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不正受給で倒産?エッグフォワードの助成金事例で学ぶ「知らずに巻き込まれる」恐怖と回避術

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不正受給で倒産?エッグフォワードの助成金事例で学ぶ「知らずに巻き込まれる」恐怖と回避術

補助金・助成金は、資金繰りや投資を前に進める強力な道具です。

一方で、制度の「穴」を突くようなスキームに巻き込まれ、気づいたときには「受給した会社(=あなたの会社)が当事者」として返還や社名公表の対象になるケースもあります。

2025年12月にはエッグフォワード株式会社による人材開発支援助成金の不正受給が発覚し、30都道府県で総額約19.8億円もの不正が認定されました。

ここで重要なのは、「私は不正をするつもりはない」で終わらせないことです。

不正受給は、故意のウソだけではなく、周囲(支援会社・研修会社・販売店など)の誘導で“結果として要件を満たしていない申請”をしてしまう形でも起きます。

そして制度側は、基本的に「お金を受け取った側」に説明責任を求めます。

本記事では、不正受給に巻き込まれないよう、代表的な手口とその見抜き方について解説します。

目次

まず押さえるべき結論:不正受給は「会社の信用」を直撃する

不正受給のダメージは「返還すれば終わり」ではありません。

資金面・信用面・採用面・取引面に波及します。

厚生労働省は、不正受給は「偽りその他不正の行為により、本来受けられない助成金の支給を受け、または受けようとすること」としており、代表者だけでなく役員・従業員・代理人など申請に関わった人の不正行為も、事業主の不正とみなされ得ます。

つまり、問題が起きたときに「知らなかった」「業者に任せた」は防波堤になりにくい。

だからこそ、入口で止める仕組みが必要です。

不正受給に巻き込まれる典型パターンは3つ

次に不正受給の典型的なパターンをみておきましょう。

「実質自己負担ゼロ」型(キックバック・循環取引)

もっとも危ない誘い文句は、だいたいこれです。

「研修(導入)費用は高いけど、助成率が高いので実質タダ」
「協力会社から仕事を出すから、費用が戻ってくる」
「最終的に会社に現金が残る」

見かけ上は契約・請求・振込が揃っているため、現場が“正規ルートに見える”のが厄介です。

しかし制度の趣旨は「事業主が負担した経費の一部を支援する」なので、負担が実質的に消えているならアウトになりやすい。

これは後述する「人材開発助成金 不正受給」でも行政資料に明確に表れています。

「帳簿・実態のズレ」型(勤務実態、休業、賃金台帳など)

雇用系の助成金で多いのがここです。

たとえば、休業として申請したが実際は出勤(テレワーク含む)していた、打刻しないよう指示して帳簿を改ざんした、架空雇用、休業手当を支払っていないのに支払ったように装う、などの例があります。

「要件の読み違い」型(売上減少、事業実態、導入実績など)

給付金・補助金系では、売上の見せ方、対象経費の範囲、実績報告の証拠がズレて事故が起きます。

持続化給付金を例にすると、「売上を過少に申請して減収を大きく見せる」「事業実態がないのに装う」などが不正例として挙げられています。

「悪意はない」のに、提出した書類の整合が取れず、結果として不正・不適正扱いになる。

ここが“巻き込まれ型”の怖さです。

エッグフォワード不正受給事件に見る「実質無料」スキームの手口

2025年12月に発覚したエッグフォワード株式会社の事案は、助成金不正受給の典型的かつ大規模な事例です。

同社は人材開発支援助成金を悪用し、30都道府県において合計178社に対して不正受給を行わせていました。

総額は約19.8億円に達します。

「実質無料」スキームの仕組み

典型的なスキームを具体例で説明します。

ある中小企業が

500万円分のeラーニング研修を導入しませんか?手出しはゼロ、むしろ会社に利益が残ります

という提案を受けます。

まず、申請企業は研修費用として500万円を支払います。

次に、研修契約とセットで「協力会社」が登場し、「営業協力費」などの名目で申請企業に300万円程度が支払われます。

実質的な持ち出しは200万円程度になります。

そして研修終了後、国から助成金約300万円が給付されます。

結果として、実質負担額200万円に対して助成金300万円が入金され、100万円のプラスになります。

これが「実質無料どころか儲かる」という甘い言葉の正体です。

なぜ不正になるのか

人材開発支援助成金は、申請事業主が訓練経費の「全額」を負担していることが支給要件です。

営業協力費などの名目であっても、実態として訓練経費が還流されている場合、事業主は経費を「全額負担」しているとは言えず、不正受給と認定されます。

ここから経営者が得るべき教訓はシンプルです。

「経費の一部が戻る」「別名目で資金が入る」時点で、まず疑う。

助成金の条件が“実質負担”に紐づくなら、資金の還流は致命傷になり得る。

この手口は、研修に限りません。

「補助金対象の導入」「外注費」「広告費」「WEBサイト」などにも横展開もされています。(エッグフォワード以外の事業者)

人材開発支援助成金だけでなく、IT導入補助金、持続化補助金、ものづくり補助金でも同様な報告があります。

契約書・請求書だけ見てOKを出すのではなく、お金の流れ(誰から誰へ、何の対価で)を経営側が最後に確認する仕組みが必要です。

不正受給が発覚した場合のペナルティ

不正受給が発覚した場合、当然ながらペナルティがあります。

経済的ペナルティ

不正に受給した補助金は全額返還が必要です。

これに加えて返還額の20%に相当する加算金、年率3%〜10.95%の延滞金が発生します。

たとえば100万円を不正受給し1年後に返還した場合、返還総額は約123万6,000円となります。

資金繰りが苦しいから申請したはずが、受給額の1.2倍以上のキャッシュアウトが発生するのです。

今後の補助金・助成金の制限

一度でも不正受給に関与すると、その後5年間程度、あらゆる雇用関係助成金や経済産業省系の補助金の申請ができなくなる可能性があります。

経営環境が変化し、本当に支援が必要になったとき、セーフティネットを使えない状態になるのです。

これは長期的な経営戦略において致命的なリスク要因となります。

刑事告発と逮捕のリスク

悪質性が高いと判断された場合、詐欺罪(刑法246条)で刑事告発される可能性があります。

詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」であり、罰金刑はありません。

つまり、有罪となれば執行猶予がつかない限り刑務所行きです。

経営者が逮捕されれば、会社は事実上の倒産状態となります。

企業名の公表による社会的信用の失墜

さらに厚生労働省や中小企業庁、各補助金事務局のWebサイトにて、不正受給を行った事業所名、代表者名、不正の内容、金額が公表されます。

この情報は半永久的にインターネット上に残ります。

「社名 評判」で検索した求職者や取引先が、この公表リストを目にしたらどう思うでしょうか。

採用活動は困難になり、既存の取引先からはコンプライアンス違反として取引停止を通告されるでしょう。

まさに、企業の「のれん代(ブランド価値)」の毀損です。

怪しいコンサルタント・業者を見抜く:経営者が見るべき赤信号

以下は、制度を問わず危険度が高いサインです。

ひとつでも当たれば、申請を止めて精査をおすすめします。

赤信号1:「実質タダ」「儲かる」と言い切る

助成・補助は「費用の一部を補う」設計です。

自己負担がゼロ、まして利益が出る話は、資金還流や架空取引を疑うのが合理的です。

大阪労働局の公表事案でも、訓練実施者が資金提供し“実質負担なし”を作った点が問題の中心でした。

赤信号2:契約が二重・三重で、説明が抽象的

「協力会社」「販売代理店」「業務委託」など、名目が増えるほど資金の追跡が難しくなります。

説明が“ふわっとした言葉”に終始する場合、目的は「見えにくくすること」かもしれません。

赤信号3:証憑の作り方を業者が指示してくる

勤怠、台帳、レポート、議事録など「こう書けば通る」を誘導されたら要注意です。

雇用系の不正例としても、打刻しない指示や帳簿改ざんが挙げられています。

また、「面倒な手続きはすべてこちらでやりますから、社長は印鑑だけください」と言い、申請書類の内容を経営者に見せない業者は極めて危険です。

あなたが何に署名・捺印しているのかを把握してください。

電子申請の場合も、IDとパスワードを業者に丸投げしてはいけません。

ログイン履歴や申請履歴は、必ず自社で管理する必要があります。

赤信号4:入金を急がせ、質問を嫌がる

「今月中に出さないと枠が埋まる」自体は制度によってあり得ます。

ただし、質問を嫌がる、書面回答を避ける、契約を急がせる場合、後で責任を切り離す前提で動いている可能性があります。

赤信号5:「100%通ります」「絶対に損しません」

補助金・助成金に「絶対」はありません。

審査がある以上、不採択のリスクは必ずあります。

リスクを説明せず、メリットばかりを強調する業者は、最初から疑ってかかるべきです。

投資の世界でも「元本保証で高利回り」が詐欺であるのと同様です。

実務で効く予防策

巻き込まれない会社は、能力が高いというより「仕組みがある」だけです。

以下の点を意識しておきましょう

入口:支援会社・ベンダーの採用基準を決める

いくらでも盛れる過去実績より、「提案の透明性」「契約の単純さ」「返金・値引き・別名目支払いをしない誓約」を重視してください。

社名や社長名、社員名で調べて見るのもおすすめ。

過去の問題点等があれば出てくる可能性があります。

途中:お金の流れを経営側が最終承認する

担当者に任せきりにせず、「相手先から相手先へ」ではなく「相手先→自社→相手先」の入出金と、その対価を確認する。

特に“別名目の入金”が絡む場合は止めて精査です。

出口:証憑(根拠資料)を監査目線で揃える

勤怠・賃金・振込・請求・成果物・議事録など、制度ごとに必要な根拠は違いますが、「第三者に見せて説明できる形で一式が揃っている」ことが共通要件です。

もし「怪しい」と気づいたら放置しない

また、もし怪しいと感じたら社内で事実を整理し、関係書類と入出金を確定させ、早めに所管窓口や専門家に相談することも重要。

ここは感情ではなく、損失最小化で動くのが合理的です。

雇用調整助成金について労働局が調査を行う前に全事実を申告し、迅速に全額返還すれば、原則として事業主名の公表を行わない(重大・悪質は除く)という自主申告の考え方を示しています。

まとめ

補助金・助成金は中小企業の成長を支援する重要な制度ですが、「実質無料」「キャッシュバック」といった甘い言葉に乗せられると、知らないうちに不正受給に加担してしまうリスクがあります。

「任せていた」「知らなかった」という主張は認められません。

制度を正しく理解し、適正に活用することで、持続的な成長を実現しましょう。

不審な勧誘を受けた場合は毅然と断り、万が一巻き込まれた場合は速やかに専門家に相談することをお勧めします。

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この記事を書いた人

豊かに生きていく上で必須なのがお金の知識です。
しかし、日本では「お金」が汚いものという認識が根強く、あまり勉強されてきませんでした。そのため今後は老後破産が増えてしまうなんて話もありますね。
そんな世の中を少しでも変えたいという強い信念を元に「お金に生きる」を立ち上げました。
投資歴15年以上、社会保険労務士、中小企業診断士、簿記1級、1級販売士、ファイナンシャルプランナー2級、年金アドバイザー3級持ちの私が「お金」についてどこよりもわかりやすくお伝えることを目指していきます。
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