【新型コロナウィルス感染症対応休業支援金】新型コロナウィルスでの休業に「みなし失業」適用へ。みなし失業について詳しく解説。

新型コロナウィルスでの経済対策でまた新しい話がでてきました。

みなし失業」の適用です。

現在、新型コロナウィルスによる緊急事態宣言や休業要請により多くの企業で休業を余儀なくされています。

企業が休業すれば当然そこで働く従業員も休業となります。

その休業に対して企業が休業手当を支給すれば雇用調整助成金が支給され雇用を守る仕組みとなっていますね。

ただし、緊急事態宣言下の休業は休業手当が義務でないですし、雇用調整助成金は非常に手続きが煩雑です、入金まで時間がかかるため企業の資金繰りへの影響が大きいため休業手当が支払われないケースもあります。

また、雇用調整助成金は不正が多い仕組みとなってしまっています。

そこでその状況を打開するために検討されているのが「みなし失業」です。「休業者給付金」という名称になるという話もあります。特別家賃支援給付金と並んで決まれば大きな仕組みとなりそうですね。

ちょっとややこしい仕組みですので今回はこの「みなし失業」の仕組みについて詳しく解説していきます。

※追記:令和2年度第2次補正予算で「新型コロナウィルス感染症対応休業支援金」、「新型コロナウイルス感染症対応休業給付金」という名前で予算計上されました。7月7日に正式な内容が発表されておりますので内容を追記しておきます。

ちなみにちょっとややこしいですが、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金」は雇用保険被保険者向け、「新型コロナウイルス感染症対応休業給付金」は雇用保険の被保険者になっていない労働者向けという違いです。

新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金とは

新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金とはもともとみなし失業と言われていた制度で失業とみなして失業手当を支給する制度のことです。

具体的には新型コロナウィルスの影響で休業を余儀なくされたけど会社から休業手当を受けることが出来ない方を対象に、失業したとみなし、失業保険(雇用保険の基本手当)を支給する特例措置となります。

雇用調整助成金とみなし失業の違いがわかりにくい方が多いと思いますのでまずはそちらを解説していきましょう。

目的は似ていますが、雇用調整助成金とみなし失業では流れも仕組みもぜんぜん違うんですよ。

雇用調整助成金の流れ

雇用調整助成金は以下のような流れとなります。

前提:休業→会社が休業手当等を従業員に支給

後日:雇用調整助成金を会社が申請会社に従業員に払った休業手当の一部が入金

つまり、会社が休業手当、賃金を従業に支払って手続きをするとあとからその部分の一部を助成してくれるのです。

雇用調整助成金が出ることによって休業しても解雇せずなんとか雇用を維持してくれよってのが目的ですね。

雇用調整助成金の問題

雇用調整助成金の問題は大きく3つあります。

  • 雇用調整助成金の手続きがかなり煩雑なこと
  • 上限がある(1日8,330円)
  • 会社は従業員に休業手当を払ってから雇用調整助成金の入金まで(約二ヶ月)の資金を自分たちで用意しなければならないこと。

このあたりがネックとなってせっかくこのような制度があるのに解雇もあとを絶たないのです。

みなし失業の流れ

みなし失業も休業しても解雇せずなんとか雇用を維持してくれよってのが目的なのは同じです。

しかし、みなし失業は上記の雇用調整助成金の問題を一部解決できているのです。

前提:休業→休業票をもって従業員がハローワークに書類を提出

後日:従業員に失業保険(雇用保険の基本手当)が支給

つまり、会社は従業員に休業票(通常の退職時は離職票)を作成し渡すだけであとは手続き不要ですし、休業手当も払う必要がなくなります。

従業員は会社から休業手当はもらえませんが、国から失業保険が受け取れるようになります。

従業員の手間は増えてしまいますが、会社側の資金負担、事務負担がかなり軽減されることでが解雇されてしまうリスクは減るのです。

通常の失業保険との違い

通常の失業保険をもらうには以下の条件があります。

ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
失業の状態にある必要があるんですね。当然次がすでに決まっている方は対象外です。
しかし、今回はあくまでも休業状態(復帰する意思があるし、会社も復帰させる予定である)ですが、特例として失業状態と扱うということになります。

みなし失業は東日本大震災の際にも適用

実はこの「みなし失業」。過去には導入されたことがあるのです。

それが東日本大震災のときです。

具体的には以下の条件の元で適用されました。

  • 事業所が災害を受けたことにより休止・廃止したために、休業を余儀なくされ、賃金を受けることができない方については、実際に離職していなくとも失業給付(雇用保険の基本手当)を受給することができます。
  • 災害救助法の指定地域にある事業所が、災害により事業を休止・廃止したために、一時的に離職を余儀なくされた方については、事業再開後の再雇用が予定されている場合であっても、失業給付を受給できます。出所:厚生労働省「東日本大震災に伴う雇用保険失業給付の特例措置について」



新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金でいくらもらえる?

それでは「新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金」はいくらもらえるのでしょうか?

支給されるのは以下の金額となります。

休業前の1日あたりの平均賃金✕80%✕(各月の日数ー就労した又は労働者事情で休んだ日数)

つまり、新型コロナウィルスの影響で休業を余儀なくされたけど会社から休業手当を受けることが出来ない日数のうち平均賃金の80%がもらえることになります。

ただし、上限があります。上限は1日あたり11,000円となります。



税金の扱いはどうなる?

それでは税金の扱いはどうなるのでしょう?

新型コロナウィルス感染症対応休業支援金」、「新型コロナウイルス感染症対応休業給付金」とも非課税という扱いとなります。

このあたりは失業保険と同じ扱いですね。

詳しくはこちらの記事も合わせて御覧ください。

手続方法は?

手続き方法は本人もしくは事業主がまとめて申請をする形となります。

手続自体は基本的には郵送となります。(後日インターネットでの申請も可能になるとのこと)

必要書類

必要書類等は以下です。

1.運転免許証、マイナンバーカード(表面のみ)等の本人確認書類
2.キャッシュカードや通帳の写しなどの振込先口座を確認できる書類
3.給与明細や賃金台帳の写しなどの休業前の賃金額及び休業中の賃金の支払状況を確認できる書類
また、合わせて申請書類を提出します。なお、事業主経由の場合は提出書類が異なりますので事業主とご相談ください。

まとめ

今回は「【新型コロナウィルス感染症対応休業支援金】新型コロナウィルスでの休業に「みなし失業」適用へ。みなし失業について詳しく解説。」と題して「新型コロナウィルス感染症対応休業支援金」、「新型コロナウイルス感染症対応休業給付金」についてみてきました。

この制度は現状の雇用調整助成金と比較して企業にも従業員にも優しい制度となります。

詳しい制度の内容については下記を御覧ください。

>>新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金

なお、今回ご紹介したみなし失業以外にも新型コロナウィルス対策として様々な制度が始まっています。

これらをうまく使ってこの難局を乗り切りたいですね。

●国民一人当たり10万円を給付する「特別定額給付金
●売上が半減した中小企業等に最大200万、個人事業主に100万円を支給する「持続化給付金
●休業している方を失業とみなして失業保険を支払う「みなし失業
●家賃の3分の2を半年分補助「特別家賃支援給付金
●原則3ヶ月、最大9ヶ月、 家賃相当額を自治体から家主さんに支給する「住宅確保給付金
●住民税の全部または一部の納付を免除してくれる制度です。「住民税の減免制度
●国民健康保険を安くすることが出来る「国民健康保険の減免制度
●国民年金を免除することが出来る「国民年金保険料免除制度
●税金や社会保険の支払いを遅くすることが出来る「税金等の納税猶予制度
●学生に最大20万円を給付する「学生支援緊急給付金

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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