年65%もの特別金利も。外貨定期預金は儲かるのか?高金利通貨の危険性を知っておこう

楽天銀行はかなり魅力的なネット銀行です。利用状況によってはATM手数料が最大7回無料になったり、振込手数料が3回無料になります。また、楽天証券の口座開設を行い連携を行うと株式等を行わなくても年0.1%(大手銀行の100倍くらい)の利率になったりします。

特に給料振込みに指定するのにおすすめの銀行だったりもします。

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給料振込みに最適な銀行口座

そんな楽天銀行が現在、外貨定期預金の特別金利キャンペーンを行っています。キャンペーンの内容をぱっと見ると年65%もの特別金利がついてかなりすごいのです。最近では楽天銀行以外にも同様のキャンペーンをときどき見かけますね。しかし、上手い話には裏があるともいいますので、この手のキャンペーンは実際に儲かるのか今回は検証してみたいと思います。

楽天銀行の特別金利キャンペーン


現在楽天銀行で外貨預金の特別金利キャンペーンを行っています。まずはその内容から確認しておきましょう。


外貨定期特別金利キャンペーン概要

今回の外貨預金の特別金利キャンペーンは以下の概要となっています。

2018年8月16日(木)~2018年9月6日(木)間のお預入れ分に特別金利を適用されます。

外貨預金金利
出所:楽天銀行「外貨定期特別金利キャンペーン」ページより。

米ドル(米国)と豪ドル(オーストラリア)南アランド(南アフリカ)の外貨定期預金の金利がアップするのです。具体的には米ドルならば2週間もので年5.50%、2ヶ月もので年1.5%の特別金利となります。豪ドルは2週間もので年14.00%、2ヶ月もので年4.00%の特別金利です。南アランドは2週間もので驚異の年65.00%、2ヶ月ものでも年25.00%の特別金利です。

金利だけをみるとかなり魅力的ですすね。

定期預金で年65%はお得なのか?

年65%の利率は日本の基準では絶対ありえない話ですね。日本では1%でもありません。前述の楽天銀行と楽天証券を連携した場合の年0.1%でもかなり高いと言われています。それではなぜこのようなことが可能なのでしょうか?まず押さえておきたいのが期間と為替コストです。今回は2週間と2ヶ月どちらかしかキャンペーンにありませんね。それぞれどれだけ利息を得られてどれだけのコストが掛かるのかを考えてみましょう。

もらえる利息(為替変動なしなら)

たとえば2週間の条件で南アランド(南アフリカ)の外貨定期預金に100万円掛けたとしましょう。実際にもらえる利息は為替の変動がなしなら2週間で約25,000円となります。さらに利息には復興特別所得税20.315%(国税15.315%、地方税5%)の税金がかかります。計算すると約5,000円ですから、利息は手取りでざっくり20,000円ということになります。

2ヶ月の場合に実際にもらえる利息は為替の変動がなしなら約42,000円となります。税金が8,500円くらいですので、利息は手取りでざっくり33,500円ということになります。

為替コスト

次に為替コストをみてみましょう。為替コストとは円を外貨や外貨を円に替えるときに掛かる手数料のことです。

今日現在の南アフリカのランドの相場が1ランドが7.74円です。100万円だと129,198ランドに替えることができます。楽天銀行の場合、1ランドの為替コストが30銭。往復で60銭かかります。129,198ランドを往復で交換すると為替コストに77,518円かかる計算になります。つまり、100万円分を南アランドにして日本円に戻すと為替コストに77,518円かかってしまうのです。

2週間や2ヶ月では為替コストを利息でカバーできないってことになりますね。

為替の変動

それでは為替の変動を考えたらどうでしょうか?外貨預金の場合には為替の変動が大きな要素を占めます。下記は南アランドの10年程度の対日本円での値動きになります。当初は17円近かったのが10年たった現在は7.74円ですから半分以下になっているのがわかると思います。これは南アフリカランドに限らず高金利通貨によくあることなのです。

南アランドチャート
出所:ヤフーファイナンス「南アフリカランド長期チャート」

高金利の通貨はインフレになっている

ここで気をつけたいのが金利がこれだけ高い通貨は基本的にかなりのインフレが進んでいるってことです。インフレが進むということはその国の貨幣の価値が下がるということですから相対的にみれば高金利通貨は安く、低金利の通貨は高くなります。

例えば下記は最近暴落して話題になっているトルコリラの週足チャートです。

トルコリラチャート週足
出所:楽天証券 トルコリラチャート

トルコリラも南アフリカランドと同様に高金利となっていますが、チャートを見ると同様に右肩下がりになっているのがわかると思います。これだけ貨幣の価値が下がってしまうと外貨預金で特別金利をもらってもかなりリスクが高いことがおわかりいただけたと思います。これはFXのスワップポイントでも同じでかなり危険な行為なんですよね。

詳しくはこちらを御覧ください。

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金利やスワップポイントだけを見ての投資は危険

金利やスワップポイントはわかりやすいです。そのためそれだけを目的に投資や外貨定期預金されるかたが少なからずいます。しかし、これはかなりリスクが高い資金運用であるということをしっかり認識しておきたいところです。

もちろん、為替に絶対はありませんので逆に行くこともあるかもしれません。しかし、上記2つのチャートをみてわかるように基本的に右肩下がりのトレンドです。投資の格言に「トレンドに逆らうな」ってのがありますね。基本的に相場はいったん方向性(トレンド)が生まれるとその方向へ進む力が強くなる傾向にあります。ですからそのトレンドの逆をいくことはかなりリスクが高いということを押さえておきましょう。

まとめ

今回は「年65%もの特別金利も。外貨定期預金は儲かるのか?」と題して楽天銀行の外貨預金キャンペーンについてみてきました。

たしかに表面上は高金利ですが、キャンペーンが適用される期間が短いこと、為替コストが高いこと、為替変動リスクは基本的に下方トレンドにあることからあまりおすすめできない感じですね。これは楽天銀行の本キャンペーンだけでなく高金利関連の為替はFXのスワップポイントを含んで同様にリスクを抱えていることを知っておきましょうね。

今回は楽天銀行の外貨預金キャンペーンはちょっと辞めたほうがよいという趣旨も含んでいましたが、基本的に楽天銀行はよい銀行ですからおすすめです。一応フォローしておきます(笑)

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