大学生から個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるべきか?

読者様からご質問をいただきました。

現在、大学生ですがイデコを始めた方がよいでしょうか?
今回は大学生などまだ働いていない方の個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の加入について考えて見ましょう。

なお、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)ってなに?方は以下の記事をご覧ください。

この記事をみれば「iDeCo(個人型確定拠出年金)制度」から「つみたてNISAとの違い」、「おすすめ金融機関」、「おすすめ商品」、「いくら積み立てればよいのか」などを網羅的に確認することができますよ。

イデコは大学生でも加入できるの?

まず大前提からお話していきましょう。

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)はもともと自営業者向けの制度でしたが、2017年1月から制度が拡張され基本的に20歳以上60歳未満の方なら加入できる様になりました。(一部例外あり)

そのため、基本的に20歳以上の方なら大学生でも加入が可能となっています。

ただし、条件があります。

国民年金保険料の納付が条件

イデコは国民年金の加入が条件となった制度です。(サラリーマンの方は厚生年金に含まれる)

そのため国民年金の未納があったり、免除、納付猶予を受けていると加入できないんですよ。

イデコは国民年金に追加して老後に備えようとする制度ですから、ベースとなる国民年金を払っていないというのは辻褄が合わない話ですからね。

大学生でも20歳以上の場合には、第一号被保険者として国民年金保険料を納める義務があります。

学生納付特例利用中もイデコには加入できない

しかし、学生の場合には在学中の国民年金の納付を猶予してもらえる制度の「学生納付特例」という制度があり、その適用を受けているケースも多いでしょう。

「学生納付特例制度」の適用を受けている場合もイデコには加入できないんですよ。

学生の場合には親が国民年金を納付してくれているケースもありますので、まずは自分が国民年金を納付しているのかを確認してみてください。

誕生日ころに本人あてに送られてくる「ねんきん定期便」の国民年金納付状況で「納付済」と書いてあればイデコに加入できる状況です。「未納」とか「学特」と書かれている場合は加入できません。

なお、過去に未納や学生納付特例を受けていても問題はありません。

詳しくはこちらの記事を御覧ください。

上限はサラリーマンより大きく68,000円

なお、要件を満たした大学生の場合には自営業者と同じ「第一号被保険者」となります。

そのため、イデコに掛けられる金額もサラリーマンより大きく

5,000円〜68,000円

となっています。(※付加年金加入者は67,000円が上限)



大学生でもイデコに加入すべきか?

要件を満たしている大学生はイデコに加入した方がよいのでしょうか?

これは判断が難しいところです。

具体的な判断要素としては以下の点があります。

早く加入したほうが退職所得控除が大きい

まず、大学生でもイデコに加入した方が良い点として退職所得控除の件があります。

イデコは掛けたときに所得控除が受けられ、運用時は非課税、受け取るときに税金が発生する仕組みです。

しかし、受け取るときは一時金として受け取れば「退職所得控除」、年金として何回かに分けて受け取る場合も「公的年金控除」が受けられます。

特にお得なのが「退職所得控除」なんですよ。

イデコは受け取るときに税金計算上は退職金という扱いで受け取れるんです。

通常の退職金の場合は勤務年数で退職所得控除の金額が決まりますが、イデコの場合、掛金を拠出していた期間を勤続年数と考えます。

そのため、少しでも早く入った方が退職所得控除が大きくなって受け取るときに税金が掛かりにくくなるんですよ。

ちなみに退職所得控除の計算方法は以下となっています。

20年以下の場合: 退職所得控除額=40万円×勤続年数
20年を超える場合: 退職所得控除額=800万円+70万円×(勤続年数-20年)

長く掛ければかなり大きな控除が得られることがわかりますね。

例えば20歳から60歳までイデコを掛けていた方なら

退職所得控除額=800万円+70万円×(40-20年)

となり、2,200万円もの控除が得られるですよ。

例えばサラリーマンの上限である23,000円を毎月40年間掛けても掛け金は1,104万円にしかなりませんから、倍くらいまで増えても税金が掛からず済むということですから大きいですよね。

老後は年金だけでは2,000万円足りない問題なんかも騒がれていましたが、イデコをずっと掛けるだけで解消できてしまう可能性もあるのです。

なお、会社からも退職金がでる場合は受け取り方を一工夫すれば退職金のイデコも退職所得控除を利用することは可能です。

イデコの最大メリットは大学生だと享受しにくい

逆に大学生はイデコ加入しないでも良いんでない?と思える部分もあります。

それはイデコ最大のメリットである掛けた時の所得控除があまり効果的でないためです。

イデコは掛け金全額が所得控除となります。(小規模企業共済等掛金控除)

所得控除とは税金計算するときにその金額を控除して税金計算できるようになるってことです。

つまり、所得を減らしたことと同じ効果が得られます。

その結果、所得税及び住民税が減るのです。

しかし、多くの大学生は所得税や住民税をそれほど払っていないでしょうからイデコ最大のメリットをあまり受けることができないのです。

大学生でも起業してたり、アルバイトをバリバリしていて所得税や住民税を払っているなら意味はあるでしょうけどね・・・

イデコの節税効果について詳しくはこちらの記事を御覧ください。

資金が60歳までロックされる

また、イデコは年金制度ですから自由にお金を引き出すことができません。

基本的に60歳までは引き出せませんからそれほどお金を持っていないだろう大学生にとってはその点を考える必要もあるでしょう。

60歳まで開けられない貯金箱にお金を入れるみたいなもんなんです。

お金にある程度余裕がある方が無理のない範囲で掛けるのはありだとは思いますが・・・そうでない方が無理して入るとお金が必要になって後悔することにもなりかねませんので慎重に考えてください。



大学生が加入するならイデコより優先すべきなのはこれ

私が考える大学生がイデコより優先すべきものはこれです。

まずは国民年金保険料

まずは国民年金保険料を優先しましょう。

大学生の多くは前述した学生納付特例を受けています。

しかし、学生納付特例は受給資格の計算する加入期間には含まれますが、将来もらえる年金額には反映されない制度なんですよ。

あくまで納付が猶予されているだけで、あとから追納しなければ将来もらえる年金が少なくなってしまうのです。

年金なんて将来どうせもらえないし、払うだけ損だと考えられている方がみえます。

特に若い学生の方には多いです。

そのため、学生納付特例を受けて追納もしない方が多いです。

しかし、実はそうではありません。

国民年金は民間の個人年金保険と比較しても数段得なレベルなんですよ。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ですからイデコに加入できる余裕があるならまずは国民年金を納付するようにしましょう。

最強の公的年金制度である付加年金

国民年金を払ってもさらに余裕がある方におすすめしたいのはイデコよりも付加年金です。

付加年金あまり知られていませんが公的年金の中でも一番と言ってよいほどお得な制度なんですよ。

制度設計ミスっちゃった?ってくらいお得なのもあり、政府も社会保険事務所もほとんどアナウンスしていません(笑)

加入者がお得ということは政府側はあきらかに大損している計算となりますからね。

付加年金とは簡単にいえば国民年金に少し上乗せして支払うことで将来もらえる年金が増える制度です。

仕組み自体は単純なもので毎月の国民年金にプラスして400円納付を増やします。

すると老後に200円✕付加年金を納付した月数を終身(死ぬまで)もらえます。

計算してもらえばわかりますが、2年もらえば元が取れてそれ以降はずっとプラスというびっくりするくらいお得な制度なのです。

金額が少ないですが、まずはこちらを掛けるのがおすすめですね。

詳しくはこちらで解説しております。

途中解約可能なつみたてNISA

上記2つを払ってもさらに余裕があるならつみたてNISAをおすすめしたいです。

つみたてNISAもイデコと同じく老後資金を準備するのに最適な制度です。

つみたてNISAを一言で言えば金融庁が選別した投資信託を年間40万円まで最大20年間非課税で運用できる制度ってことです。

イデコと違い掛けた時の所得控除はありませんが、運用時は非課税。

受け取るときも税金は掛かりません。

また、イデコと違い途中解約自由なのでまだ収入が安定しない大学生にも挑戦しやすい制度なんですよ。

つみたてNISAについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。




まとめ

今回は「大学生から個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるべきか?」と題して大学生のイデコについて考えてきました。

まとめると以下の通り。

  • 大学生でも国民年金を納めていれば加入可能
  • イデコは早く始めた方が得。
  • しかし、大学生だとイデコ最大のメリットである節税が受けにくい、資金ロックのデメリットが際立
  • まずは国民年金、付加年金、つみたてNISAを利用するのをおすすめしたい

大学生のうちはイデコのメリットがあまり得られませんのでそこまでおすすめできないという感じですね。

それでもイデコはとてもお得な制度ですから就職して収入が安定して余裕ができたらおすすめですよ。

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの5社から選ぼう

個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)を始めるならまずは金融機関を決める必要があります。

しかし、たくさんあってどこにしたらよいのかわからない方も多いでしょう。

簡単に決めてしまう方もおおいかもしれませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)の場合、金融機関ごとの違いがとても大きいですから慎重に選びたいところです。

私が今もし、新たに加入するならSBI証券、マネックス証券、松井証券、イオン銀行、大和証券、楽天証券の6択の中から決めます。

(※私が加入しているのはSBI証券です)

この5つの金融機関は運営管理機関手数料が無料です。※国民年金基金連合会の手数料等は各社共通で掛かります。

また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。

順番に見ていきましょう。

SBI証券

まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。

SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。

選択の楽しさがありますよね。

また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。

SBI証券iDeCo
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SBI証券は運営管理手数料が無条件で0円ですし、なにより運用商品が豊富で選択の幅が広いです。現状最強のラインナップを誇ることになります。
また、他の証券会社に先んじて確定拠出年金の取扱をはじめてますから安心感が強いですね。

マネックス証券

次点はマネックス証券 iDeCoです。

こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。

iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。

マネックス証券iDeCo
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マネックス証券 iDeCo

マネックス証券はeMAXIS Slimを多く取り扱っており、信託報酬がほとんど最安値水準でスキがありません。また、iDeCoでいち早くiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスの取り扱いをはじめたところも大きなポイントになりますね。

松井証券

松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。

その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。

こちらも有力候補の一つですね。

松井証券iDeCo
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松井証券【iDeCo 口座開設申込】

2020年10月18日から取り扱い商品が大幅拡充されました。
人気となっているeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドなども採用され最強ラインナップといっても過言ではない充実ぶりですね。

大和証券

大和証券 iDeCoは大手証券会社でありながら、個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)にもかなり力を入れています。

他のネット証券と違い店舗が全国各地にたくさんあります。そこに魅力を感じる方にはおすすめできますね。

また、取扱商品もダイワつみたてインデックスシリーズなど信託報酬が安めの商品を取り揃えています。

大和証券iDeCo
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大和証券 iDeCo

運営管理機関手数料が無条件で無料ですし、商品も充実したことで選択肢となりえる金融機関になりましたね。中国株、ロシア株、ブラジル株のファンドへ投資できるなど特徴的な商品があるのが他との差別化要因かな。あとはiFreeシリーズ、とくに米国株さえ入れば十分に他と競争できると思いますので期待したいところです。

楽天証券

楽天証券は楽天・全世界株式インデックス・ファンドや楽天・全米株式インデックス・ファンドといった自社の人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。

この2つのファンドは人気ですね。

楽天証券iDeCo
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楽天証券 401K用プログラム

楽天証券は楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド、楽天・S&P500インデックス・ファンド、楽天・全世界株式インデックス・ファンド、楽天・全米株式インデックス・ファンドといった楽天ブランドの人気商品の取扱が大きなポイントとなっています。今後は楽天SPUの対象になったりしたらかなり面白い存在ですね。

総合して考えるとこの5つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。

他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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