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【税金が減っても実は損してる?】株の確定申告で国民健康保険料が跳ね上がるワケ

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【税金が減っても実は損してる?】株の確定申告で国民健康保険料が跳ね上がるワケ

「配当控除で税金を取り戻そう」。

そう考えて確定申告した結果、国民健康保険料が数十万円も跳ね上がった。

実はこの"逆転負け"を経験する投資家が急増しています。

令和6年度からの課税方式統一で、かつての裏技はもう使えません。

本記事では、あなたが本当に得する選択肢を、具体的な数字で明らかにします。

目次

配当金の税金、「申告すれば得」は本当か?

株式投資で配当金を受け取ったとき、多くの投資家がこう考えます。

「確定申告すれば税金が戻ってくるらしい」

たしかに、これは間違いではありません。

配当金を総合課税で確定申告すると、「配当控除」という仕組みが使えます。

課税所得が695万円以下であれば、源泉徴収の20.315%よりも税率が下がり、所得税・住民税が還付される可能性があります。

しかし、ここに大きな落とし穴があるのです。

確定申告をした瞬間、その配当所得は「国民健康保険料の算定対象」に組み込まれます。

所得税で数万円戻ってきたのに、国民健康保険料が十数万円も増えてしまう。

差し引きすると完全に赤字。

こんな"逆転現象"が、とくにFIRE達成者やフリーランスの投資家を直撃しているのです。

あなたは、それでも総合課税を選びますか?

なぜ確定申告すると国民健康保険料が上がるのか

まず、国民健康保険料の計算の仕組みを押さえておきましょう。

国民健康保険料は、大きく「医療分」「後期高齢者支援金分」「介護分(40〜64歳)」の3つで構成されています。

そして、それぞれに「所得割」と「均等割」があります(市町村により計算方法等は多少違います)

ここで重要なのは「所得割」の部分です。

所得割は、前年の総所得金額等から住民税基礎控除の43万円を引いた「賦課基準額」に、自治体が定める料率をかけて算出されます。

つまり、所得が増えれば増えるほど、国民健康保険料も上がる仕組みになっているのです。

そして、ここがポイントです。

特定口座(源泉徴収あり)で受け取った配当金や譲渡益は、確定申告をしなければ、この「総所得金額等」には含まれません。

つまり、国民健康保険料の計算に一切影響しないのです。

ところが、確定申告をした途端、その所得が住民税にも反映され、国民健康保険料の算定対象に加わります。

ここに「申告すれば得」という単純な計算が崩れる原因があります。

令和6年度からの「課税方式統一」がもたらした激震

かつては、この問題に対する"裏技"がありました。

具体的には、所得税では総合課税を選んで配当控除の恩恵を受けつつ、住民税だけは「申告不要」を選択するという裏技です。

  1. 所得税:総合課税を選んで確定申告し、「配当控除」で税金を取り戻す。
  2. 住民税:「申告不要制度」を選び、所得を隠す(申告しない)。
  3. 国民健康保険料:住民税の所得情報を元に計算されるため、保険料は上がらない。

これが、かつての「黄金の節税ルート」でした。

住民税で申告不要を選べば、国民健康保険料の算定にも配当所得が含まれないため、いいとこ取りができたのです。

しかし、このルートは完全に封鎖されました。

令和6年度(令和5年分の確定申告)以降、所得税と住民税で異なる課税方式を選択することができなくなったのです。

これが意味するところは重大です。

所得税で総合課税を選べば、住民税も自動的に総合課税。

その結果、配当所得が住民税の合計所得金額に算入され、国民健康保険料・後期高齢者医療保険料・介護保険料の算定にもダイレクトに影響します。

さらには、扶養控除や配偶者控除の判定、住民税非課税世帯の判定、高額療養費の自己負担限度額区分にまで波及します。

要するに、「申告する」という選択がもたらす影響の範囲が、以前とは比べものにならないほど広くなったのです。

配当金の3つの課税方式を整理する

ここで改めて、配当金の3つの課税方式を整理しましょう。

申告不要制度(源泉徴収のみ)

配当金の支払い時に20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が自動的に源泉徴収されます。

確定申告は不要で、国民健康保険料の算定にも影響しません。

手間もかかりません。

総合課税

他の所得と合算して累進税率で課税されます。

配当控除が使えるため、課税所得695万円以下の方は税率が下がる可能性があります。

ただし、住民税にも反映されるため、国民健康保険料の算定対象となります。

申告分離課税

他の所得と分離して一律20.315%で課税されます。

配当控除は使えませんが、上場株式等の譲渡損失との損益通算が可能です。

こちらも確定申告することで、国民健康保険料の算定対象になります。

これらを一覧表にすると、以下のようになります。

課税方式税率配当控除損益通算国保への影響
申告不要20.315%(一律)使えないできないなし
総合課税累進税率(5〜45%+住民税10%)使えるできないあり
申告分離課税20.315%(一律)使えないできるあり

ここから読み取れる重要な事実があります。

国民健康保険に加入している方にとって、「確定申告する=国保料が上がるリスクを負う」ということです。

具体的なシミュレーションで見る"逆転負け"の実態

では、具体的な数字で見てみましょう。

あなたが個人事業主(40代・単身・東京23区在住と仮定)で、事業所得が400万円、株の配当金が100万円あるとします。

それぞれのパターンで考えてみましょう。

パターン1:申告不要を選択

配当金100万円は、受け取り時に既に20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が引かれています。

約20万円が税金として天引きされ、手元には約80万円が残ります。

この場合、国民健康保険料の計算対象となる所得は「事業所得400万円」のみです。

パターン2:総合課税で確定申告

あなたは「配当控除」を使いたいと考え、確定申告を行いました。

所得税の税率は、所得金額によって変わりますが、課税所得が330万円〜695万円のレンジであれば税率は20%です。ここから配当控除(10%)を引くと、実質的な所得税率は10%程度に下がります。

源泉徴収されていた15%分の所得税から、差額の約5万円が還付される計算になります。

「やった!5万円戻ってきた!」

そう喜ぶのは、6月に「国民健康保険料決定通知書」が届くまでの短い間だけです。

国民健康保険料は、自治体によりかなり違いますが、おおよそ「所得の約13%超」増えると考えてください(所得割)。

ケースBでは、配当金100万円を「所得」として申告しました。これにより、国民健康保険料の計算ベースに100万円が上乗せされます。

  • 国民健康保険料への影響:100万円 × 約13% = 約13万円の増額

計算をまとめましょう。

項目金額の増減解説
所得税の還付+50,000円配当控除によるメリット
住民税の増減△22,000円総合課税(10%)と源泉分離(5%)の差額で増税
国保料の増額△130,000円所得割の増加によるデメリット
トータル収支△102,000円大赤字

なんと、5万円を取り戻すために動いた結果、トータルで10万2千円も損をする結果となりました。

これが「総合課税の罠」です。

なお、国民健康保険の金額は自治体によりかなり違いますのでご注意ください。

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FIRE民が特に注意すべき理由

FIREを達成して会社を辞めた方は、健康保険が「会社の社会保険」から「国民健康保険」に切り替わります。

会社員時代は、配当金をいくら受け取っても、健康保険料には影響しませんでした。

なぜなら、会社の健康保険料は給与(標準報酬月額)をベースに計算されるからです。

ところが、国民健康保険に加入すると、前年の「総所得金額等」が算定基準になります。

ここに配当所得が加われば、当然、保険料が跳ね上がります。

FIRE民にとって、この違いは致命的です。

実際にFIREを実践している方の体験談でも、FIRE後は「源泉徴収あり」の特定口座に変更し、あえて確定申告をしないことで国保料を最小限に抑えているケースが報告されています。

配当金で生活するFIRE民にとって、「申告しない」という選択は、怠惰ではなく戦略なのです。

なお、この申告方法の違いでの国民健康保険が違う話は問題視されており、どうやっても計算対象にするって改正の話も出ていますね。

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それでも確定申告したほうが得なケースとは?

ここまで「確定申告のリスク」を強調してきましたが、もちろん確定申告すべきケースも存在します。

複数の証券口座で損益通算したい場合

A証券で50万円の利益、B証券で30万円の損失がある場合、確定申告で申告分離課税を選択すれば、差額の20万円にだけ課税されます。

約6万円の還付が期待できます。

ただし、この場合も国保への影響は避けられません。

還付金と国民健康保険の値上がりを天秤に掛けて考える必要があります。

譲渡損失の繰越控除を使いたい場合

株式投資で大きな損失を出した年に確定申告しておけば、翌年以降3年間、利益と相殺できます。

これは場合によっては大きな節税効果があります。

配当金が少額で、他の所得もほとんどない場合

配当金が数十万円程度で、国保料の増額が限定的な場合は、配当控除による還付のほうが上回ることもあります。

課税所得がかなり低い場合

所得が少なかったり、控除が多く控除等を引いて課税所得がゼロ、あるいは極めて低い場合、配当控除による還付メリットが、国民健康保険料の増額を上回る可能性があります。

また、国民健康保険料には「減免制度(7割・5割・2割軽減)」があります。

申告してもなお、この減免判定の所得基準内に収まる程度の少額な配当であれば、申告した方が得になるケースがあります。

国民健康保険料が既に「上限」に達している場合

国民健康保険料には年間支払額の上限(賦課限度額)があります。

自治体によりますが、年間100万円強です。

もし、あなたが既に多額の不動産所得や事業所得があり、保険料を上限マックスまで支払っているなら、これ以上配当を申告しても保険料は上がりません。

この場合は、純粋に税率の差(総合課税 vs 分離課税)だけで判断できます。

会社員で社会保険に加入している場合

そもそも国民健康保険に加入していなければ、この問題は発生しません。

会社の社会保険料は給与ベースで決まるため、配当所得をいくら申告しても影響はありません。

重要なのは、「確定申告するか否か」を一律に判断するのではなく、税金の還付額と国民健康保険料の増額分、さらにはその他の影響(高額療養費の自己負担区分、扶養判定など)を「トータルで」シミュレーションすることです。

分離課税と総合課税、国保への影響に違いはあるか

「総合課税で申告すると国保料が上がるなら、分離課税で申告すればいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。

残念ながら、分離課税で確定申告した場合も、その所得は国民健康保険料の算定対象になります。

「総合課税」であれ「申告分離課税」であれ、確定申告した時点で国保料の算定に組み込まれるのです。

唯一、国保料に影響を与えない方法は、確定申告をせず「申告不要制度」を選択することです。

もちろん、申告分離課税で譲渡損失と配当所得を損益通算した結果、所得がゼロまたはマイナスになるケースでは、国保料への実質的な影響はなくなります。

しかし、繰越損失の控除によって所得金額が発生する場合は、やはり国保料に跳ね返ってきます。

国民健康保険料はなぜこんなに高いのか

そもそも、国民健康保険料が高く感じる理由を理解しておくことも重要です。

会社員の健康保険は、保険料を会社と本人で折半します。

しかし、国民健康保険は全額自己負担です。

さらに、扶養の概念がないため、家族の人数分だけ均等割が加算されます。

自治体によって料率は異なりますが、たとえば所得割率が医療分・支援金分・介護分を合わせて13%前後という自治体も珍しくありません。

また、加入者に会社員が含まれておらず、無職の人や高齢者がかなり含まれていますので、所得のある人に負担がかなりくる仕組みなんですよ。

賦課基準額が200万円なら、所得割だけで約26万円。

ここに均等割が一人あたり5〜6万円程度加わります。

さらに、国保料の算定にあたっては、確定申告で使える各種の所得控除(社会保険料控除、医療費控除、配偶者控除、扶養控除など)が一切適用されません。

引けるのは住民税基礎控除の43万円のみです。

これが、確定申告で課税所得を下げても国保料が思ったほど下がらない原因でもあります。

国保料の「高さ」を正しく理解していないと、確定申告の判断を誤る可能性があるのです。

国民健康保険の高さから日本維新の会の脱法スキームが問題になったって感じですね。

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国保料を抑える4つの実践的戦略

では、投資家が国民健康保険料を賢く管理するためにはどうすればよいのか。

具体的な戦略を整理します。

特定口座(源泉徴収あり)を選択し、安易に確定申告しない

最もシンプルで効果的な方法です。源泉徴収ありの特定口座であれば、配当金も譲渡益も自動的に課税が完了します。

確定申告をしなければ、国保料の算定に一切影響しません。

NISA口座を最大限活用する

NISA口座の配当金や譲渡益はそもそも非課税です。

配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」に設定しておけば、配当金も非課税扱いになります。

国保料への影響も当然ありません。FIRE民にとって、NISAの非課税枠の活用は最優先事項です。

確定申告する前に必ず「トータルシミュレーション」を実施する

確定申告による税金の還付額だけを見て判断するのは危険です。

以下の項目をすべて計算してから判断しましょう。

  • 所得税の還付額
  • 住民税の増減額
  • 国民健康保険料の増額分
  • 高額療養費の自己負担区分への影響
  • 扶養控除・配偶者控除への影響
  • 住民税非課税世帯の判定への影響

マイクロ法人の活用を検討する

FIRE後にマイクロ法人(一人法人)を設立し、役員報酬を最低限に設定して社会保険に加入するという選択肢もあります。

これにより国民健康保険から離脱でき、法人の社会保険料は役員報酬ベースで決まるため、配当所得が保険料に影響しなくなります。

ただし、法人維持のコストや手間もあるため、総合的に判断する必要があります。

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確定申告の判断フローチャート

最後に、配当金の課税方式を選ぶ際の判断の流れを整理しましょう。

STEP 1:あなたは国民健康保険に加入していますか?

→ NO(会社員で社会保険に加入中):配当控除や損益通算のメリットを純粋に検討してOKです。

国保への影響を心配する必要はありません。

→ YES:STEP 2へ

STEP 2:配当金の金額と他の所得の状況は?

→ 配当金が少額(年間数十万円程度)で、他の所得もほとんどない:総合課税のメリットが国保増額を上回る可能性があります。ただし、必ずシミュレーションを。

→ 配当金が年間100万円以上:国保料の増額が大きくなる可能性が高いです。慎重な判断が必要です。

STEP 3:譲渡損失はありますか?

→ YES:申告分離課税で損益通算することで、トータルの税負担を下げられる可能性があります。ただし、損益通算後に所得が残る場合は国保への影響があります。

→ NO:申告不要を選択するのが安全策です。

いずれの場合も、「申告したら税金がいくら戻るか」だけでなく、「申告したら国保料がいくら増えるか」を必ずセットで計算してください。

まとめ:あなたにとっての「本当の正解」を見つけるために

株式投資の配当金や譲渡益にまつわる確定申告の判断は、「税金の最適化」だけでは不十分です。

国民健康保険料という"見えないコスト"を含めた「トータルの手取り最大化」こそが、真のゴールです。

とくに、令和6年度からの課税方式統一により、かつての「所得税は総合課税、住民税は申告不要」という裏技が使えなくなった今、この問題の重要性はかつてないほど高まっています。

もし、あなたがFIREを目指している、あるいはすでに達成しているなら。

もし、あなたがフリーランスや自営業で国民健康保険に加入しているなら。

「なんとなく」で確定申告を判断することだけは、絶対に避けてください。

数万円の税金還付のために、数十万円の国保料増加を招いてしまっては、本末転倒です。

まずは、ご自身の配当金額・その他の所得・お住まいの自治体の保険料率で、シミュレーションを行うこと。

その一手間が、あなたの大切な資産を守ることにつながります。

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この記事を書いた人

豊かに生きていく上で必須なのがお金の知識です。
しかし、日本では「お金」が汚いものという認識が根強く、あまり勉強されてきませんでした。そのため今後は老後破産が増えてしまうなんて話もありますね。
そんな世の中を少しでも変えたいという強い信念を元に「お金に生きる」を立ち上げました。
投資歴15年以上、社会保険労務士、中小企業診断士、簿記1級、1級販売士、ファイナンシャルプランナー2級、年金アドバイザー3級持ちの私が「お金」についてどこよりもわかりやすくお伝えることを目指していきます。
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