ここ数年、大手企業でも副業を解禁しています。
特に今年は働き方改革を政府が謳っていますので一気にその流れが来た感じですね。
そのような流れが来ていることもあり、クラウドワークス、モノオク、メルカリ、ブログなど個人が副業がしやすい環境も整ってきています。また、ちょっと収益化までのハードルは高いですが、YouTuberになる方も増えていますね。
そのため、年末調整だけでは所得税や住民税が決まらず確定申告が必要な方も増加中です。今年から副業を始めた多くの方は確定申告は初めての方も多いでしょう。そのため、確定申告はなにから手を付けて良いのかわからないという話もよく聞きます。
そこで今回は初めての確定申告をする方向けに少しでも楽したいならやっておきたい事前準備をご紹介しておきます。
今回ご紹介することをやっておけば確定申告はそれほど難しくもないですし、大変でもありませんよ。
なお、確定申告が必要となる条件等はこちらの記事を御覧ください。
確定申告のために事前に準備しておきたいこと
まずは結論から書いておきましょう。
少しでも簡単にさらにお得に確定申告を終わらせたいならやっておきたい事前準備は以下の5点です。
○会社勤めなら源泉徴収票、それ以外なら社会保険、生命保険等の控除証明を保管しておく(ほぼ必須)
○取引データを取得しておく(ほぼ必須)
○電子申告に必要な手続きを終わらせておく(任意)
○青色申告の手続きをしておく(任意)
○インボイスの手続きをしておく(任意)
特にクラウド会計と電子申告にするとかなり簡単に済みます。
領収書・レシート・請求書を保管
まず、最低限やっておきたいのが仕事で使った支払いを証明するものを残しておくことです。
具体的には領収書、レシート、請求書です。
最悪これらがあれば、確定申告を税理士さんに丸投げも可能です。
ですから最低やっておきたいのがこれらの書類をとっておくことです。
私の場合はこんなファイルにあとから処理しやすいように項目別に区分していれていますね。
領収書等は保管義務がある
ちなみにこれら書類は保管義務が課せられています。
保管しなければいけない期間は以下のとおりです。(青色申告と白色申告の違いは後述します)
青色申告
※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。
保存が必要なもの | 保存期間 | ||
---|---|---|---|
帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など | 7年 | |
書類 | 決算関係書類 | 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など | 7年 |
現金預金取引等関係書類 | 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など | 7年 | |
その他の書類 | 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) | 5年 |
出所:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」より
上記のように領収書などは7年、請求書、見積書、契約書などは5年の保存が義務付けられています。
実はこれら書類は確定申告時に提出しなければならない書類ではありません。
集計結果を確定申告書に記載して提出するだけです。
それだけなのになぜこんなに長いあいだ保管しなければならないかというと、それら書類は確定申告が本当に正しいのかを示す証拠だからです。
税務調査やお尋ねがきたときなどにそれら書類がなければそれらの支払いがあったことを証明できないため、必要経費として認められない可能性があります。そうなれば追加で税金を払わないければならなくなります。
領収書等を保管しておくのは証拠をとっておいて自分を守るために必要であると覚えておきましょう。
白色申告
※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。
保存が必要なもの | 保存期間 | ||
---|---|---|---|
帳簿 | 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) | 7年 | |
業務に関して作成した上以外の帳簿(任意帳簿) | 5年 | ||
書類 | 決算に関して作成した棚卸表その他の書類 | 5年 | |
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類 | 5年 |
出所:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」より
白色申告なら書類を保存しなくても良いと思っている方も多いですが、実は白色申告でも記帳・帳簿等の保存制度が設けられています。
つまり、白色申告の方でも書類の保管は必要なのです。(青色申告の方より少しだけ期間は短くなっていますが)
届け出を出しておけば電子データでの保存もOK
実は領収書等を紙で保管しておかなくてもスキャナー等で取り込んだ電子データで保管する方法もあります。
電子帳簿保存法という法律があるんですよ。
あらかじめ、届け出を出して所轄税務署長の承認を得ておけば電子データでの保存でも認められるようになります。
7年分保存となると場所も取りますのでそちらを検討してみても良いかも知れませんね。
ちなみに後述するクラウド会計は電子帳簿保存ともとても相性がよいです。
ちなみ青色申告で申告する場合に電子申告か電子帳簿保存法の適用を受けていると控除が増える特典もあります。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
年間10万円を超えるようなら医療費の領収書も保管しておこう
医療費が年間10万円以上(その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)払っている人は医療費控除が受けられます。
医療費控除はセンシティブな内容を含むため会社に申請したくないって人が多いことから年末調整の対象にされていないため確定申告の対象なんですよ。
ですから領収書を取っておく必要があります。
ちなみに市販薬などでも対象となりますのでそれら領収書も取っておきましょう。
病院までの交通費なども対象となります。
また、セルフメディケーション税制といって該当する対象商品を年間12,000円以上購入した場合に、税制優遇が受けられる制度もあります。(医療費控除との選択適用)これらの領収書がある場合は確認してみましょう。
源泉徴収書もしくは保険控除等の証明書を保管
次は会社員の方なら源泉徴収票、それ以外の方なら各種控除証明書等を保管しておくことです。
源泉徴収票
会社員の方は源泉徴収票が年末調整時等にもらえるはずです。
そちらを無くさず確定申告時まで保管しておきましょう。
源泉徴収票自体は2019年4月からは確定申告へ添付の必要性はなくなっています。
しかし、確定申告書を作る際の資料として必要ですから保管しておきましょう。
源泉徴収票もらえない、すでになくしてしまった、もらっていない場合は以下の記事を御覧ください。
生命保険・地震保険の控除証明
会社員の方の場合には年末調整ですでに生命保険の控除証明等を提出していると思います。
ですから年末調整にその部分は反映されていますので源泉徴収票があれば生命保険の控除証明は不要です。(会社保管になっていると思いますが)
自営業者の方たちは年末調整が済んでいませんのでそれらも含めて確定申告書に記載が必要となります。
そのため、生命保険屋地震保険の控除証明は必ず保管しておきましょう。
これらは自己申告制ですから年末調整か確定申告で申告しなければせっかくの控除でも対象となりません。
怪しい書類がきたらとりあえず保管しておく癖をつけておくと良いでしょう。
社会保険料控除
次は社会保険料控除です。
その年に納めた社会保険料が対象となります。
社会保険とは年金や健康保険のことで払った金額全額が控除対象となります。
会社勤めの場合には社会保険は給料から自動で落ちますので年末調整で反映されています。源泉徴収票があればそれでOKです。(転職している方も現職に前職の源泉徴収票を提出していればその部分も反映されています)
自営業者の方などは控除証明書が送られてきますのでそちらを保管しておきましょう。
また、配偶者や家族の分の健康保険や国民年金などの社会保険を払ったも対象となります。
これも忘れがちなので該当する方は確認してみましょう。
iDeCo、小規模企業共済の控除証明
小規模企業共済や個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入している方も控除証明が送られてきますので保管しておきましょう。
なお、会社員の方は個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)は年末調整の給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書に適切に記載しておけば考慮済となっています。
ですから源泉徴収票があればそれでOKです。
年末調整時に提出を記載を忘れていた場合には確定申告で申請すれば反映されますのでご安心ください。
寄付金控除
一定の要件を満たした寄付を行った方は寄附金の受領証(領収書)も保管しておきましょう。
こちらも確定申告に必要な書類となります。
また、ふるさと納税も同様で、下記のワンストップ特例を使っていない場合は寄附金の受領証(領収書)が必要となります。
ふるさと納税のワンストップ特例
なお、ふるさと納税も寄附控除の対象なのですが、ふるさと納税に関してはワンストップ特例という制度をつかうと年末調整のみで完結することになります。
ふるさと納税の寄附時にワンストップ特例を適用した場合は確定申告は不要です。
しかし、適用を忘れてしまった場合にふるさと納税で寄付金控除を利用したい場合は確定申告が必要ととなります。
取引データを取得しておく
次に必要なのが取引データをしっかり残しておくことです。
多くの方は銀行振込等でお金をもらっていると思います。
それらをわかるようにしておく必要があるのでです。
こまめに通帳記帳をしておこう
やる必要があるのがこまめな通帳記帳です。
こちらも銀行によりますが、古い取引は下記のようにまとめて記帳されてしまいます。
仕訳をしようにもまとまっていては処理ができないんですよ。銀行等に要求すれば上記のようにまとまってしまった取引データの詳細をもらうことはできますが、時間がかかりますし、手数料を取る銀行もあります。
ですからこまめな通帳記帳は必要です。
また、クレジットカードもあまり古い履歴は残らない場合が多いですからそれらは印刷するなどして保管しておく必要があります。
クラウド会計を使うとかなり楽
こちらは完全に任意ですがクラウド会計を利用するのがオススメです。
確定申告をするためには帳簿を作る必要があります。
しかし、慣れない方にはかなり難しいですよね。
それを簡単にしてくれるのがクラウド会計です。
クラウド会計を使うと帳簿を作るのに必要な仕訳という作業を基本的に自動でやってくれるんですよ。
仕組みとしては銀行のオンラインバンキングなどと連動して自動でその取引を判別して仕訳をしてくれるのです。
これが超絶便利なんですよ。
早めの契約が吉
ただし、自動仕訳をやるにはクラウド会計を早めに契約しておく必要があります。
自動で仕訳をするためのデータ取得は銀行のオンラインバンキングやクレジットカードの明細データと紐付いています。
それらデータは金融機関にもよりますが、3ヶ月程度しか保管されない場合がほとんどです。
ですから早めに契約してデータだけでも落としておかないと結局、手作業が発生してしまうんですよ。
早めに契約して金融機関の登録だけは済ませておくのがオススメです。
オススメのクラウド会計
クラウド会計と言ってもいろいろ種類があります。
好みはあるでしょうからまずは無料期間でお試ししてみると良いでしょう。
ちなみに私はマネーフォワードを使っていますがかなり満足していますよ。
CHECK! マネーフォワードクラウド確定申告
電子申告に必要な手続きを終わらせておくこと
次にぜひやっておきたいのが電子申告(e-TAX)の手続きです。
電子申告も任意ですが、大きなメリットがあります。
まずひとつ目が混んでいる税務署に行かなくても済むことです。
確定申告時期の税務署はかなり混雑していますので待ち時間も本当に長いです。
それが解消されるだけでも大きいでしょう。
また、還付のある方などは電子申告の方が還付もかなり早いんですよ。
その他、青色申告で申告する場合に電子申告か電子帳簿保存法の適用を受けていると控除が増える特典もあります。
ですから基本的には電子申告の利用をオススメします。
電子申告にはまだまだいろいろ問題がありますが、仕組み自体は難しくはありません。
ただし、MAC使いの方はけっこう大変ですよ。。。詳しくは私の例を御覧ください。
マイナンバーカード方式
まずひとつ目はマイナンバーカードを使う方式です。
マイナンバーカードを利用するとポイントが貯まる制度を導入するという話もでていますのでそれを目当てに早めに作っておくのもよいかもしれません。
マイナンバーカードの発行方法等はこちらの記事を御覧ください。
なお、マイナンバーカードの発行にはそれなりに時間がかかりますのでお早めにどうぞ。
また、マイナンバーカードでe-TAXするためにはマイナンバーカードの他に下記のようなICカードリーダーもしくは対応スマホが必要となります。
ID・パスワード方式
もう一つ方法があります。
税務署でIDとパスワードを発行してもらう方法です。
こちらの場合はマイナンバーカードもICカードリーダーも不要で電子申告が可能です。
ただし、一度税務署に足を運んでe-Taxの開始届出書の提出が必要となります。
青色申告等の手続きをしておく
クラウド会計等を使って確定申告するならぜひオススメしたいのが青色申告です。
確定申告は大きく分けて青色申告と白色申告の2つのパターンがあり、青色申告については税金面で優遇が受けれるのです。
簡単に言えば青色申告とは帳簿の付け方のルール守ってちゃんとやっていますよってことです。ちゃんとやっているならご褒美として控除してあげるよってのが青色申告特別控除です。
具体的には以下のルールを守る必要があります。
⑵申告書に貸借対照表と損益計算書などを添付
⑶期限内申告
簿記の知識がないとちょっと分かりにくい書き方ですが、クラウド会計等を利用してちゃんとやれば上記の要件を満たすことができます。
青色申告をする場合としない場合
青色申告特別控除は65万円もしくは10万円の控除が受けられます。
65万円の青色申告特別控除が受けられれば65万円経費を使ったとか売上げを下げたと同じ効果がありますので税金面で安くなるのです。
例えば所得が5,000,000円だったとしましょう。基礎控除だけだとして計算すると白色申告だと所得税、住民税、国民健康保険等を合わせて約1,450,000円くらいかかります。それが青色申告だと約1,200,000円となります。(自治体により相違あり)
250,000円も差が出てくるんですよね。
青色申告の手続き
青色申告をするには税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
また、個人事業の開業届を出していない方は「個人事業の開業・移転・廃業等届出書」も提出する必要があります。
税務署などで必要な書類セットみたいなのを配布していますのでそちらをもらってくると良いでしょう。
インボイスの手続き
企業を相手に商売をする方はインボイスの手続きも必要となります。
あらかじめインボイス番号を取得し、請求書等に記載しておかないと取引が行えない可能性があります。
ただし、インボイス番号を取得すると消費税の納税義務が発生しますからそのあたりを勘案して検討する必要があります。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
まとめ
今回は「初めての確定申告。少しでも楽したい得したいなら事前準備しておきたい5つのこと」と題して確定申告前に準備しておきたいことをご紹介しました。
今回ご紹介したことを事前に準備しておけば確定申告はそれほど難しくありませんし、お得にすることできますよ。
ぜひご実行してみてくださいね。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。