことです。
日本商工会議所
次は日本商工会議所です。
第3号被保険者制度の解消に向けた検討を
専業主婦の年金(基礎年金)受給権を確立させるため 1986 年に導入さ れた第3号被保険者制度は、導入から約 40 年が経過した。性別や婚姻の有無にかかわらず、男女ともに働いて収入を得ることが一般化したという環境変化を受けて、同制度が果たしてきた役割は、終焉が見通せる状況になりつつある。 むしろ本制度は、主婦等被扶養者を非就業・低収入就業に固定化させる 誘因との見方がある。また、賃金水準(一人当たり)が同じであれば、どの 世帯類型でも一人当たりの年金額は同じになるにもかかわらず、本人の保険料負担がない制度であることをもって、ひとり親世帯や第1号被保険者 の配偶者などとの間で不公平感があるとの指摘も根強い。 このため、女性のL字カーブの改善、生涯キャリアが継続できる環境整 備を進めるとともに、上記「年収の壁」問題の根底にある第3号被保険者 制度の将来的(10~20 年後など)な解消について、早急に国民の合意を得る努力をすべきである。将来的な解消とする理由は、40 年続いてきた現行 制度を前提に暮らしや働き方等を選択してきた(している)人たちの理解と準備時間が必要と考えるためである。併せて、働ける環境にない人の実情には別の配慮が必要である。 また、本制度解消後は、年金保険料納付者が増えることから、その時点で将来の年金財政の安定が見込めることを前提に、保険料の引下げも検討 すべきである。出典:日本商工会議所、東京商工会議所 「年金制度改革に関する提言」
こちらもほぼ同じような提言ですね。
不公平感が強いし、40年前に導入された制度だから時代に合わないよってことです。
連合
最後は連合です。
こちらはかなり前から言ってますね。
第3号被保険者制度廃止 働き方やライフスタイルが多様化する中で、配偶者の働き方などにより第3号被保険者に該当するかが決まる現行制度は、中立的な社会保険制度とはいえない。また、制度上の男女差はないものの、現状は第3号被保険者の大半を女性が占めていることから、女性のキャリア形成を阻害し、男女間賃金格差を生む原因の一つと考えられる。社会保険の原理原則や負担と給付の関係性も踏まえ、第3号被保険者制度は廃止すべきである。
出典:連合 働き方などに中立的な社会保険制度(全被用者への被用者保険の 完全適用、第3号被保険者制度廃止)に対する連合の考え方
こちらもほぼ同じ意見で、中立な制度じゃないし、女性のキャリア形成を阻害する原因になってるよってことです。
第3号被保険者とは
それでは具体的に第3号被保険者についてみていきましょう。
被保険者は3種類
国民年金は第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者と3種類に分かれています。
簡単にまとめると以下のとおりです。
第2号被保険者:会社員、公務員など
第3号被保険者:第2号被保険者に扶養される配偶者
第3号被保険者とは、会社員や公務員など国民年金の第2号被保険者に扶養される配偶者のことを指します。
つまり、専業主婦の方などが該当します。ちなみに主婦だけでなく主夫も対象です。
第3号被保険者の条件
第3号被保険者の条件は以下を満たしている場合となります。
第2号被保険者に扶養されている配偶者
第2号被保険者に扶養されている配偶者の収入条件は以下のとおりです。
同居の場合:収入が扶養者(第2号被保険者)の収入の半分未満
別居の場合:収入が扶養者(第2号被保険者)からの仕送り額未満
ちなみに年間収入とは過去ではありません。今後の年間見込みです。
例えば昨年まで働いててそれなりに給料をもらっていた方でも結婚を気に退職して専業主婦になって収入がないのなら該当することになります。
第3号被保険者のメリット
それでは第3号被保険者は他の区分とどう違うのでしょう。
第3号被保険者には他にない大きなメリットが2つあるのです。
国民年金の納付は国民の義務となっています。
しかし、第3号被保険者の方は国民年金保険料を納付する必要がないのです。
第2号保険者の方の厚生年金から賄われているのです。
もう一つのメリットしては前述のように第3号被保険者の方は国民年金保険料を納付していませんが、国民年金保険料を支払った人と同等に保険料の納付済み期間として考えられます。
つまり、国民年金保険料は納付していないのに老後に国民年金の給付を受けることができるのです。
第3号被保険者が不公平と言われる理由
それではなぜ第3号被保険者が不公平と言われるのでしょう。
それは前述したように年金を払っていないのに、年金をもらえるためです。
つまり、年金のタダ乗りってことですね。
よくXなどで間違えてる投稿している方を見かけますが、第3号被保険者の年金は配偶者が負担しているわけではありません。
第2号被保険者全員で第3号被保険者の年金を賄っているのです。
見ず知らずの専業主婦の年金を負担させられる
つまり、専業主婦の配偶者をもつ方以外の独身の方、共働きの夫婦、シングルマザーなど第2号被保険者の方も、見ず知らずの専業主婦の年金を間接的に負担させられているんですよ。
これは不公平と言われても仕方ないでしょう。
商工会議所が提言しているように専業主婦が当たり前だった40年前にできた制度ですから、時代と合わなくなってきているのです。
ちょっと古いデータですが、専業主婦の比率は年々減ってきていますしね。
出典:労働政策研究・研修機構 「専業主婦世帯と共働き世帯」 より
経済的な理由によって専業主婦になりたいけどなれない方が多いというデータもあります。
自営業者の妻は年金の支払いが必要
さらにもう一つ不公平な要素があります。
自営業者の妻とのバランスです。
自営業者(第1号被保険者)の妻は第3号被保険者になれないんですよ。
ですから自営業者の妻は専業主婦であっても第1号被保険者として年金を負担しています。
会社員や公務員の妻は第3号被保険者となりますから国民年金を納める必要がなく、年金ももらえますが、自営業者の妻は自分で納付しないといけません。
これはかなり不公平ですよね。。。
まとめ
今回は「年金タダ乗り?第3号被保険者についてわかりやすく解説。」と題して最近話題の第3号被保険者についてみてきました。
個人的にも不公平な制度ですから見直しをすすめるべきだとおもいますね。
第3号被保険者に該当するからは今後も廃止も見越して準備をしておくことが必要でしょうね。
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