本記事はIPOとは何かをわかりやすく整理し、IPOの買い方を手順化したうえで、買い方から、「公募割れ」というデメリットの回避法をデータで確認します。
IPOとは、市場に残された数少ない「勝てる歪み」です。
IPOは運の要素も高いですが、「技術」の部分もあるんですよ。
そのあたりを解説していきます。
IPOとは?株式投資の「特等席チケット」をわかりやすく解説
IPOとは、未上場の企業が証券取引所に株式を上場させ、株式を一般の投資家に販売することです。
言い換えるなら、これまで一部の関係者だけが持てた株が、私たちにも買える状態になるイベントです。
ここで重要なのは、IPOは「上場した瞬間に何かが保証される制度」ではなく、「売り手と買い手が初めて本格的に市場で値付けを始める制度」だという点です。
だから、初心者が勝ちやすい局面もある一方で、油断すると普通に負けます。
IPOとはわかりやすく言うと「抽選つきの先行販売」
IPOをわかりやすくたとえるなら、人気公演の先行販売に近いです
・定価にあたるのが公開価格(募集・売出価格)
・初日の最初の取引で付く値段が初値
・買える人は抽選で決まることが多い
公開価格は、募集または売出しの際に投資家が支払う一株あたりの金額です。
初値は、新規上場した銘柄が取引所で初めて取引された値段です。
なぜIPO投資が「儲かる」と言われるのか?
その理由は、IPO株が「割安」に設定される傾向があるからです。
企業が株式を公開する際、投資家に確実に買ってもらうため、本来の適正価格より10〜30%程度割り引いた価格(公開価格)で売り出されることが一般的です。
この割引分を「IPOディスカウント」と呼びます。
上場後、最初についた株価を「初値」と言います。
IPO投資とは、この公開価格で株を手に入れ、初値で売却することで、その差額を利益として得る投資手法です。
例えば、公開価格1,500円のIPO株が、上場日に初値2,000円をつけたとします。100株(1単元)を公開価格で購入していれば、初値で売却するだけで5万円の利益になります。
たった1日で、しかも特別な分析も不要で、これだけの利益が出る可能性がある。
これがIPO投資の魅力であり、「初心者でも儲かりやすい」と言われる理由です。
「勝率8割」は本当か?データが示すIPO投資の実態
2024年のIPO市場を振り返ると、86社が新規上場し、初値が公開価格を上回ったのは63社でした。
勝率にして約73.3%。確かに高い数字です。
2025年はさらに好調で、65社中53社が公開価格を上回り、勝率は約81.5%に達しました。
仮に全銘柄を1単元ずつ購入し、初値で売却していれば、合計利益は約320万円にもなります。
しかし、この数字には重大な「落とし穴」があります。
それは、「全銘柄に当選することは、現実には不可能」ということです。
IPO株は抽選で購入者が決まります。
人気銘柄の当選確率は、証券会社や銘柄によって異なりますが、おおむね0.5〜3%程度と言われています。
小型の人気IPOでは0.1〜0.5%という厳しい数字になることも珍しくありません。
私の当選実績もブログを書き出してから集計してみると3%から4%くらいですね。

宝くじの6等(3,000円)が当たる確率が1%程度と言われていますから、IPOの当選確率は決して低くはありません。
しかし、「勝率8割で簡単に儲かる」という単純な話ではないことは、理解しておく必要があります。
銘柄選定も重要
また、銘柄選定も重要です。
前述のようにIPO企業の7割から8割が初値が公開価格を上回るといわれています。
しかし、裏返すと、2割から3割程度の企業は公開価格を上回らなかった、ということです。
さらに、上場直後だけでなく、その後の株価推移も当然ブレます。
ちなみに日本証券業協会は、IPO後の初期収益率に関するデータ(主幹事別など)を定期的に公表しています。
主幹事ごとに差もあったりするんですよ。
期待値を左右するのは、企業分析より先に、次の2つです。
- そもそも配分を受けられるか(抽選に参加できる回数と設計)
- 当選後に崩れないか(欲と恐怖に飲まれない売買ルール)
ここが整っていないと、IPOは儲け話ではなく、感情のジェットコースターになります。
IPO投資のデメリット|知らないと後悔する3つのリスク
次にデメリットを見ていきましょう。
デメリット1:そもそも当選しない
先述の通り、IPO投資最大のハードルは「当選しないこと」です。
どれだけ勝率が高くても、抽選に当たらなければ利益は1円も出ません。
ただし、宝くじと決定的に違うのは、落選してもお金を失わない点です。
宝くじは当たらなければ購入代金が無駄になりますが、IPO抽選への参加自体は無料です。
この「ノーリスクで宝くじを引ける」という特性が、IPO投資の大きな魅力の一つです。

デメリット2:公募割れリスク|当選しても損をする可能性
IPO株が必ず上がるわけではありません。
初値が公開価格を下回ることを「公募割れ」と呼び、この場合は損失が発生します。
記憶に新しいのが、2018年12月に上場したソフトバンク(9434)です。
当時、過去最大規模のIPOとして大きな話題を呼びましたが、初値1,463円は公開価格1,500円を約2.5%下回りました。
100株購入していた場合、約3,700円の損失です。
なかには数百万円を投じて大量当選した投資家もおり、大きな損失を被った事例も報告されています。
2024年の公募割れ銘柄は86社中19社と、全体の約2割に達しています。「IPO=必ず儲かる」という認識は危険です。
前述のように銘柄選定が大事となってきます。
ちなみに公募割れする銘柄は当選も容易だったりするんですよ。
SBI証券のIPOポイント目当てに最低限(100株)のみ応募しただけなのに当選した銘柄のその後の結果はこちらでまとめております。

デメリット3:資金拘束|お金が動かせない期間がある
多くの証券会社では、IPO抽選に参加するために事前に購入資金を入金しておく必要があります。
例えば、公開価格1,500円の株を100株申し込む場合、15万円を証券口座に入れておかなければなりません。
抽選結果が出るまでの数日間、この資金は引き出せない状態になります。
複数の証券会社から申し込む場合、それぞれに資金が必要になるため、まとまった資金がないと積極的な参加が難しくなります。
ただし、野村證券や松井証券など、抽選時点では資金不要の証券会社も存在します。
資金に余裕がない方は、このような証券会社を活用することで、参加機会を増やせます。
IPOの買い方|初心者でもわかる5つのステップ
IPO株の購入手順はシンプルです。以下の5ステップで完了します。
証券口座を開設する
IPOを取り扱う証券会社で口座を開設します。
IPO投資において、証券口座の数はそのまま「抽選券の枚数」になります。
たくさんの証券会社から応募すれば確率は当然上がります。
IPO情報をチェックする
証券会社のサイトや専門サイトで、新規上場予定の銘柄情報を確認しましょう。
全部に申し込むのではなく、ヤバそうな銘柄は回避する選球眼は大事になります。
ブックビルディング(需要申告)に参加する
IPOには「ブックビルディング(BB)期間」という申し込み期間があります。
この期間中に申し込みを行わないと、抽選に参加できません。
購入希望価格と株数を申告します。
通常、仮条件の上限価格で申し込むのがセオリーです。
ほとんどの銘柄は上限となります。
抽選結果を確認する
当選した場合のみ、購入申込みに進めます。
落選した場合は、資金は拘束されません(または返金されます)。
購入申込みを行う
当選したら、指定期間内に購入意思表示を行います。
これを忘れると、当選が無効になるので注意が必要です。
上場日には、自動的に株式が口座に入庫されます。
初値で売却したい場合は、上場日の寄付き前に成行売り注文を出しておきましょう。
ちなみにここで購入申し込みをしない人がいると補欠当選の方に回る形ですね。
なかなか補欠当選しても繰り上げされないのは、忘れたり、辞退する人はそれほどいないためです。

売却
当選した銘柄をいつ売るのかというのも重要になります。
上場日の朝(寄り付き前)に注文を入れておくのがセオリーです。
もちろん、企業の成長性を信じて長期保有するのも一つの手ですが、IPO投資の旨味(初値売りによる確実な利益)を享受するには、感情を排して初値で売却するのが合理的ですね。
IPO当選確率を上げる6つの戦略
当選確率を高めるための実践的な戦略をお伝えします。
複数の証券口座から申し込む
最も基本的かつ効果的な方法です。
1社からしか申し込まない場合と、10社から申し込む場合では、単純計算で当選確率が10倍になります。
IPO投資で成果を出している投資家の多くが、15〜20社の証券口座を持っています。
口座開設は無料で、維持費もかかりません。
手間はかかりますが、確実に当選確率を高められる方法です。
私は手間暇を考えて絞り込みをした
私も昔はこの手法で手間暇掛けて応募できるところは片っ端から応募していましたね。
しかし、最近は当選確率の低い証券会社などからの応募はしないようになっています。
何年も応募してたのに一度も当選していない証券会社も結構あるんですよ笑
主幹事証券会社を狙う
IPOでは、主幹事証券会社に全体の8〜9割の株式が割り当てられます。
同じIPOに申し込むなら、割当株数の多い主幹事証券会社から申し込む方が、当選確率は高くなります。
SBI証券、SMBC日興証券、大和証券、野村證券、みずほ証券などが主幹事実績の多い証券会社です。
これらの口座は優先的に開設しておきましょう。
証券会社の抽選方式を理解する
証券会社によって、抽選方式が異なります。
SBI証券のように申込株数に応じて当選確率が上がる「資金比例方式」と、マネックス証券のように1人1票の「完全平等抽選」があります。
資金が限られている個人投資家にとっては、完全平等抽選の証券会社が有利です。
資産家と同じ土俵で勝負できるからです。
ただし、1人1票の証券会社は応募が多いのか、個人的には相性が悪いですね。
ぜんぜん当たりません笑
また、証券会社によっては口座の残高や利用頻度などの各種条件でIPO抽選が有利になる配慮をしてくれる証券会社もあります。
対面証券会社などだと優良顧客に抽選ではなくて優先的に配分してくれるなんてこともあります。
IPOで確実にゲットしたい場合は大手証券会社の対面で優良顧客になることが早道だったりしますね。
家族口座で参加枠を増やす
配偶者や子供(未成年でも口座開設可能)の名義で証券口座を開設し、家族全員でIPOに参加する方法もあります。
4人家族なら、単純計算で当選確率は4倍になります。
ただし、家族の名義だけ借りて株式取引(IPOを含む)するのは、「借名取引」に該当し禁止行為になりますのでお気をつけください。
必ず家族本人に応募してもらうようにしましょう。
IPO投資で年間数十万円の利益を上げていると公表しているブロガーなどはこの手法を使っているケースが多いので、あまり参考にはならないんですよ。
私は自分の分でしかやっていませんので、他のIPOブロガーよりも当選確率が低くなっています笑
抽選資金不要の証券会社を活用する
野村證券、松井証券などは、抽選時点で資金がなくても参加できます。
資金効率を高めつつ、参加機会を最大化できる優れた選択肢です。
ただし、抽選資金不要の証券会社はそれだけ応募も多くなりがちですので、当選確率は低めですね。
SBI証券のIPOチャレンジポイントを貯める
SBI証券では、IPO抽選に外れるとポイントが貯まり、貯めたポイントを使うと当選確率が上がる仕組みがあります。
長期的な視点で取り組める方には、非常に有効な戦略です。
数年かけてポイントを貯め、人気銘柄を確実にゲットする投資家も少なくありません。
公募割れを避ける5つのチェックポイント
次に公募割れを避けるポイントを見ていきましょう。
公開規模が大きすぎないか
公開規模(調達金額)が大きいIPOは、需給バランスが崩れやすく、初値が上がりにくい傾向があります。
100億円を超える大型案件は、慎重に判断すべきです。
一方、公開規模が小さいIPOは需要が集中しやすく、初値高騰の可能性が高まります。
公募株と売出株の比率
IPO株には「公募株」(企業が新たに発行)と「売出株」(既存株主が売却)があります。
売出株が多い場合、既存株主(ベンチャーキャピタルなど)の「出口案件」と見なされ、投資家から敬遠される傾向があります。
公募株の比率が高い方が、投資家心理としてはポジティブです。
仮条件の決まり方
公募価格が仮条件の「上限」で決まるのは、需要が強いサイン。
逆に「下限」で決まった場合は要注意です。過去のデータでは、下限で決まった銘柄の多くが公募割れしています。
業種と市場のトレンド
AIなど、時流に乗った業種は人気化しやすいです。
一方、不動産、建設など「古い」業種は敬遠される傾向があります。
また、東証グロース市場への上場は一般的に人気が高く、地方市場は注目度が低い傾向があります。
ロックアップの有無
ロックアップとは、大株主が一定期間株を売れないようにする取り決めです。
ロックアップがしっかりかかっていないと、上場後すぐに大株主が売り抜け、株価が急落するリスクがあります。
目論見書で確認しておきましょう。
まとめ:IPO投資を始める前に知っておくべきこと
今回はIPO投資についてみてきました。
IPOで勝ちやすい人は、相場観が鋭い人ではありません。
ルールが雑でも運が強い人でもありません。
「抽選の回数を増やす設計」と「当選後の感情を潰す運用ルール」を持っている人です。
抽選の回数を増やす設計とは、幹事に入る証券会社の口座を用意し、無理のない資金配分で申し込み回数を積み上げることです。
案件ごとに取り扱い証券会社が異なるため、参加の母数が変わります。
当選後の感情を潰す運用ルールとは、初値で売るのか、寄り付き後に分割で売るのか、損切りラインをどこに置くのかを、上場日前に決めておくことです。
IPO投資は、正しく理解し、戦略的に取り組めば、初心者でも着実に利益を積み上げられる手法です。
まずは証券口座を開設し、気軽に始めてみてください。「継続は力なり」。
これがIPO投資の真実です。
まずおすすめは外れてもIPOポイントが貯まるSBI証券ですね。
地道に貯めていけばいつかポイントで当選できます。

