知らないと大損。新型コロナで収入減少なら国民健康保険料の減免制度が使えるかも

国民健康保険は自営業者などが加入する健康保険ですが、サラリーマンの方が入る健康保険と比較して会社負担もありませんし、加入者の多くが高齢者なこともありかなり割高なんです。

そんな国民健康保険にあまり知られていませんが、全額免除されたり、一部免除(減免)されることがあるのをご存知でしょうか?

基本的にこういった制度は申請制となっていますので自分で動かないと適用されません。

つまり、知らないと大損な制度なんです。

その減免制度が新型コロナウィルス感染症の影響を受けた世帯も受けられる可能性があります。(補正予算成立が条件、対応は自治体による)

今回はそんな新型コロナウィルスの影響で収入減少した方が使える国民健康保険料の減免制度について見ていきます。

なお、新型コロナウィルスと関係のない全額免除、減免についてはこちらの記事を御覧ください。

該当する方は忘れずに申請しておきましょう。
令和3年度も多くの自治体で実施されていますよ。
ただし、すでに新型コロナの影響が多く出ていた令和2年との比較となりますのでハードルは高めですが。。。

新型コロナウィルスでの国民健康保険の減免

新型コロナウィルス感染症の影響で多くの企業が厳しい状況となっています。

そのため、国でも様々な経済対策、生活支援のための制度を出してきています。

一人あたり、10万円を支給する特別定額給付金、収入が半分以下に落ち込んだ事業所に最大法人200万、個人事業主100万円を支給する持続化給付金、一世帯2枚のマスクを支給するアベノマスクなどが目立っていますが、地味に効果がありそうな制度があります。

それが国民健康保険料の減免措置です。

減免を簡単に言えば国民健康保険を安くしてくれるってことです。

ただし、これ決めるのは自治体となっており、自治体次第の制度となっているんですよ。

詳しく見ていきましょう。

厚生労働省が自治体に減免を要請

国民健康保険は自治体が運営しています。

そのため、県によってかなり保険料の金額、計算の仕方まで違うんですよ。

例えば平成29年度の調査だと最も安い埼玉県と千葉県では標準化保険料算定額で43,096円もの差があります。

これは自治体単位で運営しているためです。
そのため、通常の減免制度も自治体ごとに異なったルールとなっている部分が多くなっています。
当然、規定も違います。中には減免のルールが無い所まであったりとか・・・
しかし、今回は厚生労働省が新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、事業収入等が一定態度減少した世帯に対し、自治体が国保料・税の減免を行った場合に、国が市町村に財政支援を行う事務連絡をおこなっております

つまり、決めるのは自治体ですが、国が財政を支援してくれますので自治体も新型コロナウイルス感染症拡での減免制度の導入に積極的になると思われます。


減免が受けられるのはどんな世帯?(市町村)

具体的には自治体ごとに判断しますからこの通りの制度となるとは限りませんが、厚生労働省が示した市町村保険者の国民健康保険料(税)の減免に対する財政支援の算定基準をご紹介しましょう。

まずは市町村が運営している国民健康保険分から見ていきましょう。

新型コロナウイルスで主たる生計維持者が死亡し又は重篤な傷病を負った世帯

まずは新型コロナウィルス感染症で主たる生計維者が死亡したり、重篤な傷病を負った世帯です。

こちらの場合には対象となる期間の国民健康保険料の全額が免除となります。

新型コロナウイルスで主たる生計維持者の事業収入等の減少が見込まれる場合

生計維持者が新型コロナウィルスに感染しないなくても事業収入等が減少する場合に減免を受けられる可能性があります。

ちなみに事業収入等とは事業収入の他に不動産収入、山林収入、給与収入が含まれます。

減免を受けられるためには以下の3つの条件を満たす必要があります。

  • 事業収入等のいずれかの減少額(保険金、損害賠償等により補填 されるべき金額を控除した額)が前年の当該事業収入等の額の10分の3以上であること。
  • 前年の地方税法(昭和25年法律第226号)第314条の2第1項に規定する総所得金額及び山林所得金額並びに国民健康保険法施行令 (昭和33年政令第362号)第27条の2第1項に規定する他の所得と区 別して計算される所得の金額(地方税法第314条の2第1項各号及び 第2項の規定の適用がある場合には、その適用前の金額。)の合計額 (以下「合計所得金額」という。)が1,000万円以下であること。
  • 減少することが見込まれる事業収入等に係る所得以外の前年の所得の合計額が400万円以下であること。

元の資料そのままだとちょっとわかりにくいので簡単に噛み砕くと以下のとおりです。

  • 事業収入等が前年の30%以上下がった。つまり、7割以下である。
  • 前年の合計所得金額(個人事業主の利益部分)が1,000万円以下であること。
  • 事業収入等の他に前年の所得の合計額が400万円以下であること。

つまり、上記の3つの条件を満たしていれば国民健康保険料を減ら(減免)してくれる可能性があるってことでです。

それでは減免の条件に合致した場合にどれだけ減免されるのでしょう。

かなり計算は複雑なんですが・・・基本的に前年の所得に応じて20%から100%減免されるってことです。

なお、事業収入や所得って言葉の意味がわかりにくい方はこちらの記事も合わせてご確認ください。

対象保険料額

まず対象となる保険額を算定します。
算定は以下の計算に当てはめて行われます。
対象保険料(税)額=A×B/C
A:当該世帯の被保険者全員について算定した保険料(税)額
B:減少することが見込まれる事業収入等に係る前年の所得額 (減少することが見込まれる事業収入等が2以上ある場合はその合計額)
C:被保険者の属する世帯の主たる生計維持者及び当該世帯に属する全ての被保険者につき算定した前年の合計所得金額

減額又は免除の割合

次に減額または免除の割合を算定します。

算定はは以下の表に当てはめて行われます。

※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。

前年の合計所得金額減額または免除の割合
300万円以下であるとき全部
400万円以下であるとき10分の8
550万円以下であるとき10分の6
750万円以下であるとき10分の4
1000万円以下であるとき10分の2

減免額の算定方法

最後は上記の計算を元に下記の式に当てはめて減免額が決まります。

対象保険料(税)額 × 減額又は免除の割合 = 保険料(税)減免額 (A×B/C)

多くの自治体が要望どうりに実施?

多くの自治体で厚生労働省の要望どうりに実施しているようです。

例えば大阪市や豊島区では以下のような案内となっています。

>>大阪市:新型コロナウイルス感染症の影響による国民健康保険料の減免について

>>豊島区:新型コロナウイルス感染症の影響による国民健康保険料の減免について

減免が受けられるのはどんな世帯?(組合)

国民健康保険には市町村が運営しているものの他に、同じ業種や職業の人達ごとに組織される国民健康保険組合というものがあります。

こちらも今回の要請の対象となっています。

なお、こちらの減免要請の対象は少し市町村へのものと違っていますので分けてみていきます。

なお、自分が入っている団体がわからない方は下記記事を参考にしてください。

新型コロナウイルスで主たる生計維持者が死亡し又は重篤な傷病を負った世帯

まずは新型コロナウィルス感染症で主たる生計維者が死亡したり、重篤な傷病を負った世帯です。

こちらの場合には対象となる期間の国民健康保険料の全額が免除となります。

こちらは市町村と同様ですね。

新型コロナウイルス感染症により、組合員が事業又は業務を休止した世帯

組合の場合にはもう一つルールがあります。

新型コロナウィルス感染症で組合員が事業または業務を休止した場合です。

この場合も対象となる期間の国民健康保険料の全額が免除となります。

また、市町村と違って所得が減少したからという減免措置は要請されていないようです。

事業または業務を休止する必要があるようです。

どれだけの休止をすれば対象となるのかは明記されていません。

組合からの発表を待つしかないでしょう。



減免の対象となる国民健康保険はいつの?

今回減免の対象となるのは厚生労働省が示した市町村保険者の国民健康保険料(税)の減免に対する財政支援の算定基準によると以下のとおりとなります。

令和元年度分及び令和2年度分の保険料(税)であって、令和2年2月1日から令和3年3月31日までの間に普通徴収の納期限が設定されているものと
つまり、令和2年2月1日から令和3年3月31日の間に納期限のあるものが対象となるということです。

なお、自動引落などに設定したり、すでに納めてしまった方も、対象期間の保険料については減免できると通達されていますので申請すれば払い戻しを受けられる可能性があります。

減免を受けるためにはどうすればよいのか?

減免を受けるためには市町村または組合へ申請する必要があります。

手続きに必要な書類等は自治体によって異なってきます。詳細はお住まいの自治体にお問い合わせください。

ここでは大阪市を例にみてみましょう。

大阪市の場合

大阪市の場合は新型コロナウイルス感染症の影響による国民健康保険料減免申請書(PDF形式, 172.46KB)と申請内容に応じて以下の処理位が必要となります。

1.主たる生計維持者が死亡又は重篤な傷病を負った場合

診断書(死亡診断書)の写し、入院勧告書の写し 等

2.主たる生計維持者の事業収入等(事業収入、不動産収入、山林収入又は給与収入)のいずれかが前年に比べて10分の3以上減少することが見込まれる場合

主たる生計維持者の令和元年度中の収入がわかる書類の写し
確定申告書の写し、市・府民税申告書の写し、源泉徴収票の写し 等

主たる生計維持者の令和2年2月以降の任意の1ヶ月分の収入がわかる書類の写し
給与明細の写し、帳簿等の写し 等

主たる生計維持者が退職・廃業等されている場合
退職・廃業等が確認できる書類の写し

参考:通常時の減免の手続き(市町村)

新型コロナに関係ない通常の減免手続きについても参考にご紹介しておきます。

住所地の区役所・支所の国民健康保険の窓口が受付となります。(多くの自治体では郵送での手続きも可能です)

そこで以下の必要書類を提出します。書類や必要なものは自治体によって異なりますので予めお確かめください。

保険証
減免申請書
印鑑 など
基本的には保険料の減免を受けようとする最初の納期の納期限前 7 日までが締め切りとなります。
ただし、今回の場合は遡って減免を行うことも考えられることとしていますのでもう少し緩和される可能性もあるでしょう。

まとめ

今回は「知らないと大損。新型コロナで収入減少なら国民健康保険料の減免制度が使えるかも」と題して国民健康保険料の減免制についてご紹介しました。

国民健康保険は人によってはかなり高い金額を払っていると思いますので今回の措置はありがたい限りですね。

ただし、申請しないと適用されませんので今回のルールに合致しそうな方は自治体の発表をお待ち下さい。

今回ご紹介した国民健康保険料の免除制度以外にも新型コロナウィルス対策として様々な制度が始まっています。

これらをうまく使ってこの難局を乗り切りたいですね。

●国民一人当たり10万円を給付する「特別定額給付金
●売上が半減した中小企業等に最大200万、個人事業主に100万円を支給する「持続化給付金
●休業している方を失業とみなして失業保険を支払う「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金
●家賃の3分の2を半年分補助「特別家賃支援給付金
●原則3ヶ月、最大9ヶ月、 家賃相当額を自治体から家主さんに支給する「住宅確保給付金
●住民税の全部または一部の納付を免除してくれる制度です。「住民税の減免制度
●国民健康保険を安くすることが出来る「国民健康保険の減免制度
●国民年金を免除することが出来る「国民年金保険料免除制度
●税金や社会保険の支払いを遅くすることが出来る「税金等の納税猶予制度
●学生に最大20万円を給付する「学生支援緊急給付金
●実質無利息・無担保「新型コロナウィルス感染症特別貸付

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