iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)の上限額が大幅引き上げとなる模様。
先日、岸田文雄前首相が会長を務める自民党の資産運用立国を進める議員連盟がiDeCoの上限額の引き上げを提言したというお話を見ましたが、金額こそ違えどそれが実現した形となります。
今回はこの件を見ていきましょう。
なお、iDeCoってなに?方は以下の記事をご覧ください。
この記事をみれば「iDeCo(個人型確定拠出年金)制度」から「つみたてNISAとの違い」、「おすすめ金融機関」、「おすすめ商品」、「いくら積み立てればよいのか」などを網羅的に確認することができますよ。
iDeCoの上限額が大幅引き上げの内容
まずは今回の引き上げの概要を見てみましょう。
まだ報道ベースですがかなり具体的に書かれていますのでほぼこのまま決まってきそうです。
政府・与党は10日、2025年度税制改正で、個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)の掛け金の限度額を引き上げる方針を固めた。企業年金に加入している会社員の場合、イデコと年金の掛け金合計を月7000円引き上げる方向で調整する公的年金を補完する資産形成を支援し高齢期の家計の安定を図るとともに、政府の「資産運用立国」実現に向けた取り組みを前進させる。イデコは任意加入で、掛け金の全額を、所得税を算定する際の課税所得から差し引ける私的年金。企業年金に加入している会社員は現在、イデコの掛け金上限は月2万円で、企業年金の掛け金との合計額は5万5000円が限度になっている。改正で合計額を6万2000円に引き上げる方針。自営業者などの場合、国民年金基金の掛け金との合計額を現在の6万8000円から7万5000円に引き上げる。企業年金のない会社員の場合は、イデコの掛け金上限額を現在の2万3000円から6万2000円に上げる方向だ。
出典:時事通信
簡単に言えば拠出上限を上げるというものです。
まとめると
自営業者(第一号被保険者):68,000円→75,000円
会社員(第二号被保険者)企業年金加入:20,000円(企業年金と合計55,000円)→62,000円
会社員(第二号被保険者)企業年金なし:23,000円→62,000円
実現すれば老後資金はNISAとiDeCoで充分かも
もしこれが実現すれば老後資金はNISAとiDeCoだけで充分なレベルとなりそうです。
NISAは生涯投資枠1,800万円。
iDeCoは会社員で月62,000円ですから年間744,000円掛けられるようになります。
30年かければそれだけで2,232万円。
NISAとあわせば元本部分が4,032万円となります。
運用益を考えれば老後にはかなり大きな資産となりそうです。
ちなみに私は2017年からイデコを始めていますが、昨今の相場で運用益が大きいのもあり、すでに残高1,000万円を超えています。
2023年末まではまとめて公開しています。参考にどうぞ。
懸念材料は税金面
ただし、今回の話は懸念材料もあります。
それは受け取るときなどの税金です。
今回の発表は政府の「罠」だという方も多いんですよ。
私もはじめにそれが思いつきましたね。
iDeCoは掛けるときに所得控除となり、節税になります。
運用は非課税。
受け取るときは課税されるという仕組みです。
しかし、受け取るときは退職所得控除もしくは年金控除が受けられますので基本的にお得になるという仕組みなんですよ。
イデコの受け取る際の税制優遇
イデコの受取り方は主に3パターンあります。
○老齢年金:5年以上20年以下の有期年金として分割で受け取る
○併用:老齢一時金と老齢年金を併用する
それぞれ税制優遇が受けられます。
まずは一番オーソドックスな一括で受け取る「老齢一時金」です。
これは運用益も含めた運用した資産を一括で受け取る方法です。
この受け取った資産は退職所得の扱いとなります。
そのため「退職所得控除」の対象となるのです。
iDeCoをよりお得に受け取るためには退職所得控除を考える必要があります。
退職所得の税金は以下の計算されます。
(収入金額 - 退職所得控除額) × 1/2 = 退職所得の金額
退職所得金額×所得税率=所得税額
つまり、退職所得控除額からはみ出たぶんについては半分が課税対象となるってことですね。
逆に言えば退職所得控除額内で収まれば非課税ということです。
現在の退職所得控除の計算は以下のとおり。
※スマートフォンの方はスクロールしてお読みください。
勤続年数(=A) | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円✕A(80万円に満たない場合には、80万円) |
20年超 | 800万円+70万円✕(A-20) |
例えば勤続20年の人なら40万円✕20年ですから800万円が退職所得控除となります。
つまり、iDeCoの場合には800万円までなら非課税で受け取れるということです。
30年掛けると800+70万円×(30-20)で1,500万円となります。
このケースだと1,500万まで非課税で受け取れるということです。
ただし、会社員であれば会社からでる退職金も基本的に合算して考える必要があります。(裏技もありますが)
しかし、今回の話のように掛けられる金額が増えていくとこの退職所得控除額を超えてしまうという可能性も高そうです。
もう一つの「老齢年金」で受け取る場合には「公的年金等控除」の対象となります。
公的年金控除により65歳以上なら、公的年金等の収入がイデコと合わせてが110万円以下であれば課税されることはありません。
110万円を超える場合は、確定申告で税額を精算することになります。
併用は退職所得控除内までは「老齢一時金」、それを超える部分は「老齢年金」で受け取るという方法です。
掛け金が多くなっている方はこちらのやり方がお得になりますね、。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
退職所得控除を見直しする話が・・・
また、退職所得控除にも見直しの話が出てしまっているんですよ。
前述したように退職所得控除は長く働いた人がより得する仕組みとなっています。
20年の場合と30年の場合では退職所得控除かなり違いますよね。
20年を超えると退職所得控除額が急に増えていくという仕組みになっているのです。
それが今回見直しの対象となりそうなんですよ。
首相の諮問機関の政府税制調査会は15日に開いた会合で、退職金課税を見直すかどうかの論議を開始した。財務省は勤続20年を境に控除額が変わる現行の仕組みが、1989年から30年以上変わっていないと説明した。 会合に出席した有識者は、転職が増えたことで「(企業は既に)退職金を積み増すよりも、今の給与を手厚くする傾向にもなっている」と指摘。税制を働き方の変化に合わせるよう訴えた。
与党税制調査会でも月内に本格化する2025年度税制改正論議で、退職金課税を取り上げる。自民党の宮沢洋一税調会長は15日「議論をしていくことになる」と明言。25年度税制改正大綱への反映を模索する。
出典:共同通信 退職金課税、見直し議論が再始動 働き方変化、現役世代の減税も
まだ、具体的には決まっていませんがiDeCoをやるなら知っておく必要がある税制改正となりそうです。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
掛け金の上限を増やして退職所得控除を縮小する罠かも
今までの動きを見ているとこのような動きにしか感じられなくなってきました
↓
加入者増、掛け金増
↓
退職所得控除を減らす
↓
税金あとでたくさん取る
所得控除のことを考えるとイデコはNISAよりも優位性が高いです。
しかし、受け取る際のことを考えるとどう税制改正が行われるかちょっと怖いところがあるんですよね。
そのあたりのことも含めてイデコの掛け金をいくらにするのかを考える必要がでてきそうです。
他にも特別法人税という罠も・・・
また、イデコには特別法人税というまだ爆発していない地雷も存在しています。
特別法人税です。
特別法人税とは企業年金(厚生年金基金、確定給付年金、確定拠出年金)の積立金(拠出金+運用益)に対して年率1.173%(国税1%、地方税0.173%)を課税するという税金です。
これは確定拠出年金が対象となっていますので個人型だろうが、企業型だろうが関係なく課税される仕組みなんですよ。
ただし、この特別法人税は日本経済がバブル崩壊の影響により企業年金の運用環境が悪化したことにより、1990年から課税凍結されています。
ちなみに確定拠出年金制度は2001年10月からスタートしていますのでこの特別法人税を課税されたことは過去一度もありません。
イデコ公式にあるパンフレットにもかなり小さくではありますが記載がありますね。
「※運用資産には、別途、特別法人税が課せられますが、現在、課税が凍結されています。」と書いてあります。
パンフレットにもあるように現在課税は凍結されています。
毎回3年ずつ期限が延長されているのです。
日本証券業協会、銀行協会、生保協会、損保協会などの金融機関からは毎度復活の可能性がある凍結ではなく完全廃止を要望されています。
凍結期限前には「停止措置がなされている運用時における企業年金積立金に対する特別法人税の課税について、二重課税防止の観点から、廃止について検討を行うこと」と参議院の附帯決議に特別法人税の廃止が盛り込まれたのですが。。。
結局完全廃止は行わず、適用期限が3年延長を繰り返しています。
なお、特別法人税の影響についてはこちらの記事でまとめております。
合わせて御覧ください。
まとめ
今回は「iDeCoの上限額が大幅引き上げ。これは罠かも。受け取るときの心配も必要に」と題して退iDeCoの見直しの話を見てきました。
拠出上限が増えることになればほとんどの人はNISAとiDeCoだけで老後資金は大丈夫なレベルとなりそうです。
ただし、受け取るときの税金の話はちょっと怖いですね。
未だに廃止されず凍結が続いている特別法人税の話と合わせて注視する必要がありそうです。
個人型確定拠出年金(iDeCo/イデコ)に加入するならこの3社から選ぼう
イデコに加入するならおすすめは下記3社です。
この3つの金融機関は運営管理機関手数料が無料。
また、運用商品もインデックスファンドを中心に信託報酬が低い投資信託が充実しているんですよ。
順番に見ていきましょう。
SBI証券
まずイチオシはSBI証券「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」です。
SBI証券は信託報酬も最安値水準のeMAXIS Slimシリーズを始めとしたインデックスファンドから雪だるま全世界株式、ひふみ年金、NYダウ、グローバル中小株、ジェイリバイブといった特徴ある投資信託をたくさん揃えているところが最大の魅力です。
選択の楽しさがありますよね。
また、確定拠出年金を会社員に解禁される前から長年手掛けている老舗である安心感も大きいですね。
SBI証券は運営管理手数料が無条件で0円ですし、なにより運用商品が豊富で選択の幅が広いです。現状最強のラインナップを誇ることになります。
また、他の証券会社に先んじて確定拠出年金の取扱をはじめてますから安心感が強いですね。
マネックス証券
次点はマネックス証券 iDeCoです。
こちらも後発ながらかなりiDeCoに力をいれていますね。
iDeCo初でiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスを取扱い開始したのに興味をひかれる人も多いでしょう。
マネックス証券はeMAXIS Slimを多く取り扱っており、信託報酬がほとんど最安値水準でスキがありません。また、iDeCoでいち早くiFreeNEXT NASDAQ100 インデックスの取り扱いをはじめたところも大きなポイントになりますね。
松井証券
松井証券のiDeCoは35本制限まで余裕があるというのは後発の強みですね。
その35本制限までの余裕を生かして他社で人気となっている対象投資信託を一気に採用して話題になっていますね。
こちらも有力候補の一つですね。
2020年10月18日から取り扱い商品が大幅拡充されました。
人気となっているeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)や楽天・全世界株式インデックス・ファンドなども採用され最強ラインナップといっても過言ではない充実ぶりですね。
総合して考えるとこの3つの金融機関に加入すれば大きな後悔はないかなと思います。
他の運営管理機関もぜひがんばってほしいところですが・・・
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