このサイトでも何度かご紹介していますが金融庁が統計資料を発表しました。
また、銀行各社(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行)ネット証券4社、ひふみ投信などもそれに合わせた統計資料を出しています。これによると銀行で投資信託を購入している方の半数近くがマイナスとなっています。(ネット証券は63.8%がプラス)銀行の中には顧客の7割が投資信託でマイナスを出している銀行まであります。
金融庁の統計資料については詳しくはこちらを御覧ください。
先日、金融庁が投資信託を販売する銀行・証券会社に対して比較可能な共通KPIと考えられる3つの指標を公表することを発表しました。3つの指標は以下の通り。・ 運用損益別顧客比率・ 投資信託預り残高上位20銘柄のコスト・リターン[…]
これだけみると投資信託がそもそも儲からない悪徳な金融商品と捉えてしまう方もいるでしょう。
しかし、実はそうではないのです。投資信託という仕組み自体はとても良くできた仕組みですが、良い商品、悪い商品が混じってしまっている玉石混淆状態なのです。
特に銀行が自社の儲け優先で悪い商品(地雷)を好んで販売していたというだけにすぎません。
ちなみに某有名な評論家の方は投資信託の99%は地雷とおっしゃってましたがそれはあながち間違いではないです。
ただ、投資信託の場合、良い商品と悪い商品(地雷)の見分け方はそれほど難しくありませんから今回はそれらも含めて騙されて地雷投資信託を買わないためのポイントをご紹介しましょう。
そもそも投資信託とは
まず、投資信託とはなにかというところから見ていきましょう。
投資信託とは簡単に言えば投資家から集めたお金を元に、運用の専門家が運用する金融商品のことを言います。
メリットとしては個人ではなかなか難しい分散投資が容易にできることでしょう。
例えば日本株を買う投資信託を買ったとします。この投資信託は日本株を広く買ってくれます。
もし、自分で同様のことをしようとすればかなりの資金が必要になりますが、投資信託なら100円から買えるところもあります。
さらに世界株に分散するもの、株に限らず世界経済全体に投資をするものなど様々あり、好みに応じて投資をすることができます。世界経済全体に個人で投資をしようとしたら最低単位でもいくら掛かるか想像もしにくいですが、投資信託なら簡単にできるのです。
長期投資には理想的な仕組みかなっと個人的には考えています。
それでも銀行で投資信託を買った方の半数が損をしてしまっているのです。それはなぜなのでしょうか?
なぜ半数の方が投資信託で損をしているのか?
それではなぜ半数の方が投資信託で損をしているのかを考えてみたいと思います。
いろいろな要素がありますが、大きいのは銀行が自社の儲けを中心に考えていること、買い手が自分で考えていないもしくは知識がないという点が大きいのでしょう。
信託報酬の高い投資信託
まず、銀行が儲けようとすれば一番手っ取り早いの信託報酬の高い投資信託を売ることです。
信託報酬は顧客が持っている間ずっと掛かってきますので銀行も手数料収入を得ることができます。
逆に購入者側は信託報酬をずっと払い続けることになります。リターンはその時の相場状況によって大きく変動しますが、
信託報酬のようなコストは一定でかかってきます。
つまり、儲かっていようが損していようが掛かってくるのです。ですから信託報酬は安いにこしたことはないのです。
販売手数料の高い投資信託
また、同じく銀行は儲けるために販売手数料が高い投資信託を売るケースが多いです。
さらに悪質なのが販売手数料を得るために売買を頻繁にさせようとしている銀行も多いとのことです。
その都度販売手数料が取られてしまってはせっかくのリターンも消えてしまいますよね。儲かるわけがありません。
ちなみに最近はノーロード投資信託といって販売手数料が無料の投資信託も増えていますのでそちらを買えば良いだけなのですが、銀行は儲からないのかあまり勧めていないようです。
解約時の手数料がかかる投資信託
解約時の手数料や信託財産留保額が掛かる投資信託もあります。
長期投資の方には別に気にならない手数料ですが前述のように売買を頻繁にさせようとしている銀行も多くこれらの手数料も大きな負担になってしまいます。
毎月分配型、分配が多い投資信託
買い手側の知識がないことをいいことに毎月分配型や分配が多い投資信託を販売している銀行も多くあります。
中には半数が毎月分配型の銀行もありましたね。基本的に毎月分配型や分配が多い投資信託は儲かりにくい仕組みになっていますのでやめておくのが無難です。
むしろ、これら商品を勧めてくる銀行員がいましたらその方から買わないほうが無難です。自社の儲けしか考えていないか、知識が皆無です。
毎月分配型が駄目な理由はこちらを御覧ください。
先日もブログに書きましたが森信親金融庁長官が積立NISAの対象になれるような投資信託は本当に少ないと発言されています。そして名指しで指摘されたのが毎月分配型投資信託です。しかし、この毎月分配型投資信託大変人気もあり、お金の専[…]
良い投資信託を見分けるポイント
それでは良い投資信託はどう見分ければよいのでしょうか?
つみたてNISA対象商品
まず、初心者におすすめなのがつみたてNISA対象商品の中から選ぶことです。
つみたてNISAは金融庁がかなり厳しい条件で投資信託を選別しています。
そのため前述のような地雷商品がほとんど排除されているのです。
具体的には以下の条件で選別しています。
まずインデックス型です。
運用方針
・指定されたインデックスに連動していること
・主な投資対象に株式を含むこと
・ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
手数料
・販売手数料:0(ノーロード)
・信託報酬:国内資産を対象とするもので0.5%以下(税抜)、海外資産を対象とするもので0.75%以下(税抜)
運用方針・実績
・信託契約期間が無期限又は20年以上であること
・毎月分配型でないこと
次はアクティブ型です。
運用方針
・指数を上回る成績を目指す
・主な投資対象に株式を含むこと
・ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
手数料
・販売手数料:0(ノーロード)
・信託報酬:国内資産を対象とするもので1.0%以下(税抜)、海外資産を対象とするもので1.5%以下(税抜)
運用方針・実績
・信託契約期間が無期限又は20年以上であること
・毎月分配型でないこと
・運用期間が5年以上経過
・純資産額が50億円以上
・運用期間中の3分の2の期間で資金流入している
かなり厳し目の条件ですね。これだけの条件があれば地雷避けとして十分でしょ。
6000本近くあると言われる投資信託で対象となっているのはインデックス型141本、アクティブ型17本、ETF3本(9月末現在)だけです。
具体的な対象商品は下記リンクを御覧ください。
>>つみたてNISA対象商品一覧
良い投資信託の条件
基本的につみたてNISA対象商品の中から選んでおけばOKです。さらにそこの中からより良い商品を見分ける方法をみていきましょう。
インデックス型がおすすめ
まず、つみたてNISAの対象となっているのもほとんどがインデックス型ですが、こちらをおすすめします。
インデックス型とはベンチマーク(基準とする指標)に連動するように動くことを目標とする投資信託。アクティブ型はそれを超えるように運用する投資信託です。アクティブ型のほうが内容を聞くと良さそうですがなかなかそれを超えるような実積を残している投資信託は少ないのです。手数料はアクティブ型の方がだいぶ高いのにです・・・・それを考えると長期投資するならインデックス型の方がおすすめできるのです。
同じベンチマークなら信託報酬が安いほうがよい
まずベンチマークが同じ投資信託同士を比較しましょう。日経平均株価をベンチマークとする商品な日経平均と同じように動くことを目標とするもののことを言います。それを比較して同じベンチマークの商品なら信託報酬は安いほうが基本的に良いです。
ただし、外から見えにくい信託報酬以外の経費を含めた実質コストのほうが重要ですのでこちらも確認しておきたいところ。
実質コストについてはこちらの記事を御覧ください。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)やつみたてNISAなどで投資信託を選びときに実績や手数料、信託報酬を目安にされる方は多いと思います。特に信託報酬は儲かっても儲からなくても掛かってきますので投資をするときにとても重要なファクタ[…]
ベンチマークとの連動しているのか?
もう一つ確認したいのが過去の実積とベンチマークの動きが連動しているのかを確認します。下に乖離しているのはもちろん上に乖離しているのもあまり良い状況ではありません。
どれだけ連動しているのかを確認してみましょう。
ランキング上位が良いわけではない
ランキングを見て決めたがる方も多いですがランキング上位が良いわけでないことを押さえておきましょう。一時期は悪評高い毎月分配型がランキング上位を独占しているなんてこともありましたしね・・・
分配金は無いほうがよい
分配金は預金の利子のようなものだと考え大きいほうがよいと考えている方もお見えだと思います。しかし、分配金と利子はかなり違うものです。分配金は投資信託の資産から支払われますので、分配金が出れば当然資産が減ります。分配金が出れば基準価額もその分下がります。
また、分配すればするほど運用資金が減りますので長期的な目で見ると複利効果が低下してしまうのです。
ですから基本的には無い投資信託の方が良いと考えられます。
この辺りは株の配当と同じようなものですから詳しくはこちらを御覧ください。
先日、親戚が株を始めたいということで少し相談をされました。その方はもうすぐ定年を迎えるため、ボケ防止と老後の収入を増やすために株を始めたいとのこと。近所の方が株をやっておられ株主優待や配当をもらっていて、その方にNISAで株[…]
過去の実積も参考に
過去の実積はあくまで過去の成績なので今後どうなるかについてはわかりません。
しかし参考程度にはなりますのでみておくにこしたことはないでしょう。
同じベンチマークの商品と比較してみるのも良いですね。
運用実積が長いもの
運用はどれだけの期間されているのかも重要です。運用実績が長ければ長いほど今後の実績の予測がしやすく、前述のようにベンチマークとのブレがないかどうかのチェックも容易にできると言えます。
また、運用実績が長いということは長期的に実積を上げているという証拠ですからできるだけ長いものがおすすめですね。
まとめ
今回は「半数が損をしている投資信託は悪徳な金融商品なのか?良い投資信託を見分けるポイント」と題して投資信託についてみてきました。
投資信託という仕組み自体はとてもよいものですが、玉石混淆状態でどう考えても損する商品もたくさんあります。ですから自分で見分けれれるようにしておきましょうね。どうしても難しければつみたてNISA対象となっている商品の中から選ぶのがおすすめです。
私のおすすめは下記のつみたてNISA向け投資信託ですね。
つみたてNISA(積立NISA)の取扱商品が各社続々でてきています。特にSBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券あたりはかなりの充実度です。また、商品数こそ少ないですが大和証券や野村證券、日本郵便もなかなかよいツボをつ[…]
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