新型コロナで支出が減り、収入が増えた??2020年4月の家計調査報告を読み解く

新型コロナウィルスで大きな社会的な変化が起きました。

これにより家計はどうなったのでしょう?

総務省から家計調査報告(2020年4月分)が発表されましたので読み解いて見たいと思います。

個人的にはかなり意外な結果となっていました。

結論を言えば前年同月比で収入は増えて、支出は減っていたので家計は楽になっているんですよ。

消費支出

まずは消費支出(2人以上の世帯)から見ていきましょう。

消費支出はテレワークなど自宅勤務の人が増えたことや外出自粛があったこともあり大幅に少なくなっています。

消費支出の推移

2020年4月消費支出の推移
2020年4月消費支出の推移

出典:総務省 家計調査報告

4月は前年比11.1%の減少と大幅に消費が落ち込んでいるのがわかります。

もともと消費税増税(2019年10月)の影響もあり、10月から連続してマイナス水準が続いていましたのでさらに落ち込んだという形となっています。

これで前年比割れは7ヶ月連続となります。5月もおそらく厳しかったのでさらに続いていると思われます。

消費支出の内訳

内訳を見ると以下のようになっています。

2020年4月消費支出の内訳
2020年4月消費支出の内訳

出典:総務省 家計調査報告

全体で見るととくに落ち込みが大きいのが被服及び履物ですね。

対前年比で名目54.8%、実質55.4%の減少と大幅に落ち込んでいます。

テレワークや外出自出の影響で外に出ないため、被服及び履物を買わないというのもあるでしょうし、そもそもお店が開いていないという部分も大きかったのでしょう。

衣料品大手のレナウンなどが民事再生の手続に入ったようにこの分野の影響はとても大きかったのがわかります。

次いで教養娯楽が名目33.7%、実質33.9%の減少と影響が大きくなっていますね。

こちらも旅行や映画、演劇などができなくなったことの影響などが大きかったのでしょうね。

影響の大きかった品目

さらに細かいデータを見ていくと

2020年4月家計調査報告品目別
2020年4月消費行動に大きな影響が見られた主な品目

出典:総務省 家計調査報告

こちらもかなり極端な結果となっています。

特に影響の大きかったのが飲酒代-90.3%、航空運賃-94.5%、宿泊料-94.7%、パック旅行費-97.1%、映画・演劇等入場料-92.7%、文化施設入場料-95.6%、遊園地入場・乗り物代-97.8%です。

前年比90%以上落ちている分野だけでもこれだけあるのです。

飲食関連

飲酒代は外食が規制されていたことが大きいでしょうね。

同じく食事代も63.3%減となっています。

とくに居酒屋などが厳しかったのがわかります。

旅行関連

旅行関連は移動制限の影響が大きいですね。

安泰だと言われていた鉄道ですら89.9%の減ですからね・・・

航空運賃は海外旅行等がそもそもできなくなったのが大きいでしょう。

私もこの間に海外旅行を予約していましたがキャンセルとなりました・・・下記の記事の通り、返金を受け取るのがかなり大変でしたがこれだけのマイナスなのを考えれば資金繰り上仕方ない話なのかもしれません。

娯楽関連

娯楽関連はいくつかのクラスタが発生してしまったこともあり、厳しい状況となっています。

そもそも営業自粛のところが多かったですからこの結果は仕方ない部分が大きいですね。

その他

その他、前述した被服なども外にでないためなのか利用がかなり少なくなっています。

背広服が79.9%減となっているのはもろにテレワークの影響でしょう。

また、意外?なところでは口紅や乳液など化粧品の消費も減っていますね。

外に出ないから利用も少なくなったということなのでしょうか。

ゲーム関連

逆に大きく伸びているのがゲーム機やゲームソフトです。

ゲームソフトなどは前年対比102.8%のプラスという倍以上売れた結果となっています。

これは逆に家にいる生活がプラスになった形でしょうね。

任天堂スイッチなどはかなり高い抽選確率をくぐり抜けないと手に入らない状況が続いていますね。

テレワーク関連

また、パソコンインターネット接続も伸びています。

これはテレワークでパソコンが必要になったり、スペック的に買い替えた方も多いのでしょう。

食料品関連

外食以外の食料品関連は総じて伸びています。

自宅で過ごす機会が多くなり自炊が増えたのが影響しているのでしょう。

特に大きな伸びを示しているのがパスタです。

前年同月比70.5%のプラスです。

うちの近所のスーパーでもパスタがかなり品薄でしたね。

あまり料理をしない人でも簡単にできるのが大きいのかもしれません。


実収入

かなり意外だったのが実収入です。

勤労者世帯の実収入は増えているのです。

実収入の推移

2020年4月勤労者世帯実収入推移
2020年4月勤労者世帯実収入推移

出典:総務省 家計調査報告

実収入は2020年1月以降プラスで推移しています。新型コロナウィルスの影響が大きかった4月も0.9%増となっています。

実収入の内訳

2020年4月勤労者世帯収入の内訳
2020年4月勤労者世帯収入の内訳

出典:総務省 家計調査報告

内訳を見ると世帯主の収入、配偶者の収入が増えていますね。他の世帯員の収入は減っていますがそれをカバーしている形となっています。

ただし、非消費支出(税金や社会保険など)が増えているため、可処分所得(自由に使えるお金)は少し減っています。

しかし、前述のように消費支出が大幅に減っていますので実際の家計はそれほど厳しくなっていないことがわかります。

自営業者はデータに含まれてない

上記のデータは勤労者世帯が対象となっており、多くは会社員などです。(全体の54.2%)

この中に含まれていない自営業者データはかなり厳しくなっているようです。

ちなみに自営業者など個人営業の世帯は11.9%と意外に多いんですよ。

持続化給付金家賃支援給付金など救済策はありますが、下記のとおり、制度設計にそもそもの問題がありますのでそれほど大きな効果は見込みにくいですね・・・



まとめ

今回は「新型コロナで支出が減り、収入が増えた??2020年4月の家計調査報告を読み解く」と題して家計調査報告について見てきました。

今まで見てきたように新型コロナウィルスで大きく影響を受けたのは支出面です。

かなり支出が少なくなった感じですね。

現状では勤労者世帯の場合には収入はそれほど減っておらず、支出が減った分だけ家計が楽になったというのがデータからわかりました。

しかし、支出が減るということはそれだけ経済が回らないということです。

自営業者にはすでに大きな影響が及んでいますし、企業への影響も計り知れませんから今後、賞与などに影響が及んでくる可能性が高いです。

また、リストラ倒産などの話も多くなってくるでしょう。

その予兆はしっかりキャッチしておきたいところです。

また、政府が様々な対策を制度を提供していますのでこれらをうまく使ってこの難局を乗り切りたいですね。
●国民一人当たり10万円を給付する「特別定額給付金
●売上が半減した中小企業等に最大200万、個人事業主に100万円を支給する「持続化給付金
●原則3ヶ月、最大9ヶ月、 家賃相当額を自治体から家主さんに支給する「住宅確保給付金
●住民税の全部または一部の納付を免除してくれる制度です。「住民税の減免制度
●国民健康保険を安くすることが出来る「国民健康保険の減免制度
●国民年金を免除することが出来る「国民年金保険料免除制度
●税金や社会保険の支払いを遅くすることが出来る「税金等の納税猶予制度

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