個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)は本サイトでも何度か取り上げているように非常にお得な制度です。
しかし、使い勝手の面でいえばまだまだ改善の余地がある制度であることも確かでしょう。
そこで定期的に制度の見直しが行われています。
今回は各団体から出されている個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の改善要望のうち注目すべき内容をまとめてみました。
実現してほしいな・・・ってのも多いですね。ただし、これはやめたほうが・・・ってものありました。
今後は各団体からの意見をまとめて実現、非実現が決められる流れとなります。
なお、iDeCoってなに?方は以下の記事をご覧ください。
この記事をみれば「iDeCo(個人型確定拠出年金)制度」から「つみたてNISAとの違い」、「おすすめ金融機関」、「おすすめ商品」、「いくら積み立てればよいのか」などを網羅的に確認することができますよ
なお、今回の話は第13回、題14回の 社会保障審議会 企業年金・個人年金部会に提出された資料からのものとなります。
特別法人税の全面廃止
まずは特別法人税の全面廃止です。
これは各団体からも毎回のように出ている要望です。
特別法人税は現在、凍結中で課税されていません。
しかし、それが解除されると利益ではなく積立金(拠出金+運用益)に対して年率1.173%の課税がされるということになります。
一般社団法人生命保険協会が試算した特別法人税の影響は下記のとおりです。
出所:一般社団法人生命保険協会 平成29年度税制改正に関する要望 より
特別法人税が復活すると、25年間の積立では年金給付額に換算して年金月額3.9万円だったのが年金月額3.13万円に削減されます。つまり、20%も削減されるのです。
これが再開されてしまえばiDeCoの魅力はかなり薄くなってしまいます。(解約できるならしたいレベルで・・・)
当然、他の国では課税されていないんですよ。
出所:日本証券業協会・投資信託協会・全国証券取引所協議会 令和3年度税制改正に関する要望説明資料より
そのため、多くの団体が全面撤廃を要望しています。
個人的にはこちらは全面賛成です。
詳しくはこちらを御覧ください。
老齢給付金の支給期間についての要望
次は老齢給付金の支給期間についてです。
現状老齢給付金の支給期間は5年〜20年とされています。
それを規約に定めた期間と自由度をもたせるという要望です。日本証券業協会 、 投資信託協会 、 全国証券取引所協議会から出されています。
特に年金ですから終身を希望する方なんかも多いですから実現すれば喜ぶ方も多いでしょう。
ただし、現状の金利水準だと終身が可能になったとしてもかなり微妙な状況になりそうな予感もしますが・・・
個人的にはこちらは基本的には賛成です。終身になった際の扱いがどうなるのかはちょっと気になるところではありますが・・・
現状の受け取りルール等についてはこちらを御覧ください。
年金型給付専用商品の採用
次は前述の老齢給付金の支給期間の変更と絡んでくる話ですが、「年金型給付専用運用商品」の採用を要望しています。こちらも日本証券業協会 、 投資信託協会 、 全国証券取引所協議会から出されています。
年金型給付専用運用商品とは始めから年金形式で受け取ることをイメージして設計された商品のことです。
企業型年金などではすでにありますね。
ただし、個人的な感想としてはあまり魅力的には感じませんね。
保険型商品になっており、手数料が高くなっているんですよ。
個人的な意見としては選択肢が広がることはよいと思いますが、私は絶対利用しない商品だと思います・・・
投資アドバイスや投資一任による運用を可能とする
iDeCoの顧客に対して全体的な資産運用に関する個別相談に対応するべく、 有価証券に関する一定の資格要件を満たす者からの投資アドバイスや投資一任による資産運用支 援を行うことを可能とする。という要望です。こちらも次も日本証券業協会 、 投資信託協会 、 全国証券取引所協議会から出されています。
投資一任とは簡単に言えば証券会社や銀行に資産運用を丸投げ(一任)する方法です。
ファンドラップなどがそれにあたります。
個人的にファンドラップは手数料が高くおすすめしませんので微妙な気もします。
拠出限度額水準について
iDeCoの拠出限度額の水準については各団体で意見が異なっています。
●日本証券業協会 、 投資信託協会 、 全国証券取引所協議会:iDeCoの拠出限度額を月額2万円に統一するとの提案については、証券界の要望の実現に一歩近づくことから、賛成する。
●全国銀行協会:加入者の属性により異なる拠出限度額を一律の設定(第1号被保険者6.8万円、第2号・第3号被保険者2.3万円)とし、 公平でわかりやすい制度とすることをご検討いただきたい
●日本損害協会:第 2 号被保険者全体で拠出限度額について、企業型、DB の有無に関わらず月額 2.3 万円に統一することを希望
●企業年金連絡協議会:拠出限度額が現行より増額されることに賛同する。企業型DCもDBも実施していない場合の個人型DC月額2.3万円は、DC・DBの事業主掛金月額5.5万円との金額差の是正が必要と考える
金額については意見がわれるところのようです。
拠出限度額を上げればそれだけ税収の下がるわけですからバランスが難しいところではありますね。
拠出限度額をわかりやすくするというのはどこも意見は同じようです。
仮想掛金額という新しい考え方もでてきているようです。
公的年金等の控除額拡充
次は公的年金等の控除額の拡充です。信託協会からの提案です。
iDeCoの受取時に一時金なら退職金控除の対象となります。
年金なら公的年金等控除の対象となります。
年金で受け取る場合には他の年金との兼ね合いになりますが、多くの方は所得税等が発生する水準になるでしょうから控除が拡充されるのがありがたい話ではあります。
まとめ
今回は「iDeCo(イデコ)についての各団体からの様々な要望。実現してほしいものもあれば罠的なものも・・・」と題して各団体からの要望を見てきました。
特別法人税なや控除額の拡充など実現してほしい内容もありましたし、年金型給付専用運用商品や投資一任など金融機関を儲けさせるための話のようなものもありました。
これらはあくまでの各団体が要望しているだけの段階ですからこのまま実現するわけではありませんが注目しておきたいところですね。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの5社から選ぼう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。
しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。
簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券、大和証券、楽天証券の5択の中から決めます。
(※私が加入しているのはSBI証券です)
この5つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
SBI証券は運営管理手数料が無条件で0円ですし、なにより運用商品が豊富で選択の幅が広いです。現状最強のラインナップを誇ることになります。
また、他の証券会社に先んじて確定拠出年金の取扱をはじめてますから安心感が強いですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
マネックス証券はeMAXIS Slimを多く取り扱っており、信託報酬がほとんど最安値水準でスキがありません。また、iDeCoでいち早くiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスの取り扱いをはじめたところも大きなポイントになりますね。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
2020年10月18日から取り扱い商品が大幅拡充されました。
人気となっているeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドなども採用され最強ラインナップといっても過言ではない充実ぶりですね。
大和証券
大和証券 iDeCoは大手証券会社でありながら、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)にもかなり力を入れています。
他のネット証券と違い店舗が全国各地にたくさんあります。そこに魅力を感じる方にはおすすめできますね。
また、取扱商品もダイワつみたてインデックスシリーズなど信託報酬が安めの商品を取り揃えています。
運営管理機関手数料が無条件で無料ですし、商品も充実したことで選択肢となりえる金融機関になりましたね。中国株、ロシア株、ブラジル株のファンドへ投資できるなど特徴的な商品があるのが他との差別化要因かな。あとはiFreeシリーズ、とくに米国株さえ入れば十分に他と競争できると思いますので期待したいところです。
楽天証券
楽天証券は楽天・全世界株式インデックス・ファンドや楽天・全米株式インデックス・ファンドといった自社の人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。
この2つのファンドは人気ですね。
楽天証券は楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド、楽天・S&P500インデックス・ファンド、楽天・全世界株式インデックス・ファンド、楽天・全米株式インデックス・ファンドといった楽天ブランドの人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。今後は楽天SPUの対象になったりしたらかなり面白い存在ですね。
総合して考えるとこの5つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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