「また楽天改悪か」
2026年1月7日、楽天ペイメントが発表したポイント還元率の変更ニュースを見て、多くの楽天ユーザーがSNSでこう呟きました。
確かに、ここ数年「楽天改悪」というキーワードは毎年のように飛び交っています。
しかし、今回の改悪は、これまでとは少し性質が異なります。
なぜなら、楽天キャッシュでのチャージ払いという「楽天ペイを使う最大のメリット」そのものが削られたからです。
これまで楽天ペイは、楽天カードから楽天キャッシュへチャージし、コード決済するだけで最大1.5%還元を受けられるという、シンプルで高還元なサービスでした。
複雑な条件もなく、誰でも簡単にお得になれる。それが楽天ペイの魅力だったのです。
しかし2026年3月1日から、その前提が根本から覆されます。
今回はこの改悪について詳しくみていきます。
2026年3月の楽天ペイの改悪を解説
まずは改悪内容を確認しておきましょう。
変更内容を正確に理解する
今回の変更を表にまとめると、以下のようになります。
| 項目 | 変更前(~2026年2月) | 変更後(2026年3月~) |
|---|---|---|
| 最大還元率 | 1.5% | 1.0% |
| 達成条件 | 楽天ポイントカード月2回提示 | 楽天ポイントカード月5回提示 |
| 条件未達時の還元率 | 1.0% | 0.5% |
出典:楽天ペイ 【重要】ポイント還元条件の一部変更に関するご案内
一見すると「0.5%下がるだけ」と思われるかもしれません。
しかし、この変更には二重の厳しさが隠されています。
まず、条件達成のハードルが2.5倍に引き上げられました。
これまでは月に2回、楽天ポイントカードを提示すれば最大還元率を受けられたのに対し、今後は5回の提示が必要になります。
そして、条件を達成できなかった場合のペナルティが大幅に厳しくなりました。
これまでは条件未達でも1.0%還元でしたが、今後は0.5%まで低下します。
つまり、意識して条件をクリアしないと、一般的なスマホ決済と同水準まで還元率が下がってしまうのです。
2026年3月1日(日)より、ってのもやらしいですね。
昨年までは楽天ペイで自動車税、固定資産税、住民税などの決済をする方が多かったのですが、そのお得度が大きく下がる形となります。

実際の損失額を計算してみる
月に5万円を楽天ペイで決済していた場合を考えてみましょう。
変更前、条件達成時は月750ポイント、年間9,000ポイントを獲得できました。
変更後、条件達成できた場合でも月500ポイント、年間6,000ポイント。年間3,000ポイントの損失です。
さらに条件を達成できなければ、月250ポイント、年間3,000ポイントにまで激減。変更前と比較すると年間6,000ポイント、つまり年間6,000円分の価値が消えることになります。
ポイ活の世界では「1%還元の差」が積み重なると驚くほど大きな差になることを、多くの方が実感されているはずです。
ここで大事な補足があります。
実は、下記記事で書いたように2025年7月からすでに最大1.5%の維持に「ポイントカード提示2回」が必要になっていました(カウント期間は前々月16日から前月15日)。

今回の改定は、そこからさらに一段、条件を厳しくし、上限還元率自体も引き下げるものです。
つまり、打撃の本質は「0.5%分が消える」だけではありません。
上限が1.5%から1.0%に下がることで、頑張っても取り返せない領域が生まれます。
なぜこんな設計にしたのか?
今回の改悪の本質は、還元率ではなく「行動の指標」を支払いから提示回数へ寄せたことです。
ユーザーにとってのポイントは割引ですが、事業者にとってのポイントはマーケティング費用です。
費用対効果が合う人にだけ、厚く配るように設計が変わるのは自然です。
そして提示回数の条件は、行動経済学でいう「閾値」を作ります。
人はゴールが近いほど行動が加速する、という実証研究があります(いわゆるゴール勾配の効果)。
5回は、まさに「あと1回ピッとすれば得を取り戻せる」という心理を生みます。
つまり還元率を下げても、来店頻度や楽天ポイントカード提示の習慣を強められる可能性がある。
これが設計の意図として最も筋が通ります。
さらに、日本のポイント研究でも、ポイントは現金値引きと同じ額でも知覚価値が高くなりうる一方、条件が複雑になると一部の層では関与が下がりやすいことが示唆されています。
今回の改定は「全員に広く」ではなく、「動ける人だけ取りに来てください」というメッセージに近い、と私は解釈しています。
「改悪の歴史」から読み解く楽天経済圏の未来
楽天ペイだけでなく楽天経済圏では改悪が相次いでいます。
なぜ改悪は止まらないのか
楽天グループは2019年頃から、ポイント還元やサービス内容の引き締めを段階的に進めてきました。
その改悪の歴史を振り返ると、ある構造的な理由が見えてきます。
数年間でこれだけの改悪とは並べてみると恐ろしいです。
2021年4月:楽天ゴールドカードの改悪
2021年6月:楽天カードの公共料金ポイント大幅ダウン
2021年8月:楽天銀行+楽天証券のハッピープログラムの付与ポイント
2022年2月:楽天銀行+freeeのデータ連携終了
2022年4月:楽天ポイント付与の対象金額が税抜に変更
2022年4月:楽天銀行+楽天証券のハッピープログラムの付与ポイント
2022年4月:楽天銀行+楽天証券のマネーブリッジ普通預金の金利
2022年7月:楽天SPUの条件変更
2022年7月:楽天銀行+楽天カード SPU月間獲得上限ポイント数
2022年7月:楽天モバイルが0円維持不可に
2022年8月:お誕生日ポイント廃止に
2022年9月:楽天カードでの投信積立が0.2%還元に
2023年1月:Amazon.co.jpでの楽天カード(Mastercard)のご利用分のポイントが5分の1
2023年2月:楽天SPUの上限が全会員一律
2023年6月:楽天Payポイント付与対象外店舗拡大
2023年11月:楽天カードポイントが端数切り捨て
2023年12月:楽天プレミアムカードのポイント付与引き下げ
2024年4月:海外事務手数料引き下げ
2024年8月:携帯電話、保険料、NHKのポイントが半減
2025年7月:楽天ペイの条件付き還元制度導入
2021年4月には楽天ゴールドカードのSPU特典が廃止され、同年6月には楽天カードでの公共料金支払い時のポイント付与が半減しました。
2022年に入ると楽天証券のSPU条件が大幅に厳格化され、同年7月には楽天モバイルの0円プランが終了。
2023年11月には楽天カードのポイント計算方法が「月間合計」から「1回100円ごと」に変更され、端数切り捨てによる実質的な還元率低下が起きました。
そして2023年12月、年会費1万1000円の楽天プレミアムカードのSPU特典が大幅削減。さらに2024年8月からは、携帯電話料金や保険料、NHK受信料への支払い時のポイント付与が半減しています。
2025年7月には楽天ペイの条件付き還元制度が導入され、今回2026年3月の改悪へと至ります。
この流れを見ると、楽天が「全員にお得」から「条件を満たす人だけにお得」へとシフトしていることは明らかです。
楽天モバイルの赤字という「根本原因」
なぜこれほど改悪が続くのか。その最大の理由は、楽天モバイル事業の巨額赤字です。
楽天グループは楽天モバイルの基地局整備に莫大な先行投資を行い、その資金を捻出するためにグループ全体でコスト削減を進めてきました。
楽天プレミアムカードの特典削減、楽天銀行の上場、楽天証券の一部株式売却、そして度重なるポイント還元の引き締め。
これらはすべて、楽天モバイルを成功させるための資金調達策と見ることができます。
SPUの変更を見ても、楽天モバイル契約者には優遇される一方で、それ以外のサービスは軒並み還元率が下げられてきました。
楽天グループにとって最優先事項は楽天モバイルの契約数拡大であり、そのためには他のサービスの還元を削ってでも楽天モバイルへの誘導を強化する必要があるのです。
ポイント経済圏の「成熟」という視点
もう一つ重要な視点があります。
日本のポイント経済圏は、かつての「シェア獲得のための大盤振る舞い」フェーズを終え、「収益化」フェーズへと移行しています。
PayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」に代表される派手な還元キャンペーンは、新規顧客獲得のための先行投資でした。
しかし主要な決済事業者がシェアを確立した今、次のフェーズは「いかに利益を出すか」です。
楽天だけでなく、PayPayも他社クレジットカードの紐付けを制限し、自社カードへの誘導を強化しています。
d払いやau PAYも同様の傾向にあります。
つまり「改悪」は楽天だけの問題ではなく、ポイント経済圏全体で起きている構造的な変化なのです。
楽天ペイ2026年、継続か乗り換えか
それでは楽天ペイの今後の利用はどう考えるべきでしょうか?
継続すべき人の条件
では、楽天ペイを使い続けるべきなのはどんな人でしょうか。
第一に、日常的に楽天ポイントカードが使えるお店を利用している方です。
ファミリーマート、デイリーヤマザキ、ガスト、マクドナルド、吉野家、ツルハドラッグなど、楽天ポイントカードの加盟店は意外と多いです。
月に5回のカード提示が自然とクリアできる生活スタイルの方なら、楽天ペイを継続する価値があります。
第二に、楽天市場や楽天証券など、楽天経済圏を広く活用している方です。
楽天ポイントは楽天市場での買い物、楽天証券での投資、楽天モバイルの支払いなど、幅広い用途で使えます。ポイントの「使いやすさ」という観点では、依然として楽天経済圏は強力です。
第三に、楽天モバイルユーザーの方です。楽天モバイル契約者はSPUで+4倍の優遇を受けられるため、楽天経済圏全体で見たときのメリットは大きいままです。
乗り換えを検討すべき人
一方で、以下に該当する方は他の決済手段への乗り換えを検討した方が良いかもしれません。
ネット決済や請求書払いが中心で、実店舗で楽天ポイントカードを提示する機会が少ない方。
条件達成が難しく、還元率0.5%の「ペナルティ状態」に陥りやすいです。
楽天経済圏を特に意識せず、単にコード決済として楽天ペイを使っていた方。還元率1.0%であれば、他のスマホ決済と変わりません。
複雑な条件管理を避けたい方。「何回提示したか」を毎月気にするのは精神的な負担になります。
私の場合はこちらになりそうです。
月に5回も楽天ポイントカードが使えるお店に行かないんですよ。
継続派のための「5回提示」攻略法
楽天ペイを継続する決断をした方のために、条件達成のコツをお伝えします。
カウント期間を正確に把握する
最も重要なのは、カウント期間の理解です。
3月の還元率を決めるのは、1月16日から2月15日までの実績です。
つまり、3月1日からの新ルールに備えるには、1月16日から意識して行動を始める必要があります。
毎月15日が締め日ということを覚えておきましょう。
「安い買い物」でカウントを稼ぐ
条件は「5回提示」であって「5回購入」ではありません。100円のコーヒーでも1回のカウントです。
コンビニで朝のコーヒーを買うときに楽天ポイントカードを提示する。
ドラッグストアで日用品を買うときに提示する。
ファストフード店でランチを食べるときに提示する。
日常の買い物を少し意識するだけで、5回のハードルは意外とクリアできます。
スマホアプリ版のカードを使う
重要な注意点として、楽天カード裏面のバーコードやプラスチックの楽天ポイントカードはカウント対象外です。
楽天ペイアプリ内の楽天ポイントカードを提示する必要があります。
まだアプリ版に切り替えていない方は、早めに設定を変更しておきましょう。
カレンダーにリマインダーを設定する
「15日までにあと何回」を忘れないように、スマホのカレンダーやリマインダーアプリを活用しましょう。
例えば毎月10日に「楽天ポイントカード提示回数チェック」というリマインダーを設定しておけば、月半ばで進捗を確認できます。
乗り換え派のための「代替決済」比較
条件達成が難しい、または面倒だと感じる方のために、代替となる決済を比較してみましょう。
Olive(三井住友銀行 × Vポイント)経済圏
投資家層にとって、現在最も合理的かつ勢いがあるのがここです。
対象のコンビニ・飲食店で最大7%〜20%還元とスマホのタッチ決済を利用するだけで、驚異的な還元率を叩き出します。
さらに三井住友カードでのSBI証券での投信積立(クレカ積立)の還元率が強力。
楽天の改悪を受け、相対的な魅力が増しています。
また、Vポイントは「Tポイント」と統合したことで、ウェル活(ウエルシアでの利用)など出口戦略も豊富です。
PayPay経済圏
加盟店数約410万カ所と圧倒的なシェアを誇るPayPay。
基本還元率は0.5%ですが、PayPayカードを登録すると最大1.5%(PayPayカード ゴールドなら最大2.0%)の還元を受けられます。
PayPayステップという条件をクリアすれば還元率がアップする仕組みがありますが、月30回・10万円以上の利用が必要なため、ハードルは決して低くありません。
ただし、自治体との連携キャンペーンや加盟店独自のキャンペーンが豊富で、うまく活用すれば高還元を狙えます。
使えるお店の多さという点では、PayPayが最有力候補です。
d払い経済圏
ドコモユーザーにおすすめなのがd払いです。基本還元率0.5%、dカード払いなら合計1.0%還元。
d払いの強みは、ドコモの各種サービスとの連携です。
dポイントクラブの会員ランクに応じた特典や、ドコモ回線とのセット割引など、ドコモユーザーにとってはメリットの大きい選択肢です。
au PAY経済圏
auユーザー、特にau PAYゴールドカード保有者にとっては有力な選択肢です。
au PAYゴールドカードからのオートチャージで最大5.5%還元という高還元を実現できます。
Pontaポイントが貯まるため、ローソンをよく利用する方にもおすすめです。
Suica(JRE CARD)
電車をよく利用する方なら、Suicaも検討の価値があります。
JRE CARD(ビューカード)でオートチャージすれば1.5%還元。改札を通るたびに自動でチャージされるため、残高を気にする必要もありません。
JR東日本エリアの駅ビルでの買い物では還元率がさらにアップするため、通勤経路にJR東日本の駅がある方には相性が良いでしょう。
楽天カード払いへの切り替えという選択肢
乗り換えほど大きな変更をしたくない場合、楽天ペイ内で支払い方法を変えるという手もあります。
楽天キャッシュ払いから楽天カード払いへ
今回の改悪は「楽天キャッシュ払い」が対象です。
楽天ペイアプリで楽天カードや楽天銀行口座を支払い元に設定した場合、ポイント還元率は1.0%で変更ありません。
つまり、チャージの手間をかけて条件達成に神経を使うよりも、シンプルに楽天カード払いを選ぶ方が精神的に楽かもしれません。
還元率は同じ1.0%で、条件クリアの心配も不要です。
楽天カード(タッチ決済)という選択
さらにシンプルな方法として、楽天ペイアプリを使わず、楽天カードのタッチ決済を直接使うという選択肢もあります。
楽天カードには「タッチ決済」機能があり、対応店舗ではカードをかざすだけで支払いが完了します。還
元率は1.0%。アプリを起動する手間もなく、スピーディーに決済できます。
楽天ペイにこだわる必要がなければ、この方法が最もシンプルかもしれません。
まとめ
かつてのポイント還元は「使えば使うほどお得」というシンプルな構造でした。
しかし今は「条件をクリアした人だけがお得」という複雑な構造に変わりつつあります。
PayPayステップ、楽天SPU、dポイントクラブのランク制度。
どのサービスも「たくさん使う人」「条件を満たす人」に還元を集中させ、それ以外の人への還元は最小限に抑える方向へと進んでいます。
この変化に対応するには、自分の生活スタイルを冷静に分析し、どのサービスが最もお得になるかを見極める「ポイ活リテラシー」が必要です。
月に何回、どこで買い物をするのか。どのクレジットカードを持っているのか。
どのポイントが最も使いやすいのか。
これらを総合的に判断し、自分に最適な決済手段を選ぶ。
それができる人だけが、ポイント経済圏の恩恵を最大限に受けられる時代になったのです。
最後にお伝えしたいのは、「今の最適解が永遠に続くわけではない」ということです。
楽天だけでなく、PayPayも、dポイントも、今後さらなる変更が予想されます。
2027年に向けて、各社とも収益化を優先する動きが加速するでしょう。
だからこそ、一つのサービスに依存しすぎず、複数の選択肢を持っておくことをおすすめします。
状況が変わったときに柔軟に対応できるよう、PayPayカードや他社カードも「予備」として持っておく。
そんなリスク分散の発想が、これからのポイ活には必要になってきましたね。
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