4月7日に新型コロナウィルス感染症に伴う緊急経済対策が閣議決定されました。
この手の資料はなかなか慣れていない方にはとっつきがわるいですからわかりやすく噛み砕いて解説していきます。
今回はたくさんある経済対策のうち本サイトのテーマである「お金」について直接関係がある30万円を世帯に給付する生活支援臨時給付金、個人事業主に100万円、中小企業に200万円を現金支給する持続化給付金などを抜粋してみていきます。
なお、今回の内容は閣議決定の段階ですのでこれから国会で承認されるまで多少内容が変わる可能性がありますのでご注意ください。
※追記しました
経済対策は2つのフェーズで展開
まずは今回の経済対策についての立ち位置から見ていきましょう。
●V字回復フェーズ
上記の2つのフェーズで展開されます。
名前の通り、緊急支援フェーズでは生活支援など雇用と事業と 生活を守り抜く段階となります。
V字回復フェーズでは早期のV字回復を目指し、観光・運輸、飲食、イベント等大幅に落ち込んだ 消費の喚起と、デジタル化・リモート化など未来を先取りした投資の喚起の両面から反転攻勢策を講ずる段階となります。
和牛商品券は批判殺到となったが・・・
一時期話題となった批判殺到となった和牛商品券はV字回復フェーズの話ですね。
V字回復フェーズの一つのコマと考えれば妥当なんですが、どうしても今の状況では緊急支援フェーズの方が重要度が高いため批判が多くなってしまったんでしょう。
もう少し情報の出し方を工夫すべきでしたね。
緊急支援フェーズの支援策
まずは緊急支援フェーズの支援策を見ていきましょう。
雇用調整助成金の拡充などの雇用維持
まずは雇用の維持向けの経済対策です。
これはすでに実行されていますが、雇用調整助成金が中心となります。
緊急対応期間(令和 2年4月1日から6月 30 日まで)において、助成率を、中小企業は5分の4、大企業は3分の2に引き上げ、さらに解雇等を行わない場合には、中小企業は 10 分の9、大企業は4分の3とするとともに、 雇用保険被保険者でない非正規雇用労働者も対象とするなどの拡充されます。
出所:厚生労働省 新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置の拡大
つまり、休業させた場合に負担がすくなくなるようにするから雇用を維持してねってことですね。
ただし、対象労働者1人あたりの上限が1日あたり8,330円と厳しいのが辛いところです。
どうしても企業の負担は発生してしまうんですよね。。。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
雇用調整助成金の拡充のほかにも以下のような支援が行われます。
・ ハローワークにおける外国人労働者、事業主、非正規雇用労働者、就職支援又は住居・生活支援を必要とする求職者等に対する相談支援体制等の強化(厚生労働省)
・ 雇用保険を受給できない求職者を対象とする求職者支援訓練の拡充(対象者数の拡充等)(厚生労働省)
・ 新型コロナウイルス感染拡大により困難を抱える外国人材の受入れ支援体制強化(法務省)
新型コロナウィルス感染症特別貸付などの資金繰り対策
次は資金繰り対策です。
今回の新型コロナウィルスで多くの企業が休業を余儀なくされます。
休業を余儀なくされれば売上は立ちませんが、家賃や人件費など固定費は発生ししていまいます。
そうなるとたちまち企業の資金繰りは悪化してしまうのです。
それを少しでも緩和するために「新型コロナウィルス感染症特別貸付」など実質無利子・無担保の融資などの対策が取られます。
簡単に言えば担保や保証人も必要ないですし、無利息(期限あり)でお金が借りられますよってことです。(審査はあります)
具体的には以下の支援があります。たくさんありますが、多くは管轄の違いです。
・ 小規模事業者経営改善資金(マル経融資)の実質無利子化(経済 産業省)
・ 日本政策金融公庫等や保証付き民間融資の既往債務の借換(財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、内閣府) ・ 保証料減免を含む信用保証の強化・拡充(経済産業省)
・ 民間金融機関でも実質無利子・無担保の融資を受けることができる制度の創設(経済産業省、金融庁)
・ 小規模企業共済の契約者に対する、掛金納付額の範囲内での無利子融資の実施(経済産業省)
・ 医療・福祉事業者への資金繰り支援の拡充(厚生労働省、内閣府)
・ 農林漁業者向け融資の実質無利子・無担保化等の資金繰り支援の 拡充(農林水産省、内閣府)
・ 中堅外食事業者資金融通円滑化対策(農林水産省)
・ 中小食品流通事業者の信用力強化(債務保証事業)(農林水産省)
・ 航空会社に対する着陸料等の支払い猶予や危機対応融資等(国土 交通省、財務省)
・ 民間金融機関への要請に際し、事業者の貸出し後の返済能力の 変化を適時適切に捉えた対応の徹底(金融庁、農林水産省)
・ 民間金融機関による政府系金融機関との連携の強化(金融庁、農林水産省)
・ 金融機関との取引に関する金融庁相談ダイヤルの提供(金融庁)
・ 資金繰り支援対策の周知広報の徹底(金融庁、財務省、農林水産 省、経済産業省)
・ 信用情報に関する柔軟な取扱いの要請(金融庁)
・ 有価証券報告書等の提出期限に係る柔軟な取扱い(金融庁)
・ 企業決算・監査等への対応に係る関係団体による連絡協議会の設置(金融庁)
持続化給付金など中小・小規模事業者支援
次は事業継続に困っている中小・小規模事業者支援です。
メインとなるのは中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主に対して、現金給付される「持続化給付金」でしょう。
具体的には以下の条件を満たした法⼈は200万円以内、個⼈事業者等は100万円以内を⽀給します。
持続化給付金以外では以下のような支援があります。
従来からやっている支援が中心ですが、社会保険料の納付猶予とかは効果ありそうですね。
・ 新型コロナウイルス感染症の影響を受ける中小・小規模事業者向 け経営相談体制強化事業(経済産業省)
・ 地域企業再起支援事業(経済産業省)
・ 国内外の中堅・中小企業等へのハンズオン支援(経済産業省)
・ 経営資源引継ぎ・事業再編支援事業(経済産業省)
・ 経営環境悪化のしわ寄せ防止に向けた取引適正化等を促進する体制整備(経済産業省、内閣府)
・ 収入が減少した事業者の社会保険料の納付猶予(厚生労働省)
・ 賃貸用ビルの所有者等に対する、飲食店等のテナント賃料の支払い猶予など柔軟な措置の検討要請の周知(国土交通省)
・ 旅客自動車運送事業者の事業継続に資する道路運送法等の柔軟な運用(国土交通省)
特別定額給付金などの世帯や個人への支援
次は個人への支援策です。
今回の新型コロナウィルスの経済対策は個人向けが充実していますね。(生活支援臨時給付金の対象が狭すぎるのはどうかとおもいますが・・・
こちらの中心は現金給付を行う特別定額給付金となります。
全国民一律に10万円の給付です。
当初でていた30万円を給付する生活支援臨時給付金から内容が大幅に変更となりました。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
(1)郵送申請方式市区町村から受給権者宛てに郵送された申請書に振込先口座を記入し、振込先口座の確認書類と本人確認書類の写しとともに市区町村に郵送
(2)オンライン申請方式(マイナンバーカード所持者が利用可能)
マイナポータルから振込先口座を入力した上で、振込先口座の確認書類をアップロードし、電子申請(電子署名により本人確認を実施し、本人確認書類は不要)
出所:総務省 特別定額給付金より
臨時特別の給付金(児童手当)
もう一つの目玉が児童手当(本則給付)を受給する世帯に対して、その対象児童一人あたり1万円を上乗せする臨時特別の給付金を支給するとしています。
「⽣活福祉資⾦制度」の特例貸付
次はすでに始まっている制度ですが、生活福祉資金制度の特例貸付です。
簡単に言えば最大80万円を無利子・無保証人で貸してくれることになります。
利用の条件等詳しくは下記記事を御覧ください。
その他の支援
他にも以下のような支援があります。
こちらも従来からやっているものが多いですけどね・・・
・ 収入が下がった方に対する国民年金保険料の免除(厚生労働省)
・ 住居確保給付金の支給対象見直しによる支援の拡充(厚生労働省)
・ 奨学金や授業料の減免を通じた支援(文部科学省)
・ 未払賃金立替払の迅速・確実な実施(厚生労働省)
・ セーフティネット住宅の家賃低廉化など住まいの確保支援(国土 交通省)
・ 自殺リスクの高まりに対応するためのSNS相談事業等の拡充 (厚生労働省)
・ 配偶者暴力の深刻化に対応するための相談体制の拡充(内閣府)
・ 法的トラブル解決に向けた法テラスによる支援の充実(法務省)
・ 消費生活センター等における相談体制の強化(消費者庁)
国税・地方税の1年間納付猶予など税制措置
次は税制面の優遇措置です。
こちらも充実していますね。
納税猶予
国税・ 地方税及び社会保険料の無担保かつ延滞税なしで1年間、納付を猶予はうれしいところです。
ただし、すでに払ってしまった人、会社への配慮はないのが残念です・・・
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
寄付金控除
また、今回の新型コロナウィルスで中止となったイベントの入場料については寄附金控除の対象となるというのもありがたいですね。
欠損金の繰戻し還付制度の特例
昨年黒字、今年赤字なら昨年払った法人税の一部を還付してくれる「欠損金の繰戻し還付制度」にも特例が設けれれます。
今までの欠損金の繰戻し還付制度は資本金が1億円以下の中小事業者が対象となっていました。
しかし、特例では資本金1億円超〜10億円以下の法人に拡大されます。
個人的にはこの制度はとても良いと思いますので現在法人税だけの対象を所得税などにも拡充してほしいなっておもっています。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
他にも以下のような支援があります。それぞれの詳しい内容はまだでていませんね。
・ 生産性革命の実現に向けた固定資産税の特例措置の拡充・延長(経済産業省)
・ テレワーク等のための中小企業の設備投資税制(経済産業省、総務省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省)
・ 自動車税・軽自動車税環境性能割の臨時的軽減の延長(経済産業省)
・ 住宅ローン控除の適用要件の弾力化(国土交通省)
・ 耐震改修した住宅に係る不動産取得税の特例措置の適用要件の弾力化(国土交通省)
・ 消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例(財務省)
・ 特別貸付に係る契約書の印紙税の非課税(財務省)
V字回復フェーズの支援策
次はV字回復フェーズの支援策です。
Go To キャンペーンなど観光・運輸・飲食業等への支援
まずは観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメン ト事業等に対する支援です。
今回の新型コロナウィルス感染症で一番被害が大きかった事業分野かもしれませんね。
まず、目玉として「Go Toキャンペーン」実施されます。
具体的には
つまり、国が主導してお得なキャンペーンを実施してくれるってことのようです
Go Toキャンペーンについて詳しくはこちらの記事を御覧ください。
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金など地域経済の活性化
次は地域経済の活性化です。
こちらのメインは「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」です。
抽象的な内容しか書いてありませんが、おそらく地方にお金を交付してそこでそれぞれが地域おこしを行うということなのでしょう。
その他に下記のような支援があります。
この中に和肉商品券やお魚商品券が含まれるのでしょう。
・ 労働力不足の解消に向けたスマート農業の導入・実証(農林水産 省)
・ 肥育牛経営等緊急支援特別対策事業(農林水産省)
・ 肉用子牛流通円滑化緊急対策事業(農林水産省)
・ 漁業収入安定対策事業(農林水産省)
・ 野菜価格安定対策事業(農林水産省)
・ 文化芸術・スポーツ施設への感染症防止対策等支援(文部科学省)
・ スポーツイベント再開に向けた感染症防止対策
・広報等支援(文 部科学省)
・ 生徒やアマチュアを含む地域の文化芸術関係団体
・芸術家による アートキャラバン(文部科学省)
・ 子供たちの自然体験・文化芸術体験・運動機会の創出(文部科学省)
・ 観光施設等における感染症対策の推進や公共交通機関を含む外国 人旅行客の受入環境の整備(国土交通省)
・ 誘客多角化に向けた地域の観光資源等の魅力的な滞在コンテンツ への磨き上げ(国土交通省)
・ 日本政府観光局(JNTO)を通じた訪日外国人旅行客の需要回 復のための大規模プロモーション(国土交通省)
・ 飲食店等における高機能換気設備等の導入支援(環境省)
・ 放送コンテンツを活用した海外への情報発信事業(総務省)
・ クラウドファンディング等を活用した中小企業の地域産品の販路 開拓支援(JAPANブランド育成支援等事業)(経済産業省)
・ 地域経済の見える化システム開発による地域再活性化支援事業 (内閣府)
・ 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の延期を踏まえたホ ストタウン支援(内閣官房)
・ 国立公園等への誘客・ワーケーションの推進(環境省)
・ 特定有人国境離島地域等における滞在型観光の促進等(内閣府、 国土交通省)
・ 沖縄振興特定事業推進費(内閣府)
・ DBJの投資機能を活用する「新型コロナリバイバル成長基盤強 化ファンド(仮称)」の創設(財務省)
まとめ
今回は「生活支援臨時給付金などの緊急経済対策の内容をわかりやすく解説」題して新型コロナウィルスに対しての緊急経済対策をまとめてみました。
かなりたくさんありますのでなかなか把握できにくいとは思います。
こういった支援はこちらからアプローチをしないと利用できないものがほとんどです。
ぜひ自分に関係がありそうなところだけでもおさえておいてくださいね。
なお、今回の元になった閣議決定の資料は下記となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
フェイスブックページ、ツイッターはじめました。
「シェア」、「いいね」、「フォロー」してくれるとうれしいです