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老後の蓄え大丈夫?DINKS世帯の老後資金対策|共働き子なし夫婦が今からできること

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老後の蓄え大丈夫?DINKS世帯の老後資金対策|共働き子なし夫婦が今からできること

共働きで子どもを持たない「DINKS(ディンクス)」世帯は、現役時代の家計には余裕がある一方で、老後資金については不安を感じている方が少なくありません。

  • 老後にいくらあれば安心なのか
  • 年金だけで暮らしていけるのか
  • 今のうちから何をしておくべきか

この記事では、DINKS世帯の老後資金の目安から、iDeCo・新NISAなどを使った具体的な対策まで、順番に整理していきます。

目次

DINKS世帯とは?共働き子なし夫婦のメリットと落とし穴

まずは今回の話の前提となるDINKS世帯について詳しくみていきます。

DINKS(ディンクス)の定義

DINKSとは「Double Income, No Kids」の略で、「共働きで子どもを持たない夫婦」のことを指します。

日本でも子どものいない夫婦のみの世帯は増えており、全世帯の約2割を超えるというデータもあります。

  • 夫婦ともにフルタイムで働いている
  • 共働きだけれど、あえて子どもを持たない選択をしている
    といったライフスタイルが典型例です。

DINKS世帯の家計面のメリット

DINKS世帯には、お金の面で明らかなメリットがあります。

  • 子育て費用(教育費など)がかからない
  • 共働きで世帯収入が高くなりやすい
  • 住まいや趣味、旅行などに自由にお金を使いやすい

このため、同じ年収の子育て世帯と比べて「今使えるお金」が多く、現役時代は豊かな生活を送りやすい傾向があります。

一方でDINKS世帯が抱えやすい老後リスク

一方で、DINKS世帯には次のような老後のリスクがあります。

  • 子どもがいないため、将来の介護や身元保証を頼める身内が少ない
  • 現役時代の生活水準が高く、老後も同じペースで暮らそうとするとお金が足りなくなる
  • 相続で親族とのトラブルが起こりやすい(遺言がないと配偶者以外の親族も相続人になる)

「今が楽だからこそ、老後資金を意識して計画的に準備しておかないと危ない」のがDINKS世帯の特徴ともいえます。

DINKS世帯の老後資金はいくら必要?金額の目安を整理

それではDINKS世帯にはどれだけ老後資金が必要なのでしょう?

老後の生活費の相場

まずは「老後1カ月の生活費」がどの程度なのか、全体の相場を押さえておきましょう。

生命保険文化センターの調査によると、夫婦2人で老後生活を送るうえで必要と考える「最低日常生活費」は、2022年度調査で月額23.2万円、2025年度の最新調査では月額23.9万円とされています。

同じ調査では、旅行や趣味なども含めた「ゆとりある老後生活費」は月額37.9万円という結果です。

  • 最低限の生活…約24万円/月
  • ゆとりある生活…約38万円/月

物価が上がっていることを考えると、今後はさらに必要額が増える可能性もあります。

共働き夫婦の年金受給額のイメージ

次に、共働き夫婦が老後にもらえる公的年金のイメージです。
モデルケースとして、

  • 夫:22〜65歳まで会社員(平均標準報酬月額50万円)
  • 妻:22〜65歳まで会社員(平均標準報酬月額30万円)

という条件で試算すると、2人の合計年金額は月約32.5万円という試算もあります。

この場合、

  • 最低限の生活費:24万円 → 年金でほぼカバーできる
  • ゆとりある生活費:38万円 → 毎月約5〜6万円不足

というイメージになります。

DINKS世帯の老後資金のざっくり目安

例えば、65歳から90歳までの25年間、
「ゆとりある生活費」を目指す場合をざっくり計算すると、

  • 不足額:月5〜6万円 → 年間約70万円
  • 25年分:70万円 × 25年 = 約1,750万円

に加え、

  • 住宅の大規模修繕
  • 車の買い替え
  • 医療・介護費
  • 片方が先立った後の生活費の上乗せ

などを考えると、DINKS世帯が目指したい老後資金の目安として、

「年金に加えて、2,000万〜3,000万円程度の金融資産」

をひとつのベンチマークとしておくと現実的です。
もちろん、持ち家か賃貸か、地方か都市部か、退職金の有無などによって必要額は大きく変わります。

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自分たちの「DINKS老後資金」を簡単に試算するステップ

ここからは、「自分たちの場合」へ落とし込む簡易ステップを整理します。

ステップ1:今の生活費から老後の月額を決める

1か月の生活費を「今の生活ベース」で書き出し、老後のイメージを考えます。

  1. 今の生活費(家賃・食費・光熱費・通信費・保険・趣味など)を把握する
  2. 老後はどこまで削れるか(住居費・教育費・住宅ローンなど)を見直す
  3. 「最低限これくらいは必要」「これくらいならゆとりがある」という2つの金額を決める

DINKS世帯の場合、現役時代は30万円以上使っている世帯も少なくありませんが、老後にまで同じ水準を維持するかどうかを夫婦で話し合うことが大切です。

ステップ2:見込まれる年金額を確認する

次に、公的年金でいくら入ってくるかを確認します。

  • 「ねんきん定期便」
  • 日本年金機構の「ねんきんネット」

などで、将来の年金見込額を確認し、夫婦2人の合計額を把握しておきましょう。

「老後の生活費 − 年金額 = 毎月の不足額」
という形で、不足分を計算します。

ステップ3:不足額を老後の期間分かける

不足額が月5万円なら、

  • 5万円 × 12カ月 × 25年 = 1,500万円

不足額が月8万円なら、

  • 8万円 × 12カ月 × 25年 = 2,400万円

といった具合です。

ここで出てきた金額が、「DINKS世帯として老後までに用意したい金融資産の目安」になります。

DINKS世帯がやるべき老後資金対策①:夫婦の家計を一体管理にする

それでは老後資金対策をどうすれば良いのでしょう?

夫婦別財布は老後資金づくりの大敵

DINKS世帯に多いのが、「夫婦別財布」です。

  • 家賃や光熱費など共通費だけ割り勘にする
  • 残りはそれぞれの自由に使う

このスタイル自体が悪いわけではありませんが、

  • 家全体でいくら貯まっているのか
  • 老後用にどのくらい回せているのか

が見えなくなると、老後資金の準備が遅れがちになります。

共通口座+家計簿アプリで「見える化」

おすすめは、

  1. 生活費を出し合う「共通口座」を作る
  2. 共通口座を家計簿アプリ(マネーフォワードなど)と連携する
  3. 共通口座の残高=「夫婦の将来資金」としてモニタリングする

というやり方です。

これだけでも、

  • 無意識の浪費に気づきやすくなる
  • 「今月は老後資金にいくら回せたか」が見える
  • ボーナスや臨時収入の一部を自動的に老後用に回す

といった仕組みをつくりやすくなります。

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DINKS世帯がやるべき老後資金対策②:生活水準を上げすぎない

DINKSならでの課題があります。

ラチェット効果を意識する

DINKS世帯は、一般的な子育て世帯に比べて「自由に使えるお金」が圧倒的に多いです。

  • 年に数回の海外旅行
  • 週末の美味しい外食や趣味
  • 駅近の便利なマンション

これらは素晴らしいことですが、この「生活水準」こそが最大のリスクになります。

一度上がってしまった生活レベルを、年金生活に入った瞬間にガクッと下げることは、人間の心理的にほぼ不可能です。これを経済学用語で「ラチェット効果(歯止め効果)」と呼びます。

現役時代に月40万円使っていた夫婦が、老後に月25万円(年金のみ)で暮らそうとすると、毎月15万円の赤字。これが30年続けば、5,400万円の不足です。

これがDINKSの老後のリアルです。

日頃から生活水準をあげすぎないということを意識しておくことも大事でしょう。

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DINKS世帯がやるべき老後資金対策③:iDeCoで税金を減らしながら老後資金を貯める

次はイデコです。

iDeCoの基本とDINKSとの相性

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、

  • 掛金が全額所得控除
  • 運用益も非課税
  • 受け取り時も退職所得控除や公的年金等控除の対象

と、税制優遇が極めて大きい制度です。

共働きでそれぞれ一定以上の年収があるDINKS世帯は、所得税率が高くなりやすいため、iDeCoの節税メリットが特に大きくなります。

iDeCoの拠出限度額アップ・加入年齢の引き上げ

2025年度の税制改正では、iDeCoの掛金上限額の引き上げや、加入可能年齢の延長(65歳未満→70歳未満)が予定されています。

会社員や公務員についても、

  • 企業型DCとの合算で拠出限度額が引き上げられる
  • iDeCo単体で拠出できる枠が広がる

方向で議論が進んでおり、DINKS世帯にとっては「老後資金を非課税で準備できる枠」が拡大することになります。

夫婦2人でiDeCoをどう使うか

夫婦でiDeCoを使うときの考え方は、大きく2パターンです。

1)原則は「夫婦それぞれ」が加入

  • 掛金の上限が個人ごとに決まっている
  • 夫婦それぞれに老後資金を持たせることで、離婚・死別リスクにも備えられる
  • DINKS世帯の場合、年金分割の対象外であるiDeCoを片方に集中させると、将来的な不公平感が出やすい

といった理由から、基本的には夫婦2人ともiDeCoを活用しておく方がバランスが良いと考えられます。

2)節税重視なら「税率の高い方」の掛金を優先

一方で、

  • とりあえずの掛金を抑えたい
  • 家計にそこまで余裕がない

というケースでは、より所得税率の高い方(年収の高い方)に掛金を厚くするやり方も現実的です。

  • 所得税率が5%の人が年間10万円拠出 → 節税額は5,000円程度
  • 所得税率が23%の人が年間10万円拠出 → 節税額は2万3,000円程度

と、税率によって節税額が大きく変わるためです。

3)専業主婦(主夫)になる予定がある場合の注意点

近い将来に片方が専業主婦(主夫)になる予定なら、

  • 専業になる前は所得税の節税メリットがある
  • 専業になって所得がなくなると、掛金を払っても所得控除のメリットが薄くなる

という点に注意が必要です。

この場合、

  • 専業になる前に掛金を多めにしておき、予定のタイミングで掛金を減額
  • 専業になる人よりも、引き続き働き続ける人のiDeCo枠を優先

といった調整が現実的です。

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DINKS世帯がやるべき老後資金対策④:新NISAで「使わないお金」を育てる

次はNISAです。

新NISAの基本ポイント

2024年から始まった新NISAでは、

  • 年間投資枠:最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)
  • 生涯の非課税保有限度額:1人あたり1,800万円(うち成長投資枠上限1,200万円)

という大きな枠が用意されています。

DINKS世帯の場合、

  • 夫婦それぞれに1,800万円の枠 → 合計3,600万円
  • つみたて投資枠を中心に、長期・分散・積立で老後資金を育てる

という使い方が非常に相性が良いです。

DINKS世帯の新NISA活用イメージ

例えば、

  • 夫:つみたて投資枠で月5万円(年間60万円)、成長投資枠でボーナス時に40万円
  • 妻:つみたて投資枠で月3万円(年間36万円)

といった形で、「今すぐ使わないお金」を新NISAに振り分けていきます。

積立額は家計の余力次第ですが、「生活費+定期的な旅行や趣味の費用」を確保したうえで、それでも余るお金を新NISA・iDeCoに回すイメージです。

  • iDeCo:老後用の“ロックされた”資金(60歳まで原則引き出せない)
  • 新NISA:老後も含め、柔軟に使える将来資金(途中売却も可能)

という役割分担で考えると整理しやすいでしょう。

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DINKS世帯がやるべき老後資金対策⑤:保険・住まい・介護・相続の備え

お金だけでなく、「制度やしくみ」で備えておくことも大切です。

医療・がん保険は“過不足なく”

DINKS世帯の場合、

  • 子どもにお金を残す必要は比較的少ない
  • その分、自分たちの医療・介護費用をしっかり確保しておきたい

という特徴があります。

  • 高額療養費制度や公的医療保険でカバーできる範囲
  • 自己負担としてどこまで許容できるか

を踏まえたうえで、医療保険・がん保険などを「過不足なく」持つことがポイントです。

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住まいの選択と老後の住居費

老後の住まいとして、

  • 持ち家を維持するのか
  • 将来は買い替えや住み替えをするのか
  • サービス付き高齢者向け住宅なども視野に入れるのか

によって、必要な資金が大きく変わります。

特に賃貸派のDINKS世帯では、

  • 高齢になってからも家賃を払い続ける前提
  • 住宅確保要配慮者としての入居ハードル

なども考慮し、「老後の住まい」について早めに方向性を決めておくと安心です。

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介護と身元保証への備え

子どもがいないDINKS世帯では、

  • 入院時の保証人
  • 介護施設入居時の身元保証人
  • 認知症になったときの財産管理

といった部分で、頼れる身内が少ないケースが多くなります。

  • 任意後見契約
  • 見守り契約・身元保証サービス
  • 財産管理契約

など、法的なしくみや民間サービスを早めに検討しておくと、老後の安心感が大きく変わります。

遺言・相続の準備

子どもがいない夫婦の一方が亡くなった場合、

  • 配偶者
  • 亡くなった人の親、兄弟姉妹

が法定相続人となります。

「配偶者にすべて残したい」と考えていても、遺言がなければ親族との遺産分割協議が必要になり、トラブルの火種になりかねません。

  • 公正証書遺言で「誰に何を渡すか」を明確にしておく
  • 必要に応じて専門家(司法書士・弁護士・税理士)に相談する

ことで、「お金の行き先」を自分たちの意思でコントロールしておきましょう。

まとめ:DINKSの強みを生かしつつ、老後資金を“仕組み”で貯める

最後に、DINKS世帯の老後資金対策のポイントを整理します。

  • DINKS世帯の老後資金は、「年金+2,000万〜3,000万円の金融資産」をひとつの目安に
  • 自分たちの老後資金は、「老後の生活費 − 年金額 × 老後期間」でざっくり試算する
  • 夫婦別財布ではなく、共通口座+家計簿アプリで「家全体の貯蓄」を見える化する
  • iDeCoは税率の高い方を優先しつつ、基本は「夫婦それぞれ」で掛ける
  • 新NISAは「今すぐ使わないお金」を長期運用する枠としてフル活用する
  • 医療・介護・相続・身元保証など、DINKS特有のリスクも早めに備える

共働き子なしというDINKS世帯は、「現役時代に老後資金を準備するには、最も有利な条件」を持っています。

一方で、何も考えずに生活水準だけを上げてしまうと、老後に大きなしわ寄せがきます。

  • まずは夫婦で老後のイメージを共有する
  • 今の家計を見える化する
  • iDeCoと新NISAを軸に、早めに仕組みをつくる

この3ステップから始めていただくと、DINKS世帯ならではの「安心な老後へのロードマップ」が描きやすくなるはずです。

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この記事を書いた人

豊かに生きていく上で必須なのがお金の知識です。
しかし、日本では「お金」が汚いものという認識が根強く、あまり勉強されてきませんでした。そのため今後は老後破産が増えてしまうなんて話もありますね。
そんな世の中を少しでも変えたいという強い信念を元に「お金に生きる」を立ち上げました。
投資歴15年以上、社会保険労務士、中小企業診断士、簿記1級、1級販売士、ファイナンシャルプランナー2級、年金アドバイザー3級持ちの私が「お金」についてどこよりもわかりやすくお伝えることを目指していきます。
詳しくこちらを御覧ください。>>運営者情報

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