つみたてNISAを貯金感覚でやるのはかなり危険。大きな罠にひっかかりマイナスで終わる可能性大

先日、あるファイナンシャルプランナーの方が「老後資金2000万円足りない問題の対策は貯金感覚でつみたてNISAがおすすめ」的な発言をされていました。

そのFPの方の言いたいことはわからなくはないのですが、結構ツッコミポイントが多い発言なんですよ。

結論から言えば貯金感覚でつみたてNISAをやるのはかなり危険なんです。

今回は貯金感覚でつみたてNISAをやるのがなぜ危険なのか、つみたてNISAの罠(デメリット)をご紹介したいと思います。

そもそもつみたてNISAってなんだ?って方はこの記事から御覧ください。

この記事をみれば「つみたてNISAの制度」から「iDeCoとの違い」、「おすすめ金融機関」、「おすすめ商品」、「いくら積み立てればよいのか」などを網羅的に確認することができますよ。

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つみたてNISAまとめ

つみたてNISAは理論上プラスになる確率が高い仕組み

つみたてNISAは金融庁が鳴り物入りで導入したかなり初心者にやさしい制度です。

運用益は非課税ですし、取扱商品も地雷的な商品は始めから除外してあります。

しかも基本は毎月積立てですから時間的分散も行われます。

また、多くの投資先は期待値がプラスです。

ですから理論的にプラスになる確率が高いのです。

しかし、これは確率が高いというあくまで期待値です。

つみたてNISAは貯金と違い元本保障ではないのです。

貯金(元本保障)と投資(保証なし)のこのズレが危険なのです。



長期・積立・分散投資の効果

先日、大きな話題となった老後資金2000万円足りない問題の元資料である「高齢化社会における資産形成・管理報告書」でも下記の通り長期・積立・分散投資を20年の行えばで考えれ投資収益は2%〜8%に収斂するというデータを提示していますね。

また、毎年同額の投資を20年行うと定期預金だと1.32%(年平均0.1%)しか儲かっていませんが、国内・先進国・新興国の株・債券に1/6ずつ投資をした場合は79.9%(年平均4%)プラスになったという過去データもあります。

つまり、長期・積立・分散投資を行えばプラスになる可能性がかなり高いってことです。

ちなみにつみたてNISAはこの理論に基づいて設計されています。

長期・積立・分散投資の効果
長期・積立・分散投資の効果

出所:金融庁「高齢化社会における資産形成・管理報告書」より

多くの方が途中で挫折する罠

上記のようにつみたNISAでプラスになる確率が高い仕組みです。

しかしこれはあくまでも20年の間、積立・分散投資ができた場合なんです。

もし、途中で挫折してしまえば保有期間5年のデータのようにマイナスで終わってしまう可能性が高くなります。

有名な話しをご紹介しましょう。



ピーター・リンチのファンドの例

米国を代表する投資家の「ピータ・リンチ」の話です。

この方は0.2億ドルのファンドからを13年間で100億ドルの世界規模のファンドまで成長させた伝説の投資家です。(マゼランファンド)

当然、それだけ資金が集まるということはピータリンチが運用するファンドは好成績で大きな利益をあげたのです。

しかし、このファンドに投資をした多くの方がプラスにならずに撤退しているのです。

なぜ成績がよいファンドなのにプラスが出なかったのでしょうか。

それは多くの方が途中でマイナスになったときに耐えられずにやめちゃったり、含み損が解消したタイミングで解約しちゃったんですよね。

これはどの投資でも同じような傾向があります。

株から縁遠そうな靴磨きの少年が株の話しを始めたら天井とよく言われますが、底も同じなんですよ。

総悲観となり素人がふるい落とされるところが底となるケースがほとんどです。

つまり、多くの方が相場の底で投げ出しちゃうことで損を出して撤退してしまうのです。

ピーター・リンチの件について詳しく知りたい方はこちらの本を御覧ください。

つみたてNISAでも同じことが起こり得る

先日もNYダウや日経平均が大きなマイナスとなった日がありました。

このような値動きが続くと損を許容できない人には耐えられないのです。

実際にツイッターなんかでは「つみたてNISAなんてやるんじゃなかった」との声も見かけました。

貯金感覚だと損失を許容できないんですよね。

ですから貯金感覚でやっている多くの方は相場の状況によっては20年続けられないと思われます。

そもそも人はプロスペクト理論で証明されているように損を許容できにくい心理をもっていますしね。

ずっと右肩上がりの相場ならよいでしょうがどうしても波は生じます。

そのためマイナスとなった時点で撤退してしまうのです。

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損失を許せないなら投資はするな

未来の利益よりも目の前の利益を優先

また、行動経済学でよく言われる「現在志向バイアス」にひっかかるケースも考えられます。

現在志向バイアスとは、未来の利益よりも目先の利益の方が優先度が上がってしまう心理のことです。

たとえばこういう場合あなたはどちらを選びますか?

・今100万円もらえる
・1年後に110万円もらえる

これ冷静に考えれば差が1割もありますから1年後にもらえる110万円を選択したほうが賢いはずです。

しかし、大半の方は今もらえる100万円を選択してしまうそうです。

これは未来のことはなかなか想像しにくいですが、目の前の利益は人の心が動いてしまうためこういう選択となってしまう方が多いのです。

つみたてNISAも同じことが言えるでしょう。

20年後つみたてNISAで儲けられることよりも目の前の誘惑にお金に消費してしまう。

そしてつみたてNISAをやめるってこともありえるのです。

貯金感覚だとこの傾向が強くなるでしょう。

iDeCo小規模企業共済のように自由に引き出せないという仕組みのほうがこの点はよいでしょうね。

現在志向バイアスについて詳しくはこちらの記事を御覧ください。

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行動経済学おすすめ本

相場は絶対ではない罠

また、つみたてNISAのような長期投資・積立投資・分散投資は理論上はプラスになる可能性が高いですが、タイミングによっては大きなマイナスが発生することもありえます

このようなことがあると貯金感覚だと耐えられないと思われます。

例えばリーマンショックです。

このときにはNYダウも日経平均もかなり大きく下げています。

値動きもすごいです。

このくらいの下げは今後も来る可能性を知っておきましょう。



リーマンショック前後のNYダウ

まずNYダウの当時の値動きをみてみましょう。

NYダウ
月終値(ドル)前月比(ドル)
2007年7月(参考)13,357.74
2008年8月11,543.55165.531.45
2008年9月10,850.66-692.89-6.00
2008年10月9,325.01-1,525.65-14.06
2008年11月8,829.04-495.97-5.32
2008年12月8,776.39-52.65-0.60

リーマンショックが実際に起こったのは2008年9月ですが、その前からサブプライムローンの問題が燻っていました。

2007年7月にBNPパリバ社傘下のファンドの支払い停止報道があり、そのころからすでに懸念があり、株価が軟調気味でした。

それがリーマン・ブラザーズ破綻でトリガーが引かれた感じですね。

9月からみても年末までに25%近く下がっている計算となります。

サブプライムローンの問題がでてくる2007年7月比較だと35%近く下がっていますね。

リーマンショック前後の日経平均

次は日経平均です。

前述のように日本の金融機関はそれほどサブプライムローンを買っておらず直接の影響は少ないはずなのにこんなに下がっているんですね。

日経平均
月終値(円)前月比(円)
2007年7月(参考)16,569.09
2008年8月13,072.87-303.94-2.27
2008年9月11,259.86-1,525.65-14.06
2008年10月8,576.98-2,682.88-23.83
2008年11月8,512.27-64.71-0.75
2008年12月8,859.56237.294.07

実は日経平均はNYダウ以上に下がっているんですね。

9月からみても年末までに35%近く下がっている計算となります。

10月なんて23%の下げですからね。

恐ろしい限りです。

サブプライムローンの問題がでてくる2007年7月比較だと46%近く下がっています

ちなみに日ベースでみるとこんな感じに大きく下げています。

ジェットコースター並ですね。

・10月8日 マイナス9.3%
・10月10日 マイナス9.6%
・10月16日 マイナス11.4%
・10月24日 マイナス9.6%

逆に大きく上げた日もあります。

かなり乱高下しているのがわかりますね。

・10月14日 プラス14.1%
・10月30日 プラス9.6%

こんなに上下されたら貯金感覚だと耐えられないでしょうね。

つみたてNISAをやるなら損失を許容して20年やりきる覚悟を

今まで見てきたようにつみたてNISAを貯金感覚でやってしまうと多くの方がマイナス状態で撤退すると考えられます。

始めるなら損失を許容しつつ20年やりきる覚悟が必要です。

そうすれば金融庁の資料のように理論上ではありますが、大きくプラスとなる確率が高いのです。

そうはいっても簡単ではありません。

ですからつみたてNISAは余剰資金でやるようにしましょうね。

余剰資金だと暴落時も耐えられやすいのです。

子供の学費や結婚資金、住宅建設費といった将来の必要となる資金なんかを運用するのにはあまりおすすめできません。

それら資金だと暴落した際に耐えられない可能性が高くなります。




リーマンショックでも耐えた場合どうなったか

前述のようにリーマンショックの凄まじい下げで多くの方が相場から去っていきました。

しかし、そのまま耐えていた場合どうなったのでしょうか?

NYダウは2019年8月15日現在:25,579.39ドル。

リーマンショック後の2008年12月が8,776.39ドルでした。

そこからみて3倍以上となっている計算です。

日経平均も2019年8月15日現在:20,405.65円。

リーマンショック後の2008年12月が8,859.56円でした。

こちらも2倍以上となっています。

相場ですから暴落したら必ず上がるとは限りませんけどね。

損失があまり許容できないならリスク低めの商品を選択しよう

また、損失をあまり許容できないならバランスファンドなど債券などが入った商品がおすすめです。
株よりは期待値が下がりますが、上げ下げは少なくなります。
なお、つみたてNISAでなにを買ってよいのかわからない初心者の方はこちらの記事を参照ください。
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初心者向け商品

まとめ

今回は「つみたてNISAを貯金感覚でやるのはかなり危険。大きな罠にひっかかりマイナスで終わる可能性大」と題して貯金感覚でつみたてNISAは辞めておけって話しをみてきました。

まとめると以下のとおりです。

・理論上は長期投資・積立て投資・分散投資をすればプラスになる確率が高い
・つみたてNISAはその理論を元に作られており初心者向け
・貯金感覚でつみたてNISAをやると途中で挫折してしまう可能性が大
・相場に絶対はない。暴落したら貯金感覚だと耐えられない。
上記の話しをしっかり理解して始めましょうね。
つみたてNISAは理解して投資を始めるにはおすすめしたいかなり優秀でお得な制度なんですよ。
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日本人が投資しない理由を考える

つみたてNISA・NISAに加入するなら2社が有力

つみたてNISA・NISAは個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)ほど証券会社の差はありません。

選ぶ際のポイントは取扱商品と注文の仕方です。その点を加味すると下記のSBI証券、楽天証券が有力となります。

SBI証券

SBI証券はクレジットカードでの購入等は今の所できませんが、商品ラインナップや注文の仕方などは一番優れていますので楽天カードを使っていない、使わない方には筆頭候補となるでしょう

SBI証券はなにより注文の自由度がかなり高いのがいいですね。

利便性で考えるならSBI証券でしょう。

資料請求等はこちらから

SBI証券
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SBI証券は商品ラインナップや注文の仕方などが優れています。
また、三井住友カードとの連携で投資信託購入でのポイントが貯まるのも嬉しい。
ネット証券開設するなら持っておきたい口座の筆頭でしょう。

楽天証券

楽天証券最大のメリットは楽天カードでつみたてNISAの投資信託等を購入できることです。

楽天カードを利用することでポイントが付きますので他の証券会社には真似がしにくいかなりのストロングポイントとなっています。

楽天カードを利用しているなら楽天証券がおすすめですね。

資料請求等はこちらから

楽天証券
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楽天証券

楽天証券はなによりも楽天カードや楽天キャッシュで投資信託を購入すると楽天ポイントが付くのが大きなメリットです。さらにSPU(楽天スーパーポイントアップ)の対象になり、さらに楽天市場での買い物でポイントがつきやすくなります。

お知らせ:You Tubeはじめました。

2022年3月26日からYou Tube「お金に生きるチャンネル」をはじめました。

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