「午後になると決まって眠くなる」
「なぜか集中力が続かない」
そんな悩みを抱えていませんか。
睡眠不足のせいだと考えて早めに寝てみても、コーヒーを飲んで気合いを入れても、状況は変わらない。
もしそうなら、原因は「目に見えない空気」にあるかもしれません。
実は私自身、自宅の書斎で同じ問題を抱えていました。
新築から数年経った家で、24時間換気システムも正常に動いている。
それなのに、書斎のCO2濃度を測定してみると、常に1000ppmを超えてしまうのです。
ひどいときは1500ppmに達することもありました。
実は大手ハウスメーカーでもCO2濃度まで意識して設計はしてくれてないケースの方が多いんですよ。
この数字が何を意味するのか。
そして、なぜ24時間換気が動いているのにこうなるのか。
この記事では、多くの人が見落としている「室内の二酸化炭素濃度」という問題について、データと実体験をもとに解説していきます。
二酸化炭素濃度1000ppmで何が起きるのか
まず、二酸化炭素濃度がどの程度だと問題になるのかを整理しましょう。
屋外の空気に含まれる二酸化炭素濃度は、およそ400〜420ppm程度です。
ppmは「100万分の1」を意味する単位で、空気中にどれだけCO2が含まれているかを示します。
厚生労働省の建築物環境衛生管理基準では、室内の二酸化炭素濃度を1000ppm以下に保つことが求められています。
この基準は、多くの人が「なんとなく不快」と感じ始める境界線として設定されたものです。
CO2濃度が高くなるとどうなる?
では、濃度が上がるとどうなるのでしょうか。
濃度別の影響を見ていくと、700ppmあたりから眠気や集中力の低下が始まり、1000ppmを超えると約20%の人が不快感を訴えるようになります。
2000ppmになると、大部分の人が頭痛やめまいを感じるようになり、3000ppmを超えると明確な身体症状が現れ始めます。
注目すべきは、1000ppm前後という「ギリギリ基準値」でも、すでにパフォーマンスに影響が出ている点です。
ハーバード大学公衆衛生大学院の研究チームが行った調査(2015年)によると、二酸化炭素濃度がもたらす認知機能への影響は衝撃的です。
- 600ppm(外気に近い環境): 脳は正常なパフォーマンスを発揮する。
- 1000ppm(基準値): 認知機能スコアに影響が出始める境界線。
- 2500ppm: 戦略的思考能力や情報活用能力などのスコアが、低濃度時に比べて著しく低下する。
さらに衝撃的なのは、立命館大学で行われた実験の結果です。
CO2濃度が600ppmから3500ppmに徐々に上昇する環境で作業を行った被験者は、作業効率が20%低下し、32%もの集中力低下を報告しました。
つまり、「なんとなく調子が出ない」という感覚は、気のせいではなく、空気の質が直接影響している可能性が高いのです。
換気の悪い部屋で勉強や仕事をすることは、自ら脳に重りをつけ、ブレーキを踏みながらアクセルを踏むような行為なのです。
これは、大人のテレワークの生産性はもちろん、お子様の学習効率にも直結する重大なリスク要因です。
私も感覚として1000ppmを超えたくらいからなんか変な感じになっちゃいますね。
24時間換気があるのに、なぜCO2濃度が上がるのか
「でも、うちは2003年以降に建てた家だから、24時間換気がついている」
そう思われた方も多いでしょう。
高気密住宅の「落とし穴」
近年、日本の住宅は「高気密・高断熱」がスタンダードになりつつあります。
これは省エネや快適性の観点からは素晴らしい進歩です。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。
気密性が高いということは、「意図的に換気をしなければ、空気が一切入れ替わらない」ということを意味します。
昔の日本の家は「隙間だらけ」でしたから、放っておいても勝手に空気が入れ替わっていました。
しかし、現代の家は魔法瓶のようなものです。
適切な換気計画なしに生活すれば、人の呼吸によって排出される二酸化炭素は逃げ場を失い、濃度はまたたく間に上昇します。
特に、在宅時間が増えた現代において、この「見えない汚染」は深刻さを増しています。
2時間で室内の空気がすべて入れ替わるはずだが・・・
建築基準法の改正により、2003年7月以降に着工したすべての建物には、24時間換気システムの設置が義務付けられています。
このシステムは、1時間に部屋の空気の半分を入れ替える(0.5回/時)ように設計されています。
計算上は、2時間で室内の空気がすべて入れ替わることになります。
しかし、現実はそう単純ではありません。
実験データ
産業技術総合研究所が行った実験データを見てみましょう。
空調が稼働しているオフィスフロア(約3000㎡、110人着座)でも、業務時間中にCO2濃度は650ppm程度まで上昇しました。
これは半数程度の出勤率での結果です。
全員が出勤した場合、1000ppmを超えることが想定されます。
住宅での実験では、さらに深刻な結果が出ています。
43㎡の室内で2人が就寝した場合、換気口を掃除していない状態では最大1400ppm程度まで上昇したのです。換
気口を掃除した後でも、最大1000ppm程度まで上昇しました。
24時間換気だけでは不十分な理由
なぜ24時間換気だけでは不十分なのでしょうか。
まず、空気の流れには「よどみ」が生じやすいという問題があります。
給気口と排気口の配置によっては、特定の部屋や角の空気が入れ替わりにくくなります。
特に書斎や寝室のような狭い個室は、空気の通り道から外れやすく、換気効率が著しく低下することがあります。
次に、換気量の計算は「家全体」を対象としている点です。
6畳の書斎に1人でこもって仕事をしていると、その小さな空間にどんどんCO2が蓄積されていきます。
全体の換気量は足りていても、局所的には不足が生じるのです。
さらに、扉を閉めると空気の流れが遮断されます。
24時間換気は家全体で空気を循環させる設計になっていますが、個室の扉を閉めた瞬間、その部屋は「換気の輪」から切り離されてしまいます。
私の書斎が常に1000ppmを超えていた原因も、まさにここにありました。
集中するために扉を閉め、6畳の空間に1人でこもる。
24時間換気は動いていても、書斎には十分な新鮮な空気が届いていなかったのです。
私の失敗談「書斎という名のCO2タンク」
偉そうなことを述べている私自身、実は家づくりにおける「換気設計」の失敗者です。
この経験こそが、皆様にこの記事を届けたいと強く願う動機となっています。
すぐに1000ppmを超える「設計ミス」
私は自宅を建設する際、「書斎」を作りました。
広さは約6畳。
防音性を高めるためにドアを厚くし、窓も小さめにしました。
まさに「こもり部屋」です。
しかし、入居してしばらく経ち、書斎にいると猛烈な眠気や頭痛に襲われることに気づきました。
「疲れが溜まっているのか?」と思い込んでいましたが、ある日、興味本位で二酸化炭素濃度計を置いてみて愕然としました。
原因は明白でした。
作業をしているとすぐに1000ppmを超えちゃうんですよ。
ハウスメーカーに調べてもらったところ、書斎の「給気口」と「ドアのアンダーカット(排気口への経路)」の位置関係が悪く、空気が部屋全体を循環せずにショートサーキット(近道)を起こしていたのです。
さらに、防音のためにドアの隙間を極限までなくしたことで、空気が部屋から出ていく経路が遮断されていました。
結果、私の書斎は、新鮮な空気が入ってこないまま、私自身の呼気で二酸化炭素だけが濃縮されていくタンクになっていたのです。
これでは、どんなに高価な椅子を買おうが、最新のPCを揃えようが、パフォーマンスなど上がるはずがありません。
「設計の盲点」——見落とされる書斎の換気
家を建てるとき、多くの人はリビングやキッチン、寝室の配置には気を配ります。
しかし、「書斎の換気計画」まで詳細に検討する人はどれだけいるでしょうか。
24時間換気システムの多くは、リビングや寝室などの主要な居室から給気し、トイレ・浴室・キッチンなどの水回りから排気する設計になっています。
空気はリビング→廊下→水回りという流れで移動していくわけです。
この流れの中で、書斎はどこに位置づけられているでしょうか。
多くの住宅で、書斎は「空気の通り道」ではなく「行き止まり」になっています。
給気口が設置されていないことも珍しくありません。
その結果、扉を閉めて作業すると、呼吸によって排出されたCO2がどんどん溜まっていくのです。
うちの場合も設計段階で各部屋の換気はほぼ意識してなく、家全体の換気だけにしか着目してなかったんですよ。
家全体の換気量と広さの計算結果で問題なければクリアな感じでしたね。
そもそも換気計画の相談をした記憶もないです笑
私も知識不足でそこまで着目していなかったですしね。
家の設計時点まで戻れるなら改善したい点となります。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。

どれくらいの速さでCO2濃度が上がるのか
6畳(約10㎡)の部屋に1人でいると、どれくらいの速さでCO2濃度が上がるのでしょうか。
成人の安静時のCO2排出量は、1時間あたり約18リットルです。
6畳の部屋(天井高2.4mとして約24㎥)に1人がいると、単純計算で1時間あたり750ppm程度のCO2が追加されることになります。
窓も扉も閉めていれば、1〜2時間で1000ppmを超え、3時間もすれば2000ppmに達する計算です。
実際、私がCO2モニターで1年間測定を続けた方のデータでは、6畳の部屋を閉めて仕事をすると、1時間程度で1000ppmを超え、1500ppmに達していますね。
これは決して特殊な事例ではありません。
書斎やテレワーク用の小部屋が「換気の死角」になっている家は、驚くほど多いのです。
目に見えない空気を「見える化」する
では、自分の部屋のCO2濃度がどうなっているのか、どうやって知ればいいのでしょうか。
CO2センサーの導入
答えは、CO2センサー(二酸化炭素濃度計)を導入することです。
かつては業務用の高価な機器しかありませんでしたが、現在では家庭でも手軽に使える製品が多数登場しています。
新型コロナが蔓延したころからCO2濃度に注目が集まったことで、かなり種類が増えてきたんですよ。
価格帯は5000円〜1万円程度のものが一般的です。
選ぶ際のポイントは、「NDIR方式」を採用しているかどうかです。
これは厚生労働省も推奨している測定方式で、精度の高い測定が可能です。
安価な製品の中にはNDIR方式ではないものもあり、数値の信頼性に疑問が残ることがあります。
私が使っているのは「SwitchBot CO2センサー」です。
こちらをリビング、寝室、書斎に設置し、リアルタイムで計測指定しています。
リビング、寝室は1000ppmを超えることはまずありませんが、書斎は駄目ですね。
SwitchBot CO2センサーはNDIR方式を採用しており、CO2濃度に加えて温度・湿度も同時に測定できます。
画面にはCO2濃度が大きく表示され、緑・黄・赤のインジケーターで状態が一目でわかる設計になっています。
USB給電で使用すれば、最短1秒間隔での測定も可能です。
窓を開けて換気したとき、数分でCO2濃度がどれだけ下がるかをリアルタイムで確認できるのは、想像以上に便利でした。
電池駆動の場合は30分間隔での測定になりますが、傾向を把握するには十分です。
また、SwitchBotアプリと連携すれば、CO2濃度のログをグラフで確認したり、一定濃度を超えたらスマホに通知を送ったりすることも可能です。
スマートホーム製品と連携して、CO2濃度が上がったら自動的にサーキュレーターを回す、といった自動化もできます。
CO2センサーを導入して最初に驚いたのは、「自分の感覚」と「実際の数値」のズレでした。
まだ大丈夫だと思っていた時間帯にすでに1000ppmを超えていたり、逆に息苦しいと感じていても数値はそこまで高くなかったり。
数値で把握することで、「なんとなく」ではなく「根拠を持って」換気のタイミングを判断できるようになりました。
今日からできる「CO2濃度対策」
CO2センサーで現状を把握したら、次は対策です。
基本的な考え方は「新鮮な空気を入れる」こと。
具体的な方法を見ていきましょう。
窓開け換気
まず最も効果的なのは「窓開け換気」です。
産業技術総合研究所の実験では、起床後に窓を開けると5分程度でCO2濃度が半減したことが確認されています。
私の書斎でも、窓を全開にして5分ほど経つと、1200ppm程度から600ppm前後まで一気に下がります。
窓を開ける際のコツは、「空気の流れ」を作ることです。
窓を1カ所だけ開けるより、対角線上にある2カ所を開けた方が換気効率は格段に上がります。
書斎の窓をふたつ開けると、風の通り道ができて短時間で空気が入れ替わります。
ただし、最近の家は気密断熱を意識しすぎて窓が開かない(FIX窓)ケースも多いですけどね・・・
扉を開けておく
次に、「扉を開けておく」という方法があります。
完全な換気とまではいきませんが、扉を開けておくだけでCO2濃度の上昇をかなり抑えられます。
うちの場合でも、書斎のドアを閉めていた場合と開け放っていた場合を比較すると、後者の方が明らかに濃度上昇が抑えられていました。
ドアを明けておけば1000ppmを超えることはまずないんですよ。
ただし、ずっと開けておくことは猫が入ってくるので現実的ではないのですが・・・(猫が観葉植物を攻撃するので書斎にはいれないようにしています)
定期換気
その場合は、1時間に1回、5分間だけ扉と窓を開ける「定期換気」を習慣にすることをおすすめします。
タイマーをセットしておけば、忘れることもありません。
うちの書斎の場合は1000ppmを超えたら5分から10分程度ドアを開けておくようにしています。
すると600〜700ppm程度までは落ちますね。
給気口の掃除
24時間換気の「換気口の掃除」も見逃せないポイントです。
産業技術総合研究所の住宅実験では、換気口を掃除しただけで、CO2濃度の最大値が1400ppmから1000ppmに下がりました。
フィルターにホコリが溜まると換気効率が大きく低下します。
3カ月に1回程度の定期的な清掃を心がけましょう。
とくに第一種換気はこまめな掃除が必要です。
掃除が面倒な方は第三種換気をおすすめします。
これから家を建てる方へ
そして、これから家を建てる方への提案です。
どれだけ高性能な断熱材を使おうとも、どれだけ隙間のない(C値の低い)家を建てようとも、室内の空気質、とりわけ「二酸化炭素濃度」の制御ができなければ、その家はあなたと家族の脳のパフォーマンスを著しく低下させる「巨大な密閉容器」になりかねません。
給気口の位置や「換気経路」を設計段階でしっかり確認し、書斎が空気の通り道に含まれているかどうかを確認することが重要です。
二酸化炭素濃度まで意識して設計してくれる設計者はまずいませんので、こちらから提案、確認することが必要でしょうね。
家づくりで見落としがちな「空気の設計」
これから家を建てる予定がある方は、ぜひ設計段階で「換気計画」について詳しく確認してください。
確認すべきポイントは、まず「各部屋の給気口・排気口の配置」です。
書斎やワークスペースに給気口が設置されているか、空気の流れはどうなっているかを図面で確認しましょう。
次に「換気経路」です。空気がどこから入り、どこを通って、どこから出ていくのか。
書斎が「行き止まり」になっていないか、空気の流れの途中に位置しているかを確認します。
そして「換気回数」です。建築基準法で定められている0.5回/時というのは最低基準です。
書斎のように長時間滞在する部屋では、もう少し余裕を持った設計が望ましいでしょう。
既存の家に住んでいる方でも、後から対策は可能です。窓用の換気扇を設置する、サーキュレーターで空気の流れを作る、といった方法で換気効率を高めることができます。
大切なのは、「見えない空気」に意識を向けることです。
温度や湿度と同じように、CO2濃度も快適な住環境を構成する重要な要素です。
特にテレワークが普及した現在、自宅で長時間集中して仕事をする機会が増えています。
仕事のパフォーマンスが住環境に左右されるとすれば、「空気の質」への投資は決して無駄ではないはずです。
まとめ——「見えない敵」を味方につける
室内の二酸化炭素濃度が1000ppmを超えると、集中力や判断力に悪影響が出始めます。
24時間換気システムが動いていても、書斎のような小さな個室では、扉を閉めて作業するだけでCO2濃度が危険なレベルまで上昇することがあります。
対策の第一歩は、CO2センサーで現状を「見える化」すること。
SwitchBot CO2センサーのような手頃な価格の製品を導入すれば、自分の部屋の空気の状態を常に把握できます。
数値を見ながら、適切なタイミングで窓を開け、空気を入れ替える。
それだけで、午後の眠気や集中力の低下が驚くほど改善するかもしれません。
これから家を建てる方は、設計段階で換気計画を詳細に確認してください。
書斎が「換気の死角」にならないよう、給気口の配置や空気の流れを事前にチェックすることが重要です。
目に見えない空気だからこそ、意識しなければ見過ごしてしまいます。
しかし、一度意識を向ければ、驚くほど簡単に改善できる問題でもあります。
「なんとなく調子が出ない」と感じている方は、まずCO2センサーを導入してみてください。
数字で現状を知ることが、より快適な住環境への第一歩になるはずです。
二酸化炭素など目に見えない部分も含めて、ハウスメーカーにあらかじめ相談して提案してもらっておくとよいかもしれませんね。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。

