最近、「50年ローン 取り扱い銀行」「50年 住宅ローン 金利」といった検索がかなり増えています。
住宅価格の高騰と金利上昇の気配のなかで、「少しでも月々の返済を軽くしたい」「このままだと希望の家が買えない」という声が増えているためです。
一方で、同じように検索すると「50年ローン やばい」「50年ローン 頭おかしい」といった、かなり強い言葉も出てきます。
便利なように見える50年住宅ローンにも、それなりの理由があるということですね。
この記事では、50年住宅ローンの仕組みや取り扱い銀行の傾向、「50年 住宅ローン 金利」がどう決まるのかを押さえた上で、実際にシミュレーションを行いながら、メリットと「50年ローン 落とし穴」を整理していきます。
50年ローンが登場した背景とは
まず、なぜ50年という長期の住宅ローンが登場したのか、その背景を理解しておく必要があります。
住宅価格の高騰が続く現状
国内の住宅市場は、ここ数年で大きく様変わりしました。
建築資材の価格上昇、人件費の高騰、さらにはZEH住宅などの高性能住宅へのニーズの高まりにより、新築住宅の価格は右肩上がりの傾向が続いています。
かつては年収の5倍程度で購入できた住宅が、今では年収の6倍から7倍が当たり前という状況になっているのです。
この価格高騰は、多くの購入希望者にとって大きな壁となっていました。
金融機関の対応策としての50年ローン
こうした状況を受けて、金融機関は住宅購入の敷居を下げるために、返済期間の延長という選択肢を提供し始めました。
2023年に住信SBIネット銀行がネット銀行として初めて50年住宅ローンを開始して以降、2025年にはauじぶん銀行、PayPay銀行、SBI新生銀行なども相次いで参入しています。
加えて、以前から西日本シティ銀行や宮崎銀行、足利銀行など一部の地方銀行・信用金庫では、最長50年のローンを扱ってきました。
この動きは、住宅購入を諦めかけていた若年層や、より良い条件の物件を探している世帯にとって、新たな可能性を開く施策となっています。
ちなみに残価設定型の住宅ローンも同じ理由で登場しています。

それでも一般的な住宅ローンは「最長35年」がベース
これまで日本の住宅ローンは、「最長35年」が標準的な設定でした。
多くの銀行では、
- 借入時の年齢が20歳前後〜60歳台前半
- 完済時の年齢は80歳未満
といった条件のもと、1〜35年の範囲で返済期間を選ぶのが一般的でした。
この「完済時80歳未満」の条件を前提にすると、30代後半や40代で家を買う人にとっては、そもそも50年ローンは組めないんですよ。
50年ローンは、主に20代〜30代前半の比較的若い層をターゲットにした商品です。
50年住宅ローンの金利はなぜ高くなりやすいのか?
50年の住宅ローンはかなり人を選びます。
その一つが金利が高いということです。
まずはここから詳しく見ていきましょう。
多くの銀行で「35年超は金利上乗せ」
50年ローンの条件を細かく見ていくと、多くの銀行に共通するパターンがあります。
- 返済期間が35年以内:通常の金利
- 返済期間が35年を超える部分:金利を年0.10〜0.20%ほど上乗せ
たとえば、
- 住信SBIネット銀行:35年超〜50年で金利+0.15%
- イオン銀行:お借入期間が35年を超える場合、金利+0.10%
- auじぶん銀行:最長50年の長期返済では0.10%の金利上乗せ
- 住宅金融支援機構の「フラット50」:フラット35よりおおむね+0.1%程度高い水準
といった具合です
※いずれも金利水準は時期によって変動するので、最新の条件は必ず公式サイトで確認してください。
なぜ金利が上がるかというと、「長く貸すほど銀行側のリスクが大きい」からです。
- 長期間の金利変動リスク
- 借り手の収入・健康・家族構成の変化リスク
- 不動産価格の変動リスク
こういった不確実性が大きくなるぶん、銀行は金利に「リスクの上乗せ」をする必要があります。
金利の上乗せは小さく見えても、50年続くと重くのしかかる
「0.1〜0.2%の差なら、たいしたことないのでは?」と思うかもしれません。
しかし、年0.1%の差が50年という長さにかかってくると、支払総額への影響は意外と大きくなります。
今の家計を楽にする代わりに、将来の自分に大きな負担を残していないかを冷静に見ていく必要があります。
50年ローンのシュミレーションで35年ローンと比較してみる
そこで、「50年ローン シミュレーション」で具体的な数字を見てみましょう。
前提条件
ここでは説明をわかりやすくするため、次のような前提でシミュレーションします。
- 借入額:4,000万円
- 金利:年1.0%(35年ローン)
- 返済期間①:35年
- 返済期間②:50年(金利同じ1.0%)
- 返済期間③:50年(金利1.1%:0.1%上乗せを想定)
実務では金利や商品条件によって数字は変わりますので、「あくまでイメージ」としてご覧ください。
35年ローンと50年ローンの月々の返済額
シミュレーション結果(元利均等返済)は次のようになります。
- 35年・金利1.0%
- 月々の返済額:約11万2,900円
- 総返済額:約4,742万円(利息:約742万円)
- 50年・金利1.0%
- 月々の返済額:約8万4,700円
- 総返済額:約5,085万円(利息:約1,085万円)
- 50年・金利1.1%
- 月々の返済額:約8万6,700円
- 総返済額:約5,202万円(利息:約1,202万円)
同じ1.0%で比べると、50年ローンにすると
- 月々の支払いは約2万8,000円ほど軽くなる
- その代わり、総返済額は約340万円増える
という関係になっています。
さらに、金利が0.1%上乗せされると、
- 月々の返済額は、1.0%の50年よりも約2,000円増える
- 総返済額は、35年1.0%ローンよりも約460万円多くなる
というイメージです。
「今の2〜3万円のゆとり」と「将来の数百万円の負担」
プロスペクト理論では、人は「将来の不確かな損」より「今この瞬間の確実な得」を重く感じるとされています。
- 今:毎月2〜3万円のゆとりができる(心理的にはかなりラク)
- 将来:30〜40年後に数百万円多く払う(実感しづらい)
この組み合わせだと、多くの人は「今ラクになるならいいか」と考えがちです。
しかし、冷静に数字を見ると、「老後に向けた貯蓄や投資に回せたはずのお金」を、利息として銀行に渡しているとも言えます。
ここから、「50年ローン やばい」「50年ローン 頭おかしい」といった強めの言葉が出てくる理由を整理していきます。
「50年ローン やばい」「50年ローン 頭おかしい」と言われる理由
ネットやメディアでは、「50年ローンはやばい」「危険」といった指摘も多くあります。
主なポイントを、順番に整理してみましょう。
老後(定年後)も返済が続く
50年ローンの場合、20代前半で借りても完済は70代です。
30歳で借りれば、80歳近くまで返済が続く計算になります。
「定年後は年金でのんびり暮らしたい」と考えていても、実際には
- 退職金や年金から住宅ローンの返済が出ていく
- 医療費や介護費用、孫への支援なども重なりやすい
といった現実があります。
老後の生活費を圧迫し、「老後破綻」のリスクを高めてしまう点が「やばい」と言われる大きな理由です。
50年先までのライフプランは読めない
50年間というのは、ほぼ「人生の残り全部」と言っていい期間です。
- 転職・独立・起業
- 病気・ケガ
- 離婚・再婚
- 親の介護・相続
- 子どもの進学・留学
など、数えきれないイベントが起こり得ます。
そのたびに収入と支出のバランスは変わり、住宅ローンの返済計画も見直しが必要になります。
こうした不確実性を「長期間背負い続ける」ことになるのが、50年ローンの難しさです。
総返済額(利息)が大きく増える
先ほどのシミュレーションのとおり、返済期間が長くなるほど、支払う利息の総額は増えます。
- 月々の負担を抑えられる代わりに
- 銀行に払う利息は、数百万円単位で増えやすい
というトレードオフです。
もちろん、その「浮いた毎月2〜3万円」を投資に回し、住宅ローンの金利以上のリターンを得られれば、理論上はプラスになる可能性もあります。
ただし、実際にそこまできっちり運用できる人は決して多くありません。
ここでも、「計画的に資産形成できる人」と「ただ返済を伸ばしてしまう人」で、結果は大きく分かれます。
元金の減りが遅く、オーバーローンになりやすい
返済期間を伸ばすと、毎月の返済額に占める「元金の割合」が小さくなり、なかなか元本が減りません。
その結果として、
- 10年後に売却しようとした時、
- 売却価格 < ローン残高(オーバーローン)
になりやすいという問題があります。
不動産価格が右肩上がりならまだしも、下落局面で50年ローンを組んでいると、「売りたくても売れない」状態に陥るリスクは確実に高くなります。
変動金利の場合、金利上昇リスクにさらされる期間が長い
変動金利で50年ローンを組むと、金利が上がったときの影響を受ける期間も長くなります。
- 金利が低いうちは月々の返済も抑えられる
- しかし将来金利が上がると、返済額が増えたり、返済期間がさらに延びることもある
という構造です。
「金利は今後もずっと低いまま」と決め打ちするのは、とても危険です。
これらの理由を総合して、「50年ローンはやばい」「50年ローンなんて頭おかしい」という強い表現が出てくる
というわけですね。
50年ローンの落とし穴
実際に50年ローンを利用する際に注意すべき具体的な落とし穴について解説します。
完済時年齢の制限
多くの金融機関では、完済時年齢を満80歳未満に設定しています。
つまり、50年満期で借りられるのは30歳未満の方のみであり、30歳以上の方は50年満期での借入ができません。
例えば40歳の方が借り入れる場合、最長でも40年(80歳完済)までとなります。
この年齢制限を理解せずに計画を立てると、希望する返済プランが実現できない可能性があります。
教育費・住宅ローン・老後資金が「三重苦」になりやすい
50年ローンは「月々の返済を抑えられる」一方で、返済期間が長くなります。
すると、次のようなタイミングでお金が重なりやすくなります。
- 子どもの高校・大学の教育費がピークの時期
- 自分の50代〜60代での健康リスクや介護リスクが高まる時期
- 退職金と年金だけに収入がほぼ頼る時期
本来なら、教育費がかかる時期や老後に向けて「先取りして貯めておくべきお金」が、住宅ローンの返済として消えてしまうイメージです。
「退職金で一括返済するから大丈夫」という発想の危うさ
相談を受けていると、「最悪、退職金で完済すればいい」と考えている方も一定数いらっしゃいます。
しかし、現実には
- 退職金制度が縮小・廃止される会社も多い
- 転職を重ねるほど退職金は小さくなりやすい
- そもそも退職金には、老後の生活費・医療費・介護費用など多くの用途がある
といった事情があります。
退職金=住宅ローン返済用の財布としてあてにしてしまうと、老後の生活が一気に苦しくなるおそれがあります。
50年ローンは修繕積立金を考慮しているか
戸建てであれマンションであれ、50年という歳月は建物に甚大な劣化をもたらします。
30年目、40年目には大規模な修繕が必要となり、その費用は数百万円規模になるでしょう。
70代、80代になっても続くローン返済に加え、屋根や外壁の修繕費、あるいはマンションの管理費・修繕積立金(これらは築年数とともに高騰します)が重くのしかかります。
「家賃並みの返済」という甘い言葉には、これらの維持コストが含まれていないことを肝に銘じるべきです。
「50年住宅ローン」が選択肢になり得る人とは
ここまで読むと、「やっぱり50年ローンはやばいから絶対NG」と感じたかもしれません。
しかし、すべての人にとって「絶対ダメ」とまでは言い切れないのも事実です。
実際、一部の専門家やメディアでは、「50年ローンをうまく使えば、むしろ人生の選択肢を広げられる」という意見もあります。
若くて収入が伸びる見込みがあり、資産形成の意識が高い人
たとえば、次のような人です。
- 20代〜30代前半で安定した職に就いており、今後の年収アップも見込める
- 共働きで、家計のキャッシュフローを二人で管理できている
- NISA・iDeCoなどで長期の積立投資をすでに行っている、または始めるつもりがある
- 浮いた毎月の2〜3万円を、確実に「貯蓄・投資」に回す仕組みを作れる
こういった条件を満たすなら、50年ローンで月々の返済を抑え、差額を資産形成に回すことでトータルの家計を安定させる、という考え方もあります。
住宅ローンの金利よりも資産運用の利回りが多ければ長い期間で借りた方がプラスとなります。
繰上返済を前提にした「実質35年ローン」として使う
もうひとつの考え方は、「最初は50年で組むけれど、実際には35年以内に返す」という発想です。
- 子どもが小さいうちは家計にゆとりを持たせる
- 共働きが軌道に乗ってきたら、毎年・数年ごとに繰上返済を行う
- 結果的に、返済期間は30〜35年程度に短縮する
という使い方ですね。
この場合、重要なのは
- 「繰上返済を必ずやる」という仕組みを事前に決めておくこと
- 繰上返済に手数料がかからない商品を選ぶこと
です。フラット50など、繰上返済の手数料が無料の商品もあります。
「とりあえず50年にしておいて、余裕ができたらいつか繰上返済しよう」だと、ほとんどの場合「いつか」は来ません。

親子リレーローンなど、家族全体で計画を立てているケース
フラット50などでは、親子リレーローンのような仕組みを使うことで、より長い期間のローンを組みやすくなる場合があります。
この場合は、
- 親の退職後は子どもが返済を引き継ぐ
- 家族全体でのライフプランと相続・贈与の設計がセットになる
といった、大きな視点での計画が不可欠です。
単に「親の名義で借りられるからラッキー」といった発想で50年ローンを使うのは、さすがに危険です。
まとめ
50年住宅ローンは、住宅価格高騰という現代の課題に対する一つの解決策として登場しました。
「やばい」「頭おかしい」といった否定的な意見がある一方で、適切に活用すれば有効な選択肢となり得ます。
重要なのは、メリットとデメリットを正確に理解し、自身の年齢、収入、資金管理能力、将来設計を踏まえて判断することです。
特に若年層で計画的な資金運用ができる方、投資で資産形成を行える方にとっては、月々の負担を抑えながら理想の住宅を手に入れる手段となるでしょう。
一方で、資金管理が苦手な方や収入の安定性に不安がある方は、より短期の返済プランを選択する方が安全です。
「自分はどちらのパターンに当てはまるのか」を判断できれば、50年住宅ローンそのものに振り回されず、納得度の高い選択ができるはずです。
まずはいろいろな銀行、金利タイプを比較してみましょう。

