「金利が上がっても、自分には関係ない」。そう思っていませんか?
実は今、日本の債券市場で異変が起きています。
世界中の経済系の番組やメディアで大きく取り上げられているんですよ。
2026年1月、40年国債の利回りが史上初めて4%を突破し、「サナエショック」という言葉がマーケットを駆け巡りました。
この記事を読めば、国債金利の上昇があなたの住宅ローン、資産運用、そして勤務先の経営にどう影響するのかが明確になります。
高市政権の主張である「積極財政」の裏側にあるリスクを徹底解説します。
いま、日本の国債市場で何が起きているのか
2026年1月20日、日本の金融市場に衝撃が走りました。
新発40年国債の利回りが4.215%に急騰し、1995年以来、およそ30年ぶりの高水準を記録したのです。
30年債も3.875%、10年債も2.380%と、いずれも歴史的な高水準に達しています
この急激な金利上昇の引き金となったのは、高市早苗首相が打ち出した消費税減税政策です。
食料品にかかる消費税を0%に引き下げるという公約は、財源の裏付けが不明確なまま発表されました。
市場はこれを「財政規律の崩壊」と受け止め、日本国債の売りが加速しました。
この現象は「サナエショック」と呼ばれ始めています。
2022年に英国で起きた「トラスショック」と酷似した状況だからです。
トラス元首相は財源不明の大規模減税を打ち出し、わずか49日で退陣に追い込まれました。
日本でも同様のリスクが現実味を帯びているのです。
トラスショックから学ぶべき教訓:サナエショックは起きるのか?
トラスショックとは何だったのでしょうか。
2022年9月、英国のリズ・トラス首相は約450億ポンド(約8兆円)規模の大型減税を財源の裏付けなく発表しました。
その結果、英国市場はポンド、国債、株価の「トリプル安」に見舞われました。
10年国債利回りは一時4.5%まで急騰し、ポンドは対ドルで史上最安値を記録しました。
特に深刻だったのは、年金基金への影響です。
英国の年金基金の多くは「LDI(負債連動型投資)戦略」を採用しており、金利急騰により証拠金不足が発生。
国債を大量売却せざるを得なくなり、さらなる金利上昇を招く悪循環に陥りました。
イングランド銀行が緊急の国債買い入れで市場を安定化させなければ、年金システム全体が崩壊する危機でした。
トラスショックが起きた背景には、3つの要因がありました。
第一に、財源の裏付けのない減税。第二に、中央銀行が金融引き締めを進める中での財政拡張。第三に、市場との対話の欠如です。
これらの要因は、今の日本にもそのまま当てはまります。
詳しくはこちらの記事で解説しておりますので、合わせて御覧ください。

国債の金利が上昇するとどのような問題があるのか?
次に国債の金利が上がると何が問題なのかを考えてみましょう。
利払いが増え、政策の自由度が削られる
国債は国の借金です。
金利が上がれば、借り換えや新規発行のコストが上がり、利払い負担が増えます。
財務省は、普通国債残高が2025年度末に1,129兆円規模に達する見込みだと示しています。
規模が大きいほど、金利上昇の影響は重くなります。
さらに、令和8年度の概算要求では国債費が32兆3,865億円とされ、前年度比で増加しています。
ここに金利上昇が重なると、他の政策に回せる余地が目減りしやすい構造です。
民間の借入コストが上がり、景気と企業収益を押す
国債金利は、社会全体の「基準の金利」に近い役割を持ちます。
国債が高い利回りを要求されるなら、企業や家計もそれ以上の金利を求められやすい。
住宅ローン、社債、銀行融資の金利にも波及します。結果として、設備投資や消費が鈍り、企業収益の伸びにもブレーキがかかり得ます。
金融システムに「含み損」と「担保」のストレスが乗る
見落とされがちですが、ここが一番危ない。金利が上がるということは、既に発行されている債券価格が下がるということです。
銀行・保険・年金は国債を大量に保有します。
価格下落で含み損が増えると、リスク管理上の制約(自己資本、担保、追加証拠金など)が効き始めます。
これが「売りが売りを呼ぶ」形に変わると、問題は市場の一部から経済全体に広がります。
これが一番大きな問題かもしれません。

なぜ国債金利の上昇が「あなた」の問題なのか
今まで見たように国債の金利が上がると影響は大きいです。
しかし、多くの方は自分にはあまり関係ないと考えているでしょう。
実はそうでもないんですよ。
影響は私たちの個人個人の生活に直結しています。
具体的に見ていきましょう。
影響1:住宅ローン金利の上昇
まずは住宅ローンです。
住宅ローンの固定金利型は長期国債の利回りに直結します。
2026年1月現在、固定金利型のフラット35の金利は2%を超える水準にまで上昇しています。
固定金利の場合は実行時点の金利で固定されるので、その後の金利上昇は基本関係ありません。
しかし、どんどん金利が上がっていくとこれから買う人が高い金利でしか借りられずに苦労する形ですね。
一方、変動金利型の多くは短期プライムレートに連動します。
ですから、国債の金利が上昇しても影響はすぐには表れません。
しかし、長期金利の上昇に合わせて、金融機関が短期プライムレートを見直すこともあります。
また、短期プライムレートに影響のある、政策金利変更への圧力にもなり得ます。
ですから長期国債の利回りが上昇するということは、直接連動せずとも影響が出る可能性があると考えておく必要があるでしょう。
変動金利で借りている方は、今後の金利引き上げの影響もでてきますしね。
特に若年層は住宅ローンの残債が多く、金利上昇の影響を強く受ける構造になっていますね。
ちなみにみずほリサーチ&テクノロジーズの試算によれば、政策金利が0.25%引き上げられた場合、変動金利型の住宅ローン利用者は年間約4.5万円(29歳以下)から5万円(30歳台)の負担増となります。

影響2:企業の資金繰り悪化
最も懸念されているのが、企業向け貸出金利の上昇です。
東京商工リサーチは「資金繰りが限界に達する企業が増える可能性が高まっている」と警鐘を鳴らしています。
特に物価高や人手不足に苦しむ中小・零細企業にとって、借入コストの上昇は経営を直撃します。
日本には、本業で利益を出せていないにもかかわらず、超低金利の融資によって延命している企業、いわゆる「ゾンビ企業」が数多く存在します。
金利が上昇すると、これらの企業の支払利息負担は直撃します。
変動金利で借り入れている多くの中小企業にとって、借入金利が1%上がるだけで、経常利益が吹き飛ぶケースは珍しくありません。
これは残酷なようですが、経済全体で見れば「新陳代謝」の一環です。
しかし、短期的には倒産件数の増加や失業率の上昇といった痛み(ショック)を伴います。
また、国債利回りの上昇は社債発行コストも押し上げます。
すでに2026年1月にはトヨタファイナンスが社債の発行時期を延期するなど、企業の資金調達に影響が出始めています。
設備投資の抑制は、経済全体の成長を鈍化させるリスクがあります。
影響3:国の利払い費が「雪だるま式」に膨張
日本の普通国債残高は1,129兆円(2026年度末見込み)に達しています。
この巨額の借金に対する利払い費は、2026年度予算で13兆円を超える見込みです。
財務省の試算では、金利が想定より1%上昇すれば、2033年度の利払い費はさらに8.7兆円増加します。
これは防衛費(約8兆円)を上回る規模です。
利払い費が増えれば、教育、医療、インフラ整備といった本来必要な支出が圧迫されます。
財政の自由度が失われ、将来世代へのツケが膨らんでいくのです。
影響4:あなたの資産運用にも波及
金利上昇は、保有している債券の価格下落を意味します。
特に長期債ほど価格変動が大きく、超長期債を多く保有する金融機関は多額の含み損を抱えるリスクがあります。
また、金利上昇局面では株式市場にも資金が流出しやすく、株価の下押し圧力となります。
一方で、新規発行の国債や定期預金の金利は上昇するため、これから投資を始める方にとってはメリットもあります。
重要なのは、金利動向を見据えたポートフォリオの見直しです。
影響5:円安と物価高の加速
通常、金利上昇は通貨高につながります。
しかし、財政悪化懸念が強まると、投資家は日本国債と日本円の両方を売却する「日本売り」に走ります。
実際、トラスショック時の英国ではポンド安と金利高が同時進行しました。
円安が進めば輸入物価が上昇し、私たちの生活コストはさらに高騰します。
高市政権になってから円はかなり弱くなっていますが、積極財政を押し出しているという部分も大きいでしょう。
【金利上昇の影響まとめ】
| 影響を受ける対象 | 具体的な影響 | 影響度 |
|---|---|---|
| 住宅ローン | 変動金利・固定金利ともに上昇 | 若年層ほど影響大 |
| 中小企業 | 借入コスト上昇、資金繰り悪化 | 倒産リスク上昇 |
| 国の財政 | 利払い費増加で政策の自由度低下 | 将来世代に負担 |
| 資産運用 | 既存債券の価格下落、株価下押し | 新規投資にはメリットも |
| 生活コスト | 円安による輸入物価上昇 | 全世帯に影響 |
積極財政の「落とし穴」:減税すれば景気が良くなるという幻想
高市政権が主張する
「消費税を下げれば景気が良くなる」
「積極財政で経済成長すれば税収が増える」。
こうした主張は一般受けは良いでしょう。
しかし、経済の現実はそう単純ではありません。
それは、国債市場における海外投資家のプレゼンスが高まっていることです。
かつて日本国債の大部分は国内金融機関が保有していましたが、現在は海外投資家の保有割合が上昇しています。
海外投資家は「逃げ足が速い」ため、何かきっかけがあれば一斉に売りに動く可能性があります。
ニッセイ基礎研究所の福本勇樹氏は「消費減税のための財源が具体的に示されておらず、市場は最終的に国債発行で賄われると見ている。投資家にとっては債券を買おうというシナリオは描けない」と指摘しています。
また、ローゼンバーグ・リサーチのデビッド・ローゼンバーグ氏は「高市氏が首相に就任して以来、超長期金利は80ベーシスポイント跳ね上がり、世界市場に明らかな波及効果をもたらしている」と分析しています。
市場との対話なき財政拡張は、自らの首を絞める結果を招くのです。
すでに日本初の経済ショックを警戒する動きさえあるといいます。
ちなみに高市政権の経済ブレーンは積極財政でどんどん国債の発行して問題ないという主張だったりします。
ですから総理が変わらない限り、この方針は継続されると考えてよいかもしれません。
まとめ:「静かなる危機」への備えを
国債金利の上昇は、一見すると遠い世界の出来事に見えます。
しかし、その影響は住宅ローン、企業経営、資産運用、そして日々の生活コストまで、あらゆる面に波及します。
「サナエショック」という言葉が象徴するように、財源なき財政拡張は市場の信認を失い、金利上昇という形で国民に跳ね返ってきます。
「危機は静かに、しかし確実に進行する」ものです。
今のうちから、住宅ローンの見直し、資産配分の点検、そして経営の足腰を強くする取り組みを始めておくことが重要です。
また、選挙に行って意思を伝えることも必要でしょうね・・・
この記事が、皆さまの資産防衛と将来設計の一助となれば幸いです。
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