新型コロナウィルス感染症の経済対策で様々な制度がでています。
国民一人当たり10万円を給付する「特別定額給付金」や売上が半減した中小企業等に最大200万、個人事業主に100万円を支給する「持続化給付金」、「雇用調整助成金」の拡充、休業している方を失業とみなして失業保険を支払う「みなし失業」、家賃の3分の2を半年分補助「特別家賃支援給付金」、原則3ヶ月、最大9ヶ月、 家賃相当額を自治体から家主さんに支給する「住宅確保給付金」、「国民健康保険の減免制度」、「税金等の納税猶予制度」などなどかなりの数となっています。
そんな中、国民年金保険料も同様に新型コロナウィルス感染症の影響による減収の場合に臨時による特例免除申請の受付手続きが開始されました。
今回はこの国民年金保険料の特例免除申請についてみていきます。
国民年金保険料の特例免除とは
新型コロナウィルスで減収した方は国民年金保険料の特例免除を受けられる可能性があります。
簡単に言えば国民年金を全額もしくは一部免除してくれるよってことです。
詳しく見ていきましょう。
国民年金保険料の特例免除対象者
国民年金保険料の特例免除の対象となるのは以下の2点をいずれも満たした方となります。
(2)令和2年2月以降の所得等の状況から見て、当年中の所得の見込みが、現行の国民年金保険料の免除等に該当する水準になることが見込まれること
つまり、新型コロナウィルスの影響により収入が減少して、今年の所得見込が国民年金保険料の免除水準となるケースが対象となるということになります。
国民年金保険料の対象期間
対象期間は令和2年2月分以降の国民年金保険料が対象となります。
国民健康保険料の減免制度も同様に2月からでしたね。
ただし、国民年金保険料の免除の申請対象期間は「令和2年2月~6月分」となります。
令和2年7月分以降は改めて申請が必要ですのでお気をつけください。
国民年金保険料の特例免除基準
今回の特例免除の承認基準は以下のとおりです。
本人・配偶者・世帯主の所得減少後の所得見込額がいずれも以下の計算式で計算した金額以下であることが必要です。
つまり、新型コロナウィルスの影響により以下の水準まで所得が落ちた場合が対象になるってことです。
全額免除の条件(所得条件)
所得減少後の所得見込額が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
例えば扶養者の方が1人入れば(1+1)×35万円+22万円ですから式を解くと92万円となります。
この場合、全額免除となります。
4分の3免除の条件(所得条件)
所得減少後の所得見込額が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
扶養親族等控除額や社会保険料控除額等は確定申告書や年末調整後にもらえる源泉徴収票を見ればわかります。
この場合、4分の3免除となります。
半額免除の条件(所得条件)
所得減少後の所得見込額が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
4分の1免除の条件(所得条件)
所得減少後の所得見込額が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
国民年金保険料の特例免除の手続き方法
手続きは申請書や添付書類を住民登録している市町村役場もしくは年金事務所に郵送することで手続きできます。(直接提出もOKですが、新型コロナウィルスの影響もありますのであまり歓迎されません。極力郵送にしましょう)
必要書類
必要書類は以下です。
- 国民年金保険料免除・納付猶予申請書
- 所得の申立書
それぞれの書類は以下からダウンロードができます。
>>所得の申立書(臨時特例用)(国民年金保険料免除・納付猶予申請用)
書き方はそれほど難しくありません。
なお、減少後の所得見込は令和2年2月以降から申請月のうち収入が減少した任意の月の収入額(減収後の額が最も低い月など)を12か月分(年額)に換算して計算します。
このあたりは持続化給付金などと同様ですね。
免除を受けると将来もらえる年金額に影響あり
国民健康保険等の免除と違い大きなデメリットがあります。
それは免除対象となればそれだけ将来のもらえる年金も減るってことになるってことです。
ただし、完全に減るわけでなく、以下の計算で一部反映されるのです。
また、お金に余裕ができたら後で追納することもできます。追納すれば通常に納めた場合と同じ扱いとなります。
平成21年4月分からの保険料の全額が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1が支給されます。
4分の3免除
平成21年4月分からの保険料の4分の3が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の5/8(平成21年3月分までは1/2)が支給されます。
半額免除
平成21年4月分からの保険料の2分の1が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の6/8が支給されます。
4分の1免除
平成21年4月分からの保険料の4分の1が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の7/8が支給されます。
つまり、全額免除を受けると国民年金をその期間納めなくてよくなりますが、年金には2分の1反映。
4分の3免除を受けると国民年金保険料はその期間4分の3が免除となりますが、年金には5分の8反映
半額免除を受けると国民年金保険料はその期間2分の1が免除となりますが、年金には6分の8反映
4分の1免除を受けると国民年金保険料はその期間4分の1が免除となりますが、年金には7分の8反映
ということになります。
iDeCo、付加年金、国民年金基金加入者は要注意
また、「個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)」、「付加年金」、「国民年金基金」のどれかに加入している場合も要注意です。
これら制度は国民年金の加入が前提となっていますので全額免除もしくは一部免除を受けると加入資格がなくなってしまうためりようできないんですよ。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
前納している方は修正申告が必要かも
また、国民年金を2年等の前納している場合はちょっと要注意です。
前納制度の方も以下のような対応となり、免除申請を行った月以降の保険料について還付の対象となり適用はされます。
国民年金保険料を半年分、1年分や2年分等まとめて前納している方の免除が承認された場合は、免除申請を行った月以降の保険料について還付の対象となります
出典:新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少したことによる国民年金保険料の免除について
まとめ
今回は「新型コロナウィルスで収入減少なら国民年金保険料の免除制度を検討しよう」と題して国民年金保険料の免除制度についてみてきました。
該当される方はぜひこの制度の利用も検討してみましょう。
なお、年金は未納をしても最近は取り立てが厳しくなっています。
払えない方は今回ご紹介した免除申請や猶予申請をしておきましょう。
今回ご紹介した国民年金保険料の免除制度以外にも新型コロナウィルス対策として様々な制度が始まっています。
これらをうまく使ってこの難局を乗り切りたいですね。
●売上が半減した中小企業等に最大200万、個人事業主に100万円を支給する「持続化給付金」
●休業している方を失業とみなして失業保険を支払う「みなし失業」
●家賃の3分の2を半年分補助「特別家賃支援給付金」
●原則3ヶ月、最大9ヶ月、 家賃相当額を自治体から家主さんに支給する「住宅確保給付金」
●住民税の全部または一部の納付を免除してくれる制度です。「住民税の減免制度」
●国民健康保険を安くすることが出来る「国民健康保険の減免制度」
●税金や社会保険の支払いを遅くすることが出来る「税金等の納税猶予制度」
●学生に最大20万円を給付する「学生支援緊急給付金」
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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