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最近人気のインベスコ世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)を中立レビュー

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最近人気のインベスコ世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)を中立レビュー

最近、急激に人気となってきた投資信託があります。

インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)です。

かなり高い信託報酬かつ毎月決算型と金融庁から敵視される要素満載の商品にもかかわらず、2025年8月第一週のSBI証券の販売金額ランキングで8位、楽天証券の同ランキングでも7位とかなり検討しているんですよ。

XなどのSNSでも関係する投稿が目立つようになってきました。

誰かインフルエンサーが紹介でもしたんでしょうかね?

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インフルエンサーを全面的に信用するな。自分で考える癖をつけよう 知り合いからある株を大量に買って損切りできずに困っているという話を聞きました。 その銘柄は私なら絶対買わないだろうという株だったのでなぜ買ったのか?と聞いたら...

読者様からもこのファンドはどうなの?という質問も来るように・・・

そこで今回はインベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)を中立レビューしたいと思います。

目次

インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)のが概要

まずは概要からみていきましょう。

正式名称:インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)
愛称:世界のベスト
分類:追加型/内外/株式(ファミリーファンド方式)
設定日1999.01.07
通貨:円建て/為替ヘッジなし型
決算頻度毎月(原則23日、休業日の場合は翌営業日)
ベンチマーク:MSCIワールド・インデックス(税引後配当込み、円換算ベース)※ヘッジなし型の記載。指数は参照であり連動保証ではない。
運用方針:先進国株式の中から、バリュエーションやファンダメンタルズに基づき割安と判断する銘柄を厳選(ボトムアップ)。

最近、急に話題になってきていますが、1999年からある商品なんですよ。。。

費用:信託報酬・実質コスト・購入/解約時

購入時手数料:販売会社が定める上限3.30%(税込)以内
信託財産留保額0.30%(換金時)
運用管理費用(信託報酬)年率1.903%(税抜1.73%)
(販売会社・受託会社・委託会社への配分明細あり)

購入時手数料についてはネット証券等で購入時手数料0%の取扱いもあります

実際の取扱いは各社の最新表示をご確認ください。

信託報酬はかなり高めの投資信託となりますね。

実質コスト(交付運用報告書)

直近計算期(2024年6/25〜12/23)の1万口当たり費用明細は以下。

合計:92円、比率:0.977%(期間比:平均純資産9,419円/1万口あたりベース)
内訳:信託報酬相当90円(0.949%)、売買委託手数料0.9円(0.010%)、その他1.3円(0.017%) 等。
※この比率は期間比で、年率の総経費率は別掲となる場合があります。

ポイント:同シリーズ(ヘッジあり)では同期間の総経費率 年率2.01%と開示(参考)。
ヘッジなし型も名目の信託報酬1.903%が基礎で、売買コスト等が積み上がる点は同様です。

投資先(ポートフォリオ)

最新月次(2025/6/30時点)の開示より(シリーズ共通のマザーファンド情報)。

上位国:米国46.1%、英国18.6%、オランダ9.2%、カナダ5.2%、香港3.6%
上位業種:資本財・サービス30.1%、金融24.6%、情報技術18.8%
上位銘柄:ロールス・ロイス、マイクロソフト、3iグループ、カナディアン・パシフィックKCS、テキサス・インスツルメンツ 等(各3〜6%前後)
通貨エクスポージャー(概況):米ドル51.6%、英ポンド19.4%、ユーロ12.0% ほか。

ヘッジなしのため、上位通貨(米ドル/ポンド/ユーロ)の対円変動が基準価額に効きます。

世界厳選株式という名前のとおり、かなり厳選したポートフォリオとなっています。

ロールス・ロイス・ホールディングスが6%と最上位なのがかなり意外かもしれません。。

ラインナップ

インベスコ 世界厳選株式オープンにはいくつかの商品が存在しています。

違いは分配金の時期と為替ヘッジの有無です。

いずれも追加型/内外/株式、愛称は共通で「世界のベスト」。管理費用(信託報酬・税込)は全コース 年1.903%、信託財産留保額 0.30% で共通です

コース名決算頻度/決算日為替ヘッジベンチマーク表記設定日新NISA(成長投資枠)取扱
<為替ヘッジなし>(毎月決算型)毎月/毎月23日なしMSCIワールド(税引後配当込み・円換算ベース)1999/01/07取扱不可
<為替ヘッジあり>(毎月決算型)毎月/毎月23日ありMSCIワールド(税引後配当込み・円ヘッジベース)1999/01/07取扱不可
<為替ヘッジなし>(奇数月決算型)隔月(奇数月)/23日なしMSCIワールド(税引後配当込み・円換算ベース)2023/09/22取扱(販売会社により)
<為替ヘッジあり>(奇数月決算型)隔月(奇数月)/23日ありMSCIワールド(税引後配当込み・円ヘッジベース)2023/09/22取扱(販売会社により)
<為替ヘッジなし>(年1回決算型)年1回/12月23日なしMSCIワールド(税引後配当込み・円換算ベース)2018/10/05取扱(販売会社により)
<為替ヘッジあり>(年1回決算型)年1回/12月23日ありMSCIワールド(税引後配当込み・円ヘッジベース)2018/10/05取扱(販売会社により)

使い分けのヒント

年1回決算型:分配頻度が低く、再投資・複利を意識しやすい設計。ヘッジ有無は為替感応度で選択。
奇数月決算型:毎月ほど細かくは受け取りたくないが、定期的なキャッシュフローは欲しい人向けの中間設計。2023年9月に追加された新しめのコース。
毎月決算型:毎月の受取ニーズに対応。ただし分配と基準価額の関係には要注意(複利の目減りや元本払戻しの可能性)。ヘッジ有無で為替の影響は大きく変わります。

もちろん、どれが「有利」ではなく、分配頻度/為替リスク許容/税制枠の使い分けの問題です。

人気となっているのは<為替ヘッジなし>(毎月決算型)ですね。

最終判断はご自身の投資方針に沿ってどうぞ

過去の成績の検証

次に過去の成績についてみていきましょう。

期間騰落率(ヘッジなし・毎月決算型/2024年12/30時点)

基準日:2025年6月30日

期間1ヶ月3ヶ月6ヶ月1年3年設定来
ファンド6.41%9.84%5.28%9.91%84.73%412.33%
ベンチマーク(MSCIワールド・税引後配当込み・円換算)4.57%7.32%-1.47%3.77%69.35%341.71%

成績はベンチマークを上回った期間が多く悪くないようです。

ただし、同期間の他の商品と比較してみる必要があります。(後述します)

分配金の履歴と内訳(普通分配/特別分配)

直近の交付運用報告書には、各期の分配原資の内訳(「当期の収益」=普通分配相当、「当期の収益を超える額」=元本払戻金=特別分配相当)が明示され、月によって特別分配の占率が高い実績が確認できます。

「分配金=実質的リターン」ではない

期首基準価額 ──→(運用損益 ±)──→ 期末基準価額

分配金支払い(▲)→ 受取
【トータルリターン】≈(期末基準価額+累計分配再投資額)- 期首基準価額
※ 元本払戻し(特別分配)は課税は軽いが「取り崩し」。NAVは分配でその分下がる。

リスクと注意点

この商品にはいくつかリスクと注意点があります。あらかじめ知っておきましょう。

為替ヘッジなしの影響

為替ヘッジなしの海外株を買う商品の場合には、為替の影響が強く出ます。

時:基準価額の逆風(外貨建て資産の円換算価値が低下)。
時:追い風だが、為替要因にリターンが左右されやすくなる

ただし、多くのインデックスファンドも為替ヘッジなしなのでここはそこまで気にしなくてもOKかも。

毎月決算型の構造的リスク

「分配金の水準」>「当期収益」となると、元本払戻し(特別分配)が発生し、複利成長を毀損し得る。

目論見書にも「収益を超えて支払う場合あり」と明記されています。

これが最大のリスクかもしれません。

金融庁の資料でも、長期資産形成では「分配金を受け取らず再投資する方が複利に有利」、毎月分配型は長期運用に向かない旨が示されていますね。

集中度・アクティブ運用のブレ

厳選投資ゆえ国・セクター偏重が生じる場合があり、ベンチマークからの乖離が大きくなる可能性

コストの影響

名目の信託報酬1.903%に加え、売買・保管等のその他費用がトータルリターンを恒常的に圧縮

長期ではかなりこの差が効きます。

これも大きなリスクですね。

同カテゴリの競合と比較

次に同カテゴリーの競合商品と比較してみましょう。

比較軸本ファンド(インベスコ世界厳選株式オープン ヘッジなし/毎月)低コスト再投資型(例:eMAXIS Slim 全世界株式)全世界株ETF(例:iシェアーズACWI)
分配方針毎月分配(収益超過時は特別分配あり)原則無分配/再投資年数回分配(再投資可)
為替ヘッジなしなし(通常)なし(通常)
コスト感高コスト(信託報酬1.903%+α)超低コスト帯(0.1%未満クラスが目安)低〜中コスト(ETFのTERと売買コスト)
長期実績ベンチマーク比較とアクティブのブレ(↑↓)ベンチマーク(MSCI ACWI相当)に広く分散ACWI指数に広く分散
NISA適合つみたて投資枠:対象外成長投資枠:毎月分配型は対象外つみたて投資枠:対象(条件充足)成長投資枠:対象(ETF)
向く投資家毎月の受取ニーズが強い層複利重視・長期分散指数連動×売買の機動性重視

直接のライバルとなりそうなのは「eMAXIS Slim 全世界株式」(オルカン)などのインデックスファンドでしょう。

大きな違いとしては分配があるのか、ないのか、信託報酬の違い、あとは運用がアクティブか、インデックスかの部分です。

信託報酬が下手したら20倍ちかく違うんですよ。

騰落率比較

実際の成績も確認して見ましょう。

商品(分類)1ヶ月3ヶ月6ヶ月1年3年設定来基準日/通貨
インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算・アクティブ)6.419.845.289.9184.73412.332025/6/30・円(同月次レポート)
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(年1回決算・インデックス)5.3718.194.5915.7972.92189.782025/7末・円(販売会社掲示の最新データ)
iShares MSCI ACWI ETF(ACWI)(米国籍ETF・インデックス)4.6411.4510.3416.4261.69261.042025/7/31・USD(BlackRock公式)

「世界厳選株式(毎月・無ヘッジ)」は3年・設定来の伸びが大きいです。

かなり成績面でも健闘しているのがわかります。

信託報酬や分配金などマイナス要素が多い中かなりすごいです。

アクティブ運用がうまく行っている証拠でしょう。

一方、直近1年の数字ではインデックス勢(ACWI/オルカン)に見劣りしますね。

ここは信託報酬率の高さとアクティブのブレが効いていると思われます。

なお、設定来は設定された時期が違うので比較はできません。

それでもインベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算)は長期にわたってプラスというのは目安にはなります。

どんな投資家に向くのか?

競合との比較を勘案してどのような投資家に向くのかを整理して見ました。

インカム志向

毎月のキャッシュフロー受取を重視。

ただし元本払戻しリスクと為替の振れを理解し、分配金水準の見直しがあり得ることも許容できる人

退職金の分散投資

一部を年金に上乗せする定期受取の原資として割り切るなら候補。

ただしコストとタコ配の可能性が取り崩し速度に与える影響を要試算

成長志向(複利重視)の方には向かない

複利重視の成長志向の方にはあまりおすすめできません。

無分配/再投資の低コスト型のインデックスファンドが基本線となるでしょう。

よくある質問(FAQ)

次によくある質問についてみていきましょう。

毎月分配は不利?

利便性は高い一方、収益超過分配=元本払戻しが続けば複利が効きにくい。

長期形成では無分配・再投資が推奨されやすい。

特別分配金の課税は?

元本払戻し部分は非課税だが、元本を取り崩すため資産残高は減る。

普通分配は課税対象。

詳細は販売会社の税区分表示を要確認

為替ヘッジあり/なしはどう選ぶ?

円高リスクを抑えたいならヘッジあり、円安の恩恵を取りに行くならなし。

ヘッジコストや金利差も加味

分配水準は固定?見直しはある?

運用状況に応じて見直しあり。

分配対象額が少額の期は無分配の可能性も明記。

NISAでは買える?

つみたて投資枠は対象外。

成長投資枠も毎月分配型は対象外と整理されています。

金融庁は前から毎月分配のある投資信託は排除の方向ですからね。

なお、インベスコ 世界厳選株式オープンシリーズの年1回決算型と奇数月決算型は成長投資枠の対象です。

まとめ

今回は「最近人気のインベスコ世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)を中立レビュー」と題してインベスコ世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)について見てきました。

信託報酬が高く、毎月分配型だったので全くのノーマークでしたが、意外と成績もよくびっくりしました。

まとめると

構造:先進国株の厳選アクティブ。為替ヘッジなしで通貨感応度が高い。
費用:信託報酬1.903%+売買・保管等とかなりの高コスト。長期ではコストが効く。
分配:毎月分配は利便性◎だが、特別分配(元本払戻し)で複利が毀損するリスクも
実績:直近5年+116.8%などの強含み局面も、円高やアクティブのブレ次第で変動。
代替案:再投資・低コストの全世界ファンド/ETFは複利に親和。NISA適合性でも優位。

個人的には意外と悪くないけど、これをあえて選ぶほどのことはないかなって感じですね。

取り崩しは嫌で、どうしても毎月分配金が欲しい方にはありな選択となりそうです。

この商品はなにより1999年から運営しているという安心感はあります。

なお、インベスコ世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)は老舗だけあり、SBI証券などのネット証券はもちろん対面の証券会社、銀行などかなり多くの機関で取り扱いがあります。

購入時手数料は販売会社によって異なりますので、ご注意ください。

SBI証券なら購入時手数料無料かつ保有でポイントが0.1%(1000万円以上保有だと0.2%)付くのでおすすめです。

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