3年に1度発表されている「生命保険に関する全国実態調査」(公益財団法人生命保険文化センター)が発表されました。
こちらは一般家庭における生命保険の加入実態および生命保険・生活保障に対する考え方を把握するこ とを目的としたものとなります。
この調査をみると日本人の保険好きがよく分かりますね・・・
今回は生命保険に関する全国実態調査の中から注目のデータを抜粋してご紹介します。
なお、本調査は2021(令和3)年4月10日~5月16日に全国の世帯数2人一般世帯を4,000調査したものとなります。
保険の世帯加入率は89.8%
なんらかの生命保険(個人年金保険を含む)に加入している世帯は89.8%となっています。
出典:公益財団法人生命保険文化センター 生命保険に関する全国実態調査 より
この結果は前回調査、前々回調査と比較すると少し上がっていますね。
前回の調査と比べると問題が発生した「かんぽ生命」や簡保がかなりシェアを落として、逆に民間生命保険、県民共済などが伸びているのがわかります。
医療保険加入者が最も多い
保険の種類別でみると以下のとおりです。
出典:公益財団法人生命保険文化センター 生命保険に関する全国実態調査 より
医療保険、医療特約が93.6%と最も高くなっていますね。
コロナの影響もあったのか前年からみてもかなり伸びているのがわかります。
医療保険はあまりおすすめしない
個人的には医療保険はあまりおすすめしてないんですよ。
日本には公的な医療保険があります。
高額な医療費が掛かったとしても高額医療費制度という制度があり自己負担はそれほど高くなりません。
それを考えればある程度の蓄えがある人には、わざわざ保険料を払ってリスクヘッジするようなものではないんですよ。
そのため、多くの人にとっては医療保険は期待値が低いどころかマイナスでメリットがあまりない保険となってしまうのです。
逆に蓄えのない人は入っていたほうがよいとは思いますが・・・
がん保険も66.7%と高い加入率
次点はがん保険です。
がん保険は66.7%と二番目に加入率が高く、前回調査と比較して3.9%増えていますね。
最近、保険会社が二人に一人はガンになる時代と大々的にCMしてがん保険への加入を誘っています。
そういったことも大きな要因かもしれません。
ただし、これも統計等をよく知って検討してくださいね。
2人に1人がガンになるのは本当ですが、ほとんどがかなり高齢になってからのお話なんですよ。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
新しい分野の保険も続々と・・・
また、注目が新しいタイプの保険が今年からランクインしていることです。
就業不能、認知症、健康増進型などなど・・・
これらも加入する前に本当に必要なのかをちゃんと考えてみてくださいね。
例えば就業不能の保険なんかは最近いろいろな保険会社から販売されていますね。
就業不能保険とは病気やケガで所定の就業不能状態になり働けなくなったときに毎月給付金が受け取れる保険です。
給料のような形で受け取れますから働けなくなったときの経済的な負担に備えることができるのです。
代表的な商品は以下です。
住友生命保険:1UP Vitality
アクサ:アクサダイレクトの働けないときの安心
日本生命:もしものときの生活費
三井住友海上:&LIFE くらしの応援ほけん
ライフネット生命:働く人への保険2
チューリッヒ:くらすプラス
各社ともテレビCMもガンガン流していますからご存知の方も多いでしょう。
しかし、多くの場合は国の制度として用意されている傷病手当金でまかなえてしまって不要であることをご存知でしょうか?
就業不能保険は傷病手当金や休業補償給付の補完的なものと考えて加入していればよいのでしょうが、傷病手当金の存在を知らずに加入するのはもったいないんですよ。
個人的に傷病手当金や休業補償給付がでない自営業者やフリーランスの方を除くとそれほど必要性がない保険だと考えています。
加入する前にその手の国の制度をしっかり理解しておかないと無駄な保険に加入することになってしまうんですよ。
詳しくはこちらを御覧ください。
死亡保険金の平均は2,027万円
次に死亡保険をどれくらい掛けているのかを見てみましょう。
出典:公益財団法人生命保険文化センター 生命保険に関する全国実態調査 より
平均で2,027万円となっています。
最近は死亡保険がそこまでの金額が必要ないことが広まってきたのか年々下がっているのがわかりますね。
前回調査と比較しても228万円下がっています。
生命保険の金額を決める時は遺族年金も配慮しよう
生命保険はある程度は必要だとは思いますが、ぜひ知っていただきたいのがこちらも国の制度で遺族年金という制度があることです。
遺族年金が出る方は、それだけでもある程度遺族の生活が保障されるんですよ。
子どもたちに自分が亡くなってからも不自由させたくないというのはもちろんわかりますが、遺族年金の部分を勘案していくらの保険に入るのかは考えるべきなのです。
生命保険の金額を下げて現在の生活を充実させたほうが良いケースの方が多いでしょう。
保険のセールスマンでも本当に顧客のことを考えている方は遺族年金のあたりも考慮するでしょう。
しかし、自分の報酬やノルマにばかり目が行っている方はその辺りをあえて説明しないなんて話もよくあるんですたよ。
自分のお金は自分で守れるようにしましょう。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
年間払込保険料の平均は37.1万円
次は年間払込保険料です。
出典:公益財団法人生命保険文化センター 生命保険に関する全国実態調査 より
平均して世帯の保険料が37.1万円となっています。
こちらは最近保険不要な話がようやくネット界隈でも言われるようになり、少しずつ減っていますね。
それでも高すぎるかな・・・って印象がありますが。
世帯年収の平均は厚生労働省の調査によると552万円
そのうち37.1万円ですから率にすればそのうち6.7%も保険に回しているということになりますからね。。。。
保険屋が勧める保険を鵜呑みにするな
前述のように保険に日本人は入りすぎている状況です。
それは保険屋などが自分たちの儲けを中心に考えてしまっているという部分が大きいでしょう。
消費者側は自分でしっかり知識をもって必要な保険を選ばないと不要な保険や過大な金額の保険に入らされてしまうんですよ。
余裕があるなら貯蓄は別で行う
保険に対する考え方は人それぞれでしょうが、私の考えとしては保険は自分でリスク回避できないものにだけ最小限掛けるものと考えています。
それを意識するだけでかなり保険の金額は減らせるでしょう。
前述のように日本にはいろいろな社会保険制度がありますから保険の必要性はそこまで高いものばかりではないんですよ。
とくにあまりおすすめしないのが貯蓄型ですね。
詳しくはこちらをごらんください。
個人年金型の保険の加入者が増えている
最後は個人年金保険についてみてみましょう。
出典:公益財団法人生命保険文化センター 生命保険に関する全国実態調査 より
加入率も平均払込保険料も増えているんですよ。
これは少し前に話題になった年金だけだと2,000万円足りない問題などの影響が大きいと思われます。
ただし、こちらもあまりおすすめしません。
多くの個人年金保険はかなり不利な仕様なんですよ。(一部ドアノック商品でお得なものもありますが)
これにわざわざ加入するなら自分で貯蓄なり投資をしたほうがお得なケースの方が多いです。
もし、この現在の低利率の環境下のままの状態で貯蓄型保険や個人年金保険を強引に勧めてくるFPや保険屋がいたら注意してください。
お客様のことよりも自分の懐をみて勧めている可能性が高いです。
貯蓄型や個人年金保険は保険料が高いので保険屋やファイナンシャルプランナーに落ちる手数料も多くなるんですよ。
または、保険会社の謳い文句だけを信じてそもそもこのあたりの話をまともに理解していないケースもあります・・・FPも保険屋もレベル差が激しいですからね。
iDeCoやNISAを優先するのがおすすめ
個人年金保険に入るならiDeCoやNISAのような税制優遇のある制度がおすすめです。
「iDeCo」とは正式名称を「個人型確定拠出年金」といい、簡単に言えば自分の老後生活のために老後資金を自分で作るための制度です。
「iDeCo」をオススメしたい最大の理由が税金面で優遇されている制度だからです。
老後資金を自分で貯める制度なんですが、そのつみたてたお金がすべて「所得控除」の対象となるということです。
自分の老後資金を用意しつつ、節税まで出来てしまうのです。
保険でも生命保険料控除がありますが、全額できるわけではありません。
しかし、iDeCoは掛けた分だけ控除対象ですからよりメリットが大きいのです。
ただし、iDeCoは途中解約できないなどのデメリットがありますので、それを避けたい方には「つみたてNISA」という制度を使うのもおすすめです。
NISAを一言で言えば非課税で少額運用できる制度ってことです。
通常に投資をする場合だと利益がでたら税金が20.315%(所得税15.315%+住民税5% 所得税に復興特別税を含む)発生しますが、NISAを使って投資をするとその部分が免除されるのです。
投資の裾野を広げようという目的で優遇されているんですよ。
まずはiDeCoを検討して、まだ余裕があったり、iDeCoのデメリットが大きい方はつみたてNISAがおすすめですね。詳しくはこちらの記事を御覧ください。
まとめ
今回は「日本人は保険好き?年間払込保険料の平均は37.1万円、生命保険の加入率9割」と題して保険の統計情報をみてきました。
多くの日本人は保険に入りすぎだな・・・って感じますね。
まずは保険屋やファイナンシャルプランナーの言葉に惑わされずに自分たちがどんな保険にはいるべきなのかを考えてみてください。
日本は社会保険制度が充実していますし、自分でリスク回避できないものに最小限掛けるのがおすすめです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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