先日、銀行よりも対面証券会社のほうが投資信託で損した顧客が多かった件を書いたところ反響が大きく、いくつか質問をいただきました。
今回はその中から一つ取り上げて考えてみたいと思います。
投資は一度もやったことがなく、先日からイデコを始めたのですが心配になってしまいまして・・・
具体的に教えてもらえると嬉しいです。
イデコで買ったら損をしてしまう投資信託とはどういうもののかというご質問です。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)はつみたてNISAと違って投資信託が選別されているわけではありません。
(35本制限というルールはありますが・・・)
そのためどうしても地雷的な投資信託も混じってしまっていたりするのです。
今回はそのような投資信託の見分け方をご紹介します。
また、実際のリターンがマイナスとなっている商品についても確認してみました。
なお、iDeCo(個人型確定拠出年金)ってなに?方は以下の記事をご覧ください。
この記事をみれば「iDeCo(個人型確定拠出年金)制度」から「つみたてNISAとの違い」、「おすすめ金融機関」、「おすすめ商品」、「いくら積み立てればよいのか」などを網羅的に確認することができますよ。
良い投資信託と悪い投資信託の見分け方
前述の記事にあるように対面の証券会社の中には投資信託を買った人の多くが損をしているという現状があります。
これは自社の儲けを優先するあまり、顧客が儲けるのがかなり困難な投資信託を勧めている可能性が高いと思われます。
ではどのような投資信託がそのような悪い投資信託なのでしょうか?
私が考える悪い投資信託の条件
私が考える悪い投資信託の条件は以下の3つです。
どれかでも当てはまったとしたらおすすめできない投資信託です。
信託報酬が高い
毎月分配型である
このような投資信託を売れば販売会社や運用会社は儲かります。
しかし、購入した方はなかなか儲けるのが難しいのです。
私が考える良い投資信託の条件
それではどのような投資信託が良いのでしょうか?
前述の逆の条件を満たしているのが大前提です。
毎月分配型でない
信託報酬が低い
また、その上で以下の条件を満たしていると良いでしょう。
純資産額が多い
ベンチマークとの乖離が少ない
分からなければつみたてNISA対象の投資信託を選ぼう
上記条件の一番簡単な判別方法法はつみたてNISAの対象となっている投資信託を選ぶことです。
つみたてNISAは初心者でも投資に入りやすいように金融庁が上記の条件を満たしていないような悪い投資信託を除外しています。
そのため、どれを選んでも大失敗というのがないんですよね。
ちなみにつみたてNISA対象となるには以下の条件を満たしている必要があります。
かなり細かく設定されていますね。
逆に言えば金融庁が考える良い投資信託は以下の条件を満たしているものということになりますから参考になりますね。
iDeCo(個人型確定拠出年金)でもつみたてNISA対象の投資信託は採用されている金融機関が多いです。
基本条件
- 信託契約期間が無期限又は20年以上であること
- 毎月分配型でないこと
- 一定の場合を除き、デリバティブ取引による運用を行わないこと
アクティブ運用投信の条件
- 信託の設定以来5年以上経過しており、そのうち3分の2以上の期間について資金流入超となっている実績がある
- 50億以上の純資産があること
手数料の条件
- 販売手数料が無料(いわゆるノーロード)
- 解約手数料が無料(信託財産留保額を除く)
- 国内資産のみに投資するインデックス投信 0.50%
- 海外資産を組み入れているインデックス投信 0.75%
- 国内資産のみに投資するアクティブ運用投信 1.00%
- 海外資産を組み入れているアクティブ運用投信 1.50%
その他の条件
- テーマ型投信(AIとかロボットとかその時点の流行のやつ)についても慎重にすべき
- 地域はできるだけ分散してる方が望ましい。
具体的なおすすめ投資信託
iDeCo(個人型確定拠出年金)の場合は取り扱いの投資信託が金融機関により大きく異なります。
ですから一概には言えないのですが、基本的なおすすめな投資信託は以下の記事にまとめてありますので御覧ください。
実際にマイナスとなっているiDeCoで買える投資信託
実際にマイナスとなってしまっている可能性が高いiDeCo(個人型確定拠出年金)で買える投資信託についても確認しておきましょう。
今回は取り扱い投資信託が最も多いSBI証券のリターンランキング(2019年10月末)を元に確認します。
6ヶ月リターン(ワースト5)
まずは6ヶ月リターンのワーストを見ていきましょう。
※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。
ファンド名 | 騰落率/トータルリターン | 信託報酬率(税込) |
RICIコモディティ・ファンド | -6.12% | 1.9255%程度 |
ハーベスト アジア フロンティア株式ファンド | -5.13% | 2.124%程度 |
三菱UFJDC 新興国株式インデックス | -4.14% | 0.605% |
eMAXIS SLIM 新興国株式インデックス | -3.95% | 0.2079% |
EXE-i 新興国株式ファンド | -3.01% | 0.381%程度 |
ここ半年間のワースト1位はRICIコモディティ・ファンドです。
世界のコモディティ(商品)価格の指数をベンチマークとした商品です。信託報酬はかなり高めの1.9255%程度
半年で-6.12%ですから結構下げていますね。(こちらの商品はSBI証券のオリジナルコースの商品ですが35本制限で除外予定となっています)
ワースト2位はフロンティア諸国といわれる、バングラデシュ、モンゴル、カザフスタン、スリランカ、ベトナム等の企業などに投資をするハーベスト アジア フロンティア株式ファンド。アクティブファンドです。
信託報酬はこちらもかなり高い2.124%程度となっています。
ワースト1位も2位もかなり信託報酬が高い商品がランクインしています。
リターンは確実ではありませんが、コストは必ず掛かってきますから低ければ低いにこしたことはないのです。
ワースト3位以降はすべて新興国株式のインデックスファンドですね。
この時期、新興国株が軟調でしたから仕方ない部分があります。
こういった結果からも分散投資が大事な事がわかりますね。
ちなみにこの期間にもっとも成績がよかったのはDCニッセイJ-REITインデックスファンドAで20.36%のプラスでした。
国内の不動産投資信託証券(J-REIT)に投資をするインデックスファンドです。
1年リターン(ワースト5)
次は1年リターンのワーストを見ていきましょう。
※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。
ファンド名 | 騰落率/トータルリターン | 信託報酬率(税込) |
RICIコモディティ・ファンド | -8.87% | 1.9255%程度 |
三井住友・バリュー株式年金ファンド | -4.03% | 1.43% |
つみたて椿 | -3.27% | 0.99% |
ハーベスト アジア フロンティア株式ファンド | -0.22% | 2.124%程度 |
日本株式スチュワードシップファンド | 0.38% | 1.87%+実績報酬 |
ここ1年間でマイナスとなっているのは4つの投資信託だけです。
ワースト1位は半年と同じくRICIコモディティ・ファンドですね。
ワースト2位は三井住友・バリュー株式年金ファンドです。割安銘柄を買うアクティブファンドです。
信託報酬は少し高くなっています。
(こちらの商品はSBI証券のオリジナルコースの商品ですが35本制限で除外予定となっています)
ワースト3位は女性の活躍している会社に投資をするつみたて椿です。いわゆるテーマ型投信というやつですね。
ワースト4位は半年のランキングにも登場したハーベスト アジア フロンティア株式ファンドとなっています。
総じて手数料が高い商品ばかりがランクインしていますね。
ちなみにこの期間にもっとも成績がよかったのもDCニッセイJ-REITインデックスファンドAで32.66%のプラスでした。
3年リターン(ワースト5)
最後は3年リターンのワーストを見ていきましょう。
※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。
ファンド名 | 騰落率/トータルリターン | 信託報酬率(税込) |
PIMCOジャパン・ベターインカム・ファンド (愛称:ベタイン) | 0.52% | 0.5765% |
野村日本債券ファンド(確定拠出年金向け) | 0.52% | 0.605% |
三菱UFJ 国内債券インデックスファンド(確定拠出年金) | 0.58% | 0.132% |
RICIコモディティ・ファンド | 0.78% | 1.9255%程度 |
インデックスファンド海外債券ヘッジあり(DC専用) | 1.08% | 0.286% |
ここ3年間でみるとマイナスとなっている投資信託はありません。
時期にももちろんよって変わってきますが、長期的な目で見れば多くの投資信託がプラスになることが分かりますね。
3年リターンで悪いのはRICIコモディティ・ファンド以外はすべて債券の投資信託です。
債券はリスクも低いですからどうしてもリターンは低くなります。
このあたりは仕方ない部分はありますね。
まとめ
今回は「iDeCo(イデコ)で損をしてしまうのはどんな投資信託なのか?」と題してイデコ対象の投資信託の見分け方と実際の成績についてみてきました。
結論としては
信託報酬が高い
毎月分配型である
iDeCo(イデコ)は長期投資となりますから信託報酬等が安いインデックスファンドを分散で買うのが定石でしょうね。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの5社から選ぼう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。
しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。
簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券、大和証券、楽天証券の5択の中から決めます。
(※私が加入しているのはSBI証券です)
この5つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
SBI証券は運営管理手数料が無条件で0円ですし、なにより運用商品が豊富で選択の幅が広いです。現状最強のラインナップを誇ることになります。
また、他の証券会社に先んじて確定拠出年金の取扱をはじめてますから安心感が強いですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
マネックス証券はeMAXIS Slimを多く取り扱っており、信託報酬がほとんど最安値水準でスキがありません。また、iDeCoでいち早くiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスの取り扱いをはじめたところも大きなポイントになりますね。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
2020年10月18日から取り扱い商品が大幅拡充されました。
人気となっているeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドなども採用され最強ラインナップといっても過言ではない充実ぶりですね。
大和証券
大和証券 iDeCoは大手証券会社でありながら、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)にもかなり力を入れています。
他のネット証券と違い店舗が全国各地にたくさんあります。そこに魅力を感じる方にはおすすめできますね。
また、取扱商品もダイワつみたてインデックスシリーズなど信託報酬が安めの商品を取り揃えています。
運営管理機関手数料が無条件で無料ですし、商品も充実したことで選択肢となりえる金融機関になりましたね。中国株、ロシア株、ブラジル株のファンドへ投資できるなど特徴的な商品があるのが他との差別化要因かな。あとはiFreeシリーズ、とくに米国株さえ入れば十分に他と競争できると思いますので期待したいところです。
楽天証券
楽天証券は楽天・全世界株式インデックス・ファンドや楽天・全米株式インデックス・ファンドといった自社の人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。
この2つのファンドは人気ですね。
楽天証券は楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド、楽天・S&P500インデックス・ファンド、楽天・全世界株式インデックス・ファンド、楽天・全米株式インデックス・ファンドといった楽天ブランドの人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。今後は楽天SPUの対象になったりしたらかなり面白い存在ですね。
総合して考えるとこの5つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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