株主還元で成長の果実流出をしているのは本当?岸田禍で考えたい政権の考え

またまた岸田総理が株主軽視の発言をして話題となっています。

資本主義というものは関与するステークホルダーそれぞれに資するものでなければ持続可能なものにならないという観点から考えた場合に、株主還元という形で成長の果実等が流出しているということについてはしっかりと受け止め、この現状について考えていくことは重要であると認識している

出典:2022年2月21日 衆議院予算委員会 岸田文雄首相

ツイッター上では自社株買い規制金融所得課税四半期決算の義務廃止など総理に就任してから株価にマイナスなことばかり発言する岸田総理の名前を取って「岸田ショック」という言葉がトレンドになっていましたね。

さらに「岸田禍」や「岸り人」なんて言葉も・・・

そんな中にさらなるこの株主軽視の発言で投資家に衝撃を与えています。

今回は「株主還元で成長の果実流出」について考えてみたいと思います。

株主還元で成長の果実流出についての有識者の反応

まずは「株主還元で成長の果実流出」という発言について有識者の反応をみておきましょう。

GMOインターネットグループの熊谷さん

まずはGMOインターネットグループの熊谷さんです。


GMOインターネットグループは私も株主優待目的で株主を続けていますが、かなり還元には積極的なだけにショックな首相発言だったのでしょう。

完全に同意ですね・・・

私も基本的に自民党支持派ですが、岸田総理では応援できません・・・

おおぶねファンドマネージャー奥野氏

次は人気ファンドおおぶねのファンドマネージャーの奥野氏です。

こちらも完全に同感ですね。

同じくファンドマネージャーのひふみ投信の藤野さんもかなりきつめのことをフェイスブックで発言されています。(フォローが必要なフェイスブック上の発言なので引用しませんが)



株主還元で成長の果実流出するという発言は会計が理解できていない

それでは株主還元で成長の果実が流出するというのはどういう意味があるのでしょう?

この話を理解するためには会計をある程度わかっておく必要があります。

株主還元はどのタイミングで行うのか?

配当などの株主還元策は企業がその期に稼いだ利益から税金を払った後のものが基本的に原資となります。

成長に必要な設備投資、試験研究などは引かれたあとの話で考慮される話なんですよ。

会計上で配当や設備投資、試験研究、給料との位置づけを簡単に表現するとこんな感じです(損益計算書)

売上高
売上原価←試験研究費、減価償却費(設備投資)、給料
売上総利益
販売費及び一般管理費←試験研究費、減価償却費(設備投資)、給料(内容により売上原価、販管費で分かれる)
営業利益
営業外損益
経常利益
特別損益
税引き前当期利益
法人税等
法人税等調整額
当期利益←配当金はここが原資

対象となる場所がぜんぜん違うのがわかっていただけると思います。

配当金などは試験研究も設備投資も給料も引かれたあとで考慮される話なんですよ。

ですから株主還元をしていることで成長の果実が流出しているというのはとても違和感あるのです。

配当性向◯◯%というのもそこが基準ですから利益が減れば当然、配当も減る形です。

つまり、すでに成長のための果実を考慮した話のあとに株主還元しているんですよ。

個人的に言わせてもらえば岸田さんもしくはブレーンが会計も理解できていないとしか思えません。

内部留保とも違う

また中にはその年は利益でなかったけど無理して配当を出すケースもあります。

この場合は過去に稼いだ利益の積み立てである利益剰余金から支払われます。

ちなみに利益剰余金はよく内部留保としてやり玉にあがるところですね。

企業が内部留保しまくってるから給料が増えないんだという頓珍漢な指摘も多いです。

今回の岸田総理の指摘はその内部留保を配当にも回すな、成長に使えと言っている更にひどい指摘なんですよ。

株主還元をしなければ給料を増やす?

岸田総理は株主や経営者が得をする自社株買いや配当などの株主還元してることで従業員の賃金に回っていないと考えているのではないでしょうか?

税制改正大綱でも目玉は賃上げ税制でしたしね。

ただし、個人的には自社株買いや配当を規制したところで従業員の給料に回るとは限りませんし、むしろそうならない可能性のほうが高いと思います

そもそも給料は利益の前に発生するものです。

ですから給料を増やせば利益が減るんですよ。

利益や過去の利益を原資としている配当などの株主還元とは全然ベクトルが違う話なんですよ。

また、給料を上げても基本的には内部留保が減るわけではありません

当期の利益が減るだけです。

利益が減れば税金も当然減って、内部留保の上積みも減りますけどね。

内部留保を減らそうと思えば、給料を上げまくって赤字となれば内部留保も減らせます。

利益や内部留保が減れば株主還元も当然減ってきます。

こういうことをやりたいのでしょうかね・・・

ただし、これが健全だとは思えませんけどね。

そもそも取れる税金も減ってしまうのは良いのでしょうか?

株主還元をしなければ成長する?

もう一つの論点。

株主還元によって成長が滞るという考えです。

これはある意味合っています。

Appleなど一時期配当金等を出さずにそれを将来の投資に回すことで成長してきましたね。

ベンチャーなどはそれでよいと思います。

しかし、成長が望みにくい成熟企業にそれを求めるのは違うんですよ。

無駄に設備投資や試験研究しても成長はしませんし、利益が減るだけですしね。

企業の利益が減れば当然に税金も減ります笑

投資家はなぜ株に投資をするの?

投資家はその企業が成長する、もしくは配当などの株主還元でプラスになると見込んで投資をします。

ここに規制が入れば株式投資に対しての魅力は当然落ちてきます。

アメリカなどはすでに債券価格がかなりあがってきていますね。

債券(企業や国にお金を貸す)のほうが魅力となればだれも株なんて買いませんし、どんどん株価は落ちていくでしょう。

また、最近の投資はグローバル化していますから、日本株の魅力が落ちれば他の地区の株でも良いわけです。

日本人が日本の株を買わずにアメリカ株を買うという現象がさらに進むかもしれません。

政策に売りなし

株式の格言に「政策に売りなし」という言葉があります。

国が力を入れる政策やテーマは売られにくいですよって話ですね。

今回は政策として株価を下げようとしているとしか思えませんので「政策に売りなし」に従うなら日本株が売りということになってしまいますね。

年金なども株で運用している部分もありますし、日銀もかなりの日本株を保有しているんですけどね・・・




まとめ

今回は「株主還元で成長の果実流出をしているのは本当?岸田禍で考えたい政権の考え」と題して岸田総理の発言についてみてきました。

岸田政権になって根拠や効果が不明な18歳以下に10万円給付とか金融課税強化、自社株買い規制、そして今回の発言と大丈夫か?と考えてしまう話ばかり出てきています。

日本株投資家がアメリカ株へ流れているという記事がでていましたが、こんな政策を繰り返せば当然さらにその流れは加速するでしょう。

私達にできることは選挙で民意を伝えることとや声を上げることくらいでしょうから、私も本ブログでおかしい政策についてはどんどん追求していきたいと思います。

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