親世代から言われる「老後のために貯金しろ」を真に受けてはいけない

読者様からご質問をいただきました。

要約すると以下の内容でした。

親からいつも老後のために貯金しろと言われます。これって正しいのでしょうか?

これは私も昔よく言われていましたね。

多くの方が言われたことがある言葉ではないでしょうか?

今回はこの読者様のご質問にある「貯金(預金)」の重要性について考えていきましょう。

※ちなみに貯金と預金の違いは郵便局に預けるのが「貯金」、その他の金融機関に預けるのが「預金」というだけです。今回はご質問の貯金に統一して見ていきましょう。

貯金しろとなぜ言われるのか?

私も小さい頃からよく貯金しろと言われて「お年玉」なんかは大半を貯金していました。

今考えるとなぜ貯金していたのかは不明ですし、その貯めていたはずの貯金はどこにいったのかもわかりません(笑)

それではなぜ貯金しろと親はいうのでしょう?

無駄つかいを防ぎたいというのもあるのでしょうが、根本的な原因は別にあります。

それは日本特有の「貯金信仰」です。

この信仰が蔓延っているのには2つの理由があるといわれています。

昔は貯金で良かった

まず一つ目が昔の貯金利率にあります。

今では考えられないほど貯金利率が高かったんですよ。

例えば郵便貯金(定期預金)の利回りは1970年代には年8%1990年代でも年6%を超えていました。

短期的には10%なんてときもあったようです。

これだけ利回りが高ければ十数年預けるだけで資金は倍となる計算です。

私も当時子供でしたが、「宝くじ1億円あたったらどうする?」と質問されたら貯金すると答えてましたね。

利子がこれだけ付くから何年で倍になるよ。ドヤってしてたのを思い出します。

当時から「お金」や「数字」に対しての執着が強い子供だったんですよ・・・

それでは現代はどうでしょう?

ゆうちょ銀行の3年定期預金でも年0.002%しか利回りがありません。

1億円預けても年間2,000円しか利息がつかない計算です。(※ちなみにゆうちょ銀行は定期の上限は1,300万円までと決まっています)

下手したらATM手数料で消えてしまいそうなレベルです。

ですからほとんど貯金しておく意味というのはないんですね。

しかし、多くの親世代は昔の成功体験をそのままの認識でいる部分が大きいのです。

頭では郵便局や銀行に預けてもほとんど利子はつかないといわかっているのでしょうが、習慣化されてしまっているのです。

預金は正義と植え付けられて育った

もう一つはとくに団塊世代に多いのですが、小さい頃から預金は正義と植え付けられてきたことが大きいとも言われています。

昔は江戸時代や明治時代などは日本でも投資が盛んだったと言われています。

その証拠にローソク足も日本発祥で世界中で使われていますし、酒田五法、羽黒法など現在にも残っている投資手法も多数存在しています。

しかし、日清戦争、日露戦争、太平洋戦争と戦争が続く中で戦費を調達する目的で、国民に節約と預貯金を奨励します。(国民の預貯金は戦費に使えるルールだったようです)

また、そういった教育が長いこと続きました。

その影響はかなり大きく日本人は投資は悪。貯金は正義という認識を持ってしまったとも言われています。

長いこと続いてしまった習慣や考え方ってなかなか変えられないんですよ。

それを親世代が子世代に教育することで負の連鎖として続いてしまっているといっても過言ではないと思われます。

実際に金融資産を比較すると現在でも日本人は外国の方と比べて預金が多く、株などがかなり少ないですよ。

金融資産内訳


貯金だけで老後資金を用意するとダメな理由

まず、結論から書けば貯金だけで老後を乗り切ろうとすると

インフレになった際に生活が困難

となってしまうんですよ。

ですから老後資金を貯金だけというのはおすすめできないのです。

老後資金2000万円足りない問題が一時話題になりましたが、金額の問題だけでなく貯金だけでは駄目なんです。

預金・貯金はインフレで実質目減りしていく

現金や預金(貯金)は自然と目減りしていきます。

日本では物価上昇率2%を目指しています。

もし物価が2%上がれば実質的にお金の価値が2%下がったことになります。

今まで100円で買えていたものが102円になるのですから当然といえば当然です。

1965年と比較して5.9倍に

例えば1965年のとき喫茶店のコーヒーは全国平均で71.5円でした。それが50年後の2015年には全国平均422円と5.9倍となっています。

50年前に10万円積立てても50年後には約17000円分くらいしか価値がないってことですね。

本来はこの差は利息などで埋まれば良いのでしょうが、現在預金していても金利は楽天銀行のような高い利率を謳っているネット銀行でも年0.1%とかです。

物価は今の政策を続けていけばゆっくりと長い期間上がり続けるでしょう。

そうなれば徐々に預金の価値が実質的に目減りしていることになるのです。

2000万円分預金を貯めれていたとして、物価が大きく上がってしまっていれば全然足りない可能性があります。

つまり、経済評論家のいう通りに節約して貯金だけしてると老後に困ってしまうかもしれないのです。

もちろん経済は水物ですから絶対インフレになるわけではありません。

バランスが大事なのです。

日本円の価値も変わる

また、ほとんどの方は日本円のみで預金されていると思います。

これも結構リスクがあるのです。

これはどちらにも転ぶ可能性がありますが例えば円安に大きく振れたとしましょう。

今現在は1ドル107円くらいです。

それがもし130円に振れたとすれば海外から商品を買ったりする時でも同じ商品なのに対日本円では上がってしまうのです。

これはインフレと同様に日本円の価値が下がったことになりますので実質的に目減りしていると言って良いかもしれません

口座管理手数料が発生するかも

また、口座管理手数料です。

現在、マイナス金利で銀行はお金を調達しようと思えばいくらでも可能です。

そのため預金を集める必要がほとんどなく逆に手間と費用だけ掛かってしまう状況になっています。

それを負担してもらうために大手銀行あたりは預金者から口座管理手数料を徴収することを検討しています。

本当に実施されるかはわかりませんが実施されればこれも目減りする要因となります。

ペイオフ制度

また、ペイオフという制度も考えておく必要があります。

ペイオフは直訳すると「払い戻し」などの意味で、ペイオフ制度とは簡単に言えば「銀行が破綻したときにでも1000万円+利息までは戻ってくる制度」です。

逆に言えばそれ以上預けている場合には金融機関が破綻したときに戻ってこない可能性があるということです。

ここしばらく景気がよかったこともあり、金融機関の破綻の話はほとんど聞きませんでした。

そのため、ペイオフの存在を忘れて多くの金額を同じ銀行にあずけている人も見えると思いますがこれは大変怖い話なんですよ。

特にマイナス金利の影響で地方銀行を中心に経営状況が良くないところが多くあります。

つまり、一つの銀行に1000万円以上預けておくことはちょっと危険がはらむ行為なのです。

詳しくはこちらの記事を御覧ください。



お金をうまく使うことが大事

もちろん節約してお金を貯めることはよいことです。

しかし、現在の金利では銀行に預けておく意味はほとんどありません

ですからうまくお金を使ってあげることが大事なのです。

投資をしよう

まずお金がお金を生む投資がおすすめです。

投資は怖いというイメージを植え付けられてしまっている方が多いですが、うまくリスクを分散すればそれほど怖いものではないんですよ。

期待値を考えれば長い期間行えばかなり高い確率でプラスとなります。

最近は多くのネット証券会社や投資会社間での値下げ競争が激しく投資環境が恵まれてきていますしね。

まず投資を始めるならまずはiDeCoやつみたてNISAといった税制優遇がある制度がおすすめです。

まずはiDeCo

iDeCoとは正式名称を個人型確定拠出年金といい老後の生活に備えるための公的な制度です。

個人的にまず貯金よりも優先してやるべきものはiDeCoであると考えています。(もちろん私も満額入っています)

この制度最大の特徴は税金面で様々な優遇措置が取られていることです。

特に大きいのが掛金を掛けるとそれが控除対象となり所得税と住民税の節税効果があることでしょう。

これだけでもやる意味があるんですよ。

詳しくはこちらを御覧ください。

次点はつみたてNISA

つみたてNISAもiDeCoと並んで老後資金を作るための制度として金融庁が推奨しています。

つみたてNISAを一言で言えば金融庁が選別した投資信託を年間40万円まで最大20年間非課税で運用できる制度ってことです。

普通に投資信託を買う場合と比較して非課税運用ができる分だけお得なのです。

詳しくはこちらを御覧ください。

自分に投資をしよう

また、自分に投資をすることもおすすめです。

勉強したり、資格を取ったりといったことはもちろんそうですし、美容や健康、運動なんかもそうですね。

人間関係や新しい体験への投資もそうです。

そういった自分に投資をすることで後で大きなプラスとなって返ってくることが多いです。

投資にちょっと抵抗がある方は自分への投資を頑張ってみるのも一つでしょう。

ただし、自分への投資を頑張りすぎると変な詐欺に引っかかったりするリスクが高くなるって話もありますのでほどほどに。

変な節約に気をつけて

また、無駄使いを減らす節約は良いことですが、考え方をしっかり理解しておきましょう。

下記記事では二人の節約家の話をみています。

同じように節約しているように見えて老後には大きな差となってしまっていると思われます。



まとめ

今回は「親世代から言われる「老後のために貯金しろ」を真に受けてはいけない」と題して貯金についてみてきました。

ご質問への解答まとめると以下のとおり

  • 親世代から言われる「老後のために貯金しろ」を真に受けてはいけない
  • 節約は大事だが貯金してもほとんど意味はない
  • むしろ貯金はインフレ耐性がないのでマイナスとなり得る
  • 貯金するよりもお金をうまく使っていこう

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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