投資信託界隈に大変大きなニュースが流れました。
アセットマネジメントOne株式会社の人気投資信託である「たわらノーロード先進国株式」と「たわらノーロードバランス(8資産均等型」の信託報酬率が大幅に引き下げることが発表されたのです。
元々、たわらノーロード先進国株式は信託報酬以外の隠れた費用を加えた実質コストの低さからインデックスファンドで一番人気といってもよかった商品です。
しかし、昨今は業界最低水準の運用コストを目指し続けることで評判の三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slimシリーズや信託報酬率が低いニッセイ・アセットマネジメントの<購入・換金手数料なし>シリーズが登場したことで印象が薄くなってしまっていました。
積極的に選ぶ理由が無くなってしまったんですよね。
実際に証券会社などの販売金額ランキングなどでも上位でみなくなっていましたね。純資産額でもライバル2本と比較して大きく水を開けられてしまっています。
それが今回の信託報酬引き下げの発表でたわらノーロードシリーズが一気に復権する可能性が高いと思われます。
詳しくは後述しますが、実質コストは「たわらノーロード」が一番安いんですよ。
また、「たわらノーロード先進国株式」と「たわらノーロードバランス(8資産均等型」はつみたてNISAはもちろんですが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)でも取り扱いをしている金融機関が多いです。
そのため、iDeCoの金融機関選びにも大きな影響が与えるでしょう。
今回は「たわらノーロード先進国株式」と「たわらノーロードバランス(8資産均等型」の信託報酬率引き下げの件を見ていきます。
たわらノーロードシリーズの信託報酬率引き下げ概要
それでは今回の話の前提となります「たわらノーロード先進国株式」と「たわらノーロードバランス(8資産均等型」の信託報酬率引き下げの概要について見ていきましょう。
eMAXIS Slim シリーズに思いっきり対抗してきた感じですね。
たわらノーロード先進国の信託報酬率引き下げ
まずは「たわらノーロード先進国」の信託報酬率引き下げの概要から見ていきましょう。
「たわらノーロード先進国株」は名前の通り、MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)をベンチマークとした先進国の株式に投資をするインデックスファンドですね。
変更前の信託報酬率
内訳:委託会社0.09%、販売会社0.09%、受託会社0.02%
変更後の信託報酬率
内訳:委託会社0.0299%、販売会社0.05%、受託会社0.02%
0.2%から0.0999%とおよそ半分まで一気に下げたのです。
ちなみにこれはライバルとなる「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」と「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」とまったく同じ信託報酬となります。
販売会社取り分が多い
また、注目は内訳です。
ライバルである<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドは委託会社0.0354%、販売会社0.0445%、受託会社0.02%です。
eMAXIS Slim 先進国株式インデックスは委託会社0.03995%、販売会社0.03995%、受託会社0.02%です。
注目は販売会社の取り分です。ライバル2本と比較してトータルの信託報酬率は同じですが、販売会社の取り分がたわらノーロード先進国の方が0.05%と高くなっていますね。
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド:0.0445%
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス:0.3995%
販売会社が売ることに力をいれてくれる可能性が高そうな差となっています。
つまり、販売会社は同じ信託報酬率の先進国株式のインデックスファンドを売るにしてもたわらノーロード先進国を売ったほうが儲かることになります。
このあたりも後々大きく響いて来る可能性があります。
また、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスと同レベルまで販売会社取り分を引き下げればもう少し信託報酬を下げる余力が残されているということも示しますね。
変更日
信託報酬率の変更は以下の日からとなります。
たわらノーロードバランス(8資産均等型)の信託報酬率引き下げ
次はは「たわらノーロードバランス(8資産均等型)」の信託報酬率引き下げの概要から見ていきましょう。
「たわらノーロードバランス(8資産均等型」は名前の通り、8資産(日本国内株、先進国株、新興国株、日本国内債券、先進国債券、新興国債券、国内REIT、先進国REIT)に均等に分散投資をする投資信託です。
手軽に分散投資ができることから人気が高く各社から発売されて激戦となっている分野でもあります。
8資産均等型について詳しくはこちらの記事を御覧ください。
つみたてNISA制度が始まってから1年少し経ちました。対象となる投資信託も徐々に増え始めインデックス投資信託142本、アクティブ投資信託17本とかなり増えてきました。中でも複数の指数を組み合わせたバランス型と言われる商品が68本とか[…]
変更前の信託報酬率
内訳:委託会社0.09%、販売会社0.09%、受託会社0.02%
変更後の信託報酬率
内訳:委託会社0.05%、販売会社0.07%、受託会社0.02%
0.2%から0.14%とこちらも30%引き下げられました。
ちなみにこちらもライバルとなる「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」とまったく同じ信託報酬となります。
変更日
信託報酬率の変更は以下の日からとなります。
たわらノーロード先進国株式が実質コスト最安値へ
なんだ、信託報酬率が他と並んだだけじゃんと思われる方も多いでしょう。
しかし、それ以外に大きなポイントがあります。
それはたわらノーロードシリーズは他の投資信託と比べて実質コストが低いという点にあります。
実質コストとは信託報酬率だけでは測れないその他に掛かっている隠れコストをプラスした経費のことです。
信託報酬率よりも実際はこちらのほうが重要なんですよね。
「たわらノーロード先進国株式」を例に他社と実質コストを比較してみましょう。
先進国株式インデックスファンドの実質コスト比較
それではライバル2本と「たわらノーロード先進国株式」を隠れコストを含んだ実質コストで比較していきましょう。
結論から言えば今回の「たわらノーロード先進国株式」信託報酬引き下げで実質コストは「たわらノーロード先進国株式」が一番安くなりました。
なお、隠れコストは各社の交付運用報告書に基づいて算定しています。そのため隠れコストの算出の基準となる時期が3本で相違しています。ですから単純比較出来ない部分もありますのでその点も加味してご覧ください。
また、隠れコストはその年で大きく変わります。
今回はあくまでも最新の交付運用報告書の時点での比較ですね。
隠れコストについて詳しくはこちらの記事を御覧ください。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)やつみたてNISAなどで投資信託を選びときに実績や手数料、信託報酬を目安にされる方は多いと思います。特に信託報酬は儲かっても儲からなくても掛かってきますので投資をするときにとても重要なファクタ[…]
たわらノーロード先進国株式の実質コスト
有価取引税:0.004%
その他費用:0.029%
合計:0.035%
なお、上記の隠れコストは2017年10月13日〜2018年10月12日までのものとなります。
ですから上記隠れコストを勘案するとたわらノーロード先進国株式の実質コストは以下の通りとなります。
信託報酬率:0.10989%(税込)+隠れコスト0.035%で
となります。
eMAXIS Slim 先進国株式インデックスの実質コスト
有価取引税:0.034%
その他費用:0.033%
合計:0.076%
なお、上記の隠れコストは2018年4月26日〜2019年4月25日までのものとなります。
ですから上記隠れコストを勘案するとeMAXIS Slim 先進国株式インデックスの実質コストは以下の通りとなります。
信託報酬率:0.10989%(税込)+隠れコスト0.076%で
となります。
<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドの実質コスト
有価取引税:0.019%
その他費用:0.064%
合計:0.088%
なお、上記の隠れコストは2017年11月21日〜2018年11月20日までのものとなります。
ですから上記隠れコストを勘案すると<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドの実質コストは以下の通りとなります。
信託報酬率:0.10989%(税込)+隠れコスト0.088%で
となります。
iDeCoの争いが激化?
今回のたわらノーロード先進国株式の信託報酬率の引き下げはiDeCoの金融機関同士の争いにも大きな影響を与えるでしょう。
運営管理機関手数料は少しずつ無条件無料の金融機関が増えており、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、イオン銀行、大和証券、au、カブドットコム証券、三井住友銀行と9社まで増えています。
そのため、実質的な勝負は取り扱い商品となってきました。
今まではSBI証券、マネックス証券、松井証券ではeMAXIS Slim シリーズの取り扱いがあるためかなり有利です。
しかし、今回のたわらシリーズの信託報酬引き下げでちょっと様相が変わってくるでしょう。
たわらシリーズの取り扱いのある楽天証券、イオン銀行がかなりコスト的に有利となりますね。
iDeCoは取り扱いの商品が35本までという35本制限があるため簡単に商品を増やしたりできない ためです。
今後も新しい商品がでたり、他社も信託報酬の引き下げなどがあるでしょうから判断が難しいところではありますけどね。
まとめ
今回は「たわらノーロード先進国株式などが信託報酬率大幅引き下げ。隠れコスト低く実質的に最安値へ」と題してたわらノーロードシリーズの信託報酬率引き下げについてみてきました。
これを受けて他社がどう対抗してくるのかも注目ですね。
信託報酬率は同じですから対抗してこないかな?
そうなると実質コストが低い「たわらノーロード先進国株式」が有利となります。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの5社から選ぼう
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。
しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。
簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。
私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券、大和証券、楽天証券の5択の中から決めます。
(※私が加入しているのはSBI証券です)
この5つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
SBI証券は運営管理手数料が無条件で0円ですし、なにより運用商品が豊富で選択の幅が広いです。現状最強のラインナップを誇ることになります。
また、他の証券会社に先んじて確定拠出年金の取扱をはじめてますから安心感が強いですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
マネックス証券はeMAXIS Slimを多く取り扱っており、信託報酬がほとんど最安値水準でスキがありません。また、iDeCoでいち早くiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスの取り扱いをはじめたところも大きなポイントになりますね。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
2020年10月18日から取り扱い商品が大幅拡充されました。
人気となっているeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドなども採用され最強ラインナップといっても過言ではない充実ぶりですね。
大和証券
大和証券 iDeCoは大手証券会社でありながら、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)にもかなり力を入れています。
他のネット証券と違い店舗が全国各地にたくさんあります。そこに魅力を感じる方にはおすすめできますね。
また、取扱商品もダイワつみたてインデックスシリーズなど信託報酬が安めの商品を取り揃えています。
運営管理機関手数料が無条件で無料ですし、商品も充実したことで選択肢となりえる金融機関になりましたね。中国株、ロシア株、ブラジル株のファンドへ投資できるなど特徴的な商品があるのが他との差別化要因かな。あとはiFreeシリーズ、とくに米国株さえ入れば十分に他と競争できると思いますので期待したいところです。
楽天証券
楽天証券は楽天・全世界株式インデックス・ファンドや楽天・全米株式インデックス・ファンドといった自社の人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。
この2つのファンドは人気ですね。
楽天証券は楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド、楽天・S&P500インデックス・ファンド、楽天・全世界株式インデックス・ファンド、楽天・全米株式インデックス・ファンドといった楽天ブランドの人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。今後は楽天SPUの対象になったりしたらかなり面白い存在ですね。
総合して考えるとこの5つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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