iDeCoは20代から始めた方がいい。
この言葉、もう何度も聞いたことがあると思います。
でも、いざ始めようとすると、不安になりませんか。
「60歳まで引き出せないお金を、今から積むなんて」「掛金はいくらが正解なんだ」「そもそも、20代に老後の話は早すぎるのでは」。
その迷い、とても健全です。
ただ、ひとつだけお伝えしたいことがあります。
20代がiDeCoで手にできる本当の武器は、よく言われる「節税」でも「掛金の多さ」でもありません。
それは、二度と買い戻せない「時間」です。
そして2026年の制度改正は、この「時間」の価値を、静かに、しかし決定的に変えようとしています。
この記事では、20代のあなたが本当に知るべき「iDeCoとの付き合い方」を、誠実にお話しします。
読み終わる頃には、「いくら積むか」より先に考えるべきことが、はっきり見えているはずです。
なお、iDeCoってなんだ?って方はこちらの記事からご覧いただくのをお勧めします。

そもそも、20代でiDeCoは「早い」のか
結論から言います。
早くありません。
むしろ、20代は構造的に有利です。
ただし、「みんながやっているから」ではなく、なぜ有利なのかを自分の言葉で説明できることが大事です。
ここがわかっていないと、後で必ず迷います。
まず数字を見てみましょう。
iDeCo加入者のうち、20代は全体の数パーセントにすぎません。
iDeCoの全体加入者数のうち、20代は全体の約6%にあたります。
つまり、20代のiDeCo加入者は「少数派」です。
ここで多くの記事は「だから早く始めよう」と煽ります。
でも、私はそうは言いません。
少数派であること自体は、得でも損でもないからです。
大事なのは、その少数派だけが持っている「ある資産」の正体です。
20代だけが持つ「時間」という名の資産
iDeCoの最大の武器は、節税だとよく言われます。
それは半分正しく、半分は、20代にとって的外れです。
なぜなら、節税効果は所得が高い人ほど大きくなる仕組みだからです。
20代の多くは、まだ年収が伸びきっていません。
つまり、節税という意味では、iDeCoの恩恵を「フルには」受けられない年代でもあるのです。
では、20代の武器は何か。
複利、つまり「時間」です。
複利とは、利益がさらに利益を生み、雪だるま式に資産が膨らんでいく現象のこと。
そしてこの雪だるまは、転がす距離が長いほど、最後の一転がりで爆発的に大きくなります。
ある試算では、こう示されています。
毎月2万円を年6%で運用した場合、30年で約2000万円、40年で約4000万円と、運用期間が10年違うだけで最終額は倍の差がつきます。
ここが、この記事で一番伝えたい核心です。
20代と30代の差は、「10年早く始めた」という事実だけではありません。
その10年が、複利のいちばん効く「最後の局面」を丸ごと手にできるかどうか、という差なのです。
例えるなら、マラソンの最後の数キロを走れる人と、その手前でコースが終わってしまう人の違い。
距離は10キロの差でも、見える景色はまったく違います。
20代のあなたは、すでにこの「最後の数キロを走る権利」を持っています。
掛金の多さで勝負する必要はありません。
時間という、お金では買えないチケットをすでに握っているからです。
見過ごされがちな「もう一つの追い風」退職所得控除
ここで、ほとんどの「20代向けiDeCo記事」が触れていない論点に踏み込みます。
退職所得控除です。
iDeCoを一時金で受け取るとき、「退職所得控除」という大きな非課税枠が使えます。
そしてこの控除額は、iDeCoに加入していた年数が長いほど大きくなります。
仕組みはこうです。
退職所得控除額は、
勤続(加入)年数20年以下は40万円×年数、20年超は800万円+70万円×(20年を超えた年数)
で計算されます。
ここに、20代ならではのカラクリがあります。
20年を超えた部分は、1年あたりの控除額が40万円から70万円へと跳ね上がります。
たとえば25歳で加入し、60歳まで35年間続けたとします。
すると控除額は、800万円に加えて70万円×15年で、合計1850万円。
これだけの金額を、非課税で受け取れる可能性が出てきます。
つまり、20代から始めるということは、この「20年超の高還元ゾーン」を、たっぷり使えるということ。
これこそ、退職所得控除という制度が20代に用意した、静かな追い風です。
2026年改正という「冷や水」を直視する
2026年1月1日から、退職所得控除のルールが一部変わりました。
いわゆる「5年ルールの10年ルール化」です。
これは、iDeCoと会社の退職金を両方もらう人にとって、無視できない変更です。
これまでは、iDeCoの一時金と退職金を5年以上ずらして受け取れば、それぞれに控除を満額使えました。
2026年1月1日からは、この間隔が「前年以前4年以内」から「前年以前9年以内」へ延長され、実務上は受取間隔を10年空ける必要があるため「10年ルール」と通称されています。
これだけ聞くと、「改悪だ」「やっぱりiDeCoは罠だ」と感じるかもしれません。
でも、落ち着いてください。
ここで思考停止せず、「本当に自分に関係あるのか」と問い直すことが大切です。
この影響を受けるのは、退職金が多く、iDeCoと近接した時期に一時金で受け取る人であり、すべての人に影響があるわけではありません。
20代のあなたにとって、これは「今すぐ悩む問題」ではありません。
受け取りは数十年先。受け取り方(一時金か年金か、いつ受け取るか)は、その時の制度とあなたの状況に合わせて設計できます。
むしろ20代がここから学ぶべき教訓は、こうです。
iDeCoは「入口(積み立て)」だけでなく「出口(受け取り)」の設計が、最後の手取りを左右する。
だから、出口戦略を意識しながら長く付き合う、という視点を今のうちから持っておく。
これだけで十分です。
改正に怯えて始めない、というのは、いちばんもったいない判断です。

20代のiDeCoの正直なデメリット
ここまで前向きな話が続きました。
でも、片方の話だけして「さあ始めましょう」と背中を押すのは、私の流儀ではありません。
20代にとってのデメリットは、はっきりしています。
ひとつは、原則60歳まで引き出せないことです。
20代から始めた場合、約40年間、資産を引き出すことができません。
20代はこれから、結婚、出産、住宅購入、転職と、お金が必要になる場面が次々と訪れます。
ライフイベントを目的にした資金までiDeCoに入れてしまうと、いざという時に引き出せず、それがデメリットになります。
ここが、20代がいちばん間違えやすいポイントです。
iDeCoは「老後のためのお金」専用の箱です。
結婚資金や住宅の頭金まで、この箱に入れてはいけません。
鍵をかけて60歳まで開けられない箱に、来年使うお金を入れる人はいませんよね。それと同じです。
もうひとつのデメリット。
iDeCoの掛金を変更できるのは、年に1回のみです。
だからこそ、最初の掛金設定で見栄を張らないことが肝心です。
20代の掛金は「下限」から始めていい
「iDeCo 20代 掛金」と検索したあなたへ、いちばん大事な結論をお伝えします。
20代の掛金は、無理のない少額から。
これが正解です。
iDeCoは月5000円から始められます。
無理をして多めに設定すると運用を続けられなくなることがあるため、無理のない金額から始めるのが良いとされています。
なぜ少額でいいのか。
20代の武器は「金額」ではなく「時間」だからです。
先ほど見たとおり、複利は時間が効きます。
月5000円でも、40年走り続ければ、雪だるまは十分に育ちます。
途中で挫折して止めてしまう月3万円より、淡々と続く月5000円の方が、ずっと強いのです。
そして、もうひとつ覚えておいてほしいことがあります。
iDeCoの掛金上限は、2026年12月から大きく引き上げられる予定です。
第2号被保険者(会社員・公務員など)の上限が月6.2万円に引き上げられる予定です。
つまり、今は小さく始めておき、年収が上がってきたタイミングで掛金を増やす、という戦略が取れます。
20代で枠を使い切る必要は、まったくありません。
順番はこうです。
まず始める。続ける。収入が増えたら増やす。
これでいいのです。
20代のポートフォリオは「シンプルでいい」
「iDeCo 20代 おすすめ銘柄」「iDeCo 20代 ポートフォリオ」を探しているあなたへ。
複雑に考える必要はありません。
20代の最大の強みは時間です。
時間があるということは、途中で株価が大きく下がっても、回復を待つ余裕があるということ。
だから、20代は積極的にリスクを取れる、数少ない年代なのです。
その前提で、シンプルな選択肢が「全世界株式(オールカントリー)」です。
考え方はこうです。
世界株式は世界中の国の株式に投資するもので、世界の人口が増え続け経済が拡大すれば、株式の価値も上がっていくと考えられています。
一本で世界中に分散投資できるため、自分で配分を悩む手間も減ります。
特に20代は老後まで約40年あるため、世界株式100%で腰を据えて投資をするのも選択肢の一つと考えられます。
商品を選ぶときの注意点は、ひとつだけ。
信託報酬(運用コスト)が低いものを選ぶことです。
40年という長期戦では、わずかなコスト差が、最後に大きな金額差になって効いてきます。
eMAXIS Slimシリーズのような、低コストのインデックスファンドが基本線になります。
もちろん、これは絶対の正解ではありません。
「値動きが大きいと夜も眠れない」という人は、債券などを混ぜたり、バランス型にして値動きをマイルドにする選択もあります。
大切なのは、自分が無理なく続けられる配分を選ぶことです。
続けられなければ、どんな名銘柄も意味がないのですから。
20代からiDeCoはやるべきか?
20代からiDeCoはやるべきか?の結論はこうです。
20代でも、生活防衛資金があり、NISAの積立も始めていて、毎月5,000円以上を60歳まで触れないお金にしても困らないなら、iDeCoはかなり有力です。
一方で、貯金が少ない方、転職や独立を予定している方、奨学金返済や住宅資金など近い将来の支出が大きい方は、いきなり始める必要はありません。
まずはNISAと現預金を優先し、iDeCoは始めるにしても最低額の月5,000円からで十分です。
ここを間違える人が多いです。
iDeCoは「得な制度」ではあります。
しかし、20代にとっては「自由に使えるお金を減らす制度」でもあります。
そしてそのお金を「未来の自分に渡す仕組み」というわけです。
つまり、老後資金ですね。
今の自分は、どうしても目の前の欲求に弱いです。
・ボーナスが入れば使いたくなる。
・口座にお金があれば、少し高い買い物をしたくなる。
・相場が下がれば投資をやめたくなる。
これは意思が弱いからではありません。
人間はそういうものです。
だから、制度の力を借ります。
iDeCoは不自由です。
でも、その不自由さが将来の資産形成を助けることもあります。
20代から月5,000円だけでもiDeCoに入れておくと、そのお金は簡単には使えません。
イメージとして老後になるまで開けられない貯金箱みたいな感じです。
これはデメリットであると同時に、最大のメリットでもあります。
この二面性を見ないまま、節税になるからと満額で始めると、あとで困る可能性があります。
まとめ
長くなりましたので、要点を整理します。
20代がiDeCoで手にできる本当の武器は、節税でも掛金の多さでもなく「時間=複利」であること。
退職所得控除も、加入年数が長い20代に有利に働くこと。
2026年の改正は気にしすぎず、出口を意識する視点だけ持てば十分なこと。
掛金は下限から始め、収入が増えたら増やせばいいこと。
ポートフォリオは全世界株式を軸に、シンプルでいいこと。
私がこのブログをずっと続けているのは、「お金の知識がないせいで損をする人」を一人でも減らしたいからです。
20代のあなたが今持っている「時間」は、私のような世代がどれだけお金を積んでも、二度と買い戻せないものです。それは、本当に、心からうらやましい。
完璧なポートフォリオを組んでから始めようとして、結局始めないこと。
それが、20代にとって唯一にして最大の失敗です。
まずは月5000円。全世界株式。それで十分です。
迷っているなら、まずは手数料無料の金融機関で口座を開くところから。
資料を眺めているだけでは、複利の雪だるまは1ミリも動きません。
最初の一歩は、思っているよりずっと小さくていいのです。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの3社から選ぼう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。
しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。
簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券の3択の中から決めます。
(※私が加入しているのはSBI証券です)
この3つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式といった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
さらに2026年10月16日からSBI NASDAQ100インデックス・ファンド、iFreeNEXT FANG+インデックスなど新たな商品も追加されます。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
さらに2024年8月1日(木)より投資信託の保有でポイントが貯まるようになり、現在の条件なら本命といっても良いでしょう。
総合して考えるとこの3つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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