「米国株を持っていれば寝ていても富が増える」
そんな神話が長らく語られていましたが、2025年の各資産リターンを俯瞰すると、韓国株が75.6%、金が67%、日本株が26%と、米国株(S&P500)の約17%を大幅に上回る結果となりました。
この事実は、「米国一強時代」が終焉したことを意味するのでしょうか。
結論から申し上げると、終焉というより「分散投資の重要性が再認識された年」と捉えるべきでしょう。
もちろん、米国経済が崩壊したわけではありません。
しかし、かつてのような「無双状態」に陰りが見え、世界中のマネーが新たな安息地を求めて彷徨った1年でもありました。
本記事では、2025年の各アセットクラスのリターンを整理し、その背景と今後の投資戦略について考えてみたいと思います。
2025年 アセット別リターンの全体像
2025年の投資市場を振り返ると、年初から4月上旬にかけて米トランプ政権の関税政策をめぐる懸念から株式相場が大きく下落する場面がありました。
しかし、その後は年末に向けて買い戻されるなど、総じてリスク資産が堅調に推移した1年となりました。
特筆すべきは、株式市場のなかでも「どの国・地域に投資していたか」で大きく結果が異なった点です。
また、株式以外のオルタナティブ資産、とりわけ金(ゴールド)が記録的な上昇を見せた年でもありました。
一方で、2024年に約120%上昇したビットコインは、2025年は年末にかけて下落し、マイナスリターンに転じるという対照的な結果となりました。
主要資産の年間リターン一覧
| 資産クラス | 代表指数・商品 | 年間リターン |
|---|---|---|
| 韓国株 | KOSPI | +75.6% |
| 金(ゴールド) | CMX金先物 | +67% |
| 日本株(代表的な225銘柄) | 日経平均 | +26% |
| オルカン(全世界株式) | MSCI ACWI | +23% |
| 日本株(プライム上場全銘柄) | TOPIX | +23% |
| 米国株(ハイテク) | NASDAQ | +20% |
| 中国株 | 上海総合 | +18% |
| 米国株(代表的な500銘柄) | S&P500 | +17% |
| 新興国株 | MSCI EM | +13% |
| 米国株(大型) | ダウ平均 | +12% |
| 欧州株 | STOXX600 | +10% |
| インド株 | SENSEX | +10% |
| ビットコイン | BTC/USD | ▲6% |
※出典:S&P Global、Bloomberg、各取引所データ、日本経済新聞、SlickCharts(2025年12月末時点)
この表から明らかなように、2025年は「韓国株」「金」「日本株」がトップ3を占め、多くの投資家が注目してきた「米国株」は相対的に低調なパフォーマンスとなりました。
人気の「オルカン」は+23%と堅調でしたが、それでも韓国株や金には大きく差をつけられました。
また、期待されていたインド株は+10%と伸び悩み、2024年に大きく上昇したビットコインは年末に急落してマイナスリターンに転じました。
韓国株がここまで急激に伸びるとは・・・
日本株もですが、一時期はオワコンと言われていたカテゴリーが米国株よりもリターンで上に行っているんですよ。
なぜ韓国株が年間75.6%も上昇したのか
2025年の「韓国株」のリターンは75.6%と、1999年以来の最高の年間パフォーマンスを記録しました。
この驚異的な上昇の背景には、複数の要因が重なっています。
半導体需要の継続的な拡大
最大の要因は、AI(人工知能)関連需要に支えられた半導体株の急騰です。
サムスン電子やSKハイニックスといった重量級銘柄が市場を牽引しました。
グローバルなチップの好調なサイクルは2025年を通じて継続し、これらの企業の収益成長を後押ししました。
コリアディスカウントの解消期待
もう一つの重要な要因は、政府主導の市場改革に対する楽観論です。
韓国政府は長年のグローバルな競合他社に対するバリュエーションディスカウント(いわゆる「コリアディスカウント」)を縮小することを目的とした政策を推進しました。
より強力な少数株主保護措置や、国の市場地位の向上に向けた取り組みが投資家の期待を高めました。
韓国の輸出が2025年に7097億ドルの記録額に達し、特に半導体の出荷量が過去最高に達したことも、マクロ経済的な追い風となりました。
金(ゴールド)が67%上昇した理由
2025年の金融市場で最も輝いたのは、株式ではなく金(ゴールド)でした。
金先物価格は年間で約67%(一部データでは68%超)上昇し、1979年以来の年間最高上昇率を記録しています。
地政学リスクと「有事の金」
ロシア・ウクライナ紛争の長期化、中東情勢の緊迫化、米中対立の深刻化など、複数の地政学リスクが投資家を安全資産である金へと向かわせました。
トランプ政権の関税政策による不確実性も、金への逃避需要を高めました。
中央銀行の旺盛な購入
各国中央銀行による金購入が引き続き堅調だったことも、価格上昇を支えました。
特に中国やインドなどの新興国中央銀行が外貨準備の分散を目的に金の保有を増やしており、この傾向は2026年以降も継続すると予想されています。
米国の金融緩和と実質金利の低下
FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げサイクルが継続したことも、利息を生まない金にとって追い風となりました。
金利低下は債券や預金の相対的な魅力を低下させ、金の投資対象としての魅力を高めます。
国内では、金関連の投資信託の残高が1年で約3倍の2.5兆円へと急拡大しました。
2025年1月から11月までの資金流入額は約9,600億円と、過去に例を見ない水準に達しています。
2025年の日経平均:26%上昇で史上初の5万円台へ
2025年の「日経平均」は年間で約26%(1万444円)上昇し、史上初めて5万円台に到達しました。
3年連続の上昇となり、AI半導体関連株が相場を押し上げる中、株主還元の拡充やROE改善が幅広い業種に波及しました。
上昇を牽引した要因
- AI・半導体関連銘柄の急騰:キオクシアなど、株価が2倍以上に上昇した銘柄は58社(前年の2倍)
- 株主還元の強化:配当増加や自社株買いが幅広い業種で進行
- コーポレートガバナンス改革の進展:PBR1倍割れ企業への改善圧力
- 円安の継続:輸出企業の収益を押し上げ
ティー・ロウ・プライスのレポートによれば、2025年には日本の中小型株に投資機会があるとされています。
大型株の予想EPS(一株当たり利益)の上方修正が進む中、出遅れている中小型株への資金シフトが起こる可能性が指摘されています。
オルカン(全世界株式):+23%も「最適解」ではなかった
NISA投資家に人気の「オルカン」(eMAXIS Slim全世界株式)は、2025年に約+23%のリターンを記録しました。
これは決して悪い数字ではなく、長期投資家にとっては満足できる結果といえます。
しかし、韓国株(+75.6%)や金(+67%)、日本株(+26%)と比較すると、オルカンの分散効果が「最適解」にはならなかったことがわかります。
オルカンの特性
オルカンはMSCI ACWIインデックスに連動し、世界約47カ国の株式に分散投資しています。
ただし、その構成比は米国株が約65%を占めているため、実質的には米国市場の影響を強く受けます。
2025年は米国株(+17%)の上昇率が相対的に低かったため、オルカンのリターンも韓国株や金には及びませんでした。
一方で、インド株(+10%)やビットコイン(マイナス)のような「期待されていたが伸び悩んだ資産」への集中投資を避けられた点では、分散効果が機能したともいえます。
米国株は「失速」したのか?
S&P500の年初来リターンは約17%(配当込みトータルリターンでは約17.8%)となりました。
これは決して悪い数字ではありません。
しかし、過去2年間の上昇(2023年:24.23%、2024年:23.31%)と比較すると、勢いが鈍化していることは否めません。
マグニフィセント・セブンの影響力低下
注目すべきは、マグニフィセント・セブン(Apple、Microsoft、NVIDIA、Amazon、Alphabet、Meta、Tesla)の影響力の変化です。
2024年には同指数のトータルリターンの53%を占めていた7銘柄ですが、2025年はそのシェアが42%程度に低下しました。
7銘柄を除くS&P500のリターンはプラス10.24%となり、市場全体の上昇への貢献度が分散化しつつあることがわかります。
これは、AI関連以外のセクターへ投資機会が広がっている兆候とも言えます。
米国以外の市場がアウトパフォーム
S&P Globalのデータによれば、2025年1-3月期において米国市場は48カ国中40位のパフォーマンスにとどまりました。
欧州株や日本株を含む複数の国・地域が米国市場をアウトパフォームしており、「米国一強」という構図は少なくとも2025年においては崩れています。
中国株は底を打った?
2025年の中国株は年間で約18%上昇しました。
景気刺激策の発表後に急騰する場面もありましたが、構造的な問題が依然として残っています。
不動産市場の供給過剰、消費者需要の低迷、人口動態の悪化といった課題は解決されておらず、上昇の持続性には疑問が残ります。
また、トランプ政権による対中関税の影響も不透明要因として意識されています。
一方、ハンセン指数(香港市場)はAI関連テクノロジー株の上昇を背景に、主要株式市場の中でも好調なパフォーマンスを見せました。
アリババなど中国テクノロジー大手への投資家の関心が回復している点は注目に値します。
一時期はどん底でしたが、ようやく光も見えてきた感じでしょうか。
2026年以降の投資戦略
ここからは2026年以降の投資戦略について考えてみましょう。
分散投資の再評価
2025年の結果が示すのは、「特定の資産クラスが常に勝つわけではない」という投資の基本原則です。
韓国株や金が大きく上昇する一方で、米国、インド、ビットコインは期待を下回りました。
特定の国・資産に集中投資することのリスクを、改めて認識する必要があります。
オルカンの+23%というリターンは、「どの資産が勝つかを当てる」ことよりも、「大きく負けないこと」を重視する投資家には合理的な選択肢だったといえます。
金の戦略的保有
ワールド・ゴールド・カウンシルの分析によれば、ポートフォリオの6〜10%程度を金に割り当てることで、リスク調整後リターンが改善する可能性があります。
株式との相関が低い金は、不確実な時代における分散効果が期待できます。
ただし、短期的な値上がり益を追求した金投資には慎重であるべきでしょう。

日本株の中小型株への注目
日本市場では、大型株に資金がかなり回ってきていましたが、それと比べて中小型株の予想EPSの上方修正が遅れています。
これは「出遅れ」とも解釈でき、今後のキャッチアップ余地があると考えられます。
コーポレートガバナンス改革の恩恵を受けやすい中小型株への投資機会は検討に値します。

米国株への投資は継続しつつも、期待リターンは控えめに
JPモルガン・アセット・マネジメントの長期予測によれば、今後10〜15年の先進国株式の期待リターンは年率5.10%程度とされています。
過去2年のような20%超のリターンを期待するのは現実的ではありません。
バリュエーション面では割高感があることを認識しつつ、長期的な視点で投資を継続することが重要です。
AIバブルへの警戒も強くなっていますしね。


インド株とビットコインは長期視点で
2025年に伸び悩んだインド株とビットコインですが、長期的な成長ポテンシャルは依然として注目されています。
インドは人口ボーナスや製造業の成長が期待され、ビットコインは機関投資家の参入が進んでいます。
ただし、ボラティリティの高さを踏まえ、ポートフォリオの一部に留める慎重なアプローチが望ましいでしょう。

まとめ
2025年のアセット別リターンを見ると、韓国株、金、日本株が米国株を大きく上回りました。しかし、これをもって「米国一強時代の終焉」と断言するのは早計です。
むしろ、2025年は「どの資産が勝つか予測することの難しさ」を改めて認識させられた年と捉えるべきでしょう。
AI関連需要、地政学リスク、金融政策、為替動向など、複数の変数が絡み合い、市場のダイナミクスは常に変化しています。
企業経営においても、「一つの事業に依存しすぎない」ことが持続的成長の鍵となります。
投資においても同様に、地域・資産クラスの分散を図ることで、不確実性に対する耐性を高めることができます。
「S&P500に全力投資」という選択が悪いわけではありません。
しかし、2025年の結果は、その戦略が「常に最適解」ではないことを示しています。
また、「インド株やビットコインに集中投資」も、期待どおりの結果にはなりませんでした。
定期的にポートフォリオを見直し、自分のリスク許容度に合った分散投資を心がけましょう。

