保険が投資商品としておすすめできない理由【変動保険】【個人年金保険】

投資対象となる商品はたくさんあります。その中でも意外?に選ばれているのが保険の投資商品です。もちろん保険にもよい商品、悪い商品がありますし、それぞれメリット、デメリットがありますが、個人的には保険の投資商品よりも他を選ぶべきだと考えます。

今回は保険が投資商品としておすすめできない理由についてみていきます。

保険の投資商品とは


保険というと病気や怪我、死亡などの際に備えるものだと思われる方が多いと思います。しかし、保険も投資的な意味を持つ商品も多数あります。それが貯蓄型保険と言われるものです。

貯蓄型保険とは、万が一の時の保障はもちろん、解約返戻金や満期になった時の満期金などがもらえる保険です。

特に投資目的が強いのが以下の2つのタイプの保険です。

変額保険
個人年金保険

変額保険

変額保険とは死亡保険としての目的を兼ねながら株や債券などで運用するタイプの保険です。変額保険は、契約者は株や債券など特別勘定と呼ばれるファンドを自由に比率指定して購入することができ、その運用実績によって将来受取る解約返戻金の金額が変動します。また、運用実績に関係はなく死亡保険金は金額保障となっている商品が多いです。

仕組み的に似ているのが個人型確定拠出年金(iDeCo)ですね。それに死亡保険がついた感じでしょうか。

個人型確定拠出年金(iDeCo)とどちらがよいか

仕組み的に個人型確定拠出年金(iDeCo)と非常に似ていますが相違点もいくつか大きな違いがあります。

所得控除の扱い

まず、個人型確定拠出年金(iDeCo)は小規模企業共済等控除の対象、変額保険は生命保険料控除の対象となります。小規模企業共済等控除の対象は支払った金額の全額が所得控除となりますが、生命保険料控除(一般生命保険料)は下記のとおり上限があります。新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等)の場合。

年間の支払保険料等控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超一律40,000円

年間8万円を超えると4万円しか控除の対象となりません。個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合は全額が控除の対象ですから、自営業者が上限まで掛けたとすると年間81万6千円まで所得控除の対象となります。この差は大きいですね。

つまり、所得控除の扱い的に個人型確定拠出年金(iDeCo)の方が優位と言えるでしょう。

経費率が高い・・・

これは他の保険商品でも同様ですが、経費率がかなり高いです。この辺りは個人型確定拠出年金(iDeCo)と大きな違いと言えるでしょう。

経費率とは保険料収入に占める事業費の割合のことで、簡単に言えば払った金額から保険会社がもっていく人件費などの取り分のことです。

下記は小規模企業共済が出している資料ですが、だいたいどこの生命保険も10%程度の経費率があります。つまり、投資した資金のうち10%は始めからさっぴかれてしまうってことです。

生命保険の経費率比較
出所:中小企業庁「小規模企業共済 給付経理から業務等経理への繰り入れについて」

個人型確定拠出年金(iDeCo)にももちろん経費はあります。しかし、金額にするとそこまで大きくないのです。

加入時2,777円
国民年金基金連合会手数料103円(月)
信託銀行手数料64円(月)
運営管理機関手数料(運営管理機関により)

運営管理機関手数料は無条件ゼロ円の金融機関が6つ(SBI証券マネックス証券松井証券楽天証券イオン銀行大和証券)ありますのでそちらでお願いすれば月167円です。少額しか掛けてない場合でも10%なんてことにはなりませんね。

この手数料を考えるだけで保険型の投資商品はかなり不利なのがわかると思います・・・

ファンドの選択の自由度

変額保険も個人型確定拠出年金(iDeCo)も運用するファンドを選択することになりますが、自由度が大きく違います。変額保険は会社にもよりますが、数種類の中からの選択となります。対して個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合はこちらも会社にもよりますが、かなり選択できるファンド数が多いです。多ければよいわけではありませんが、個人型確定拠出年金(iDeCo)も金融機関間の競争もあるため信託報酬の安い優良な投資信託が用意されているケースが多いです。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合、現状ならSBI証券マネックス証券松井証券楽天証券あたりから選べば間違いはないでしょう。

VS個人型確定拠出年金(iDeCo)まとめ

これを見てわかるように投資目的で考えるなら圧倒的に個人型確定拠出年金(iDeCo)の方が優位です。変動保険には生命保険機能がついていますのでその辺りをどう考えるかだけでしょう。ただし、実際は変動保険は死亡保険分がかかりますので投資商品として考えるともっと不利だと思われます(具体的な統計資料がないので言及しませんが)

個人的には生命保険が必要なら別に用意して、投資部分は個人型確定拠出年金(iDeCo)やつみたてNISAなどにしたほうが良いと考えますね。

個人年金保険

次に個人年金保険です。こちらは生命保険の機能はなく老後の生活資金を貯める目的の保険となります。

こちらは前述の変動保険と違いもらえる利率が基本的に予め決まったタイプとなります。小規模企業共済国民年金基金に近い仕組みです。

小規模企業共済や国民年金基金は加入できる方が限られますので単純に比較しても意味はありませんが、前述のVS個人型確定拠出年金(iDeCo)と同様に所得控除のことなどを考えると小規模企業共済や国民年金基金の方が優位な仕組みです。

ただし、個人年金保険の中でも明治安田生命のじぶん積立など使い方しだいではお得な保険もあります。例えばじぶん積立を最低掛金の5,000円を5年積み立てると10年後に309,000円戻ってきます。5000円を5年払うと払込保険料は300,000円ですので9,000円儲かったことになります。

つまり3%です。10年資金が拘束されることを考えると対したことないといえばないのですが、金額は確定ですし、定期預金にしておくよりはお得ですね。

また、前述の所得控除も受けられていますのでお得ですね。前述の個人型確定拠出年金(iDeCo)やつみたてNISA、小規模企業共済などとは別枠で入れますので補助的にはぜんぜんありです。ただし、所得控除を考えると少額での加入がおすすめです。

まとめ

今回は「保険が投資商品としておすすめできない理由」と題して投資として考えると保険は微妙ですよってお話でした。

特に保険の場合は経費率を考えるとどうしても割が合わないってところは大きいですね。もらえる金額が確定した確定保険なら気にしなくてよいのかもしれませんが。。。

それだったら投資信託で自分で運用した方がよいと考えますね。個人型確定拠出年金(iDeCo)つみたてNISAのように優遇された制度もありますしね。

また保険は期待値を考えれば基本損をするということを加入前に知っておくことも大事ですよ。

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