2022年4月からの年金制度改正内容を解説。受給開始年齢、在職中の年金受給、被保険者の適用拡大など

あまり報道されていないのでご存知無い方も多いようですが、2022年4月から年金制度で一部改正があります。

受給開始年齢、在職中の年金受給、被保険者の適用拡大など様々な変更なんですよ。

老後の働き方が変わってくる、変える必要がある内容も含まれていますのでしっかり理解しておきたいところ。

今回は2022年4月からの年金制度の改正について解説していきます。

2022年4月からの年金制度の改正の概要

まずは今回の改正内容(年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律 令和2年法律第40号)の概要から解説していきます。

なぜ改正するの?

今回の改正は以下の目的で行われます。

より多くの人がより長く多様な形で働く社会へと変化する中で、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るため、短時間労働者 に対する被用者保険の適用拡大、在職中の年金受給の在り方の見直し、受給開始時期の選択肢の拡大、確定拠出年金の加入可能要件の見直し等の措置を講ずる。

出典:厚生労働省 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました より

簡単に言えば世の中の変化に合わせた年金制度に変更していきましょうよってことですね。

特に少子高齢化、健康寿命が延伸、女性の社会進出、人手不足など変化が大きいのでしょうね。

主な改正内容

今回の改正細かいところも含めればかなりの量の改正です。

項目としては以下の分野が改正されます。

  • 被用者保険の拡大
  • 在職中の年金受給の在り方の見直し
  • 受給開始時期の選択肢の拡大
  • 確定拠出年金の加入可能要件の見直し

順番に解説していきましょう。



被用者保険の拡大

まずは被用者保険の拡大です。

これは簡単に言えば厚生年金などの加入条件が変わるということ。

具体的には以下です。

短時間労働者への適用拡大

今まで大企業に課せられていた短時間労働者の社会保険加入。

その条件を少しずつ緩めて行こうということです。

ちなみに短時間労働者の社会保険加入の条件は以下の通りとなっていました。

1. 1週あたりの所定労働時間が20時間以上
2. 給料が月額8万8000円以上
3. 社会保険の対象となっている従業員(被保険者)数501人以上の企業に勤めていること。
4. 雇用期間が1年以上の予定
5. 学生以外(夜間・定時制は除く)

その要件が2つ変更となります。

会社規模要件

今までは501人以上の企業が対象だったのが2022年10月には100人超の会社までが対象となり、2024年10月には50人超まで対象が広がる形となります。

100人超となると新たに45万人が社会保険の対象に。

50人超となるとさらに65万人が対象となります。

短時間労働者の社会保険適用拡大

出典:厚生労働省 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要より

1年以上見込み要件

また、2022年10月から雇用期間が1年以上の予定というルールも撤廃され、フルタイムの被保険者と同様の2ヶ月超の要件を適用となります。

当然、主婦のパートの方などの扶養への影響もありますのでそのあたりも加味して働き方を見直す必要がありそうですね。

非適用業種の見直し

もう一つが弁護士・司法書士・行政書士・土地家屋調査士・公認会計士・税理士・社会保険労務士・弁理士・公証人・海事代理士の事務所を適用業種に追加するというものです。

今まで個人事業所の場合には、強制適用事業所の範囲は、法定された16の業種のいずれかに該当し、常時5人以上の従業員を使用するものに限られていました。

被用者保険の非適用業種の見直し

出典:厚生労働省 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要より

士業は法定16業種には入っていなかったので個人事業主の場合は任意での適用となっていたのです。

しかし、士業は事務処理能力があることや法律上法人化しにくいケース(できないケースも)もあり今回適用することにしたとのこと。

士業の事務所を経営している方、勤めている方には大きな影響がありますね。

なお、こちらの変更は2022年10月からとなります。



在職中の年金受給の在り方の見直し

次は在職中の年金受給です。

こちらもいくつか重要な改定が入っています。

在職定時改定

まず、在職定時改定という制度が導入されます。

今までの制度は老齢厚生年金の受給権を取得した後に就労した場合、資格喪失時(退職時や70歳到達時)の加入実績にもとづいて老齢厚生年金額が改定されていました。

つまり、退職などをするまでもらえる年金には反映されなかったんですよ。

在職定時改定

出典:厚生労働省 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要より

そこで上記のように在職中であっても年1回(10月分から)改定を行い年金額に反映されるようになったのです。

つまり、年金をもらいながら働きやすくなったってことですね。

例えば月額20万円の報酬で1年働いていた方は在職定時改定で翌年から年13,000円(月1,100円)程度年金が増えることになります。

  • 月額10万円:年7000円(月500円)程度
  • 月額20万円:年13,000円(月1,100円)程度
  • 月額30万円:年20,000円(月1,600円)程度

詳しくはこちらの記事を御覧ください。

在職老齢年金制度の見直し

もう一つが在職老齢年金制度の見直しです。

今までの制度は60歳から64歳の方が年金を受け取る場合に、給料と年金の学が28万円を超えると年金の支給が超えた分が停止されるという制度となっていました。

そのため、働き方を調整する方が多かったですよ。

在職老齢年金制度の見直し

出典:厚生労働省 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要より

そこで現行の65歳以上の 在職老齢年金制度(高在老)と同じ「47万円」に引き上げることになりました。

60歳から64歳の方でそこそこ給料をもらっている方にとっては大きな話となりそうです。

こちらは2022年4月施行となります。

受給開始時期の選択肢の拡大

次は受給開始時期の選択肢の拡大です。

簡単に言えば受給開始時期の上限を、70歳から75歳に引き上げられるのです。

受給開始時期の選択肢の拡大

出典:厚生労働省 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要より

今までは

70歳までの繰り下げの場合には42%の増額(月0.7%✕60ヶ月)

が最高の増額でした。それが

75歳までの繰り下げの場合には84%の増額(月0.7%✕120ヶ月)
と大きく増えたのです。
年金をもらうタイミングを遅らせることで1回あたりの年金を増やせるのです。

ただし、これ判断が難しいところなんですよ。

こちらは2022年4月施行となります。

こちらの記事でシュミレーションをしていますので自分はどうすべきなのか考えておきましょう。




確定拠出年金の加入可能要件の見直し

次は確定拠出年金の加入可能要件の見直しです。

iDeCoの受給開始時期が上限が75歳に

2022年4月から年金の繰り下げが75歳まで可能になるのに合わせて、iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型確定拠出年金の受給開始時期も75歳に遅らせることができるようになりました。

受給を遅らせるということはそれだけ長い期間非課税で運用できるということになりますのでお得ですよね。

iDeCoの加入年齢変更

2022年5月からiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入年齢が変更となります。

iDeCoは65歳まで企業型確定拠出年金は70歳までが加入対象に変更になります。(企業型確定拠出年金は企業によって加入できる年齢が異なります)

今まではイデコの加入年齢は60歳まででしたから5年かけられる期間が伸びたということですね。

詳しくはこちらの記事を御覧ください。

まとめると公的年金も私的年金(イデコなど)も加入時期、受給時期とも長くなってきている感じです。
公的年金、私的年金の加入・受給の全体像
出典:厚生労働省 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要より

iDeCoと企業年金の併用がしやすく

2022年10月からはiDeCoを利用できる方が大きく増えます。

今まで企業型確定拠出年金加入者がiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入するには会社側がルール変更して規約を作り直し、労使で合意を取り付けるなどかなりの労力が必要でした。

けっこう大変ですからiDeCo加入の希望者が少ない場合には会社が対応しないケースも多かったんですよ。

そのため、iDeCo(イデコ)に入りたくても入れないという方がかなり多かったんですよ。

今回の改正ではこのルールを撤廃して、企業型定拠出年金制度は厚生年金被保険者であれば、個人型確定拠出年金制度及び農業者年金制度は国民年金被保険者であれば、それぞれ加入可能とする。とされました。

基本的にiDeCo(イデコ)にみなさん加入できることになります

ただし、企業型DCにおいて加入者掛金を拠出(マッチング拠出)している場合などには、iDeCoに加入できません

今までは会社がマッチング拠出を導入してるだけで加入できなくなっていましたが、本人が拠出していなければ加入できると緩和されたのです。

つまり、一律で会社単位で加入の是非を決めるのではなく、個人単位での判断になるってことですね。

詳しくはこちらを御覧ください。

その他の企業年金・個人年金の改善

他にも細かい改善があります。

まとめてご紹介しましょう。

  • 企業型DCの軽微な規約変更は届け出不要(公布日から6ヶ月以内)
  • マッチング拠出かiDeCo加入かを加入者ごとに選択できるようにする(2022年10月施行)
  • 外国籍人材が帰国する際に、公的年金と同様、脱退一時金を受給できるようにする。(2022年5月施行)
  • DBからiDeCoへの年金資産の移換と、加入 者の退職等に伴う企業型DCから通算企業年金への年金資産の移換を可能とする。 (2022年5月施行)




その他

他にも細かい改定があります。

国民年金手帳の廃止

年金手帳が廃止される事になりました。

年金手帳とは公的年金制度(国民年金、厚生年金など)の加入者に交付されている手帳のことで、年金等の手続きの際に使っていました。

それが廃止され「基礎年金番号通知書」に変更されます。

詳しくはこちらの記事でまとめております。

未婚のひとり親等の申請全額免除基準の追加

2020年からひとり親控除なる制度ができていますが、それと国民年金の申請全額免除基準が合致していない部分がありました。

そこで未婚のひとり親等に対する税制上の措置に対応できるようにするため、政令委任の 規定を設けることになりました。

つまり、ひとり親の方が申請全額免除が受けやすくなるということです。

脱退一時金制度の見直し

外国人の方が国民年金なんかに加入した場合の脱退時の返金(脱退一時金)の条件が変わります。

支給上限年数について、現行の3年から5年に引き上げられます。(具体の年数は政令で規定)

3年超えると脱退一時金はもらえなくなっていましたので掛け損となっていたので、短期滞在の外国人の方にとってはありがたい改正ですね。

児童扶養手当と障害年金の併給調整の見直し

今まで、障害年金額が児童扶養手当額を上回ると児童扶養手当を受給できませんでした。

その併給調整が見直されます。

児童扶養手当と障害年金の併給調整の見直し

出典:厚生労働省 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要より



まとめ

今回は「2022年4月からの年金制度改正内容を解説。受給開始年齢、在職中の年金受給、被保険者の適用拡大など」と題して2022年4月から大きく変わる制度について解説してきました。

今回の改正の多くは老後でも働きやすくなるものでしたね。

今後の働き方にも大きく影響する話ですから制度をしっかり理解しておきましょう。

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