反響の大きかった銀行の投資信託販売の闇【三菱UFJ編】、【三井住友銀行編】、【みずほ銀行編】に続いて最後はりそな銀行編を見ていきます。
今回の話は金融庁が顧客本位の販売をしているのかをわかりやすくするため、投資信託を販売する銀行・証券会社に対して比較可能な共通KPIと考えられる3つの指標を公表することを求めたことに端を発します。それに応じた形で先日はネット証券大手4社が投資信託の統計情報を発表。それに続いてメガバンクなど銀行もぞくぞく共通KPIやそれに付随したデータを出し始めました。
それにより銀行の投資信託販売の闇が大きく暴かれてきたのです。
今回はそのうちりそな銀行が発表データについて詳しく見ていきます。
りそなの投資信託販売についての統計資料
先日のネット証券大手4社に続きメガバンク等の銀行も共通KPI等のデータを発表しました。これは金融庁が2018年6月に公表した「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」に基づいたものになります。りそな銀行は他の銀行と違い、金融庁が要求した共通KPIのみを公開していますね。
【りそな銀行】投資信託保有者のプラス割合64%
まずは共通KPIの投資信託運用損益別顧客比率です。簡単に言えば今投資信託を持っている人の損益割合がどうなっているかってことですね。
これによると3月末時点で投資信託を保有する顧客のうち評価損益がプラスの顧客は全体の63%でした。ちなみにこれはすでに売却している人は含まれません。銀行全体のデータですと55%でしたからすこしよい数字となってます。ちなみに三菱UFJ銀行は58%、三井住友銀行は60%、みずほ銀行は55%でした。それと比較しても劣っています。また、同じ時期のSBI証券の評価損益がプラスの顧客は64.7%ですから銀行全体が悪いという結果になっています。
出所:りそな銀行「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIについて」 より
ファンドラップは保有者のプラス割合64%
ファンドラップはさらに悪い状況です。利益が出ているのは64%となっています。こちらは他の銀行などと比較すると成績はよいようですね。ただ資料を見る限りまだ始めたばかりのようですから成績の判断は難しいところがあります。基本的にはファンドラップ自体手数料が高いことからなかなか儲けることが難しい仕組みです。
ファンドラップについては詳しくはこちらの記事を御覧ください。
証券会社や銀行などが販売するファンドラップの人気が高まっています。しかし、結論から言えばファンドラップ買っては駄目な商品なのです。表面の説明を効くと良さげに見える方もいると思いますが・・・・今まではファンドラップの全貌は加入者にしか[…]
出所:りそな銀行「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIについて」 より
投資信託預かり残高上位20銘柄(共通KPI)
合わせて共通KPIの投資信託預かり残高上位20銘柄が公開されています。これは正直ひどいです・・・・このあたりは三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行と同様ですがほとんどが高コスト。リスクが高い割にリターンがあまり高くないとひどい結果です。コストが1%を割っているのが1つだけという・・・
残高加重平均はコスト1.9%、リターン2.26%、リスク12.9となっています。コストが2%近くになってしまっており、言葉は悪いですが、簡単に言えば手数料がバカ高いボッタクリ商品を情報弱者に大量に売りつけていると考えられる結果です。
金融庁から名指しされた悪名高い毎月分配型も多くラインナップされていることも気になります。
出所:りそな銀行「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIについて」 より
ちなみにつみたてNISAは金融庁がそのようなボッタクリ商品を排除するために対象とする投資信託の条件を厳しくしています。インデックス型の投資信託で国内資産を対象とするもので0.5%以下(税抜)、海外資産を対象とするもので0.75%以下(税抜)、アクティブ型だと国内資産を対象とするもので1.0%以下(税抜)、海外資産を対象とするもので1.5%以下(税抜)となっています。つまり、今回のみずほ銀行が売っている商品は金融庁がNOを突きつけた商品ばかりを売っていたとも言えます。これは正直いただけません・・・顧客本位とはとても言えませんね。あくまでも過去の結果ですが・・・
つみたてNISAの適合の条件はこちらの記事を御覧ください。
下記のブログにも書きましたが日本の投資信託は99%はダメとは日本証券アナリスト協会 第8回国際セミナー「資産運用ビジネスの新しい動きとそれに向けた戦略」における森信親金融庁長官が基調講演で話したことです。金融庁が出した「家計の安定的な資産形[…]
コストとリターンのバランス
次に共通KPIの上位20銘柄のコスト・リターンです。両者に明瞭な関係が認められず、コストに見合ったリターンは必ずしも実現していないということがいえます。この辺りはウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理でもうたわれている話ですが、投資初心者の方だと認識がないところでもあります。
出所:りそな銀行「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIについて」 より
リスクとリターン
最後はリスクとリターンです。これも一目瞭然ですがリターンとリスクに相関性があまり見られません。リターンが高くないのに高リスクのものを買ってしまっているということですね。
出所:りそな銀行「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIについて」 より
まとめ
今回は「銀行の投資信託販売の闇。【りそな銀行編】」と題してりそな銀行の投資信託販売に関する統計データをみてきました。
ネット証券4社と比較して結構ひどい状況なのがより分かってきましたね。特に投資信託預かり残高上位20銘柄でわかった実際に売っていた商品が強烈すぎます・・・銀行も営利目的の団体ですから自社の利益を考えるのは当然でしょう。しかし、顧客の利益を考えずに目先の利益ばかりみてればいつか足元を掬われそうな気がしますね。
今回の件だけでなく他の件も含めて金融庁が動いてもすぐに銀行の方針や考えが変われるとは思えませんし、自分たちがぼったくられないように金融知識をつけるのが一番だと思います。
ネット証券4社の発表については下記を御覧ください。
先日ネット証券大手4社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券、カブドットコム証券)が統計情報(共通KPI)を発表しました。これが大変興味深いものでしたので詳しく見ていきたいと思います。ちなみに同様の統計情報(共通KPI)は金融庁が銀[…]
先日、金融庁が投資信託を販売する銀行・証券会社に対して比較可能な共通KPIと考えられる3つの指標を公表することを発表しました。3つの指標は以下の通り。・ 運用損益別顧客比率・ 投資信託預り残高上位20銘柄のコスト・リターン[…]
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